超兵器より非戦闘艦の方が超兵器だった件について。 作:maisen
Warning! Warning!
これはWルートでもJルートでもGルートでもなくEXTRAルートである!
渋い中ボス枠の軍人が孤島でカラオケしてたり、ノラ戦艦やノラ空母がでたり、デートと言いながら艦隊を二つ三つ沈めて江ノ島まで行ったりボスの名前が葉巻だったりするルートの「ソレ」であり、スタッフの悪ふざけが極まったルートの「ソレ」である! 近隣の怖いお兄さんが戦艦に乗って壁ドンしに来るような世界である!
Warning! Warning!
―9、埋伏の畑―
「今ある食料はいずれぽんこつ戦艦の胃に消える…だが、その種さえあればまた野菜ができる。今日より明日なんじゃ…」
「つまり提督を埋めて種を播けばいいんですね?」
「手伝いますよ電ちゃん。二度と出て来れないように深く埋めましょう、深く」
ちょっと種をまく前の儀式(茶番)をしていただけなのに、駆逐艦と戦艦がガチ対応してきた件について。笑顔で目が笑ってないって怖いんやね! 提督、覚えた。
「全く、そうやって司令官さんが遊んでるから、何時までも終わらないんですよ?」
「そうじゃそうじゃ。雪風なんか、『花の種植えたかったけど、定期便の時間ですから』って凄い残念そうだったんじゃぞ」
「ぐはぁっ!?」
堪える、あの純粋な目でそんなこと目の前で言われたら俺は腹を切っていたかもしれない…!
「ちょ、ちょっとくらい待ってても良かったんよ?」
「向こうでも可愛がられてるらしいからのぅ。心配させたくなかったんじゃろ。健気じゃないか…」
ハイ死んだ! 今俺の中の悪魔が死んだよ! こうなったら帰って来た時に植えるだけにして置いて、皆で一緒に植えるとかそういうイベント的な事をしよう、そうしよう。そうと決まればもう後はスコップと鋤鍬が踊りまくるぜ。
「あーたたたたたたたたたたた、ほわったぁ!」
大和が大きい石や木は全部抜いてくれているし、使えそうなものも含めて草花は妖精さん達の人?海戦術で抜き終わっている。後は耕して柔らかくして整えるだけ。うぉぉおおおおお!
「燃え上がれ俺の小宇宙的な何か!」
「あっという間に耕されていくのぅ。昨日の大和を見ているようじゃ。最初からやれと言う話じゃが」
「私と比較対象になる時点で、提督は人間止めてませんか」
「耕運機みたいなのです! 馬車馬の如く働いているのです!」
アカン。
「あ、倒れた。紙座のペーパーセイントではこの程度が限界じゃったか。燃え尽きるのも早い的な意味で」
「て、提督ー! 提督がこの短時間でやせ細ったミイラみたいに!」
「司令官さん! 水、水を飲むのです! 妖精さん、栄養剤持ってきてくださいなのですー!」
しばらくなんやかんやあって俺、復活。いやぁ死ぬかと思ったわ。でも人間限界を一回感じて見るべきだと思った。まるで以前の俺じゃ無いみたいに体に力を感じる。感覚も鋭敏になってる気がする。体も軽い、もう何も怖くない!
「栄養剤…? スーさん、これ読めないんですけど栄養剤じゃないですよね」
「何々…え、え? なんじゃこれ…? 我の解析でも全く分からんのじゃが」
そう言ってモノクルを使い微かに残った瓶の底の液体を覗きこむスーさん。それそうやって使うのか初めて知ったよ。
・ワ・<まちがいなくいちばんきくです?
