超兵器より非戦闘艦の方が超兵器だった件について。 作:maisen
Warning! Warning!
これはWルートでもJルートでもGルートでもなくEXTRAルートである!
データだけでモデルが無いのをステルス戦艦と言い張ったり、デートと言いながら艦隊を二つ三つ沈めて江ノ島まで行ったりボスの名前が葉巻だったりするルートの「ソレ」であり、スタッフの悪ふざけが極まったルートの「ソレ」である! 近隣の怖いお兄さんが戦艦に乗って壁ドンしに来るような世界である!
Warning! Warning!
―11、空がとっても青いから―
天気も良く、風も少ない釣り日より。視界には360°水平線とスキズブラズニルの巨体以外何も見えないそんな日だった。
朝食を食べて昨日の人生ゲームで負けた罰ゲームを受けてしょんぼりしながら出撃していった大和を見送り、暖かい日差しに誘われてソファーで寝ていた電をスーさんと一緒にこっそり改造して、終わったら布団に電を寝かせ、書類も午前中で片付けたし、暇が出来たので、と倉庫からスーさんと二人で釣りでもしようかと釣り道具一式とビーチパラソルを引っ張り出し、さて、と椅子に腰かけ餌を針につけようとしたその時だった。
「しれぇ! 何処ですかー? お客さまでーす!」
「はぁ?」
背後から聞こえてきた輸送任務についていた筈の雪風のその台詞に、俺は思わず餌を付けようとしていたスーさん用の釣り針を取り落とした。てか餌ぐらい自分でつけなさいよ練り餌なんだから。ゴカイやサシやミミズじゃあるまいし。本人に言っても、練り餌はなんか臭いの一言で切り捨てられるから一々言わないけども。
それはそれとして、スーさんが立てていた釣竿の先端から垂れていた糸に引かれた釣り針は、「あっ」と思う間もなく足元でちょこちょこと歩いていた妖精さんをひっかけ、そのままついーと空中へ引っ張り上げた。
「…釣れるじゃろか」
妖精さんが吊るされた釣竿を持ち上げ、スーさんがそんなことを呟く。ワタワタと慌てる妖精さんだが釣り針はしっかりと襟にかかっており逃げ出せる訳もなく。
「やめたげてよぅ!」
スーさんが竿を振り上げた所でギリギリインターセプトが間に合った。ピンピンとからかうように釣り糸を引っ張りながら笑うスーさんを見て、涙目で此方の服に捕まる妖精さんが哀れである。
「はっはっは。イワシでも捕まえたらと思ったんじゃが――」
瞬間、スーさんの真横を超高速で紫色の光線が通りぬけた。
まるで油が切れたロボットのようにその何かが発射されたと思われる方を見るスーさん。
俺もつられて其方を見ると、電を寝かせた布団のある部屋の窓から、髪の毛のあちらこちらを引っ張って起こされたと思われる電が、妖精を髪から数匹ぶら下げながら寝起きの凄く不機嫌そうな表情で窓からこちらを見ていた。
艤装の荷電粒子砲Ⅲを構えて。
にっこりと綺麗な笑顔で微笑んだ電は、さっき(勝手に)搭載されたばかりのその小柄な体に不釣り合いな砲塔を再度構え、砲身の先でちょいちょいと妖精を地面に下ろすようにジェスチャーした。
「アカン」
「冗談! 冗談じゃって!」
慌てて針を外す俺と、そっと釣竿を下に置いて両手を上げるスーさん。開放された妖精さんは俺に一度頭を下げると、すたたたと足音も軽く逃げて行った。
それを確かめて電はスッと完全に無表情になり、窓から姿を消す。
「バッカお前バッカ! 電マジギレしてたやん今!」
「ちょっとからかっただけでこうなるとは思ってなかったんじゃ! というか妖精だけじゃなく勝手に改造したのも絶対に怒っとるぞ!」
「こんな所に居られるか! 俺は逃げるぞ!」
ダッシュで電の怒りが収まるまで隠れようとした俺の脚に、がしっとスーさんがヘッドスライディングで捕まった。
