Monster Hunter 《children recode 》   作:Gurren-双龍

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筆が乗るとこんなに早く書けるんですね。いつもこれぐらいならいいのに

試験的ですがタイトル変えました。納得したらこのまま行きます


第17話 紅煌双影

7月24日

 

「『迅竜』……」

「『ナルガクルガ』……」

 

龍大戦時代の富士の樹海にて、ある石板が発掘された事がある。その石版には、黒い竜の事が書かれてあったという。そしてそこから数ヶ月後。その記述に該当する〈モンスター〉が現れた。それがこの『ナルガクルガ』だ。甲殻ではなく体毛に覆われた柔軟な黒い身体で、縦横無尽に森林を飛び回って〈ハンター〉達を翻弄しただけでなく、強靱かつしなやかな尾を用いた必殺の一撃を持つという、極めて隙のない〈モンスター〉だ。

それが俺達の試験対象。強者でも不慣れであれば、瞬く間にボロボロにされる、そんな強豪だ。しかし――

 

「……また強力なのが来たな」

「相手にとって不足はないわ」

 

——互いを信じれるのならば、問題ない。俺も、真治を信じきってみたい……!

 

「了解しました。それでは、ヒトヨンサンマルに、ヘリポートまでお願いします」

 

現在時刻はPM14:00(ごごにじ)。三十分で支度しろ、との事だ。大丈夫だな。

 

「分かりました」

「すぐに済ませてきます」

「では、二人は三十分後までにここに戻ってきてください」

「「了解!」」

 

すぐさま司令室を出た。確か奴は、熱や電流を苦手としている。即ち火属性と雷属性の武器が適しているという事だ。

そして昨夜、その武器の整備が完了したという知らせが入った。まだ一度も振るってはいないが、多少の素振りをする時間はあるだろう。急ごう。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「カッカッカッ!出来ておるぞ!持ってけ!!」

「……こいつが……って、思ったより熱が通るな」

「そら、火竜の魂そのものみてぇなモンだからなぁ」

 

布に包まれた二振りの剣は、まるで生きてるが如く強き熱を抱いていた。その双剣の銘は『ツインフレイム改』。天空の赤き王『リオレウス』と大地の緑の女王『リオレイア』の魂を封じ込めた赤緑の双剣だ。その刀身が秘める炎熱は、火竜の炎そのもの。あらゆる障害を焼き斬る代物だ。

 

「気に入ったか?」

「最高だよおやっさん」

「カッ!なら持ってけぇ!だが無茶な扱いはするんじゃねえぞ!」

「そうならないように気をつけるよ!」

 

A(アームド)C(カスタマー)C(コンパクト)デバイスを起動、『ツインフレイム改』を登録する。よし、あとはアイテム整理だけだ。『購買課』に行くかな。

『武具課』を出ようとすると、真治とすれ違う。

 

「先に言ってて。結構調整に時間かけるから」

「分かった……あのさ」

「ん?」

「俺も、お前を信じてみる」

「……そこそこ期待してる」

 

そのまま中に入っていった。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「なんて言うか、無理して迷走しそうよねアイツ」

 

試し撃ちと細かい調整を済ませて司令室に向かう途中。アイツの言葉を吟味して、つい口を突いて出た言葉がさっきの物だ。アイツはアタシを『信じたい』なんて言ってたけど、なんとなく、アタシはアイツが己の言葉通りの事を出来ない気がしていた。

何故ならアイツは、独りでなんでもしようとする癖があるからだ。どう育ってああなったかは知らないが、少なくともアタシと二人の時はやたらと突っ走る。初陣でアタシを抱えて、リオレウスとリオレイアの亜種から逃げた時の反応がいい例だ。要するに、切羽詰まると人の話を聞かないのだ。

 

「……ちゃんと、合間を縫ってしっかり話さなきゃね」

 

その為にも、お願いね。『赤緑の対弩』。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

俺が生まれた『玉野市』は海に面しているため、いくつか港町がある。

俺と真癒さんはその内一つの港町……の隣の区域で出会った。そして今回行くのは、山と海に挟まれた区域の山だ。ナルガクルガはそこに現れたらしい。そう聞いた俺は、とても憂鬱だ。

 

「随分と暗い顔ね。何があったのよ?」

 

そう聞いてくる真治は、得物の点検をしていた。どうやら無言でやるのに飽きたがための暇潰しと、素朴な疑問の解消を兼ねての問いのようだ。

 