「はわわわ! 地面に零れた場所が紫色になっているのです!」
オイそこで話してる奴らちょっと待って下さい、もう何か色々怖くてたまらなくなったじゃないか。俺何を飲まされたの、ねぇ、ねぇってば。
「…ま、死にはせんじゃろ」
「それで納得できると思っているのかねチミィ…?」
ちょっと見せて見ろやその使用済み。…読めねぇ! 何語だこれ。士官学校で色々叩きこまれたけど全く見た事の無い言語なんですけど。あ、これは読める。
「メイド・イン・スキズブラズニル開発室特殊妖精班…おい、おい」
「謎の装置とかイカスミ波動砲とかの開発終わって暇してたんでな。恐怖の大、ごほん! そう、イカ、イカがでか過ぎてあまっ、ゴホンゴホン! 沢山取れたんで何か役に立たないかと研究しておった所じゃった。効果はバツグンであったの、良かった良かった」
「今のスーさんの台詞のどこに安心できる要素があったのか3行で」
「今は元気なのです」
「イカくらいで」
「死にはせんよ」
せやな。
「よーし続きすっぞー」
今日中に半分くらいは耕し終わりたいな。あれ、鍬ってこんなに軽かったっけ。
「今初めてこの提督が一番ぽんこつじゃないかと思いました」
「なのです」
なんか言ったかフォルァ!? ほらお前らも口より先に手を動かす。雪風が帰ってくる前に、花壇の形だけでも整えておくよ。
「で、実際大丈夫なんじゃろうな? もしもの時はタダじゃ済まさんぞ」
・ワ・<からだをつよくするだけです?
「全く、向こうとこっちが混ざった影響が妖精にでるとはのう。あまりお痛が過ぎると追い出すからの」
・ワ・<われわれもていとくには健康でいてもらいたいがゆえー。
「スーさんちょっとスプリンクラー動かしてくれー! 土煙で作業がしにくい!」
良く聞こえないけど妖精と話すのもいいけどこっち助けて欲しいなぁ。この辺りの土が急に柔らかくなってて、ちょっと耕したら土煙が凄い事になってしまったじゃないか。
声を掛けてもスーさんから返事が返ってこないので傍に寄ってみると、舌打ちしながら何かをつまみあげるような形のままの手を見つめていた。
「どしたの」
「なんでもないわい」
そう言ってスーさんが手をかざすと、何処からともなく駈けつけてきた妖精達がスプリンクラーのノズルに取りつきくるくるとまわし始めた。途端、土砂降りの様な勢いで水が噴出し、辺りに漂っていた土煙を纏めて地面にたたき落としていく。
「きゃー!?」
「なのですー!」
大和の悲鳴と、電の何処か楽しそうな声が雨の向こうから聞こえる。やりすぎじゃの、と呟いたスーさんの頭を軽く平手で叩き、艦娘用の入渠ドックのお湯は沸かしてたかな、と頭を抱える俺だった。
―10、塵も積もれば大和、成る―
大和。大和型戦艦、一番艦。
己の燃費と修理費に限界を感じ、悩みに悩み抜いた結果、彼女が辿り着いた結果は魔改造であった。
自分自身を生まれ変わらせてくれた提督への限りなく大きな恩。
自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが、
一日五回、感謝の無帰港1-1から3-2-1!!
体調を整え 食べ 眠り 構えて 撃つ。
一周を一回こなすのに当初は2~3時間。三回終えるまでに初日は8時間以上を費やした。
4回目を終えれば風呂に入ってもう一回行ってから寝る。起きては元気にご飯を食べてスキップしながらの出撃を繰り返す日々。
しばらく時が過ぎた頃 異変に気付く。五回周り終えても、全然疲れていない。
錬度60を越えて 完全に羽化する。
感謝の一周 1時間を切る!!
