人間で在りたい神殺し   作:鎌鼬

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他の更新が忙しかったけど感想もらえて嬉しかったのでこっちを投稿します。

書き方忘れてるな……



パンドラ

 

 

頭と胸を撃ち抜かれたまつろわぬゼウスが消滅するのと同時に目に悪そうな紋様の太極(せかい)が閉ざされる。神格と異能の否定って強いんだけどあの紋様だけはどうにかならないものだろうか。その内視力とか落としそうで少し怖い。

 

 

「龍紀クンお疲れ様デス」

 

 

太極の範囲に入らないようにしていたメフィストのおっさんとアテナがこちらにやって来る。メフィストのおっさんは殺しても死にそうに無いのだがアテナはゼウスにボコられていたせいでまつろわぬ神に戻った時よりも神威が弱っている。だが出会った時のように消えかけのロウソクのような弱々しさじゃないな。

 

 

『よぅ、アテナ大丈夫か?』

「……龍紀、何故妾を助けた?まつろわぬ神の身である妾を何故助けようと思ったのだ?」

 

 

助けて開口一番のセリフがこれか……だけど仕方無いだろう神殺しの俺がまつろわぬ神のアテナを助けた。まつろわぬ神に戻る時にも手助けをしたのだごこれとそれとでは度合いが違う。わざわざ戦いたいからという理由でまつろわぬ神を呼び出すバトルジャンキーなハッスルジジイや権能を得たいという一般的な神殺しのような理由なら分かりやすいだろうが俺のような自他共に認める快楽主義者だとその考えが通じないからな。

 

 

「知りたいデスか?それはデスね」

『あーおっさん、言わなくていいから。俺が自分で言うから』

 

 

ニタニタと笑いながら俺がアテナを助けた理由を言おうとしたメフィストのおっさんを背中から生えたカラクリの手に握った銃を向けることで黙らせる。太極開いてなくとも今の状態なら神格異能の否定は普通に使える。そのことをおっさんも分かっているからか冷や汗をかきながら首を横に振っている。

 

 

『えっと、お前を助けた理由だよな?そりゃああれだよ、自分(てめぇ)が口説こうかと思った女横から掻っ攫われたら誰だって取り返しに行くだろうが』

 

 

あー恥ずかし、メフィストのおっさんに言う時には頭に血が上ったのかあっさり言えたのに本人目の前にして言うと恥ずかしい。何だよこの羞恥プレイは。

 

 

「……は?え?それって……」

『これ以上は察してくれ。流石に恥ずか死ぬから』

 

 

幾ばくか間があったものの俺の言葉を理解したのかアテナは顔を赤くした。そしてどうしていいのか分からずにモジモジし始めた。なんだこのベッタベタな反応。初心か?初心なのか?あ、そう言えばアテナって言ったら処女神だって前に読んだ本に書いてあったな。経験が無いのならこんなベッタベタな反応してもおかしくはないか。

 

 

「もう!!龍紀君ったら!!まぁたその権能使ってまつろわぬ神を倒しちゃって!!義母(ママ)はカンカンだぞ!!」

 

 

そんなアテナの反応が微笑ましくてしょうがなかったのに水を差し込まれた。勝手にやって来て母を名乗る存在、パンドラがいつの間にか当たり前のように俺の隣に立っている。

 

 

『何しに来やがった』

「何しにって冷たいわね。息子が心配で来るのはいけないことかしら?」

『養子縁組も届けた覚えの無いのに母親面してんじゃねえぞ年増のババアが』

「としっ!?」

「おい、災厄の女よ」

 

 

ババア発言で固まっているババアに向かってメフィストのおっさんがさっきまでの飄々とした雰囲気を感じさせない低い声で話しかけてきた。そう言えばメフィストのおっさんはババアのこと嫌いだったな。

 

 

「何しに来た?返答次第では超異次元空間に葬ってやる」

 

 

メフィストのおっさんの姿が紳士のような物からピエロを思わせるような物に変わる。この姿こそが悪魔としての本当の姿、さっきまでの人間の姿は人と接するための仮の姿でしかない。

 

 

