超兵器より非戦闘艦の方が超兵器だった件について。 作:maisen
A、在ると思うなら在るんだろう、お前の中ではな。
Warning! Warning!
これはWルートでもJルートでもGルートでもなくEXTRAルートである!
渋い中ボス枠の軍人が孤島でカラオケしてたり、ノラ戦艦やノラ空母がでたり、3人の副官が争ったりイカがラスボスだったりするルートの「ソレ」であり、スタッフの悪ふざけが極まったルートの「ソレ」である! 近隣の怖いお兄さんが戦艦に乗って壁ドンしに来るような世界である!
Warning! Warning!
―6、ポンコツと浪漫砲が大活劇―
「という訳で苦節3日、昼寝しながら夜も寝て、おやつの後の片手間に、妖精さん経由での開発システムの構築に成功したのじゃ」
「わぁ! スーさん凄いです、雪風は尊敬します!」
「これで技術立国の準備も進むのです!」
「おい、おい待てそこのプラズマ」
とうとう独立まで視野に入れ始めやがった…!
「独立戦闘国家『大和』…少し、晴れがましいですね」
このぽんこつ戦艦め勝手に名前付けやがった。しかもだだ被りじゃねぇか。却下だ却下。
「だっ、だれがぽんこつですか!」
「雪風、昨日の大和の戦闘結果は?」
「はい、しれぇ! 深海棲艦が駆逐が3、軽と重巡洋艦合わせて3、戦艦が3、おまけに横浜鎮守府所属艦娘3人中破です! ぞろ目で何か良い事がありそうですね!」
「せやなー。はーい誰が誤射したか言ってみろ」
超和む。思わず頭撫でてしまうわこんなん。雪風(てんす)。
ともあれ、包囲されてた横鎮の艦娘が助けに入った大和の速度を見誤って誤射ったのが原因とはいえ、囲まれたと勘違いして全方位薙ぎ払って、気付いた時には遅くて、ってなぁ。
AFK旗(修理中無敵)と修理コンテナ引いて大発で戦場跡に乗り込んだ時の空気の悪さと言ったら。
まぁ20秒もあれば戦場のど真ん中でも完全に修理完了するナニカが入ったコンテナと妖精さん達のお陰で傷一つ無い状態にして帰してあげれたのは幸いだったけども。
中破してた正規空母二人も絶句してたけど気にしない方向です。
しょんぼりした顔の大和だが、まぁ先に誤射されたとは言え怪我させたのはこっちだし、一応しばらくは反省しておいてもらおう。昼ご飯の後位に雪風が貰ってきたお礼の手紙でも渡せば元気になるじゃろ。だから雪風や、そのチラチラ見える手紙はもうちょっと鞄の中に入れておいてくれ。
「しれぇ…」
「まだもうちょと。…ご飯の時に渡してあげな」
「…はい!」
純粋な戦闘能力はともかく、戦闘での勘とか、直感と経験で最適なルート選択したりとか、何よりも巨大な幸運を持ってる所とか、こう見えて実戦で一番頼りになるこのてんすの笑顔、マジ
「もうええかのー? あんまりほっとかれると寂しいんじゃがの?」
「ぽっと出の新人ばっかり可愛がる司令官さんは古参に背中から刺されればいいのです」
だから天使の笑顔で悪魔みたいに怖い事言うのやめてよね電! 大体最古参はお前だろうが。
「はわわわ、びっくりしたのです! はわわわ、びっくりしたのです!」
「悪かった、悪かったから包丁を持ったまま躓く練習は止めてくだしあ」
「取りあえず資材を限界まで突っ込んで開発するかの」
「いやっふー! 初めての開発だぜ!」
建造は一回目はスキズブラズニルだし二回目は大和だしで、その度に資源枯渇してたからもうやって無かったのよね。開発は鎮守府で触る前に左遷されたし。
ほっぺたを膨らませて拗ねた電の頭を撫でて構いながら、初めての装備開発に思わずテンションが上がる俺である。なんでも秘書艦と資材の量で作れる装備が変わるとか何とか。
「あれ、今の秘書艦って電か?」
膨らんでいたほっぺたが元に戻った素直な笑顔の電に聞くが、笑顔のままで固まった彼女は、ゆっくりと手を持ち上げて横を指さした。視線をそっちにやれば、ぽちぽちと設定を終わらせ今まさに開発開始のボタンを押そうとするスーさんの姿が!