「人という字は二人で支え合って立ってるんじゃよー! 二人で怒られれば被害は半分で済むじゃろ!? 辛い事は半分に、幸せは二倍になるんじゃよぅ!」
「ヤメロー! シニタクナーイ! シニタクナーイ!」
「それだけ死亡フラグ立てまくっておいてよもや助かるとは思っておらぬじゃろう!」
「遺言はそれでいいのですね、司令官さん、スーさん?」
そう言って揉み合う俺達の背後に立った電は、右手で持った錨を左の掌でぽんぽんと叩きながら、巨大な、猫を吊るした妖精の姿をしたオーラを背負っていた。
「全くもう、また人を勝手に改造して!」
激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームからまじおこまで落ち着いた電の前で、俺とスーさんは正座していた。
「いや、荷電粒子砲だし電繋がりだから電に似合うかなーって思ったのじゃ」
「一文字同じなだけじゃないですか!? それに、一言本人に言うのがスジなのです!」
「せやな」
「止めなかった司令官さんも同罪なのです」
せやね。所で、電よ。
「はい?」
君の背後で所在なさげに立っているお二人はどなたかな? あと雪風お帰り。
「しれぇ、雪風、帰投いたしました! ええと、このお二人は近くで作戦中だったのですが、迷子だそうです」
「ち、違います! 目標の敵艦隊が居なかっただけです! 改めまして、一航戦、航空母艦、赤城です」
「…迷子ではありませんが、補給は大事。途中で合流した雪風さんが休んで行くと良いとおっしゃってくれましたので、寄らせていただきました。同じく一航戦、航空母艦、加賀です」
「成程、ああ、これは失礼。ウィルキア移動鎮守府所属、天城貞夫中佐であります。無論、同盟国の艦娘への協力は惜しみません。補給の事なら遠慮なく」
そう言うとお礼の言葉と共にぺこり、とこちらに頭を下げる二人。さらりとした長い黒髪、弓矢にアと書かれた飛行甲板を模した艤装、それに無表情というかクールな雰囲気と同じく飛行甲板にカと書かれた艤装。噂に聞く二大正規空母か。
というか第一航空戦隊つったら精鋭中の精鋭、空母型の最精鋭二人じゃないか。空母が二人だけでこんな所まで?
「いえ、護衛の子たちは長時間の緊張で疲れ切っていたもので、取りあえず挨拶に、と」
「まだ小さい子たちですから」
「加賀さん」
おっとりとした雰囲気の赤城さんが申し訳なさそうにそう言うと、クールな加賀さんも口元をほんの少しだけ、僅かに顰めて小さく不満を口にした。どうも加賀さんの方は見た目に寄らず結構感情の波はあるようで、不満げな雰囲気が見て取れる。赤城さんに窘められると、スッと表情を戻して視線を逸らしている。
「…ははぁ、何か事情があられるようですが、まぁ、疲れが取れるまでゆっくりしていかれるといいでしょう。雪風、食堂まで案内を頼む」
「はいっ!」
元気よく敬礼をする雪風に答礼し、戻すと、ニッコリと二人に笑いかけ、食堂へと案内していった。てんす。
「…ぶはぁっ! 久しぶりのマジ顔で疲れたんだよもおおおおっ!」
そして3人が揃って建物の中へ姿を消して数十秒。俺はがっくりと肩を落として溜息をついた。
「お疲れ様なのです、司令官さん。いつもそうやっててもいいんですよ?」
「やだよメンドイ」
肩をぐるぐると回す俺に電の呆れが籠った視線が刺さっているが気にしない。さて、資材の備蓄はアホほどあるけど、食糧はどれ位だったかな、と歩き出した俺と電の背後から、スーさんの声がした。
「のう、もう立っていいかのぅ…足が、痺れて…」
「むしろ何で立ってないの!?」
ねぇ、俺が一生懸命真面目なふいんき(何故か変換できない)で直前の正座を誤魔化していたっていうのに、必死で真面目な提督の顔をしていたっていうのに、その隣でそうやってプルプル震えながら正座してたの? 馬鹿なの? シリアスそんなに嫌いなの?
