D,C,Ⅱ to リリカルなのは ~理想と願い~   作:ゆーじ1121

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にじファンから移転してきましたリオン=マグナスです。
前は『八雲葵』と名乗っていましたが、どうぞ宜しくお願いしますm(__)m



零章 ~全ての始まり~
転生


これはひとつの物語。

世界に抗い、そして世界に殺された男のひとつの異端。

 

世に転生者は星の数こそあれ。彼のような転生者は一握の砂のごとく、少ないのではないだろうか?

 

脚本も筋書きはありきたりなもの、だが役者がいい。

ーーー故に面白くなると思うよ?

 

さあ、開幕だ。

 

ポップコーンとジュースの準備はいいか?

小便は済ませたか?

 

一分一秒でも、観客(アナタ方)を楽しませられたのなら幸いだ。

 

では、今度こそはじめるとしよう。

 

世界に抗った、愚者の物語を

 

 

 

ーーー次元の終息地、そして根源に存在する世界。名前はないが、そこを訪れた人間の言葉から『神界』と呼ばれている世界は、死んだ人間を査定し、転生させる云わば関所のような場所だった。

 

ここで、管理人によって来世が決定し、転生する。

 

その入り口である『死者の門』付近でこの物語は始まる。

 

「―――ここは…」

 

黒いスーツを着た男は目を覚ますとなにか列のようなものに並んでいた。

前を見ると私服やコートなど多種多様な服を着た老若男女がすさまじい長蛇の列で並んでいた。

 

なぜ?自分がこんな場所にいるんだろうか?

しばらく、思考を巡らすがなぜか、靄がかったように思い出せない。

 

「―――まあ、なるようになるだろう」

 

と、頭を切り替えると静かに順番を待つ。

 

 

〜五時間後〜

 

 

「ここか?」

 

列を並び、順番が来た男はどこか恭しい態度の女性に案内され、どこか執務室のようなところの前にたっていた。

ちなみに、その女性は先ほど『それではよい人生を』と、一礼すると立ち去っている。

 

そこが何の場所なのか、わかりえる唯一の情報になりそうなのは扉の上にはなにやら書かれている文字だけ。

 

だが

 

(―――読めん)

 

悠二には読めなかった。

英語をはじめとした数ヶ国の言語を体得している彼でも、見たこともないような文字だったのだ。

 

(ノックするべきだろうか?)

 

―――しばし悩んだ男は

 

ガチャリ

 

重厚な扉を開けた。

 

「あ、来たね」

 

バタン

 

(―――いまのは幻覚か?)

 

自分のみた物が信じられない男。しかし、それではいつまでたっても終わらない

 

ガチャリ

 

半ば、幻であれと思いつつ、扉を開けるが

 

「どうしたの?」

 

幻ではなかった。部屋で待っていたのは黒い髪のきれいな十歳ぐらいの少女だった。

それでも信じられないのか、目をゴシゴシと擦るが結果は変わらず、彼の瞳には艶やかな黒い髪に、金色の瞳、そして身には中世の神官の着るような豪華なローブで着飾った少女が立っていたのだ。

 

「はじめまして。僕は君たちが読んでいるところの神様だよ♪」

 

「は?」

 

そして、少女から言われた言葉に思わず目を細め、唖然とする青年。

いや、突然合った少女が神様と名乗ったら、どんな人でもこうなるだろう。

 

「だから!!か・み・さ・ま!!」

 

目の前の青年が驚いていないようなので強調するように幼女は無い胸をそらし、宣言する。

だが、そんな姿には威厳が欠片も無い。

 

(なに?このイタい子は)

 

そんな姿を見た悠二は思わず、胸中でそんなことを思ってしまう。

 

「―――そんなことより、ここどこだ?」

 

幼女の神様宣言を『そんなこと』で済まし、青年は辺りを見回す。

がっちりと作られた壁に、複数設けられた窓には、雲ひとつ無い晴天が映されている。

 