「嫌な予感がする人っ!」
「はいっ、なのです!」
ぽちー。
あー。
で、出来たのがこれである。
「小さい戦艦…? でしょうか、司令官さん?」
「扱いとしては…艦娘じゃないよなぁ。種別は、従属艦カテゴリ…? よく分からん」
まさかの手乗りサイズのひよこの玩具である。よく風呂に浮かんでるあれ。資材をめっちゃ突っ込んでこれとかもう激おこファイナリスティックなんちゃらですよこれは。
掌に載せた電や、指でつんつんと突いていた雪風、不思議そうに二人の横から覗きこんでいた大和を含めて4人揃って胸を張るスーさんを見やると、もの凄いドヤ顔だった。
「まぁ、戦闘艦船用の航空機みたいなもんかの。本来なら我には開発できない装備じゃが、妖精さんのお陰で開発できたようじゃ。兵装スロットも使わんし、今度の戦いにつれてってみるがよいぞ」
そう言われて、はぁ、と大和は電からそれを受け取り、ひっくり返したり持ち上げてみたりと弄ってみるも、横から見ていた俺にも玩具にしか見えない。大和の不安げな視線を感じるぜ。
「まぁスーさんの言う事だし嘘はないだろ。昼飯の後に連れてってみてくれ」
「はぁ…」
そう言って、5人で揃って昼ご飯の時間となったのだった。
「ちなみに超兵器機関とやらは作れないの?」
「…作れるが、作っても動かすとノイズが酷くて、通信関係全滅するぞ?」
「深夜ラジオ聞けなくなるじゃまいか。一昨日の雪風の輸送便でハガキ出したから今夜読まれるかもしれん。絶対に作るなよ、絶対だぞ!」
「これがフリか…!」
ちげぇよネタ振りじゃねぇよ! 只でさえ娯楽の少ない海の上だってのにラジオが聴けなくなったらどうする。死活問題ですよこれは。それに俺のペンネームが読まれた時の為に録音の準備も出来てるんだから、もし万が一ノイズで録音できなかったらほんと簀巻きにして海に放り込むからな!
「冗談じゃよ。…全く、冗談ではなく世界を支配できる力より、深夜ラジオの方が大事とはのう」
「なんか言ったか?」
「何でも無いぞよ」
えらく機嫌が良くなったスーさんを横に、お礼の手紙を読んで涙目の大和を前に、ヒヨコで遊ぶ雪風と電を見ながら、百人以上入りそうな広い食堂の真中でたった5人で食べる食事は、不思議といつもよりも美味しかった。
なお。
「てっ、提督っ、提督っ! あの、あのヒヨ、ヒヨコがっ」
昼食後から気分上々でスキップしながらヒヨコを引き連れ戦闘に出かけて行った大和だったが、暫くすると、大和達が行った水平線の向こうで何度も何度も閃光が走ったという報告が電からあった。おやつ前に帰ってきた大和は、怪我は無いものの若干あちこち焦げたまま提督室に駆け込むと、俺が座っている椅子の後ろに隠れてぷるぷるし始めた。
「ヒヨコが、ヒヨコが口から光線を吐いて、敵艦がもうっ、影も形も無くなってて、真後ろに着いてくるから私の横を何度も何度も光が掠めて行って!」
「お前は何を言ってるんだ」
「提督はあの光景を見てないからそんな事が言えるんですっ!」
で、その怖いヒヨコってのは…
「お前の足元のそれかい?」
「」
あ、気絶してもうた。スーさんに詳細に説明してもらったけど、自動で追尾してくれるから命令しない限りついてくるんだよな、この子らは。あ、妖精さん、ちょっとスーさん呼んで来てくれ。ヒヨコ戦艦の装備調整お願いせんと、余波だけとは言え大和が防御を抜かれるとなると危なくてスーさんの防衛に回せないぞ、これ。
「あー、ついでに電に大和の着替えと床の掃除も――」
武士の情け武士の情け、俺は何も見なかった。…海にはトイレが無いしねぇ。
その後、起きた大和は一連の流れを覚えておらず、ヒヨコも装備を若干マイルドに調整されて数匹スキズブラズニルの周りを防衛班として周回する事になったのだった。
「わ、私は何故かあの子たちちょっと苦手です…」
「えー、そうですか? 可愛いですよね、しれぇ!」
「お願いすると着いて来てくれるから、ちょっと楽しいのです」
「まぁ、設計室以外だと見た目で兵装が判断できんからの、確認作業を忘れとった。大和には悪い事をした…」
各個人で意見は様々なようであるが、何にせよスーさんの巨体は見た目に合わず防衛力皆無なので、
―7、鋼鉄DASH海上ドック艦―
「生野菜が食べたい! 青々とした葉野菜とか新鮮でジューシーな果物が食べたい! もう缶詰や保存食や根菜は飽きたぁぁぁぁっ!」
そう言いながら食堂のテーブルで空っぽになった皿を前に叫ぶ俺に、他の艦娘達の視線が集まる。
「こやつほんとに船乗りか…?」
「あんまり本土に寄ると大本営が良い顔しないらしくて、提督以外でも補給班の雪風ちゃんと随伴の輸送艦しか上陸してませんからねぇ」
くっそくっそ! ちょっと時間当たり火力と継戦能力がおかしくてポンコツな戦艦と、たった一人で無傷で100倍の敵を切り崩した駆逐艦と、数海里離れた場所からミサイルの雨で鎮守府一つぼこぼこにした駆逐艦と、最近は一匹で一個艦隊を蹂躪できるヒヨコが数匹周りに居るだけの海上要塞レベルの巨体で戦闘力皆無のドック艦が寄港する位いいじゃないか! なぁ!
