長かった。とにかく長かった。
今日からまた更新していきます。
第8話 部長の婚約者現れます!
朝の四時十五分。
俺はいつもこの時間からトレーニングを行っていた。これはオーフィスがいたときから続けていることだ。いつものようにジャージに着替え、走りに出かけた。
俺は約束の公園まで走った。
約束というのは、部長が俺のトレーニングのことを聞いてから、それにイッセーを参加させほしいと言われ、今日からイッセーと一緒にトレーニングだ。
なんでイッセーがいきなりトレーニングを始めたかだが、どうやらイッセーの神器が原因らしい。教会の一件でイッセーの神器が何なのか判明した。最初はただの『龍の手』と思っていたが実は、『赤龍帝の籠手』だった。
『赤龍帝の籠手』は神滅具(ロンギヌス)の一つで十秒ごとに自分の力を倍にしていく力らしい。極めると魔王や神すらも超える力を得られるそうだ。
んー。やっぱりこの気、どっかで感じたことあるんだよな〜。………前より思い出しそうだが、どうしても思い出せん!
いつかわかるだろうから無理に思い出さなくていいか。
それで、今のイッセーでは扱えないから修行して基本スペックを上げようと、考えたわけだ。イッセーが赤龍帝と言うことは、白龍皇とかいうのと戦うことになるのか。
確かに今代の「白龍皇の光翼」の所持者は歴代最強って言われてるから、このままだったらイッセーは絶対死ぬ。だから特訓はイッセーが死にたくないなら絶対にしないといけないことだ。
公園にはすでにイッセーと部長がいた。
「おはようございます。部長。それとイッセーとアーシアもおはよう」
「ええ、おはよう。いきなり混ぜてほしい、なんて言ってごめんなさいね」
「いえいえ、気にしないで下さい。俺も一人より楽しくできますので」
「龍夜、おはよう!今日からよろしくな!」
「龍夜さん、おはようございます。イッセーさんのことよろしくお願いしますね」
全員の挨拶が終わり、トレーニングに入った。
どうやらアーシアはイッセーの家で暮らしているようだ。イッセーはエロの権化とか言われているが、相手が嫌がることは絶対にしない奴だとわかっているから安心して任せられるだろう。アーシアもイッセーのことが好きだろうし、それがいいだろう。
ちなみにこれは余談だが、小猫ちゃんも俺の家に住むことになった。何故?とも思ったが、いつでも連絡を取れるように自分の眷属を置いておいたほうが良いと思ったからだそうだ。だが、本当のところは小猫ちゃんが強く要望したからだとかなんとか……。
確か今日から来るとか言ってたな。今日はご馳走作ってやるか!
ちなみに黒歌には言ってあるので小猫ちゃんと会うことはないだろう。
♢
俺はイッセーと、そして他の女子たちと楽しそうに話しをしているアーシアを見て、穏やかな気分になった。
アーシアは今、みんなの癒し的存在になっていた。アーシアと話したり、見ていたりすると癒されるらしい。
確かにアーシアを見ていたら癒されるっていうのには同感だ。こんなに優しい子なんてそうそういないだそう。アーシアは純粋すぎて将来騙されないか不安だ。
そのときはイッセーや、部長がなんとかするだろうが。
俺は最近、小猫ちゃんのお菓子係みたいなのになっている。前に小猫ちゃんが部室のソファーで倒れていた。心配した俺は小猫ちゃんを起こし、わけを聞いてみたら、「……お腹が空いた」とだけ言って、また倒れたのだ。俺は部室のキッチンを使って、小猫ちゃんにクッキーを焼いてあげた。その日以来、毎日お菓子を要求してくるようになった。別に俺自身料理や、お菓子作りは好きなので毎日作ってあげても全然問題ない。時々あ〜ん、なんかも要求してくる。餌付けしてる気分だ。
そんなこともあり、小猫ちゃんはよく俺に懐くようになった。俺から懐かしい匂いがする。とも言っていたからそれも原因のひとつなのだろう。
♢
今日は小猫ちゃんが家に来る日。そのため、家中を綺麗にし、夕食の準備をしていた。
今日は小猫ちゃんのためとびっきりの料理を用意した。
美味しいって言ってくれたら良いけどな。なんてことを考えているとーーー