「これはこれは真の悪魔殿、ご心配なさらずとも私は義息の彼に言葉を伝えに来ただけですわ。いつもなら夢に出るのですがこの子は権能使って私のことを拒絶するので」

『はっ!誰が人生の三分の一を占める睡眠時間をババアなんぞで邪魔されたいと思うかよ!!』

「辛辣すぎやしないかしら!?」

 

 

だって俺の嫌いなタイプの存在だし。それにババアが来た要件も何か分かってるしな。

 

 

「んん!!……柊龍紀、貴方が打ち倒したまつろわぬゼウスの権能ですがーーー」

『渡せないって言うんだろ?わかってるよ』

「待て、龍紀は間違いなくゼウスを倒しているぞ。それなのに何故権能の簒奪が成されない?」

 

 

アテナの疑問はもっともだ。神殺しがまつろわぬ神を倒したならばその神の権能の簒奪が行われる。さっきのゼウスなら多用していた雷とか。だけど俺には行われないとババアは言っている。初めは俺も驚いだがババアの理由を聞いて呆れてしまった。何故ならーーー

 

 

「だって、あの様な倒し方ではつまらないでしょ?」

 

 

つまらない、その一言で終わらせられたからだ。要するにこのババアが納得する様な戦いでまつろわぬ神を倒さなければ権能の簒奪は行われない。俺の太極のような型に嵌ればワンサイドゲームになるような戦いでは権能を渡せないとほざくのだ。おかげで俺の倒したまつろわぬ神の数は十を超えているのに使える権能は宿儺の権能だけしか無い。

 

 

「さて、伝えることは伝えましたしそこの真の悪魔殿の抑えが効いている間にお暇しますわ」

『おう帰れ、で二度と来るなババア。来るとしても実年齢考えた言動しやがれ』

「あぁん……義息が反抗期だわ……」

 

 

唖然としているアテナとガシャンガシャンいいながら変形しつつあるメフィストのおっさんをそのままにしてババアは嘘泣きしながら姿を消した。つうか俺のことを義息と呼ぶな。てめぇの息子になった覚えなんぞねぇんだよ。

 

 

「龍紀は……それで良いのか?」

『もう慣れたよ。それにあのババアの匙加減一つで得られる程度のもんなら必要ねぇ。宿儺から与えられた権能があれば十分さ』

 

 

アテナの心配が地味に嬉しい。知り合いのハッスルジジイとバトルジャンキーにこのことを話したら大声で笑われて銃ぶっ放したからな。ってか神であるアテナに心配される神殺しってのはどうなのよ?

 

 

『さてっと、アテナは目的を果たすことが出来たわけだがこれからどうするつもりだ?』

「そうだな……ひとまずゼウスから受けた傷を癒したい。動かなくは無いが十全というわけでは無いからな」

 

確かに今のアテナはボロボロだ。何度もゼウスの雷に打たれたからだろう。それでも流石は神なのかその程度で済んでいる。これが人間なら黒焦げの焼死体になってること間違い無しだ。

 

 

「フム、それならば招いてはいかがでしょうか?」

『招くって……あぁ、あそこにか』

「えぇ、今必要なのは休める場所デス。それにあそこならきっと歓迎してくれるでしょう……龍紀クンが女の子を連れてきたとね」

『それは歓迎っつうよりも騒ぎたいだけだろうが』

 

 

だけどまぁ、あそこならみんな歓迎してくれるだろうな。同じくらい騒ぎ立てると思うけど。

 

 

「あそこ、とは?」

 

 

俺たちの会話についてこれずにアテナは首を傾げる。俺とおっさんだけで話してたしアテナはあそこの存在を知らないから当然の反応だわな。

 

 

『俺が住んでるアパートだよ。まぁ真人間よりも人外の数の方が多いけどな』

「待て、アパートとは人間の暮らす場所のはずだ。なのに人外の方が多いとはどういうことなのだ?」

『アハッハッハ!!』

「笑ってないで答えてくれ……!!」

 

 

それじゃ、アテナとルナを連れて行きますかね。

 

 

俺たちの住む、足洗邸に。

 

 

 

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