by.ジークムント・フロイト
ふと気がつくとそこはエントランスホールだった。
ああ、私は気絶してしまったんだな。そう理解して頷く。あんな
夢の中では案外冷静な自分。今は、たとえこの世界が現実を投影する〝 現展覧会会場 〟だとしても、心地よく感じてこの場所を愛おしく思ってしまう。それほど精神的に参っているのだ。こちらに逃げ込んでしまったら最後だ。とにかく、この気持ちを切り替えて探索しよう。
今まで手に入れたのは〝 ほうき 〟と〝 潜水服 〟、それに〝ジョウロ〟だ。ほうきはともかく、潜水服は前日の夢で手に入れているし、ジョウロは一度下の扉に入ったことがあるのでついでとして見つけている。エフェクトのジョウロとユウレイは双子の霊から手に入れることができる。仮にユウさんレイさんとしておこう。その片方、分け目が左のユウさんからジョウロを受け取ると、自由に雨を降らせられるようになるのだ。
どうやらエフェクトはそれを身につける、あるいはそれに成っている自分を想像すれば使うことができるようだ。これは魔女さんに教えてもらったのでちゃんと身についている。最初はアイテムか何かに変化するのだと思っていたが、自分自身に備わった力になるらしい。
こう、片手を横に広げて召喚! みたいにするといいらしい。
私が今回手に入れようとしているのは〝植物 〟〝 内臓 〟〝 機械 〟だ。予定としては一つくらいは確実に手にいれておきたいと思っている。これらを狙う理由は単純。その効果ではなく、ただ単に覚えやすいところにあるからだ。エントランスに移動できる 〝腕〟 は便利だが、少々探索するのが面倒なところにある。落ち着いたときに取りに行くほうがいいだろうと私は判断した。
まずは植物だ。あれならまだ狙えるだろう。そう決心して私は立ち上がり、エントランスから左に行って着くアパート(今は病院)に向かう。そこからエフェクト〝植物〟をとることができる。左側は一番最初に行った、あの気持ち悪くなるサイレンが鳴り響く場所だ。サイレンの意味はほぼ間違いなく警鐘で合っているだろうが、攻撃性を表す殺傷エフェクト〝鉄パイプ〟がまだ存在していないので無視するに限る。恐らく、ここに鉄パイプが現れてしまったとき。それが正常な私とのお別れを選択する場面になるだろう。私が大往生するまで現れないことを祈ろう。
うるさい世界を歩き回り、トンネルに入る。そして病院のエントランスに繋がり、周りを見渡す。前来たときは一直線に屋上へと向かったが、今雲タイル通路に用はない。なのでもう一つの入り口を探す。
暫く歩き回った結果、現実で自室であろう位置の扉が開きっぱなしになっていたので入る。中にはベッドもなく、床頭台もなく、真ん中に白い花が咲いているだけ。白い花は百合のように細長い。葉も細く、汚白色に濁っている。茎も大分細くて頼りない。これがなにを表すかなど分かりきったことだ。……そのためか少し気に食わない。踏み潰してやりたい衝動に駆られたが、足を踏ん張ることで押し込めた。色んなゆめにっき派生でも自分自身を示唆する象徴を壊すと自分に返ってくるし、死ぬ可能性もあるから手を出したくない。強制起床の元になりそうなものは避けるに限るだろう。
暫く唸るように白い花を睨みつけていたが、本来の目的を思い出して再び周囲を見渡す。すると、すぐ近くに現実の部屋ならばあるはずのない紫の扉を見つけることができた。病室の扉に似つかわしくないドアノブ式の扉で、どこかで見たような紫の下地に濃い藍色の模様が私を威圧する。
ただ似ているだけで、実際に見たら少し違うところがあるのだが、私には〝 うろつき 〟の服にしか見えなくて絶句する。それでも今回はこの先に向かうしかないのだ。まったく、毎度毎度嫌な思い出を突きつけてくる夢だこと。