「シリアルは好きじゃぞ?」
そうだねプロテインだね。やっちゃいなさい、電。
「つんつん、なのです」
「ぴゃー!」
更に肩を落とした俺の耳に、電に痺れる脚をつつかれたスーさんの素っ頓狂な悲鳴が届く。空を見上げれば、相変わらず腹が立つくらいに晴天だった。
―12、遠回りして帰ろう―
「すみません、入渠ドック使用許可をいただいた上に、高速修復材まで使わせて頂いて…」
「気にする事は無いよ。むしろ余っている位だからね」
既に大量生産出来てるからね。倉庫から溢れそうなんだよ。何だかんだ言ってうちの開発室、有能。ただし効果は同じでも原材料や製造法が同じとは限らない。知らぬが仏である。ヒントはイカ。
「使うのもうちのぽんこつ位だしなぁ…」
「? 何か?」
俺の呟きが微かに聞こえたのか、表情は殆ど変わらないが不思議そうな雰囲気の加賀さんに何でも無いと答えると、少々気になった事を聞いてみる。
「ところで、お二人とも、だいぶお疲れのようですね」
「…いえ、そんな事は」
すっと視線を俺からそらした赤城さん。それに対してじっと此方を見つめる加賀さんをこちらも視線を逸らさず見返す。
「私の顔に、何かついていて?」
「お二人とも、目の下に隈、出来てますよ」
そう言うとはっと顔に手を伸ばし、互いの顔を見る二人。だが、お互いにそれらしきものを見つけるとが出来ずにあれ、と疑問を思い浮かべ、二人同時に此方を見た。
「嘘です」
「だが間抜けは見つかっ」「なのです!」
ここぞとばかりに余計な事を言おうと視界の隅で飛び出て来たスーさんが、電に錨を首にひっかけられて連れて行かれた。グッジョブ。
「…参りました」
カマ掛けに引っ掛かったと理解した赤城さんが両手を軽く上げ、加賀さんがため息をついた。
「失態ね」
「二人とももうちょっとポーカーフェイスの練習をする必要があるね」
きょとん、とする二人であるが、正直精神的に疲れている者特有の雰囲気がはっきりと見て取れていた。途切れ途切れになる集中力や、作業的に口元に運ばれる食事。今は入渠中で不在だが、駆逐艦の娘達はもっと顕著だった。食事をしながらウトウトとする程に疲れていた。
「大規模な作戦中かね」
「軍機ですので」
だろうね。しかしウィルキア鎮守府あてに作戦参加の要請も来ていないっていう事は、さてはぽんこつ戦艦が頑張りすぎたせいも多少あるか。向こうさんのメンツもあるだろうしなぁ。
「活躍し過ぎたか」
「いえ、この鎮守府のお陰で戦線の負担は大きく減少しました。艦娘として感謝しています」
艦娘として、なら海軍さんとしては戦果が上げられずちと不味い状況な訳か。なら前戦を上げる為の作戦かな、この辺りはうちが、というか大和が大暴れするまでは深海棲艦の領域だった筈だし。…あちゃー、成程。
「航空機での偵察行動、あわよくば敵泊地の発見、後に艦隊で排除、そして制海権の獲得。で、いま最初の段階か」
「お答えする事は出来ません」
「正解、その通りよ」
「加賀さん!」
まるで先程の加賀さんのように無表情になった赤城さんだったが、横の加賀さんがしれっと肯定したので慌てている。ポーカーフェイスのポの字くらいかな?
「まぁまぁ、俺は何も聞かなかった事にするよ」
「そうして下さい…」
頭を抱える赤城さん。何だかんだで肩の力も抜けたようだし、いいコンビだな。
「むー! むー!(タップ)」「もう少し静かにしていてくださいなのです」
いいコンビだな。食堂の扉の向こうで電に背後から口を塞がれているスーさんを見ながら心から思った。あ、スーさんの手が落ちた。それを確認した電もほっとした様子で妖精さん達に指示して静かに運び出していく。
「あー、すまない。君達が疲れていたのは、連日の出撃が重なった為、で間違いないかな?」
「…もう全部ばれてるみたいですから構いませんけど、別に噂のブラック鎮守府とかじゃないんですよ」
何でも、未知の海域での作戦に当たり、補給態勢も万全、小破でも入渠するように義務付けられ、戦闘は出来るだけ回避して無事に帰る事を第一に、となっているらしい。有り難いほどの慎重な体制だが、それでも重なったと言うのは、逆に敵が居無さ過ぎて入渠する事がなく、補給も最小限で済んでしまう為あまり休憩も取れず、だが作戦の第一歩で敵も泊地も発見できず躓いている為スケジュールは押している。
「それで正規空母が駆逐艦だけの護衛で連続出撃か…」
「長門さんや陸奥さん、その他の戦艦組はまだ消耗する訳にもいかず、艦載機が飛ばせる艦娘総出で探しているのですが…何かこの辺りに怪しい場所はありませんか?」
怪しい場所、怪しい所なぁ…。聞かれて考え込む俺だが、そう言うのはむしろ俺より…あれ?