「日本じゃ…ないみたいだが…」

 

さっきの表札の言葉から推測する。

 

「えっ!?」

 

だが、そんな彼の様子に今度は、幼女が青年の言葉に驚く。

 

「そんなことも知らないでここに来たの?」

 

「ああ。なんか、気づいたら列に並んでてな」

 

呆れたようすで、青年に尋ねる幼女。

まるで、常識を知らない存在を目の当たりにしたかのような反応に、すこしムッとするが、その次の言葉でそれは吹っ飛んだ。

 

「あなた・・死んだのよ」

 

突然の『死』の告知。

あまりに突然すぎて青年の頭は理解が追いつかない。

 

「え?」

 

「だから、あなたは死んだの」

 

突然の申告に、呆然とする青年。

誰だって、『アナタは死にました』なんていわれれば驚くし、信じられないのも致し方ない。

 

「嘘・・だろ?」

 

「残念だけど、事実よ。」

 

特に感傷も無いのか、無表情でパチンと指を鳴らすと少女と青年の間にモニターが浮かび上がる。

―――そこには見覚えのある服装の男が腹から血を流して倒れていた

 

…それは、紛れも無く彼本人だ

 

「ああ・・そういえば・・あの時」

 

だんだん、記憶が鮮明になってきた青年。

左手で手を覆い、やがて苦虫を噛み潰したような表情へと変わる。

 

「あなたも無茶するわね。あなたの体の状態、わからないわけじゃないでしょ?」

 

ふうと溜息を吐き出し、呆れ居たようにいう少女。

 

「ああ」

 

少女の逝っていることが理解できるようで苦笑する。

どこか、自嘲めいた物が見えたのは気のせいではないだろう。

 

やがて、自分のなかで整理をつけたのか、手を外し尋ねた。

 

「―――それで、僕はどこに行くんだ?」

 

「どこだと思う?」

 

まるで、悪戯を仕掛けている童女のように少女は笑みを浮かべて、青年に問うた。

そんな笑顔に一抹の不安を覚えながらも

 

「---地獄」

 

青年は即答した。

それも仕方ないことだろう、彼は一般的にいえばテロリストに属されるべき人間なのだから。

しかし、それはあくまで一般論でしかない。

 

「却下ね。あなたを地獄に送ったら、きっと地獄はあふれかえっちゃうわよ」

 

再び、呆れたような顔をすると指をパチンと鳴らすと、目の前のモニタが切り替わり、画像の変わりに途方もない桁の数字が浮かび上がる。

 

億すら超え、後一歩で兆にまで届こうという莫大な桁の数字。

 

だが、青年にはなぜ少女がこんな数字を掲示したのか、見当がつかなかった。

 

「これは・・・?」

 

「これはね。あなたがいままで救った人間の数よ」

 

尋ねると、両腕を組んだ少女が彼にとって、予想外なころを言ってのけた。

 

「っ!?だが、僕は救うために・・・」

 

表情がくしゃりと歪む。その表情には、罪悪感などはたぶんに含まれている。

だが、不思議なことに…

 

―――後悔だけは無かった。

 

「たしかにね、あなたは彼らを救うために何万人と殺しているわ。でもね、それを差し引いても、君は人をたしかに救ったのよ」

 

まるで慈母のような笑みを浮かべて神を名乗る少女は彼が行ってきた所業を肯定した。

世界の全ての人が彼を悪と、そして彼のしていることを『悪』だと否定したのにも関わらず、彼女は曇りの無い笑顔で即答した。

 

―――その一言で、すこし彼は救われた気がした。

 

「だから、あなたは地獄へはいかない」

 

顔に決意を浮かべ、少女は言った。それは認められないと。

そんな表情に、青年は何もいえなくなってしまう。

 

