「行くぞ!グレートレッド!」
俺はそう言って、最初のようにグレートレッドと頭と頭を激突させた。
「……グハッ!」
怯んだのは、グレートレッド。今の俺を覆う大嵐状態の風は、グレートレッドすらも押し返す程。そのできた隙に、ブレスを連続で三発放った。そして、グレートレッドに直接、一つの竜巻を当てる。
「グガアアアァァァアアッ!」
流石にこれはダメージを与えれたようだ。
俺は、もう一つの竜巻の中に入り、そのままグレートレッドの背中へ衝突し、叩き落とした。
ドゴオオオオオオオオン!!!!
グレートレッドが地面に叩き落とされた瞬間………並み大抵じゃない爆音が鳴った。
竜巻のおかげで、アマツの巨大な格好でもかなり速く飛ぶことができ、その速さで真上からぶつかられたら幾らグレートレッドでも飛び続けるとは難しいだろう。
地面に落ちたグレートレッドに、ブレス放つ。だが、今放ったブレスはこれまでのとは違い、風を纏わせていた。そのせいもあり、ブレスの威力がこれまでとは段違いに上がった。グレートレッドも、相殺しようと炎を吐き出すが、今回は相殺しきれず食らってしまう。グレートレッドの叫び声が聞こえてくる。
もう一度ブレスを放とうとすると、それは起こった。
グレートレッドの周りはおろか、周囲は全て、炎に囲まれていた。
「貴様アアアァァァ!ワシを本気で怒らせたなァァァアア!!!」
ーーーーっ!グレートレッドの形相に思わずビビってしまった。それ程に迫力があった。はっきり言って怖い。めっちゃ怖い。
だけど、オーフィスのためにも負けるわけにはいかないんだ!
♢
あれからはただ力と力のぶつかり合い。お互いブレスを放ち、グレートレッドが炎で俺を囲み、突進してきた。それを俺も受けてたち、突進したが互いに風と炎がぶつかり合い、周囲の地面を抉りに抉った。
だが、グレートレッドは俺とは地力が違い、だんだん押され始めた。
そしてーーーーーーーー
俺は力負けし、吹き飛ばされた。
地へ落ちる瞬間、パリンッ!っとなにか結界のようなものを破った。そして俺は、大きな湖に落ちた。
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「サーゼクス!急いで結界をっ!」
「わかっている!」
結界が破られた。これは最悪なことだ。今結界を破られれば、冥界の人々が死ぬ、いや、冥界自体が滅んでしまう!
「急げ!一般市民を速く避難させ直ちに結界を修復するんだ!」
冥界が滅ぶこと………本当に覚悟しなければならないな。
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グレートレッドは湖をジッと見つめていた。だが、いくら経っても出てこない。もう終わったと判断したグレートレッドは、次元の狭間へ帰ろうとした。
そのときーーーーーー
「グガアアァッ!」
湖から水のレーザーのようなものがグレートレッドの首元からお腹までを一直線に斬り裂いた。
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「……ん…」
少しの間、気を失っていたようだ。
くそッ!体が動かねぇ。俺の負けか……。
なんか悔しいなぁ〜。このまま負けるなんて………だからせめて、最後の悪あがきしてやるッ!
確かアマツってゲームでは水属性だったよな。水のレーザーみたいなん吐いてたし。ここには今、大量の水がある。なら………。
俺は大きく口を開き、そこに風で水を集め、大きな水の玉を作った。それを風で纏い、水の玉をレーザーのように細く、そして速く吐き出した。
(うん。激流ブレスと名ずけよう)
この激流ブレスは水がなくても打てるが、威力は下がってしまう。だがここは水中。水がある限り威力が上がるうえに永遠に撃てるっ!
