憑依者過去録   作:夜明けの月

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更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。

他の作品を更新していたら……とか言い訳はしません。本当にすみませんでした。

それでは、本編をお楽しみください。


林間学校二日目前編 ー山登り、そして迷子ー

篠宮に散歩中に気づかれかけた翌日、俺たちの班は、

 

「んで、どこまで登るんだっけ?」

 

「頂上」

 

宿舎の近くの山を登っていた。桐谷先生によると一番にたどり着いた班には何か特典があるとか何とか。

 

「にしても道が険しいなオイ」

 

「いいじゃねえか!適度な運動は大切だぜ!」

 

篠宮が面倒くさそうに言うと狩生が更に面倒くさそうに言う。

 

「とりあえず登るか」

 

俺がそう簡潔に言うとどんどん上へと登っていく。登っていく時の俺らの空気は明るいものだった。俺以外だが。俺に関したなは無言を貫いている。というか山なんて登ったことあんまりないからバテるのが嫌で無駄な労力を使いたくないだけなのだ。

 

そこでふと気づく。林間学校で山登りする必要あんのか?

 

「なあ神野よ。お前なんか喋れよ」

 

そう思っているところに狩生が話しかけてくる。

 

「なんか喋れと言われてもな……何を喋ればいいんだよ?」

 

「そうだなあ……趣味の話をしよう」

 

「はぁ?趣味?」

 

「確かお前の趣味は料理だったはず。普段どんなの作るんだ?」

 

「あーそれ気になる」

 

「料理にはあまり興味はないが気になるな」

 

そこに篠宮と井崎が会話に入ってくる。

 

「何を作ってるか、か……主に作るのは肉じゃがとか後は煮物とか」

 

「家庭的だな」

 

「こいつはいいお父さんになる」

 

「私そんなの作れないのにすごいね〜」

 

三人の感想はそれぞれだった。

 

ふと俺は気づく。五人の班なのに一人の声が聞こえないことに。

 

「ちょっと待て。そういや三月は?」

 

「え?私の後ろを歩いてたは……ず………」

 

井崎が後ろに振り返る。その拍子に俺たち三人も振り返るが、そこには木々が生い茂っているだけであり、三月の姿などなかった。

 

「………もしかして迷った?」

 

「どっちが?」

 

「三月ちゃんじゃないかな?だって、頂上に行くために道は一本道だよ?普通に歩いて迷うわけないじゃん」

 

「それに三月は昔から極度の方向音痴だ。こんなところで迷わないなんておかしな話ってほどにな……」

 

その場の全員が先ほどまで進めていた足を止めてどうするか考える。

 

「どうするよ?これじゃあ登ろうにも登れないぜ?」

 

「だけど東雲さんの行ったところもわからないからな……」

 

「どうしよう……」

 

「俺が探しに行く」

 

俺はそう告げて山を降りようとする。すると篠宮が、

 

「おいちょっと待て!お前探すって言ったってアテはあるのか!?」

 

「ない。探してたらそのうち見つかるだろ」

 

「おい!」

 

篠宮の制止も聞かず俺は山を降り始めた。

 

 

 

□■□■□■□

 

 

 

降り始めて数時間、三月が見つかる気配がない。まあもとより見つかるアテなんてなかったしな。

 

探しているのは道というものはなく完全に森の中である。木の枝やら木の葉やらが地面に落ちている。歩くたびにパキパキと音を立てて枝が折れていく。

 

そのため、三月が歩いているならば音でわかるはずなのだが、木の枝が折れる音は聞こえない。おそらくどこかにとどまっているのだと思う。怪我をしていなければいいのだが。

 

「それはないか。学校指定のジャージ着てれば」

 

学校指定のジャージは長袖長ズボンであり、普通に来ていれば怪我をすることはない。となればどこかにとどまり泣いている、もしくは最悪倒れているという可能性もある。

 

そう考えた途端、俺は歩くスピードを早める。あいつは俺が守らなくてはいけないのだ。

 

その時だった。どこからか微かに聞こえる嗚咽。それが聞こえた瞬間、俺はその嗚咽が聞こえる方向へと走る。

 

するとそこには木にもたれかかってしゃがみ、泣いている三月がいた。

 

「ひぐっ……えぐっ……怖いよ……」

 

「ったく、何してんだよこんなとこで」

 

俺がそう言うとバッとこっちを向く三月。その目は涙がたまっており、今にも大泣きしそうなものだった。

 

「なん、で……?」

 

「どこかの馬鹿が迷いやがったから探しに来てやったんだろうが。全く、一本道だってのにどうやったら迷うんだよ」

 

「だ、だって………!!」

 

涙目で訴えてくるがいつものことなのでどうすればいいかもわかる。

 

「とりあえず泣き止むまでは横にいてやるから」

 

そう言って俺は三月の横に座る。

 

「え!?み、みんな心配してるんじゃ……」

 

「そんな顔であいつらに会えるのか?落ち着くまでいてやるから安心しろ」

 

俺は三月の頭を撫でて少しでも安心させようとする。すると三月から抗議の声は途絶え、嗚咽が聞こえてくる。

 

「うぅ……ひぐっ……」

 

「もう一人にはしねえよ」

 

そう、もうお前だけは一人にしない。そのために犠牲が一人いるが、それは仕方がないことだ。

 

それから三月が泣き止むまでに数分かかった。それから俺たちは宿へと向かった。

 

 

 

□■□■□■□

 

 

 

「どこに行って傷んだお前たちは!!」

 

宿に着いた俺らを待っていたのは修羅と化した桐谷先生だった。山登りを始めてから軽く半日は立っており日は傾いて空をオレンジに染めていた。

 

「何の連絡もなしに何をしていたのだ!!」

 

「迷子になったこいつを探していたら時間がかかってしまいました」

 

「だからといって一人で探しに行く必要はないだろう!班のメンバーでやれば早く済んだはずだ!なぜ一人で探そうとするのだ!言い訳の一つでも言ってみろ!!」

 

「なんとなくそれがいいと思っただけです」

 

「よし、反省の色なしということで神野には反省文を書いてもらう。それで勘弁してやろう」

 

「は!?そんなことって」

 

「い い よ な ?」

 

笑みを浮かべてそう言う桐谷先生。額に浮かんでる青筋が超怖いです。

 

「さっさと宿に入って風呂にでも入ってこい。泥まみれではないか」

 

「は、はい……」

 

「………分かりました」

 

俺たちはトボトボと先生に言われた通りに風呂場へと歩いていく。風呂に入る前に部屋に替えのジャージが入っていたので取りに行く。その時に三月が言った。

 

「………ありがと。一緒にいてくれて」

 

頬を少し赤らめながらどうしたんだ急に?

 

「いつものことだろ。気にすんなよ」

 

「いつもって……そんなに迷子になってない!」

 

「なってなきゃ言わねえよ」

 

「うるさい!司の馬鹿!!」

 

「それはお前だ」

 

そう言い合いながら俺たちは部屋へと向かった。部屋に着いた時に篠宮達に色々言われたのは言うまでもない。

 

 




どうでしたか?元の作品の方でもお馴染みの三月の迷子スキルを発動しました。

さて、これからはなるべく早く更新したい、と思っていますのでよろしくお願いします。

それではここまで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。
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