人間で在りたい神殺し 作:鎌鼬
「ーーーーーーーーーーな、なんだこれは!?」
まつろわぬゼウスが龍紀の展開した
そうした原因は目の前で不適に笑っている龍紀に他ならない。しかし一時的に、限定された空間であっても世界を塗り替えることなどギリシャ神話の主神であるゼウスでも不可能なこと。それを目の前にいる神殺しである龍紀は疲労の色を見せることなく行っている、それがゼウスを驚かせた。
「貴様ぁ!!いったい!!いったい何をしたぁ!?」
『別に?俺はただ俺が殺した神様から譲り受けた
龍紀が何をしたか理解しきれないという恐怖からゼウスは焦った声色で怒鳴るものの、龍紀はそれをどこ吹く風といった様子で聞き流し、空中であぐらをかきながら膝の上に肘を置いて頬付きをしていた。そして焦るゼウスを可笑しそうに眺めており、それがゼウスのプライドを煽った。
「おのれ…………!!たかが人間の分際で!!」
ゼウスが龍紀に怒りを抱き、手を振りかざす。ゼウスの権能である『裁きの雷』それを自身を敬わぬ龍紀に落とすつもりなのだ。ゼウスの呪力によって導かれて落ちる雷は不敬である龍紀に落ちるーーーーーーーーーーしかし、ゼウスの想像していた未来は訪れない。振りかざした手と共に落ちるはずだった雷は発生の前兆すら見せることなく掻き消された。
「な、なんだと!?」
雷が掻き消された事実に驚愕しながらもゼウスは再度雷を落とそうと手を振りかざす。しかしゼウスが雷を発生させるという意思を持った瞬間、やはり先程と同じ様に雷は掻き消された。
「何故だ!?何故我が裁きの雷が落ちぬ!?…………そうか!!この世界か!!」
そしてゼウスはようやく自身の権能が使えない原因に気づくことができた。先程まで使えていた権能が使えなくなった原因…………それは、この
『そうだ、その通りだぜ強姦魔。『太極・
「神格を否定する神格だと!?そんな神がいるわけがーーーーーーーーーーい、いや…………まさか…………!?」
神格を否定する神格に心当たりがあったのか、ゼウスは顔を青くして黙ってしまう。それを見て気分が良くなったのか龍紀は愉快そうに顔を歪ませながら問いかけた。
『なんだ?心当たりでもあったのか?なら答え合わせだ、言ってみろよ?』
「知っている…………!!我はその権能を知っている…………!!異能を殺し、神格を否定する神格を…………!!まさか…………貴様が殺した神格は、
『ーーーーーーーーーー正解だ』
脅えながらも龍紀が殺したまつろわぬ神の名前を出したゼウスに龍紀は手を広げながら間違っていないことを肯定した。
何故ゼウスが天魔・宿儺の名前を知っているのかという疑問が出てくるのだが、それはゼウスが過去に一度天魔・宿儺と出会っているからだ。まつろわぬ神として現界したゼウスは自らの神話になぞらって美しい女を求めて世界を放浪した。そして極東の地である日本に足を運んだ際に天魔・宿儺と出会った。自らを敬わぬ不敬な輩を排しようとゼウスは雷を落としたが宿儺は傷一つ付くこと無く、逆に嘲笑いながらゼウスに傷を負わせた。その傷は思いの外深く、ゼウスは死と宿儺に対する恐怖から宿儺に背を向けて日本から逃げたのだ。そうして傷を癒していたものの、宿儺から与えられた恐怖でゼウスはこの事を忘れようとしていた。ゼウスは宿儺のことを忘れていたのだが宿儺に対する怒りを上回る程の恐怖から傷が癒えても日本にやって来ることはなかった。しかしアテナが日本にいると分かると、その恐怖を忘れてアテナを犯すという欲の為だけに日本へとやって来た。
だが、宿儺と同じ権能を操る神殺しを前にしてようやくその事を思い出す。それと同時にその時の宿儺に対する恐怖も蘇る。いかにギリシャ神話の主神である自分でも掠り傷一つ付けることが出来なかった神格殺しの権能を振るう宿儺とその宿儺を殺してその権能を使う龍紀の姿がダブって見えた。
「ひーーーーーーーーーーヒィ!!!」
かつて自分を負かした相手に対する恐怖からゼウスは主神としてのプライドを投げ出して龍紀に背を向けて逃げたした。自分が敵わない相手と対峙して逃走を選ぶことはなんらおかしいことではない。過去にも逃げることができたのだから今回も逃げられると思い、ゼウスは脇目も振らずに全力で逃げようとした。
