Monster Hunter 《children recode 》 作:Gurren-双龍
年内投稿したかったけど間に合わなかったです。すみませんでした。
しかも、その割に長くない。
今年中に第一章終わらせてえなぁ……
2012年 7月24日
午前七時。目が覚める。鳴る前の目覚まし時計を止め、ベッドを出る。顔を洗う。牛乳を飲む。伸びをする。
ここまではいつも通りの朝だ。……ホント、ここまでは。
ジリリリリリリリリ!!!!!
……
「おい!起きろ
「うーん……あと一時間……」
「五分十分では飽き足らず一時間だぁ!? いい加減にしやがれ!?」
本来なら自宅で寝食を過ごす筈の真治が、俺と同じ部屋で寝ている事の発端は、三日前に遡る。
◇◆◇◆◇
同月21日
「最低一週間、俺と真治で同棲!?」
「冗談じゃないわよ!?」
突如言い渡された同棲命令。その真意は『互いの細かな生活態度を知ることで相手の細かな立ち回りの源泉を学び、更なる連携の強化を計る』という物だった。アニキの言っていた『答えは日常の中にある』の意味はわかった。だが納得は行かない。
正直に言うなら、答えは真治と同様、『冗談じゃない』だ。確かに出会った当初に比べれば、互いに態度は柔らかくなった。だが『出会った当初に比べて』程度だ。良きライバルとは思っても、流石にそこまでは……といった感じだ。
しかし――
「残念だけど、これはお姉ちゃん命令兼師匠命令。そして――」
「支部長命令でもある。悪いが従ってもらうぞ」
「「……了解」」
真癒さんと支部長の鶴の一声で、結局押し切られる形となった。
◇◆◇◆◇
そうして今に至る。因みに俺がこいつを起こす理由は、『ついでにこれを機に真治の生活態度も改善したい』という真癒さんの要望でもある。しかし現実はこのザマ。虚しくなる。
今のようになった原因を思い返しながら
「もしもし真癒さん。雄也です。バカ真治を叩き起こすための救援要請を――」
「うわぁ!? おおおお、起きる起きる!起きてるから!」
「なら初めからそうしやがれこのアホンダラ!!」
同棲開始から三度目の朝。今日もブチ切れた出勤前となった。
◇◆◇◆◇
「いっっっったぁ………!」
「自業自得だ大バカ」
結局、真治はあの後起きたものの、着替えとかに手間取って真癒さんが決めた時間に間に合わず、ゲンコツを貰った。真癒さん曰く、『愛のムチ』らしい。アレはむしろ『裁きの鉄槌』とかの方が正しい気がするが。
因みに俺は真治を見捨てて先に行ってたので、ゲンコツを食らった真治を朝の余興にして、優雅に朝食を摂った。ご飯とか鮭の塩焼き、美味しかったです、食堂のおばちゃん。
「こうなったら! さっさとARシミュレータ使って特訓よ!」
「はいはい」
半ばやけ気味に、真治は訓練室に突撃していった。元気なもんだ。
置いてかれるのも癪だし、俺も追うか。
◇◆◇◆◇
「よっしゃ俺が先ぃ!」
「あぁーっ、もうっ!!」
いつの間にか競走になり、俺が先に着いた。誰ともぶつからなかったのは不幸中の幸い――
「何してんの二人共ォ!!」
「アガッ!?」
「タァッ!?」
残念ながら真癒さんのゲンコツが待ってる為、俺達は競走した時点で不幸に会うのが確定していた。失念していたたたたた痛ぁぁぁぁいぃぃぃ……!!
「ははは、元気な子達だねェ、マユ」
「ほんっと、手間がかかるよ……」
「良い後輩である証拠だよォ。同時に、マユがイイ先輩である証拠かなァ」
うずくまっていると、知らない声が聴こえてきた。女性のものだ。日本語だが、若干語尾が伸びてるというか上がってるというか。外人さんか?