おい全員目を逸らさずこっち向け。
「だいたい司令官さんがミサイル撃てって言ったからなのです」
「我を建造したのは誰だったかのー」
「ぽんこつじゃないですー」
「雪風はしれぇのお陰で大活躍出来たので嬉しかったです!」
雪風…! 雪風の頭を撫でながら思わず涙が零れる俺である。しかし、てんす以外の態度が悪いな。これは雪風以外上陸させてもらえないのも残念ながら当然ですわ。あと虫干しした46cm3連装砲を忘れて出撃した大和はぽんこつでファイナルアンサー(断定)。
「凄い不愉快な思考を感じるの」
「ほぼ全部司令官さんのせいなのです」
「何で知ってるんですかぁ!」
顔を真っ赤にしてテーブルを叩いて抗議する大和である。
「電に届けてもらってたじゃんよ。司令官に何の連絡も無しに緊急出撃できるわけ無いよなぁ?(ネットリ)」
「大和さんの出撃は日常なので大丈夫なのですが、私はあんまり出ないので、スーさんに緊急出撃扱いにしてもらったのです(ニッコリ)」
「ちょっと警報流して出撃時刻とか目的とか理由とか艦内に全域放送しただけじゃよ(てへぺロ)」
「もうっ、もうっ! こんな時ばっかり直ぐに連携して!」
と、涙目で憤慨する大和の服の裾をつんつんと引っ張る小柄な影が。
「大丈夫です、私もこの前、鞄忘れちゃって。お揃いですね!」
「雪風ちゃん…!」
感動の涙を流しながら雪風に抱きつく大和。頼むから手加減しろよ…! という祈りが通じたのかは定かではないが、大和は先程までの怒りも忘れてほっこりした笑顔で雪風を膝に乗せて後ろから抱き抱えると頭を撫で始めた。
あの雪風の嬉しそうな笑顔ともの凄く緩んだ大和の笑顔が羨ましい凄く羨ましい。
「司令官さんがやったらセクハラで訴えます」
「というか駆逐艦に慰められる大和型ってどうなのじゃ」
「ふふん」
「ぐぎぎぎぎぎ…! 悔しいのぅ悔しいのぅ」
五月蠅い外野を余所に、まさかのぽんこつ相手の初黒星となった一幕であった。
「ではこれより農場作製計画を実施する!」
『おー!』「なのです!」
うむうむ意気軒高であるな。スコップ装備の俺と電、両手に鍬を持った大和、そして背負ったリュックに種を山盛りに入れた雪風は、青空の下、空っぽのドックに集合していた。
ドックと言ってもクレーンやコンテナが並ぶ桟橋型の船体保持機構で青天井であるが、最盛期には大和型クラスの戦艦を二つ並べて合体させた(脳筋)双胴戦艦が停泊していたとのことで、とんでもない規模を誇る。しかも毎作戦ごとに完全修理していた事からもその凄まじい修理能力、補給能力が分かる。技術レベルの差とかではない超次元的な何か(※システム上の仕様)を感じるぜ。
「で、肝心のスーさんはどうしたん?」
「今レーダーで丁度良い無人島を探してるらしいですけど…」
俺の疑問に答えるのは良いが、大和、その高速で残像を残しながら振り回す鍬を一端下せ、な?
「実は私ももうちょっと食材に選択肢が欲しいと思ってたんですよね!」
にっこにこしている大和、作るのも得意だが食べるのはもっと得意な彼女は、この度の作戦に対して最もやる気を見せている艦娘だろう。鼻息も荒く目もキラキラしている。これがキラ付けってやつか。てか戦闘に行く前は何時もこうだな。
つまりキラ付けって簡単なんやな!