しかし、前回と違うことがあるとすればゼウスが対峙しているのは宿儺ではなく龍紀だということ。宿儺はあまりにも無様に逃げ惑うゼウスの姿が面白くて逃がしてしまったのだ。だが龍紀は違う。確かにさっきまで偉そうにしていたゼウスが無様に逃げようとしている姿は笑いを誘うものがある。しかし龍紀はだからといってゼウスを逃がすようなことはしない。
『ハッ、逃がすかよ』
龍紀の手に二挺、龍紀の背から伸びたカラクリの腕に二挺、計四挺の馬上筒が握られる。そして馬上筒の銃口を背を向けて逃げているゼウスに向け、迷うこと無く撃ち出した。
呪力で編み込まれた弾丸は本来ならば呪力に対して高い抵抗を持つまつろわぬ神には効き目が薄いはずだった。
「ヒギィッ!?」
しかし弾丸はそんな常識を覆すようにゼウスの四肢を撃ち砕く。馬上筒の弾丸は龍紀の呪力を編み込まれて作られた物である。それは即ち、この
放たれた弾丸はゼウスの肘と膝に当たり食い千切る。手足が無くなったことでゼウスは顔から落ちるものの、残された部位を必死に動かしながら龍紀から逃げようとする。そこにはギリシャ神話の主神であるゼウスの姿は無く、ただ死に怯えて逃げようとしている生物の姿があった。
『逃げられると思ってるのかよ?残念ながら俺は宿儺とは違うんでな、一度殺すと決めたのなら余程の事でも無い限りは諦めたり逃がしたりしねぇよ』
逃げようとしているゼウスに蔑むような言葉を投げ掛けながら龍紀はゼウスに近付く。四挺の馬上筒はゼウスの頭と胸に向けられていて何時でもその引き金が引けるようにしながら。
だがゼウスはその龍紀に気がつかない。ゼウスの頭の中にあるのは自分を殺そうとしている
『なぁ、聞いてるのかよゼウスさんよぉ!!』
「グェッ!?」
虫のように地べたを這いずりながら逃げようとしているゼウスの腹を龍紀は思いっきり蹴り上げた。神格を否定する
「ゲホッ!!ゲホッ!!」
『おいおい、さっきまで散々偉そうにしていたのにもうおしまいか?それでも男かよ、玉付いてんのか?男だったら少しくらいやる気を見せてみたらどうなんだ?』
「ゆ、ゆるして、ぐださい…………ごめんなさい…………」
ゼウスが吐き出した血で顔を汚しながら龍紀に許しを乞う。例えギリシャ神話の主神とは言えどトラウマをつけられた相手の権能を使う龍紀に敵わないと理解したのか神であるというプライドを捨ててでも生きることを選んだ。
それを見た龍紀はーーーーーーーーーー
「グギァァァァァァァァァァァ!?」
馬上筒の銃口をゼウスの下半身…………場所を明確にするなら股間に向けて引き金を引いた。弾丸はゼウスの股間を抉って辺りを血で汚す。
『つまんねぇな、お前。借りにもギリシャ神話のお偉いを名乗ってるならもうちっと意地見せてみろよ。意地張るところで張らないとか男じゃねぇよ。だったら玉なんて要らないよな?それにどこかの国であったな、人の物を盗んだ罪人には手を切り落とすとな。だったら嫌がる女を無理矢理犯そうとしていたお前にはその汚ねぇ物を潰すくらいがちょうどいい』
股間を抉られた痛みにのたうち回っているゼウスを見下しながら龍紀はそう告げた。龍紀には先程までのゼウスをからかって楽しんでいた様子は感じられず、まるでゼウスのことを虫けらでも見るかのような目で見下していた。
『じゃあなまつろわぬ神。死ね』
そして股間を撃ったのとは別の馬上筒三挺をゼウスに向けて引き金を引いた。弾丸はゼウスの頭喉胸を穿ち、風穴を作る。ゼウスは一度だけ痙攣したかと思えば動かなくなり、消滅した。
いや~ゼウスは強敵でしたね(ゲス顔)
この戦闘(処刑)がなかなか思い付かなくて難産でしたよ~(ゲス顔)
それにしても宿儺の太極はヤバイですね、まつろわぬ神や神殺し、それに異能を使う奴等からしたら天敵ですし。
そして実は宿儺とゼウスは戦闘済みでした。ゼウスとの戦闘後に宿儺は龍紀と出会って戦ったってことになります。
あと感想で指摘していただいたのですが、この小説では龍紀の権能として扱う太極は
感想、評価をお待ちしています。