グレートレッドを覆う炎を貫通し、直撃した。悲鳴が聞こえる。相当なダメージのようだ。
グレートレッドは全身から莫大な炎をほとばしらせた。すると、湖の水が全て蒸発した。
襲いかかってくる炎を、俺の周りに暴風を作り、炎を消しとばす。
すぐに地面から飛びグレートレッドと向かい合った。
「………ここまでやるとはな………ハァ、やるではないか貴様……」
「赤龍神帝に……ハァ、言われると光栄だな」
「ふん、だが次で終わりだ」
「あぁ。それはこっちも同じだ」
俺は水を、グレートレッドは炎をため、いっせいに放った。
そしてーーーーーー
頭になにか柔らかいものが当たっている。
ゆっくりと目を覚ますと………オーフィスの顔があった。
この柔らかいのはオーフィスの太ももらしい。つまり今俺は、膝枕されているのだ。
目を開けたとき、オーフィスと目があった。
「龍夜、起きた?」
「あ、ああ。ありがとな………。なぁ、オーフィス俺はどのくらい眠っていたんだ?」
「一ヶ月」
「一ヶ月!そんなに寝てたのかっ!って、もしかして…………俺が起きるまでの一ヶ月、ずっと膝枕してくれてたのか?」
こいつなら平然としてそうだ。俺は恐る恐る聞いてみた。
「うん」
…………まじか。一ヶ月ずっと膝枕。
「ごめんな。俺のことは布団に寝かしといてよかったのに………」
俺が申し訳なく思っていると。
「我、いつも龍夜に膝枕してもらってる。膝枕、気持ちよかった。だから我も、寝ている龍夜に膝枕した」
オーフィスの気持ちが嬉しくて顔がにやけてしまった。いつもする側だったがされてみると確かに気持ちい。
オーフィスはゆっくりと俺の頭を撫でながら言った。
「我、嬉しい」
「嬉しい?」
オーフィスの口からそんな言葉が出てくると思っていなかった俺は、つい聞き返してしまった。
コクリと頷いて続けた。
「龍夜、我のために戦った。勝てる相手じゃないのに戦った」
「も、もしかしてお前、あの戦いを見てたのか?」
「次元の狭間から出てきた後から、ずっと見てた」
見てたなら助けてくれよ、と思った俺は悪くないだろう。
俺の思っているとことが分かったのか
「龍夜、死にそうになったら助けに行った」
「そっか。ならいいや」
本当は良くないが今助かって、オーフィスに膝枕されているからいい。
「龍夜、我を家族と言ってくれた。最初は家族、わからなかった。でも、龍夜が教えてくれた。家族と言われて嬉しかった」
そう言うとオーフィスは一瞬だが……………笑った。
…………………え?笑った?あのいつも無表情のオーフィスが?
オーフィスの笑顔はすごく可愛かった。
不覚にもドキッとしてしまった。今の俺の顔は真っ赤だろう。
「だけど、俺は負けた。お前の帰る場所を取り返せなかった」
そう俺は負けたのだ。最後のブレス、力と力の勝負で負けた。
情けなくて暗い顔していたら、
「別にいい。今、ここが我の帰る場所。次元の狭間じゃない。龍夜がいるここが、我の帰る場所」
そう言ってオーフィスは顔を、俺に近づけ…………俺の唇をそっと塞いだ。
それは一瞬でしかなかった。だが、唇と唇がしっかりと触れ合ったキスだった。
………………。
キ、キスゥゥゥゥゥ!?
お、俺!オーフィスとキスしちゃったよ!
え?まじでキス!?
「我と龍夜、家族。一緒にいる」
そう言うオーフィスの表情は無表情だったが声がほんの少しだけだが弾んでたような気がした。
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ときを少し遡る。
グレートレッドが次元の狭間へ帰っていくのを見届けた私、サーゼクスはホッとしていた。それは私に限ったことではなく、全員がホッとしていた。冥界が滅びずにすんだのだ。
「サーゼクス。あの白いドラゴンはいったい何なんだろうな」
「わからないさ。あのドラゴンが何者かなんて。……しかし驚いたよ。まさかあの赤龍神帝と互角にやりあうとはね」
「それは同感だな。赤龍神帝はウロボロスと並び、世界最強だ。負けたとはいえ、赤龍神帝にも相当なダメージを与えていた」
「これは、各神話体系も慌てずにはいられないだろうな」
このあと、三代勢力、各神話の主神も集まり、話し合いがおこなわれた。そして、赤龍神帝グレートレッドと互角に戦った謎の白いドラゴンを、
とてつもない風を操ることから「暴風と竜巻を従える龍」もしくは「風神」と呼ばれるようになり、そのドラゴンの名を、「天津禍津神」「天災の龍」これらからアマツマガツチと名ずけられ、赤龍神帝と並び、白龍神皇と呼ばれたよになった。
そして俺は……白龍神皇アマツマガツチとなった。
急いで6話まで更新しました。
そのため誤字がありましたら教えてください。
これからもこの作品をどうかよろしくお願いします。