「……この山の辺りに婆ちゃん()があんだよ。父方のな」

「ふーん……心配ね」

「避難はしてるだろうけどさ、家を壊させたくねえんだ。思い出あるし、婆ちゃんの飯は美味いからさ。しばらく食べられなくなるのは嫌だな、って」

「……そうね。じゃ、無事に終わったらアンタの婆ちゃん家で祝勝会のご飯でも頂こうかしら」

「いきなりな上に随分図々しい提案だな……別にいいけど」

 

気の紛れるような会話をしていると、スピーカーが雑音を出し始めた。アナウンスか。

 

『間もなく降下地点に到達します。準備確認の方をお願いします』

「「了解!」」

 

まずはアイテム確認。治療薬飲料(回復アイテム)を数種類、鬼人薬や硬化薬に加えて強走薬グレートのような一時的なドーピング剤、閃光玉やペイントボールに音爆弾とこやし玉といった投擲系アイテム、砥石と罠に捕獲用麻酔玉、そして各種毒薬を塗り込んだ投げナイフ。これが今回持ち込んだアイテムだ。どれも欠けることなく持ち込まれてる。問題ない。

続いて双剣。『ツインフレイム改』は受け取った時と同じ熱を帯びている。

そして防具。リオソウルシリーズはおやっさんがしっかり整備してくれてるお陰で何の問題もない。ナルガクルガの甲高い咆哮も防いでくれることだろう。

 

「いつでも行けるわ」

「同じく」

『到着しました。ご武運を』

 

見下ろすと、木の枝の無い開けた場所が真下にあった。あそこが今回のベースキャンプなのか。

 

「行くぞ!」

「言われずとも!」

 

俺はリオソウルを纏い、真治はリオハートを纏い、森に降りる。

 

「……なるほどね、〈モンスター〉が入れないほど小さく、しかし人間が活動するには問題無い広さね」

「設営班は相変わらずすげえよな」

「アタシ達も手は抜けないわ。さっさと整えるわよ」

「おうよ」

 

すぐさま鬼人薬と硬化薬を口に放り込む。

 

「……やっぱり不味い」

「味の改善が早くされると良いわね。その前にアンタの味覚が壊れるかもだけど」

「そうならねえといいなぁ……」

 

強走薬は発見の目処が立ってから飲むとしよう。いくら改良版(グレート)でも、効果時間は一時間にも満たないため、歩くだけで貴重な強走薬を消費したくないのだ。まあ、既に舌がグチャグチャだし、時間を空けたいというのもある。

 

「さて、マップはどうなってる?」

「……やっぱり一つ一つが狭いわね。大きな山でもないけど木が多いから、ナルガクルガは左右(よこむき)じゃなくて上下(たてむき)の動きが多くなるかもね」

 

ナルガクルガが脅威とされたのは、その速度だけでなく地形に対して柔軟に動き回る点だ。甲殻を持たないがために余計に動きを阻害されることが無く、迅速な攻撃を行える。つまり、ヒット&アウェイの立ち回りを要する相手だ。

 

「……となると、木が多そうな辺りか」

「山林だからどこも多い気がするけど」

「少なくとも人が使う道より、林の中の方がいる気がする」

「同感ね。あと、出来れば『ケルビ』を見つけたいわね。奴を誘い出せるかもだし」

「……〈モンスター〉と言えど、小動物を囮に使うのは気が引けるな」

 

取り敢えずの方針が決まった。林にあたる場所は……あっちか。

 

「アテがある。付いてこい」

「来たことあるの?」

「そこそこ前、親父が一家勢揃いでピクニックしよう、つった時に来たことがある」

 

もう昔の話同然だがな。

 

「ところで真治、そいつは……」

「ああ、このボウガン?『スパルタカスファイア』も『ヴァルキリーファイア』も中途半端だー、ってお姉ちゃんがおやっさんに頼んだんだって。さっきの二つを足して二で割らない性能を目指したんだってさ。毒弾と火炎弾の速射に長けてるわ」

「それは心強いな」

「当然、使いこなすわ」

 

そこで雑談を切り上げる、と言わんばかりに走り出した真治を見て俺は、麻痺投げナイフを指したホルダーを太腿に付け、真治を追い始める事にした。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「……この傷」

「どう見てもナルガクルガだな」

 

俺のアテの一つにたどり着くと、そこは何本かの木が切り倒されており、残った木にもいくつか刀傷や刺さった棘が見受けられた。棘は黒く、刀傷と思われる物もとても鋭く、かつ荒々しいモノだった。ナルガクルガのモノと見て間違いない。

 

「……そろそろ強走薬飲んでおく」

「火炎弾は、とっくに込めてるわ」

 

ならペイントは俺の役目だ。オマケにリオソウルの耳栓ならば、ナルガクルガの咆哮にも十分な効果を発揮し、吠えるアイツにも一撃は加えられるはずだ。

 

キュルルゥゥイ!!

