シムーン第二章 ~乙女達の祈り~   作:佐渡 譲

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シムーン第二章 第6話 【陰謀】 その4

 アーエルとネヴィリルはただ黙って顔を見合わせていた。それからしばらくしてネヴィリルが静かに言った。

「分かりました…では、私たちは傭兵としてハイデローゼに従います」

(良かった~…アーエルとネヴィリルは私たちと一緒にいてくれるんだ)

 ネヴィリルの言葉を聞いたコール・ブルーメの少女たちは内心ホッとした。

「それで私たちはどの部隊に所属するんですか?」一安心したハイデローゼはエルフリンデに尋ねた。

「あなた方はどの部隊にも所属しません。アルハイト総督様が直々に命令を下すコールとなります」

 少女たちは全員イヤな予感がした。イラの街の件以来アルハイト総督が油断のならない人物である事は分かっていたからだ。

 しかし、占領地の全権総督であり、コール・ブルーメの司令官でもあるアルハイトに正面切って逆らう訳にもいかなかった。

「では、えぇっとコール・ブルーメだったか…君たちに最初の任務を与えよう」

 アルハイトは、早速コール・ブルーメに命令を伝え始めた。

「現在、南部にあるラクリマ谷の鉄橋が我が軍を脅かしておる…敵がヘリカル列車を使って鉄橋を渡り、最前線に兵員や物資をどんどん送り込んでおるからだ」

「ラクリマ谷と言えば、山に挟まれた渓谷の多い山岳地域ですよね」南部生まれのアーエルは言った。

「そうだ。わしは再三ゲリラ部隊を送って鉄橋を爆破しようと試みたが、敵の警備が厳重で橋に近づけんのだ」

「分かりました。私たちコール・ブルーメでラクリマ鉄橋を破壊すればいいんですね」ハイデローゼは言った。

「その通り…だが、敵のシミレが上空を哨戒しているので、鉄橋に近づくには低空から狭い渓谷をぬっていかねばならん」

「近づくのはむずかしそうですが何とかします…それでどうやって鉄橋を爆破すればいいんでしょうか?」

「鉄橋は両側の谷に掛かる二本の橋脚で支えられている。その橋脚を爆撃すれば鉄橋は崩れるだろう…ただし、昼間は警戒が厳重だから夜間に渓谷をぬって鉄橋に近づき、目標を視認できる夜明けに爆弾を投下するしかない」

「でも暗い夜間に狭い渓谷をシムーンで飛ぶのは、ほとんど不可能ではないでしょうか?」

「心配するな…君たちの夜間飛行を援護するために本国から暗視装置を備えた新型シムーンがやってくる予定だ」

「了解しました。その暗視装置を備えた新型シムーンの誘導に従えばいいんですね」

「そういう事だ。爆撃隊の編成はレギーナである君に一任する…では解散してよろしい」

 

 作戦会議を終えたコール・ブルーメの少女たちは、思い思いに地下倉庫の部屋に戻って行った。

 一人だけ宮守の部屋に残ったハイデローゼは、エルフリンデと話をするとすぐにアーエルとネヴィリルの部屋を訪ねた。

「どうしたの?ハイデローゼ」出迎えたネヴィリルは尋ねた。

「私たちのコール・ブルーメに残っていただいてありがとうございます」ハイデローゼはお礼を言った。

「いいのよ。どうせ私たちは行く所がないんだもの」ネヴィリルは微笑みながらハイデローゼに言った。

「実は、宮守様にレギーナとしてこの部屋を使うよう勧められましたがお断りしました」

「あら…私たちはあなたとイリスに部屋を譲ってみんなと一緒の部屋にいってもいいのよ」

「お二人を部屋から追い出すような事はできません…だから『みんなと一緒の方が連帯できる』って宮守様には言いました『お好きなように』って言われましたが」ハイデローゼは苦笑いしながら言った。

「無理しなくてもいいのに。疲れるわよ~…ハイデ」ネヴィリルはそう言って笑った。

 

~続く~

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