「おらぁっ!」
頬を叩いてドアノブを掴み、開く。少々乱暴になった上になんとも女らしくない掛け声になったが気にしない方向で。
開いた先にあったのは思い出したくもない、あのホルマリン漬けだらけの廊下だった。無限に続いているような錯覚さえ覚えるような、とても長い廊下だ。一歩、歩く。そして後ろを見ると案の定、先程見たものよりも丈の高い花が咲いて戻れなくなっている。一歩、また一歩と進み、次第にその速度は上がっていく。そして、手術室の前で今度は前方にも植物が咲き誇っていき、進めなくなってしまった。
この植物は私の背よりも高く、複雑に入り乱れていて強引に通ろうとしても石のように固くて体が隙間に入らない。正規の手順を踏まないとやはり通ることはできないようだ。
通れないことはある程度予想がついていたことなので冷静に手術室へと入り、奥にある手術台の上に咲いた真っ赤な花を触る。触るだけでゆっくりと萎んでいったので、焦れた私は両手で台へと押し付け、押しつぶしてやった。先程白い花を踏み潰せなかった鬱憤を晴らし、すっきりして手術室を出る。
そして全ての花がリセットされたように引っ込んだ廊下を再び進んでいく。
突き当りの部屋に入り、真っ白な壁を網目状に張った植物達が私を迎え、目に悪い光景に少し気分が悪くなった。さらに奥の部屋へと進み、ぽっかりと空いた穴を潜ると出迎えてくれたのは一層不気味で二メートル近くもある巨大な白い花と、それを囲むように咲いた四つの白い花だ。…… 恐らくはとても身近な人達を表しているのだろう。これは踏み潰してはいけない。
自分の夢なのだからそれがなんであるかなど簡単に想像がつく。順番に身近な子供たちを思い出して踏まないように中央へ進み出る。
「貰うね」
真ん中で咲いている大きな花の茎へと手を当てる。するとみるみるうちに指先から腕、体、顔へと伝播するツタ。新たな恐怖体験だったが不思議と痛みはなかった。
髪の左側に赤い花が咲き、私を可愛らしく装飾してくれたが、それも最初だけだ。右目が突然真っ赤に染まり、浮遊感を感じるようになる。
何が起きているか大方予想はついていたが、手で目元を確認する。
手元の感触から分かったのは花が目をくりぬき、突き出してきていることだ。痛みがないのは本当に不思議だ。
次に、足元を覗き込んで確認すると、足の代わりに植物の根が生えているのが分かった。原理は夢だからとしか言えないが、なんの不自由もなく目も見えるし、歩くこともできるので問題ない。
だが、痛みはなくとも少し気分が悪くなったのでほうきを持った自分の姿を思い浮かべる。すると一瞬目の前が真っ白になってから足や目の機能も元に戻り、着慣れた魔女の服を纏い、ほうきを手に持っていた。頭の上でまとめた白髪に赤いリボン。魔女の宅急便のような衣装はかなり可愛いので私もお気に入りだ。
「これがしっくり来るよね」
手をグーパーして感触を確かめる。何ら問題はない。
そして元来た道を辿って行く。ここで一方通行だったことを思い出したのだが、手術室に入ってみると、再び赤い花が咲いていた。「ラッキー!」と自嘲気味に呟き、咲いた花を潰して植物を消す。本来は元来た道を戻ることはできないのだが、なぜだか全ての植物が消えている。
思わぬ幸運に鼻歌を歌いながらほうきに乗り、最初のエントランスホールに戻って来たあたりで一息をついた。
「これも試さないとね」
エフェクトには組み合わせることで更に効果を発揮するものがある。ゆめ2っきなんかではこれが顕著で可愛らしいものがあるのだが、.flowで出る効果は、やはり見た目的によろしくないので気分のいい使い方ではない。が、ここはやっておくべきだろう。