「食料自給率の向上は国家の計なのです。とりあえず補給が途絶えても籠城できる程度の食料生産は欲しいのです」
まだ独立国家ごっこやってたの? 楽しそうですね、お願いですから独立宣言する前に俺に教えてね? 逃げるから。
「しれぇ! しれぇ! あの、隅っこで良いので花畑作っても良いですか?」
ええよ(浄化)。アカン、こんな良い娘を置いて逃げる訳にはいかないな(使命)。
そうやって4人でわちゃわちゃやっていると、此処に居ない最後の一人、スーさんの声がスピーカーから響く。
『よーし手頃な島を見つけたぞ、しっかりつかまっておれよー』
その声と共に、スーさんの艤装、巨大海上ドック艦スキズブラズニルがゆっくりと動き始めた。同時に周囲を回っていた小さな黄色いアヒル達がスキズブラズニルを中心とした輪形陣から一気に加速し前方に出ると、こちらを最後尾にした複縦陣へと組み直る。
『すまんが思ったより近くに無くてな、まぁ1,2時間はかかるからゆっくりしてるがよい』
とのスーさんの言葉に連動して、後方の施設の扉が独りでに、いやスーさんが開けたんだけども、開いた。
がーんだな、出鼻をくじかれた。
ヒヨコを見てキラキラも目の光も消えた状態になっている大和を三人がかりで引き摺りながら、到着まで孤独でも無い茶でも飲む事にしたのだった。
しばらくして到着した無人島は、遠目に見れば多少の緑は見えるが、港湾施設を造るほどには大きくなく、海軍でさえ海を自由に移動するのが難しい今となっては、例え海図に乗っていても見捨てられたような物だった。
そこに接近するのは途中で深海棲艦を光線やミサイルで片っ端から蹴散らした恐怖のヒヨコ連合艦隊に続く巨大な鋼鉄の塊とそれに乗った一人の提督と4人の艦娘。沢山の「深海棲艦の」屍を乗り越え、我々は長い長い航海を終え「2時間でした」、ようやく此処に辿り着いたのだ「皆でお茶を飲みながらなのです」。
「ってCM明けで盛り上がる所なんだから茶々入れないでくれるかな電よ」
「司令官さん、欠片も盛り上がる所がなかったのです」
「せやな」
ともあれ、到着したのだからさっさと大発降ろして、甲板まで土を運んで畑を作ろうか。何往復すればいいのかとか考えるとちょっと止めたくなったが、仕方ない仕方ない、美味しいご飯の為である。なあ大和!
「怖くない、怖くない、あれは光らないから大丈夫…!」
だからプルプル震えながら俺の後ろに隠れるのは止めようなー? 艤装も早く降ろしてきなさい、邪魔だから。
「く…こ、こんな所で大和は沈みませんっ…!」
一体何と戦ってるんだお前は。
さて、とスーさんに大発をお願いしようとしたその瞬間だった。
『よし、準備は整ったの。ヒヨコ達ー、頼んだぞー』
と、その声がスピーカーから響いたと思っら、どこからか『キュイイイイイイイ…』というチャージ音が聞こえてきた。
「また…逝くのね…。総員…最上…甲板…。武蔵、信濃、後は頼みます…」
「はわわわ!」
「これなんでしょう司令官!?」
腰が抜けて気付かずに俺の首を絞めている大和が知ってそうだなぁ。残念ながら戦艦の艦娘の力が凄くてもう意識が飛ぶ。
「…! …!(タップ中)」
一発目は海底に向かって放たれた。二発目、三発目はスキズブラズニルの横から上から下に縦のラインを描いて放たれた。
一瞬で蒸発した海水と閃光に視界を失った俺は、同時に酸素を使い果たして意識も失ったのだった。
「で、どうなってんのこれ」
俺が額に掛かっていた濡れタオルを外しながら柔らかい枕から起き上がると、俺に膝枕をしながら赤い和傘を差していた大和が、疲れたような表情で「それ」を指さした。
「最初から島を切り取ってそのまま畑にするつもりだったそうでして」
「事前に連絡しとけよ! 死ぬかと思っただろ! 知ってたら絶対このぽんこつから離れてたわ!」
「いやー、降りてきたら大和が泡を吹いている提督に全身で情熱的に絡みついててのぅ。思わず雪風の目を塞いでしまったわ」
「きゃぁぁっ!?」
口封じに躍りかかるぽんこつと、けらけら笑いながら逃げ回るスーさん。…中身は置いておいてもぽんこつは美人だし、しかしその時の記憶がないとは。
「勿体ないような…そうでも無いような…」
そう言って悩む俺の耳に、ざばんとひときわ大きな水音が響く。振り向くと、其処には…“海の中”から顔を出す電と雪風の姿が。だが、その姿は普段の物とはまったく違って正直困惑した。
「何でサメの着ぐるみ?」
「着るだけで潜水艦のように泳げるんじゃぞ?」
そりゃすげぇな。で、ぽんこつは? あ、ヒヨコに追っかけられてる。着いてくるなって言えば良いだけなのに、しばらく悲鳴しか出ないなあれは。
「準備はできたかぁー!?」
『はーい!』
二人の返事を聞いてスーさんが指を鳴らすと、ドック横の倉庫の中から何か妙な物が出てきた。…カニ?