かわりに 食べる量が増えた。
食卓に着いた時 大和の箸は音を置き去りにした
「つまり何が言いたいんでしょうか、提督?」
「大和よ改造おめでとういだだだだだだっ!? 頭が割れるように痛いっ!」
食堂の最前列に設置された演台に立って、昨夜から考えようとして寝落ちして、朝起きて忘れてた事を思い出して慌てて三分で考えた大和の頑張り物語を語っただけなのに、どうしてアイアンクローされなければいけないのか。
「コレガワカラナイ」
「棒読みで言う事ですかっ…って堪えてないんですか提督!?」
「毎日牛乳飲んでるからね」
戦艦の握撃を頭部に喰らってもちょっと痛いで済むとは、すげぇな毎○骨太。鉄骨とどっちにしょうか悩んだけど、鉄骨くらい簡単に丸めてボールにしちゃえるうちの娘らには通用しないと言う俺の判断は正しかった。
「しれぇ、あんまり大和さんをからかったら駄目ですよ。大和さんも、あんまりしれぇを苛めないでください…」
「何を言ってるんだい雪風。これはコミュニケーション、そう交流の一環であってだね、僕と大和はチョー仲良し! なぁ大和?」
「そうですそうです、別に喧嘩してたり怒ってたりはしませんよ! ねぇ提督?」
「「HAHAHAHAHA!」」
目の前で安堵のため息をつく雪風、すまねぇすまねぇ心配させちまったなぁ…。
あと助けようともせず向こうでおめでとうパーティの料理を二人で仲良く食べてるスーさんと電は覚えとけよ。
「人が一生懸命作った料理を食べずに遊んでいる人達にはもう料理あげないのです」
「ほれ雪風も食べるのじゃ。ケーキもあるぞー」
「わーい!」
ちょっと待って唐揚げにレモンかけんなよ! 絶対だぞ! かけたら戦争だからな…! あとお握りは一人三個までな。
「えええっ!?」
はーい予想通りの反応ありがとうな大和。他の小さい子たちを見習ってくだしあ。
「仕方ないのです、他の野菜は妖精さん達のお陰で短いスパンで収穫できたのですが、お肉とお米は…」
「魚は兎も角、のう。米はもうちっと収穫まで時間がかかる」
妖精さんとスーさんの謎技術から生み出される謎装置からの謎フィールドによって野菜に謎の成長促進効果が生まれました。ちょっと謎多過ぎないですかねぇ…?
「ともかく、改めて、大和――錬度60到達、おめでとう!」
「おめでとうなのです!」
「おめでとうなのじゃ!」
「おめでとうございます!」
わー、ぱちぱちぱちー。と盛大な拍手に取り囲まれ、嬉しそうな笑顔を見せる大和である。しかし口元にご飯粒が付いている辺り錬度が上がってもぽんこつなんだろうなぁ。
このあと目茶苦茶素敵なパーティした。
「で、だ」
料理の後片付けも終え、皿も洗い、風呂も済ませ、ウトウトし始めた電と雪風を布団に寝かせて、だいぶ夜も深まった頃、俺とスーさんと大和は食堂に再度集合していた。いや提督室だとちょっと狭くてなー。
スーさんに目くばせすると、心得たとばかりに指を鳴らすスーさん。その合図と同時に、妖精達が何枚かの大きな紙を持って食堂に突撃してきた。全員鼻息も荒く、中々の興奮状態である。
「こ、これは…!」
大和の目の前で、食堂のテーブルが繋げられ、その上に紙が広げられていく。数枚の広がった紙に書かれているのは、巨大な船の設計図だ。
「大和改修案、妖精さん達も頑張って幾つか考えてくれたんだ。監修スーさんでな」
何時も頑張っている大和へのプレゼント、らしい。目の下に隈が残りつつも胸を張っている妖精さんに、大和も嬉しそうにお礼を言っている。
「まぁ、案とはいえ我らが鎮守府の特徴は、何度でも改造できることであるし? 状況によって使い分けられるように、と色々考えてもらったのじゃよ」
そういってスーさんは大きく「お勧め」、とスーさんのデフォルメされた顔が書かれた一枚を指さす。
「我の一押しはこれじゃな! 脳き、ゴホン! 双胴戦艦による75口径61cm3連装砲10基乗せ、ただし主砲が重過ぎて他の装備は無し」
「航空機や潜水艦に襲われたら?」
「祈る!」
無言で笑顔のまま額に青筋浮かべて指を鳴らす大和に、流石のスーさんもドン引きである。戦艦の梅干しを喰らって悶えるスーさんを余所に、やっぱりな、と何処か安心したように設計図を一枚、廃案のハンコを押して片付ける妖精達を見送り、今度は俺が一歩前に出る。
「次は俺だァッ!」
「もう嫌な予感しかしませんが」
「まぁ脳き…双胴戦艦なところまでは一緒なんだがな」
「聞いて下さいよぅ」
聞こえんなぁ(聞こえてる)。大体スーさんは甘いのだよ。航空機が来たら祈るとか言ってちゃ駄目だ。これからは航空機の時代になると言うのは分かっていたのだから、中途半端に大艦巨砲主義なぞに引っ掛かるから廃案になるのだ。
「75口径50.8cm4連装砲16基。実に64門の一撃は見的必殺の名にふさわしい…! 戦艦も棲姫蹴散らせるぜ! 航空機? 三式弾で弾幕張れば冬場の蠅みたいなもんさ!」
「潜水艦に襲われたら?」
「祈れ!」
頭が割れるように痛いいいいいいいいいいっ!? しかもスーさんより長いいいいいいいい!!