右手を差し出してイメージをすると握った手の中に硬質な感触が現れ、ずしんと重くなる。手元に現れたジョウロを見つめ、そういえば一度も使ったことがなかったなと思って傾け、水を撒く。が、ジョウロの先から水は出ず、代わりにポツリ、ポツリ、と頭上から雫が落ちてきて小雨が降りだした。
ジョウロは雨を降らすエフェクトなのだ。不思議と塗れた感じがせず、本当に演出だけの効果しかないようだ。ジョウロを二度、三度振って最終的に豪雨となったが四度目にジョウロを振るとぴたりと雨が止んだ。四度で効果は打ち止めだ。
あまり気は進まないが、ファンなら全ての効果、イベントは見るべきだろう。もう一度ジョウロを振り、雨を降らせてから目を瞑り、植物が自分の体を覆うのをイメージする。
「へっくし!」
右手から程よい重さが消え、身体中が途端にかゆくなり、鼻がむずむずしてくしゃみをする。思わず目を開けると右目の視界が赤く染まり、どこから生えてきたのかわさわさと植物のツタと葉が腕や足、はたまた体まで覆っていく。そして浮遊感。足が完全に植物に取り込まれ、足と同じ太さのツタになる。…… 決して足が太いわけではない。ツタが太いのだ。子供の体で、さらには人体実験でやつれている部分もある。栄養はメイ子さんのおかげで全く問題がないが、痩せているほうだ。むしろ痩せすぎで少し不健康。話が脱線した。
この状態で雨を浴びて、ツタが生長するところを想像する。すると落ち着いていた植物達が動き出し、右の視界が完全に塞がれ、巻かれている植物がさらに増えてまるでギリースーツのようになる。
いや、そこまでではないか。手で右目の辺りを触ると赤い花が完全に眼窩から飛び出している。痛覚が反応せず、違和感だけなのは夢だからなのか。
やはりあまり見た目はよろしくないな。気分もよくない。見た目は幻想的なんだか、気持ち悪いんだかなんとも言えない。
よし、次に行こう。テンションが下がったなら新しく探索したほうが楽しいだろう。
この夢の中は楽しいとはお世辞にも言えないのだが…… 気にしないでおこう。目指すべきは下の通路。〝内臓〟を取りに行こう。うん、またまた気が進まない。まあいいか。
植物状態を解除してほうきを手に持つ。普通の植物はまだいいが、生長してしまうと動けなくなるのだ。
エントランスから右手に向かい、扉を開ける。右にあるのはとても楽しげな音楽が流れる音楽の世界だ。ここにあるはずのエフェクトはまだない。それはもう確認済みである。
用があるのはこの先で、ミュージックボックスらしき物体を横目にジグザグに移動しながら適当に散策し、奇妙な赤い塊を二つ見つける。今まで見てきたミュージックボックスとは違った歪な形をした赤いオブジェクトだ。これの間に入ると暗くなり、通り過ぎたらすぐに周りの景色が変わる。
静動脈通路。私は血管通路と呼んでいる場所だ。赤と青のタイルが所々並んでいたり、螺旋状になっていたりする場所で、歩みを進めるとハート型にタイルが配置された広間がある。この道の模様が血管通路と言われる所以だ。
そこを通ってまたもや現れた赤いオブジェクトの間を通ると、またワープした。この赤いオブジェは赤血球を表していたのかもしれない。
何故なら、繋がっている場所がまっしろしろすけな病院前なのだから。
いつも行く病院とは違い、その外観は白いだけでどこまでも高く続いている壁しかない。そこにぽっかりと入り口となる穴が空いていて、その近くに人のような形をした心電図が二つと、点滴が二つの計四つの物がある。
心電図に触れるとピーン、となんともいえない間抜けな音を立ててその生存を知らせる。しかし、片方は反応が悪く、ずっと真っ直ぐな線が走っているだけでうんともすんとも言わない。つまりは誰かが死亡しているということだろうか。一瞬緑色の髪の毛が頭の中を過ぎり、思考停止させる。