 

「っ!ケルビの鳴き声ね」

「大分切羽詰まってる……もしや」

「行くわよ」

「待て、剣士の俺が先行する」

 

ケルビ。ナルガクルガが仕留めたこの小型〈モンスター〉を捕食している姿が多かったことから、ナルガクルガの主食とされている〈モンスター〉。基本的に臆病。その角に含まれる特殊な成分は、文字通りの『万能薬』になりうるモノであり、『改良秘薬』の名前で〈ハンター〉達に支給されている。と言っても、真癒さんや陽子さんレベルの高位の〈ハンター〉に限るとのこと。数が少ないことが要因らしい。

 

「馬みたいな足音ね」

「こっちに来てるな」

 

キュウウウ!!

 

「随分慌ててるな」

「黒色……メスね。なんかお腹が大きいし」

「ッ!! って事は、今もしかして……!」

「ええ、さっさと見つけるわよ。アタシも、あのケルビがやられるのはあんまり好かないし」

「……おうッ!」

 

音を立てぬよう、なおかつ迅速にケルビの足跡を辿った。足跡は茂みの方向にあった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

前と足跡を交互に見ながら歩いていると茂みの端、すなわち開けた場所が見えてきた。少し薄暗い気はするが、視界はそこまで悪くない。……正直、ナルガクルガ相手だと不足な気はするが。

 

「あの黒い影は……」

「間違いない、ナルガクルガだ」

 

フルル……グシュルルル……

 

視線の先には、『迅竜 ナルガクルガ』が興奮気味にケルビの肉を啄んでいた。ケルビの色は……ダメだ、血で汚れて分からない。

 

「……オスね。角がメス(さっきの)より大きいわ」

「それじゃあつまり――」

「試験、開始よ。構えなさい」

「……なら、作戦がある」

「いいわ、教えて」

「まず――」

 

説明を終え、俺と真治は静かに動いた。

 

『――こちら真治。位置に付いたわ』

「こちら雄也、同じくだ。いつでも始められるな?」

『始めから装填済みよ』

「オーケーだ。なら……行くぞ……!」

 

通信を切ると同時、ナルガクルガはちょうどケルビを食べ終えた。頭の位置は動いてない。ならば行ける……!

 

「タッ!」

 

ホルダーから五本の『麻痺投げナイフ』を抜き、その内の二本をナルガクルガの頭部に当てた。

 

……ッ!!フシュルルル………!

 

こっちを向いた。次は『毒投げナイフ』!

 

フルル……コアァァァァァァ!!!

 

()()()()()()()()()()()()事は、真治も知っている。なにせそれが『合図』だからだ。

 

「せいぜい味わいなさい!」

 

茂みから現れた『赤緑の対弩』の銃口から、三発の弾丸が放たれた。

――速射。多くのライトボウガンに搭載された特殊機構。特定の弾丸を内部装置の龍力でコピーし、一定数追加で射出する機構だ。この機構もあってか、ライトボウガンのカスタムは外付け以外では不可能に近いものであるが、強力な性能を発揮する物がほとんどだ。そしてこの機構は、設計時点で発生しない。つまり、用いた素材が持っていた龍力が自然と生み出した『奇跡の機構』なのである。

 

閑話休題

 

火炎弾の速射。威嚇の咆哮を行ったナルガクルガにとってこれは、避けられない攻撃であった。必然として、彼は痛手を被る。

そして奴が咆哮したという事は、リオソウルを着た(みみせんをつけた)俺にとって大きな隙だ。

 

「開幕で!食らっとけぇ!!」

 

ギュエエエエ!?

 

鬼人化と乱舞。二本の炎の翼が、火炎弾共々ナルガクルガの顔面を灼き尽くす。効果覿面。奴は大きく怯んだ。であれば奴は――

 

ギュアァ!!

 

乱舞の最終段(ふりおろし)から顔を上げると、ナルガクルガは既に眼前にはいなかった。しかし紅い残光が目の前に残っていた。すぐさま振り向く。既にナルガクルガは俺の背後に回っていた。――(はや)い。一瞬で背後に回られた。

 

フルル……ゴアァァァァァァァァァァ!!!!