「そう言うのに詳しいのがこの時間になっても帰ってきてないな…」
「……」
俺の呟きに心配そうに僅かに眉根を寄せる加賀さん。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、加賀さん」
なんでそんなにショック受けてるんですかねぇ…。なんか変な事言ったか俺。
「分かるんですか? 加賀さんのこと」
「え、全部表情に出てるよね、全然隠そうとしてないよね」
そう言うと、赤城さんは驚いたように加賀さんを見た。視線の先で加賀さんが硬直してる。初めて見る表情だから分かりにくいが、驚きと困惑と、少し嬉しそう?
「って感じかな」
「正解です…」
驚きながらも拍手する赤城さんの方が嬉しそうです。ふと赤城さんから視線を外して加賀さんを見ると、何故か両手で顔を覆って隠していた。
「加賀さ…」
「失礼します」
そう言い残すと止める間もなくすたすたと歩き出し、振り向かずに食堂の外へともの凄い早歩きで出て行ってしまった。残されたのは、くすくすと笑う赤城さんと、所在なさげに立つ俺。そして食堂の扉の陰から、縦に並んで同じように頬を膨らませた顔を半分だけ出して、此方を睨むスーさんと電だった。
―13、さぁ帰ろう―
向こうの海の上では雪風と駆逐艦達がハグしたり握手したりと別れの挨拶をしている。遠くて表情は見えないが、加賀さんもその横に静かに佇んでいる。
「では、お世話になりました」
「お気をつけて」
短い挨拶を交わし、食事と補給、休憩を済ませて多少なりとも疲労が取れた様子の艦娘達5人は揃って敬礼をして去っていった。最後まで加賀さんが視線を合わせてくれなかったのが気になるが、まぁ縁があればまた会う事もあるだろう。
去っていく5人と、輸送任務のついでに途中まで随伴するうちの雪風(てんす)を見送りながら、俺はその背中が水平線の向こうに消えるまで背筋を張って静かに立っていた。
「…ぼへぁ~」
「お、限界のようじゃの」
「司令官さん、頑張ったのです」
完全に見えなくなったらもう限界ですわ。今までが今までだけにこんな真面目にやった事があっただろうか、いやない。まぁ士官学校の時はもっと真面目にやらんと物理的に教育が飛んできてたけども。
甲板に座り込み、胡坐をかいて溜息一つ。
「よし、スーさん、大和に通信は出来るか?」
そう言って傍らのスーさんに手を伸ばすと、既に呼び出しのコールが鳴る通信機が渡された。仕事が早くて助かるわー。
『はい、こちら大和です! 只今対空戦闘中ですので――』
「大和、すまんが航空機は“全部”叩き落としてから戻ってきてくれ」
『命令でしょうか?』
「そだね」
『…はい! 大和、対空戦闘、全力で始めます!』
む、何となくいま対空カットインが出た気がする。まぁ罰ゲームでアハトアハトてんこ盛り双胴戦艦だし大丈夫だろう。
『それと、提督! 戻ったら絶対に元の艤装に戻してください! これ、航空機は近寄れもしないんですけど、くっ! こう言う、エリート戦艦以上が相手だと時間がかかって、このっ! 仕方が、無いんですか、らっ!』
「ええで。その代わり今晩も負けたら駆逐艦の10cm連装高角砲と61cm三連装魚雷だけてんこ盛りで出撃な」
『なんですかその恥ずかしい罰ゲーム! 鬼ー! 悪魔ー!』
恥ずかしいのか。大和的には今まで大型バイク乗りまわしてたのが三輪車に乗れって言われたのと同じなのかもしれんなぁ。
「お前、私が勝ったら100cm砲乗せてくださいとか言ってたじゃん、等価交換ですからー」
「本当は負けてもこっちは痛くも痒くも無いんじゃがな!」
在庫∞とか意味不明。だからって一々購入するのも勘弁だけれども!(WSC話)。
『…ふぅ。戦闘終了です』