嫌な思い出を一旦忘れ、整理するために来ているのだから仕方ないことだとはいえ、なんだか複雑な気分になった。苦虫を噛むような気分とよく言うが、こういうことなのだろうか。
思考停止させた頭を前に向け、音を出さないオブジェは無視して中へと入る。中は思ったとおり、十字路のようになっていて、それぞれの道に赤い斑点が彩られている。これの法則は知っているので迷いはない。しかし、これはゲームではないのでいちいちぶちまけられたケチャップの数を数えに向かわないといけないのが面倒だ。そして、一番汚れている廊下を突き進んでいく。誰か掃除してください。
廊下を抜けたら、もう一度先程のような
現実逃避もこの先に行けば無意味になることがよく分かる。なのでアレをケチャップと言うのはここらでやめておこう。ありゃ血だ。どこをどう見ても血にしか見えない。ドロッとした粘液で、固まりかけているのにいっこうに黒くならない。中途半端な赤。臭いはしないが、見た目はよろしくない。
「ふー……」
息を吐き、一旦心を落ち着かせる。それから一歩、一歩踏みしめて穴の先へ進む。血は踏んでも滑らず、まるで土砂降りの後の地面のようなぶよぶよとした柔らかい感触があるだけだ。
潜る。
途端に耳につくおどろおどろしい呻き声のような音と、視覚一杯に広がる赤黒い世界。暗い中、光るように赤い道が広がっていて、そこかしこに血溜まりに沈んだ点滴や
それは海面から顔を出したジョーズの白い色違いで、大口を開けて獲物が飛び込むのを今か、今か、と待っているように見える。いや、既に獲物がかかった後なのかもしれない。なぜなら、尖ったギザギザの歯から一定の間隔を置いて血が滴っているのだから。
「……」
モルボル同様、これに入るのには少し抵抗がある。あの有名なジョーズの色違いの姿。怖くない訳がないだろう。
すぐ目の前に立ち、左足に跳ぶ血液を目にして顔を背ける。怖いのなら見なければいいのだが、下を向くと血液が目に入る。なら、と思い目を瞑る。相変わらずピチャリ、ピチャリ、という音が聞こえるが幾分かはマシだ。その状態のまま三歩進む。そして目を開けるとそこは既に別の場所だった。
赤い背景に、黒い歯のようなモノが歯を剥き出しにして笑っている。聞いただけならきっと意味が分からないだろうが、事実だ。歯が笑っている。
ハッとして周りを見渡すと道が別れているが、片方はまだ何もなく、奥の通路にはもう一つ、歯が笑っているような入り口がある。また食べられるのか、勘弁してくれ。今度はなにも考えずにそこを通った。
再び変わる景色。風景が二転三転して、目的地付近に到着した。まだ少しあるが、同じエリアに目的のエフェクトはある。…… 見たくない景色だ。
ここの名称は〝胎内〟一番おぞましくて、一番泣きたくなる場所だと思う。
壁は肉のように赤茶色で、時々脈動しているのでなんとなく生きていることが分かる。ドクドクと動く壁や床。ぬちゃぬちゃと糸を引き、柔らかい床に生理的嫌悪感を抱き、しゃがみ込む。
先程の血液広間では欠片も感じられなかった嗅覚が刺激され、嘔吐感が込み上げる。蒸したような空気なのに生温く、肌を空気が舐めていく。しゃがんだまま口に手を当て、浮き上がる脂汗をそのままに目を瞑る。気持ち悪い、気持ち悪い、キモチワルイ…… しかし、夢の中なのだ。まだ、かろうじて抑えられる。これが現実だったらゲロインになっていたこと間違いなしだ。
とりあえず、抑えつけた気持ち悪さを飲み込み、立ち上がる。そして、これ以上この感触を味わいたくないのでほうきに乗った。私はいちいちほうきから降りる癖があっていけない。歩かないとなんだか冒険をした気がしないからだ。まったく、これだから何度も嫌な思いをするのだというのに。