顔を上げてみると真癒さんの隣に、灰色の短髪で褐色肌で童顔の女性が立っていた。服装は青を基調としており、七分丈のジーパンとデニムジャケットといった出で立ちだ。
「やァ、はじめましてェ。アタシは『ナナーラ=ツァルコ』。【メキシコシティ支部】から来たよォ」
「は、はじめまして。俺は――」
「わァ!君がマユの弟子だねェ!会いたかったんだァ!」
「うわぁ!?」
自己紹介しようとしたら、ナナーラさんに抱きつかれた。なんだこれ。
「ん、んーっ……いい感じィ。君はイイ〈ハンター〉になれるよォ」
「そそそ、そうですか!ありがとうございますぅ!でもちょちょちょぉ!?」
「はぁ……始まった。ほらナナ。困ってるからそこまで」
「んー、分かったよォ」
やっと……解放された。全身揉みくちゃにされた挙句、ナナーラさんの二つのラングロトラに嵐のような洗礼を受けた。とても柔らかか――真癒さんから殺気が。やめておこう。
「ま、真癒さん。い、今のは……」
「また見れるから待ってて」
「つーっ……気絶してた……って、貴女誰で――」
「アナタがマユの妹ォ!?可愛いわァ!」
「うにゃぁぁぁぁ!?」
「あ」
今度は互いに自己紹介する前に真治が揉みしだかれ始めた。なんだこれは(二回目)。
「ナナはね……昔から初対面の人を揉みしだいてどんな人か知ろうとするの」
「なんすかそのコミュニケーション法は……」
「お陰で何度もビ〇チと誤解されてたよ。主にスタッフさんに。勘違いした人がセクハラに及んでそのまま逮捕された事例もあるし」
「えぇ……」
口からは引いたような声が出たが、ぶっちゃけ納得はしてる。何せ、あんなデカい山二つに洗礼を受けては、仕方ない気がする。
「ほらナナ、そこまで。話が進まない」
「分かったよォー」
「っっ……はぁ、はぁ……」
「だ、大丈夫か真治」
「す、凄かった……」
「お、おう」
なんでだろうか、真治が何かに目覚めそうだった。真癒さんに目を向けると『構わん』という首肯が返ってきた。ならば良し。行くぞ。
「帰ってこい!」
「あだァ!?」
思いっきりビンタ。夢から覚めるにはこれが一番だ。
◇◆◇◆◇
真治が帰って来たので、話が再開した。因みに俺も仕返しで頬に紅葉を作るハメになった。解せぬ。
「ごほん。それじゃ、改めて紹介するね。この子は『ナナーラ=ツァルコ』。メキシコの【メキシコシティ支部】から来た〈ハンター〉にして、『炎妃龍 ナナ・テスカトリ』の〈龍血者〉だよ」
「マユの同期でもあるよォ。よろしくゥ」
「はじめまして。『
「『
「んっんーっ……二人共、きっとイイ〈ハンター〉になれるよォ!!」
「ありがとうございます!」
真癒さんの同期、即ちそれは歴戦の猛者であるということだ。事実、その手足にはいくつか傷跡が見える。
「元々は北朝鮮――あァ、これは四年前までの名称だねェ。今は『朝鮮半島北方国跡地』だっけェ?」
「そうだね。そこの調査に行く途中だったけど、機材トラブルで急遽延期になったからこっちに来たんだっけ?」
「そォそォ。まァ、マユに会えたから機材トラブルに関しては良ィかな、って感じだよォ」
北朝鮮、朝鮮半島北方国跡地。この二つの呼び名は、文字通り朝鮮半島の北半分を指すものだ。かつてのその国は、第二次大戦終戦から鎖国的――日本と違い、あらゆる国を受け付けなかったので鎖国以上だろうか――な政策を行い、龍大戦時代においては【ハンドルマ】の前身にあたる機関すら受け付けなかったという。結果その国は、龍大戦終戦の時点で壊滅寸前、国としての機能がかろうじて残った程度になる。そして四年前。結局、そこまであらゆる全ての入国を許さなかったかの国は、〈モンスター〉達によって滅んだという。……一年前の授業も、丁度こんなところだった気がする。気がするだけだが。因みに今ではその地は、南側である韓国と合併されることなく、【ハンドルマ】の管理下にあるという。
「それでマユゥ? ここに来たのはアタシの意思だけどォ、トレーニングルームに呼んだのはなんでェ?」
「そうだった。うん、今から説明するね」
言い終わると同時、真癒さんが黒天白夜を取り出した。
「二人にね、剣士とガンナーのツーマンセルの立ち回りの一例を見せてあげたくてね」
「なァるほどォ。腕の見せどころねェ」
ナナーラさんも武器を取り出す。〈モンスター〉の胴体みたいな形状で、銃口部に生き物の頭部のようなパーツ――恐らく、
「それでマユゥ? 相手はァ?」
「そうだね……二人の試験相手は飛竜になるらしいし、なるべくそこそこ強いのかな」
「んーじゃァ、エスピナスとやりたいよォ」
「あぁ……ごめん、今回は選ばせて。二人のためのだし」
「分かったよォ」
「あの、設定してきましょうか?」
「んー? いいよ別に。二人は観覧席行ってて。誠也が設定するし」
「アニキそこにいたのか……」
「それじゃ行きましょ」
「アタシのはヘビィだけどォ、参考になるよォ頑張るねェ!」
「……じっくり見させてもらいます」
「お前敬語使えたのか……」
「フンッ!!」
「いだぁ!?」
足を踏まれた。まあ仕方ない。さて、行くとするか。
◇◆◇◆◇
「お、来たか」
「アニキ、相手は誰なんだ?」
「気が早いな。まあ見てろ」
椅子に座り、ARシミュレータフィールドが張られたトレーニングルームを映すモニターに目を向ける。フィールドは……『峡谷』か。となると相手は……
「始まったぞ」
「……ゴクリ」
「鍾乳洞か……っつー事は」
グルル……ガジュッ
「……『呑竜 パリアプリア』か」
「因みにそれの剛種だ」
「また凄いのを選んだわね……」
『剛種』。〈モンスター〉達全体の中で、一定の強さを保持する強靭な個体全体を指す言葉だ。なので剛種以上の存在のみが確認されている〈モンスター〉もいるらしい。俺はまだ上位〈ハンター〉ですらないため、剛種との戦闘資格を持っていない。故に聞いた話しか分からない。
「ん?通信?ナナーラからだな」
「あれ? アニキと同い年なのか?」
「一応な。なんか姐御を狙ってると思われてるらしいが」
「あ、あはは……」
『そんなのは今どうでもいいのさァ! それよりもォ! ユウヤァ!』
「あ、はい!」
『よォくマユを見ててねェ!凄いの見れるかもだからァ!』
「え?」
『んじゃァねェ』
通信が切れる。真癒さんを見ておけ、か。言われずともなのだが、それ抜きに何かあるのだろうか。なんにせよますます目が離せなくなってきた。
グルル……ギャシャァァァ!!