「あと、近くに敵のネグラっぽい所は無いか?」
『多分近いですね、応援の敵航空隊がどんどん飛んで来てましたから。全部落としましたけど』
「ほーかほーか。座標と方角だけ教えてくれ」
『はい、現在地は――』
そう言って彼女が読み上げる数字と方角を、何も言わないうちにスーさんが差し出してきた紙に書き留め、ついでにサラサラと文章を追加する。
「ありがとう。すまんが、今日はそのまま帰投してくれ。海軍さんの血圧がヤバいらしい」
『…あちゃー。ちょっと、やりすぎちゃいましたか』
「んにゃ、気にする事は無いよ。艦娘達は戦線が楽になったって言ってたし。じゃ、気を付けてな」
大和の元気のよい返事を聞き終え、頬と肩で挟んでいた通信機を取りスイッチを切る。スーさんに書き終わった手紙を渡すと、防水の通信筒に手紙を丸めて入れ、スーさんの手招きで寄って来たヒヨコの首に、通信筒の端の紐をひっかけた。
「よいか、しっかり匂いを追うのじゃぞ」
「ヒヨコに無茶言うなよ」
「出来そうなのが怖い所なのです」
無論発声器官も無いので返事がある訳でもないのだが、スーさんがヒヨコをぽいっと投げると、水面に着水したヒヨコは水しぶきを上げて加速し、あっという間に雪風達が進んで行った方向に消えて行った。
「よーし大和が帰ってきたら99年桃鉄やるかー。負けたら花壇の水やりなー」
「さ○まは! さく○は勿論入れるんじゃよな!」
「その場合誰が抜けるのですか?」
「弱い順に大和かスーさん。てか豆鬼でもいいやん別に」
「喝ーっ! 負ける方がおかしい相手に勝ってなんの達成感が得られようか!」
お前それ大和の前でも言えんの? おい、視線を逸らすな、聞いてんのか。それ10年で豆鬼3匹相手に4位を取った大和に言えんのか。その後雪風がリアルラックと完璧なカードさばきでさ○ま3人に圧勝した様子を見せられてマジへこみだったんだぞ。
「すまぬ…すまぬ…」
「雪風も運が絡む遊びが強すぎてなぁ…」
「麻雀だと親天和2連続でサイコロ振る間もなく終わったのです…」
本人は楽しそうだから良いんだけども、勝ち過ぎると申し訳なさそうにするしなぁ。どうせ仕事終わった後は暇だし将棋か囲碁でも覚えるべか。
それから暫くして、雪風の届けてくれた荷物の中に、お礼の手紙が一通と、油紙に包まれた新聞があった。
「海軍快勝、一航戦大活躍、北方海域の一部解放に成功、希望の未来へレディーゴ―!か」
妙にはっちゃけてんなこの新聞。発行者が重巡青葉? あっ(察し
記事の横の写真には、やや煤けていながらも嬉しそうな笑顔で加賀さんの方に手を置く赤城さんと、疲れが見えるものの赤城さんに視線を向け、満足げに口元をほんの少しだけ釣りあげている加賀さんの写真が見えていた。
「ま、そりゃそうじゃろ」
そう言ってスーさんは一本の棒を投げ渡してきた。受け取ってみると、先端に黄色い鳥のような物が付いている、黄色い矢羽根の矢である。空母の艦載機じゃないか、これ。
「こんどからこの系統を輸出品にしようと思っておるんじゃが」
「艦載機か、いいんでない? 基本使い捨てでしょ、これ」
「うむ。テストケースという事で、赤城と加賀の補給の際に一本だけ紛れ込ませておいたんでな。対地も対艦もぞんぶんに薙ぎ払ってくれただろうよ」
実際の輸出の際にはコストがどうこう言って安めに大量に橘花改あたりじゃがの、と言ってからからと笑うスーさんに、思わず笑いながら新聞を渡した。
「――彼女達の矢筒から見えてる残り少ない矢のうちの一本、矢羽根が黄色くないかい?」
そう言い残し、新聞を覗き込んで動きの固まったスーさんを背に、うちのスーさんのお節介も借りずに見事作戦遂行した彼女達への手紙の返事を考えて、歩き出しながらなんとなく今日は一本晩御飯に付けるか、と思った。