ほうきを操りながら別れ道を左へ進む。そこはのちのちエフェクトが配置されるだろう場所で、見学だけでもしておこうと思い、そして後悔した。
そこにいるのは分かりきったことであったが、それが何よりも私の感傷を誘った。
青いワンピースを着て、振り乱した髪を前に垂らして俯く〝
「覗き込むんじゃなかった……」
口元を押さえながら三人いるソレの、一番奥にいる青子さんを見ると何かの台座のような物に座っているのが分かる。少し近づくとやっぱり嫌な気分が蘇った。
彼女が座っているのは肉のベッドで、そこから伸びた管が沢山絡みついて、縛りつけている。気持ち悪い。好奇心を見せないで早く進めばいいのに、と自分でも思うが、どうせ後から来るのである。慣れておかないと本当にゲロインになってしまう。それだけは嫌だ。
「次はー、こっちか」
元来た道を少し辿り、今度は反対側の道へと進む。真っ直ぐ続く肉壁の間を通り、にちゃにちゃと音を立てて肉を伸縮させている穴を通る。本当に体内を進んでいるような感覚さえある。夢なのに。
穴を抜けたら胎内迷宮だ。子宮の形に別れた道を行き、わりとすぐに目的地を見つけた。しかし、その入り口の前にはワープポイントがある。目的地に行こうとすれば否応無くワープさせられる作りになっているのだ。正面に入口と、ワープポイント。まず、真っ正面からワープポイントを使い、おぞましい無垢の世界に入る。出てきた所からではいつまで経っても目的地にはつかないので、出来損ないの赤い胎児を避けながら入って来たときと同じ位置から真っ正面にもう一度ワープポイントを踏む。すると今度はワープポイントの向こう側へと出ることができて、目的地の入口に着くことができた。長かった。いやあ長かった。
入口から入り、広間に出る。暫く移動すると奥に青子さんが仰向けに倒れているのが見えた。お腹の辺りから見せられないものが溢れ出ている。周りには四つの風船のようなオブジェがあり、二つは歯がついていて笑っていて、もう二つは血塗れになっている。まるで青子さんを囲って守っているような…… これもやはり身近な人達を想起させる。
ゆっくりと青子さんに近づき、ほうきから降りる。
にちゃっと不快な音を鳴らして足を下に着けた。粘液っぽいものが足元にあるわりにやはり転ぶことも、滑ることもない。
ごくりと喉が鳴る。それは興奮からではなくて、不思議に歩み寄るような、怖いもの見たさで夜抜け出すときのような少しの恐怖。私は静かに歩み寄り、無言で青子さんの髪を触った。これで〝内臓〟ゲットだ。
ドンッ
いきなり突き飛ばされたような感触がして、仰向けに倒れる。ビチャァッと派手に音を立て、私は肉の地面に背中を打ちつけた。粘液が飛び、頭がトランポリンの上みたいに跳ね上がる。倒れても衝撃だけで、まったく痛みはない。
弾力のあるそれに手をつき、体を起こす。粘液で少し滑りそうになった。こんなときだけ思い出したようにリアルさを出すのはやめてほしい。
上半身を起こし、目を向ける。驚いた間の一瞬にエフェクトが手に入ったのか、私の腹は青子さんと同じように裂け、出てはいけないものが色々と溢れ出してしまっている。嫌なエフェクトだ。ほんっとうに気持ち悪い。ヘソの緒のような気官が途中で千切れているのが最高に不快だ。
つらつらと不満を述べてから豪快に腹(の中身)を撫でる。やはり麻痺したように痛覚は遮断されているが、一丁前に粘液が掻き回されるような嫌な音は聞こえてくる。
やる気が一気に削がれた。
一方通行を通って来たことだし、起きよう。そう思って頬をつねる。
気分転換をしたかったが、結局現実でも夢でも嫌な思いをしただけになってしまった。
暗くなる視界。先に機械を取るついでに橙子ちゃんに会いに行けば良かったと、今更後悔した。
多めに段を開けております。
見づらかったらご意見をお願いします。