パリアプリアが応戦体勢となった。
――『呑竜 パリアプリア』。サンショウウオと一般的な四足歩行飛竜を足して割ったような見た目の飛竜種〈モンスター〉。つぶらな瞳と体のあちこちに付いたヒレのような部位が特徴的。非常に食欲が強い肉食で、その上選り好みが激しく、気に入らなければ暴れ出すとのこと。肉以外も平気で呑み込む大食漢。胃液が異常な酸性を持ち、馬鹿げた食欲を満たさないほどの強酸で、吐き出して攻撃する事もある。……試験では飛竜とやり合うと聞いて、あらゆる飛竜を調べた時の知識だ。そしてこいつの動きは――
「なにあれ、まるでトロいわね」
「別段、俊敏な〈モンスター〉じゃあねえからな。まあ油断はできねえさ」
「なにせ、パリアプリアには」
ゴゴォッ!!
「呑み込んだ物を吐き出してぶつける、なんて攻撃もあるらしいしな」
さっきの突進(と言うにはあまりにも鈍い動きだったが)を、地面の石を口に含みながら行ったため、奴の口には体力の砂礫が隠されている。
真癒さんは突進後の隙を付いてすぐさま斬り付けるが、奴は先程の石を上に吹き出し、雨あられと周囲に叩きつける。察知していた真癒さんはすぐさま後退する。無論、ガンナーには隙でしかない行動のため、ナナーラさんは柔らかい尻尾に火炎弾を叩き込む。当然、痛みに奴は怯み出す。しかし動きが激しくなる事はない。
『パリアプリア』は食欲に神経すら注ぎ込んでいるため、激しい興奮状態に陥る、なんて事がまずない。本来は興奮状態になれば消化器官の機能が多少抑制される。しかし奴にはそれがない。消化器官の機能抑制が起これば、奴の身には甚大な異常が発生するからだろう。副交感神経の働きが余りにも強いのかもしれない。
激しい興奮状態に陥らない。つまりは俗に言う『怒り状態』にならない、という事だ。これは戦況を大きく乱す要素が無いということ。つまりは〈ハンター〉側が状況を保てば、基本的に苦労する相手ではないということ。にも関わらずこの相手を選んだ。何のつもりなのだろうか。……目を、離さないでおこう。
◆◇◆◇◆
チラ見した雄也の顔が少し怪訝な感じだ。パリアプリアを選んだことを少し怪しんでいるのかな?まあ、無理もないか。こいつじゃないと、
グルォ!!
飛びかかってきた。難なく躱す。……『対剛種』の資格を持つ〈ハンター〉が二人もいるのだ。遅れは取らない。……そろそろいいかな。
「ナナ!やるよ!」
「オッケェ!! ガツンとやっちゃえェ!!」
数多の〈ハンター〉に『死刑宣告』と言われた私の〈鬼人化〉。――しかし。
「ハァァァッ!!!」
鬼人化。双剣を天に向けて掲げ、そして更に――
「テヤァァァッ!!」
身体の縛りを更に振りほどくように、天より地の水平へと切っ先を向ける。――これが、双剣使いの奥義。〈鬼人化〉を超えた更なる境地。その名も――
「〈真・鬼人解放〉ッ!!!!」
この身と剣が、更なる紅蓮を纏う。
真癒さんの言ってる意味、分かりにくいからここで説明。
要はパリアプリアじゃないと〈真・鬼人解放〉の負荷と付き合いながら戦えない、という事です。
あと、北朝鮮には滅んで頂きました。恨みがある訳では無いですが、本作の最終地点とかの事考えると非常に邪魔というかなんというか。まあ政治思想は絡んでないので悪しからず。