「新型カニ光線じゃなぁ」
「ああ、イブセマスジー」
「小林多喜二だが元ネタ的には…あっとるのかのう?」
ネタ兵器だし。遺産兵器や七つの城砦との繋がりがあるかどうかは知らんけども。
そしてそれを二人がかりで持って沈んで行った駆逐艦であったが、暫くすると再度上がってきて、またカニを置いてくる、というのを数回繰り返すと、今度はワイヤーを持って潜っていく。疲れた様子も無く楽しそうなのが幸いである。まぁ普通潜水艦でも無いのにずっと潜ったりはせんだろうし、海も綺麗だから楽しいんだろう。
「お前は行かんのか?」
と、何時の間にか肩で息をしながら戻ってきていた大和に尋ねると、彼女はスーさんをアイアンクローで吊るしながら残念そうに答えた。
「サイズが…」
「そりゃそうだな」
駆逐艦サイズで丁度良いサイズだもんね、流石に戦艦はサイズ差が大きすぎたよね。
閑話休題。80cm酸素魚雷が当たっても破れない、という触れ込みの対潜網から取り出したワイヤーを巻いた魚雷を持って待機した駆逐艦ズ。彼女達の合図を受けて、復活したスーさんがゆっくりとドック艦の埠頭部分を動かして元の半分程度になった島を挟み込む。
そして水中でカニ光線が放たれ、波動砲で削られていた島の土台の最後の部分が切り取られるとともに、二人が放った魚雷は、素早く短時間だけ浮島となった島の下を潜り抜け、互いに受け取ると直ぐに埠頭にあがってクレーンの先端に巻き付けた。
ガクン、と一瞬重さに軋むクレーンも、次々と新しく魚雷を投げてワイヤーを通し、架けるクレーンを増やしていく駆逐艦の見事な手腕で徐々に安定していく。
「なあアレ本当に駆逐艦かな」
「本職の潜水艦でも無理だと思いますけど」
「ああ見えて超技術の塊じゃからな、あの着ぐるみ。二人の錬度が高いのもあるがのぅ」
復活早いねスーさん。え、艦橋大破して修理してたの、比喩的な意味で。
それはともかくしばらく後。
「できました!」
「上手く行ったのです!」
クレーンで持ち上げられた浮島の下に、巨大空母船体用の甲板を差し込んで、10個ある戦闘艦艇用の筈のドックの一つを占領して、広大な大地が完成していた。
「お疲れさん」
「司令官さん、私、頑張ったのです!」
「しれぇ! ありがとうございますっ!」
ラムネを手渡すと嬉しそうに笑いながら受け取る二人。間違いなく今日のMVPである。所で他の二人はと言うと。
「はっくさい♪ おっ豆♪ メロンも良いなー♪ 沢庵用の大根とー、折角だしフルコース用のも作りたいなー♪」
上機嫌に歌を歌いながらたった一人で木や岩を抜いて海に放り投げては半分ほどの土地の土を両手の鍬で耕し、更に止まらずあっという間に残りの土地も柔らかくしていく大和と、
『ピッピッピッピヒュルルゥィ!』
「オーラーイ、オーラーイ! そこでスプリンクラー用のノズルは止めるのじゃー。後は畔作り班と排水溝班に分かれて作業に入れー」
時折気が抜けるような音を立てながら笛を吹いて妖精達に畑作りの指示を出すスーさんが居た。
サメの着ぐるみを着たままラムネを飲む駆逐艦組を見て、大和が置いて行った艤装の妖精に「ギンバエ」と一声かけてラムネを貰いながら、さて何を植えようかと俺も頭を捻るのだった。