そんな世界に相応しくない建物がひっそりと建っていました。
ここは、とある森の中。
薄暗い森の奥にその建物はある。
『株式会社白雪』、これはその建物の名前である。
この会社で生産している、とあるものが世界中で人気を博しており、王公貴族も御用達である。
―その品物は、何かって?
それはもうすぐわかるだろう―
建物の前に数台の馬車がやって来た。
馬車から12,3歳ほどの美しい少女たちが降りてくる。
少女たちは、次々とその建物の中へ消えていく……。
少女たちが建物の中に消えた頃、建物の別の場所にトラックが止まる。
建物の中から長方形の形をした箱のようなものが運び出される。
この箱の中身こそ、この会社が取り扱う唯一の商品……。
―では、工場見学といこうか―
建物の中に入ると、まるでエステサロンのような有り様だ。
少女たちが最初に案内されるのは、薔薇の浮かぶ風呂。
使われている薔薇は、“幻の薔薇”とも呼ばれている“
金のバスタブに少女たちが浸かり、体の穢れをゆっくりと落とす。
風呂から上がった少女たちは、マッサージを受ける。
その際使われるのは、素晴らしく良い香りのする高級なオイル、その名前は“
このオイルを少女たちの肌にしっかりと刷り込ませていく。
マッサージが終わると、少女たちは美しさが際立つようなドレスを着せられる。
髪の毛は綺麗に手入れされ、仄かに化粧が施される。
一人一人の顔立ちの魅力が引き立つような化粧が施されると、少女たちは横たわるように指示される。
―美しい少女として建物を出るのではないか?―
もちろん美しい少女としてこの建物をあとにする。
しかし、最後の仕上げがまだ終わっていないのだ。
職員がこう言う。
「長時間ご苦労様でした。
少しお疲れでしょう、こちらでお休みになってください」と。
しばらくすると、どこからか音楽が流れてくる。
この曲は、聞くものを眠りに誘う曲“
5分足らずの演奏が終わると、ほとんどの少女がスヤスヤと眠りにつく。
それを確認すると、職員は懐から小さな小瓶を取りだし、少女の唇に数滴、液体を垂らすのだ。
この液体、ただの水ではない………。
この液体は、特別な薬で、これを口に含んだものは、仮死状態になるのだ。
こうして美しい人形と化した少女たちを職員がそっと、豪華な装飾を持つガラスの棺に寝かせるのだ。
最終チェックを経ると、棺に蓋をする。
白雪姫の姿となった、少女たちは、顧客たる王子たちのもとに運ばれるのだ。
王子たちが棺を受けとるのと同時に、仮死状態を解く解毒薬が渡される。
ある王子は少女の口に解毒薬を含ませ、別の王子は解毒薬を廃棄する。
そう、少女たちの
少女たちは、王子と幸せに暮らすか、半永久的に仮死状態のままでいるのか……、自らの手で決めることができない。
―さあ、そこのあなたも王子にならないか?
棺の中に納まる美しい少女を所有できる喜びに……。―