 

もしこれが興奮による過剰な威嚇を示す咆哮でなかった場合、既に俺はここで色んなものとおさらばしていた所だ。嫌な冷や汗が背筋を伝う。危なかった。侮ったつもりは無いが、もっと気を引き締めねば。

 

「雄也!麻痺投げナイフは!?」

「あと三本。少なくともあと一本でいける。毒投げナイフも撃った。()()()()()()()()()()

「……分かったわ」

 

フルル…………!

 

ナルガクルガはこちらの出方を警戒してか、こちらを睨む。すぐには動かないだろう。

それを見た真治が火炎弾を再装填している間、右太腿のホルダーに手を伸ばした。こっちには麻痺投げナイフ。左太腿にも手を伸ばす。こっちは毒。そして左腰――アイテムポーチは右腰側だ――のホルダーに手を伸ばす。これは『眠り投げナイフ』。これはこちらの態勢が大きく崩れた時の保険だ。いかに大型飛竜種〈モンスター〉と言えど、眠っていればすぐに襲われることはない。取り敢えず今は、『眠り投げナイフ』に用はない。右に麻痺を一本、毒を二本掴む。指同士で挟むようにかつブレないように、指一本ずつに確実に力を込める。狙いは頭部。すぐさま攻撃に転じれるよう、左には緑剣(リオレイア)を掴む。

 

「アタシが撃ったら動いて」

「オーケーだ」

 

右手を振りかぶる。ただし真後ろではなく左側にだ。これなら射角が広い。

 

タン!タン!!タァン!!!

 

火炎弾が放たれた。

 

ギュアァ!!

 

対しナルガクルガは、回り込むように跳び跳ねる。右側……ありがとよ……そこは射程内だ……!

 

「たァ!!」

 

動き回るやつに対し、この際当たる箇所は問わない。刃翼以外に当たれば良い。だが俺の狙いは――

 

ゴォエェェ!?

 

──グレート、だ。飛び上がった瞬間にいきなり全身が言うことを聞かなくなり、そのまま着地出来ずに転倒した。心做しか、目の紅光は弱まり、顔色も悪く見える。毒が効いてる証拠だ。

 

「今だ!!」

 

右に赤剣(リオレウス)を構え、即座にナルガクルガの頭部に飛びついた。狙うは当然、弱点への乱舞だ。だが、真治の射線を遮っては勝利が遠のく。ここは真治に頭の先を譲っていこう。

 

「でやぁぁ――」

「待ってバカ!?」

「え?――っだァ!?」

 

突如、背中に三回衝撃が叩き付けられた。しかも熱い。これは……火炎弾か!?

 

「おい真治!!」

「アンタこそなんで射線に入るのよ!?」

「お前にそっちを譲ろうとしたんだよ!」

「はあ!? い、いいわよ別にそんなの!」

「そんなのって何だよ!?もういい!」

 

ナルガクルガへの攻撃を再開しようと振り向くとそこには――既に迅竜の姿は無かった。

 

「……どこ行ったんだよ」

「アタシも、見てないわ」

 

溜息をつき、再探索に切り替えようとしたその矢先――

 

ゴアァァァァァァァァァァ!!!

 

上から咆哮が鳴り響いた。蹲りながらも振り向くと、樹上に迅竜がいた。

 

「ッ!! そこか!」

「……待って!アイツ……さっきの奴じゃない!」

「――え?」

 

コアァァァァァァ!!!

 

背後からも甲高い咆哮が鳴り響いた。つまりこれは――

 

『緊急事態です!!ナルガクルガは……()()いました!!』

「……ッ!!」

「ふざけないで……欲しいわね……ッ!!」

 

上位昇格試験は、混迷の状況に突入し始めた。




〈オリジナル武器紹介〉
赤緑の対弩
作品内設定:リオレイアのライトボウガン『ヴァルキリーファイア』とリオレウスのライトボウガン『スパルタカスファイア』の長所を掛け合わせた新型ライトボウガン。火炎弾と毒弾の発射に長けている。

メタ的な設定:雄也がツインフレイムで雌雄両方使うのに真治だけ片方なのが嫌だったので、P2GのG級ライトボウガン『深紅深碧の対弩』の下位版として出した。上位版だと『紅碧の対弩』になる。

今後もこんな解説があったりなかったり
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