「天丼は基本じゃからの」
「真面目に聞いて損しました!」
実際これでも51cm集中防御で速度もギリ100kt足りないくらいあるし。砲撃戦特化なら十分行けるんだがなぁ。一、二基減らして対空機銃追加してもええんやけども。
「そうすると浪漫が足りない」
「然り、然り」
「浪漫よりも機能性とか性能重視して下さいよぅ!」
まぁネタなんだけどね! スーさんと一緒にちょっと涙目の大和を見ながらほっこりする俺達であった。
「まぁ真面目に考えたのがこの辺りだなー」
ざばー、と捨てられたネタ枠設計図の海を掻きわけ、妖精さん達が集まっている其処に行く。あーでもないこーでもないと大和の為にギリギリまで再設計をしていたので、ちょっとだけ楽しみながら、時間稼ぎもしていたのである。すると、妖精さん達は最後に一つ頷き、その設計図の上から退いていく。
「これが…?」
「うむ。奇も衒わず外連味も無いが、その分堅実に固まっておるの。61cm3連装主砲、280mmAGS副砲。あとはCIWS(対空機銃)山盛りにASROC(対潜ミサイル)…ま、使い慣れん武装じゃろうが、この辺りに落ち着くの」
「光学兵器やら生体兵器は相性があるからなぁー。主砲と実弾ガン積みじゃないと妖精さんが納得してくれんとか」
ただしASROCだけはゴリ押しさせてもらった。手が出せない相手が居るとかそんなあからさまな弱点残して出撃とか絶許。特にうちのは単艦突撃娘であるからして、危険を減らす為のちょっとした応援である。
「凄い…」
ふふん、と胸を張る俺とスーさんである。
「提督とスーさんが真面目に協力してくれただなんて、奇跡だわ…」
「おうコラよう言うたの」
「よーし明日からお前の装備アハトアハトてんこ盛り戦艦な。ちょっと旧型だけど逝ける逝ける」
「待って待って軽い冗談です」と俺達の服の裾を引っ張ってくる大和を無視して引き摺りながら(艤装が無ければ軽い)、88mm連装バルカン砲44基と書かれた設計図を持って設計室へ行く俺達だった。
翌日。
「提督、提督! 提督!!」
提督室で午前の執務の休憩がてら、電が淹れてくれたお茶を飲んでいた所に、大和が慌てた様子で駆け込んできた。
「どーした大和」
「鎮守府近海であすろっくみさいるが勝手に!」
「米倉さんだな、妖精の」
へ、とポカンとした表情を見せる大和を前に、お茶を一口。
「『そんなに…僕たちの力が見たいのか…』と言いながら汗だくで勝手にミサイルを撃っちゃう困った妖精でなぁ。最近多いらしい」
「じゃ、じゃぁ故障じゃないんですよね」
「おう、取りあえず一回つまみ出せば落ち着くらしいぞ。同類にトマホーク菊池さんが居るから気をつけろよー」
「よかったぁ…あ、お騒がせしました」
「ええよ」
安心した表情で綺麗な敬礼をして提督室を出て行く大和。改めてお茶を飲んでる俺の横顔に、電の冷たい視線が突き刺さる。
「で、本当の所はどうなのです?」
「一回だけってことで妖精さんにネタ仕込んだ」
最近多いってASROC使う鎮守府なんて他に無い事に気付かないあたり、やっぱり改造終わってもぽんこつですわ。てか謎の装置η装備してた事もあるんだからミサイル一発くらいで騒がんでもええやん。
「なぁ?」
「良く知らない武器が勝手に動いたら普通ああなると思うのですよ?」
「せやな」
まぁばれるまでは黙っとこ。
「てーいーとーくー!!!」
と、凄い勢いでこの部屋に向けて走ってくる足音と大和の怒声が聞こえた。
「やっべばれた」
スーさん覚えてろよ、と呟いて、電のため息を背に、提督室の窓からラペリング降下で逃げだす俺であった。