「いかせられない。神(ぼくたち)のプライドにかけて。あなたのやったことは、人間の到底、やれることじゃないのよ。普通の人間は、あそこまで自分を殺せない。あそこまで、機械にはなれない。でも、貴方はそれをやってのけた。それは過ち」

 

彼女の言っていることは正論だ。人は他人は殺せるが、恐らく自分は殺せない。人だから。

―――彼がやったことはそれは神の所業。

無常に、天秤の担い手は本来なら、神が座るべき立場。しかし、男はそれを人のみでありながら、実現し続けた。

 

それは、人として間違っている行為。

 

「でも、だからこそ神(わたしたち)は君を救いたい。私達がしなくてはならないことを、させてしまったから。止めようと思えば、とめられたのに。だから、アナタは幸せにならなくちゃいけないんだ」

 

心底後悔しているようにこぶしを握る神。

だが、対する青年はなんともいえない穏やかな表情を浮かべて、目の前の少女をみていた。

 

やがて、近寄ると彼女の頭の上に手を置いた。

 

「え?」

 

少女は青年を見上げた。

すると、青年が穏やかな笑みを浮かべていることに、思わず戸惑ってしまう。

 

そして、青年はどこか嬉しそうに口角を吊り上げながら言った。

 

「気にするな。どうあれ、僕の選んだ道だ」

 

そんな神の頭に手をおいて、一切の後悔が感じられない笑みを浮かべた。

 

「もしかしたら、貴方は普通に生活できたかもしれないのよ?」

 

その表情に、逆に戸惑ってしまい、思わず聞いてしまう。

だが、青年は窓の外に見える青空を見ながら、わずかに目を細めながら言った。

 

「そんなIFのことは考えないようにしているんでね。それに、アレがあったからいまの僕がいる。やり直しなんかできない、いやしちゃいけない」

 

「---そうね、失言だったわ。それで、あなたの行き先だけどもう一回人生を送る気はない?」

 

先ほどまでのあどけない少女のような表情は鳴りを潜め、再び悪戯っ子の様な顔で青年に問いかける少女。

 

「どういうことだ?」

 

「選択肢はいくつかあるわ。私の口車に乗り、転生する道。そして、英霊へとなる道」

 

パチンと指を鳴らすと、なにもなかっや空間に、二つの穴が開いた。

 

「どちらか選べと?」

 

「ええ、私としては転生を選んでほしいけどね」

 

かすかに微笑む神。

すると、青年は居住まいをただし、来ているスラックスのポケットに手を突っ込むと、かすかに笑いながら言った。

 

「---わかった」

 

決して、大きくは無い言葉だったが、二人しかいないこの空間では十分に聞こえた。少女はその選択に満足そうに笑みを浮かべ踵を返し、男は踏み出す青年を見守る。

やがて、空間の穴に挿しかかろうというときに、不意に止まると振り返った。

 

「ん?」

 

どうかしたのだろうか?といぶかしむ少女だったが、それは杞憂だった。

 

「じゃあな、神様」

 

どこか、少年のようにあどけなく、それでいて、キリットした不思議な笑みを浮かべ、少女へ礼を述べると、空間の穴へと飛び出すのだった。

 

「バカ…、なんて顔して逝くのよ…」

 

僅かに、頬を朱に染め、すでに居なくなった青年に文句を垂れた。

 

「―――さて、私も仕事に戻らなくちゃ…」

 

う~と、体を伸ばすと、大きな執務室の中央近くに設置されている大きな大理石のような石で出来た執務机の椅子に腰掛けると、万年筆を取り、置かれた書類を精査していく。

 

そして、一つの書類に目を見張った

 

「―――マジで?」

 

思わず、少女は呟いてしまった。

 

その書類に書かれていたことは

 

『下級神による転生者増大問題についての罰則と対策』

 

「ハァ、頭が痛いわ…」

 

万年筆を持っていない左手で頭を抑え、少女は対策を考えるのだった。

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