ピンポーンと家のベルが鳴る。
すぐにドアをあげる。そこは、予想通りの人がいた。
「今日からお世話になります。龍夜先輩」
ペコリと頭を下げる。
「うん。いらっしゃい!今日は小猫ちゃんのために美味しい料理をたくさん作ったから、遠慮なく食べてくれよ!」
俺の言葉を聞いた小猫ちゃんの目が輝きだした。
「はい。ご馳走になります」
「うん。それじゃ、上がって」
「……お邪魔します」
俺は小猫ちゃんの方へ振り向き、
「お邪魔しますじゃないよ。ただいま、だろ?今日からここが子猫ちゃんの家なんだから」
そう言うと小猫ちゃんは嬉しそうに笑いーー
「ただいま」
と、言った。
♢
最近部長の様子がおかしい。はっきりとはわからないが、いつもの部長らしくない。
イッセーに聞いても、気づいてはいたが理由は知らないらしい。
ただ、昨夜部長に夜這いされたらしい。
とうとう頭逝ったか?とも思ったが、それはないようだ。
今日も授業がつつがなく終わり、木場くんとイッセーとアーシアで部室へ向かった。
だが、教室を出たときから部室あたりに、感じたことのある気配があった。
あの人が来たってことは、多分あいつの使いだろう。
「……僕がここまで来て初めて気配にきづくなんて………」
部室の前に来たとき、木場くんが気づいた。
顔を強張らせる木場くんをイッセーはなんだ?と、気にしていたが、気にせず部室の扉を開く。
中には、部長と、姫島先輩、そして……グレイフィアさんがいた。
不機嫌な部長。
いつものようにニコニコしている姫島先輩。
俺たちが入ると、部長が一人一人確認して、口を開く。
「全員揃ったわね。では、部活を始める前に少し話があるの」
「お嬢さま、私がお話ししましょうか?」
部長はグレイフィアさんの申し出をいらないと手をっていなした。
「実はねーー」
部長が口を開いた瞬間だった。床に魔法陣が光りだす。
イッセーは魔法陣が現れたことに困惑していた。
あの紋章は確か………。
「ーーーフェニックス」
木場くんが口からそう漏らした。
やっぱりかフェニックスか。
ボワッ!
魔法陣から炎が巻き起こり、一人のホストっぽい男が佇んでいた。
「ふぅ、人間界は久しぶりだ」
ホスト男は部室を見渡し、リアス部長を目で捉えると口元をにやけさせた。
「愛しのリアス。会いに来たぜ。さあ、リアス。さっそくだが、式の会場を見に行こう。日取りも決まっているんだ、早め早めがいい」
男は、部長の肩に腕を回し連れて行こうとした。
「…………離してちょうだい、ライザー」
部長は男の手を払った。……部長、怒ってるね。完全に起こってますね。
「おい、あんた。突然きてなに訳わかんねぇこと言ってんだ」
イッセーが、イライラした様子でライザーとか言う男に突っかかった。
「あれ?リアス、俺のこと下僕に話してないのか?つーか、なんでこんなとこに人間なんかいんだ?」
「話す必要がないからよ。それに、あの子は部活の部員よ」
「ふーん。別に人間がいようが別に構わないが」
………あの〜。俺、人間じゃなくてドラゴンなんですが?
いつの間にか俺が人間ってことね話が進んでいるんだが………。
グレイフィアさんの方をチラッと向くと、俺に向けて頷いていた。これで良いということだろうか?ん〜、ドラゴンということがバレたら問題になるからだろうか?……グレイフィアさんがそう言うなら大人しく黙っているか。
「兵藤一誠さま」
「は、はい」
グレイフィアさんが、イッセーへ話しかる。
「この方はライザー・フェニックスさま。純潔の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家の三男であらせられます。そして、グレモリー家次期当主の婿殿でもあらせられます」
やっぱりか〜。さっき式とか言ってたしな。
だが、イッセーの頭はついていけてないみたいだ。
「リアスお嬢様と婚約されておられるのです」
その一言にーーー
「ええええええええええええええええええええええええええッッ!!!」
イッセーが絶叫する。………うるさい。横で大きな声を出さないでほしい。
また、面倒なことになってきたな〜。