バルザミーネとネルケのシムーンが落ちるのを見たアーエルとネヴィリル。ハイデローゼとイリスは、真っ先に後を追って降下した。
それを見た他のコール・ブルーメの少女たちも、次々と谷底に舞い降りて来た。
谷底に墜落したバルザミーネとネルケの古代シムーンは、戦車砲の一撃で原型を留めぬほど破壊されていた。
「バルザミーネ~ッ!ネルケ~ッ!」
アーエルとネヴィリル。ハイデローゼとイリスは、二人の名を呼びながら破壊されたシムーンに駆け寄った。
風防ガラスは粉々に砕けていて、サジッタ席に乗っていたネルケはすでに頭から血を流して死んでいた。
けれどもバルザミーネはかすかに息をしていた…アーエルとネヴィリルは血に染まったバルザミーネの手を取った。
「バルザミーネ、バルザミーネッ…しっかりして!死んじゃだめ~っ!」
バルザミーネはかすかに目を開いて、苦しい息の下から途切れ途切れに言った。
「あなたたちは、ね・ら・わ・れ・て・い・る」
やっとそれだけ言うと、バルザミーネはガックリ!と事切れてしまった。
「バルザミーネッ!お願い。目を開けてっ!バルザミーネェ~…あぁぁ~」
アーエルとネヴィリル。ハイデローゼとイリスは、バルザミーネとネルケの遺体に取りすがって泣いた。
「襲ってきたのはプランケとアルラウネの双胴のシムーンだったわよね」駆け付けてきたディステルが言った。
「何であいつらは突然味方を撃ったんだ。気でも狂ったのかっ!?」オルヒデも憤慨して言った。
「さぁ~…でも私横から見た。あの二人はアーエルとネヴィリルのシムーンを狙っていたわ」カメリアが言った。
「バルザミーネとネルケは、アーエルとネヴィリルをかばって撃たれたのよ」ナルテッセは確信したように言った
「何でアーエルとネヴィリルが狙われなきゃならないの?」ファイルヒェンは理由が分からなかった。
「私も分からないわ…でも、宮守様がアーエルとネヴィリルを嫌っていた事は確かだった」ハイデローゼは言った。
「それじゃぁ、宮守様が企んだ事なのか?」キルシュは疑ってそう尋ねた。
「バルザミーネは息を引き取る前に、アーエルとネヴィリルが狙われていると言っていた」ハイデローゼは事実を伝えた。
「かも知れないし…もしかしたら総督も絡んでいるかも知れない。本国から刺客を呼び寄せるなんて真似は、あの宮守にはできないはずだ」
イリスの推理はみんなに思い当たる節があった…少女たちの胸に怒りが込み上げて来た。
「ちくしょう!…汚い手を使いやがってっ!」オルヒデが吐き捨てるように言った。
「帰ったら二人に談判してやるっ!」キルシュも怒りに火が付いた。
「やめなさいっ!何も証拠がないわ…それにあの二人は貴族だし、あなたたちの立場まで悪くなってしまうから」
ネヴィリルはそう言って少女たちを止めた。けれども少女たちの怒りは収まらなかった。
「だったら私、貴族なんてやめてやるっ!」ディステルも怒り出した。
「そうだっ!こんな汚い事を企む貴族なんてやめてしまえっ!」普段は冷静なイリスも激昂していた。
「ディステル姉さまがやめるんなら、私もやめるっ!」童顔のファイルヒェンも怒っていた。
~続く~