Monster Hunter 《children recode 》   作:Gurren-双龍

21 / 32
ざっと一ヶ月ぶり、おはこんばんちは、Gurren-双龍です。

3ヶ月+約2週間ぶりのチルレコでございます。短編書いてたら力尽きたんです七月中には更新出来たから許してくださいなん(ry(言ってないよ)


第20話 雪に降り立つ白と黒

2013年 1月17日

 

「……着きましたね」

「うん。取り敢えず先遣隊と合流しよっか」

 

ヘリから降りて、白銀の地を睨む。風でマフラーが靡く。凍えた強風が山地(ここ)の厳しさを感じさせる。

 

「…………寒っ!!」

「雪まで積もってるのにその程度の防寒じゃあ、そりゃ寒くもなるってば……」

 

そんな俺の服装は、適当なロングのTシャツの上にそこそこ厚めの黒パーカー、そして適当な黒い長ズボン。そこにマフラーと手袋程度。なるほど寒くなるわけだ。

さて、そんな訳でここは岡山県県北。俺と真癒さんは蒜山高原のとある山地にやってきた。ジャージー牛の飼育が出来るほど北海道とほぼ同じ気候になるこの山地は、恐らく西日本で最も寒い場所だろう。

因みにホットドリンクで事足りるだろ、と鷹をくくってた俺は見事に己の考えの甘さを思い知らされている。死ぬ。この寒さは死ねる。

さて、今回ここに来た理由は、この蒜山高原でとあるモンスターの反応が確認されたからだ。飛竜であること以外不明であり、その情報を掴んだ際のレーダーもどこかノイズがかった調子だったという。未確認の古龍級の可能性も鑑みた結果、うちのエースである真癒さんと、真癒さんの指名で俺がここにお呼びとなった。まあ実際のところは、アニキが出張中で俺か真治のどちらかが留守番役として残らなきゃだったので、修行も兼ねて俺を指名した模様。なんにせよ経験の機会をくれるのはありがたい。

 

「……さて、早速現地入りしますか?」

「うーん、調査開始は明日からだし、それまではゆっくりしない?」

「それは賛成……でも言っときますが、俺にスキーは出来ないし、出来るとしても無駄に疲れそうなので遠慮しますよ?」

「もちろん分かってるよ」

 

これからの予定を話しながら、物資輸送と拠点設営を行った先遣隊のいる宿に向かう。と言っても部屋は彼らとは違うらしい。わざわざ用意してくれたとのこと。着いたら礼を言わねば。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

『んで、何でアンタはアタシに電話してんのよ?』

「仕事以外で真癒さんと二人きりの経験、ほぼ無いんだから助けてくれ。いくら師弟でもプライベートで気まずくするのは嫌だ」

 

宿について荷物を預けた俺と真癒さんはそのまま出掛けることになった。しかし女性と二人きりという状況に耐性のない俺にはどうしたらいいのか分からないため、同期にして真癒さんの妹という強い立場の真治を頼ることとした。

 

『適当にやんなさいよ。アタシは今から射撃訓練に入るのよ』

「適当ってお前な……」

『いつぞやの夏に3人で出かけた時、アンタ凄いフリーダムだったじゃない。アレで行けばいいじゃない』

「そらお前がいたから問題ないなー、って思ってそうしてただけだっつーの!」

 

しかし首尾は良くない。完全に突き放されてるのである。だがこんなところでは終われない。何の成果も得られませんでした、なんて冗談はやだね!

 

『だからそれで大丈夫だってば。お姉ちゃんは騒がしいの好きじゃないし、要所要所の反応があればそんなに心配しないし、そもそもアンタだからその辺は分かってそうだし』

「……それもそうか……待て、騒がしいの好きじゃない、って。アニキはどうなる?」

『例外なんじゃない?とにかく、アタシは行くわよ。じゃあね』

「おう。頑張れよ」

『そっちもね』

 

電話が切れる。ここまで大丈夫と言われたら流石に引き下がる。

さて、何でわざわざ真治に助けを乞うたかといえば──

 

「雄也ー。早く行くよー」

「……はい」

「楽しみだねー。最近出来た()()()()()()()

「……そうですねー」

 

人酔いすると俺は、無言かつゾンビみたいに呻くのだ。そして行き先は、人酔いしやすい俺が最も苦手な、デパートであった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

宿からバスで20分ほど。例の大型デパートに着いた。目を輝かせてる真癒さんとは対照的に、俺は少しブルーな気分であった。

 

「おー。大きいね」

「……色々ありそうですね」

「さてと。久しぶりのお出かけだから楽しみだなぁ」

「……自分は買う物ないので、荷物持ちに徹します」

「何言ってるの。今日の目的の一つは雄也の服だよ?」

「…………はい?」

 

想像の埒外の返答に、久しぶりにかなり間抜けな声を出してしまった。顔もさぞ間抜けなものなのだろう。

 

「ほら行くよ。私のも選ぶからササッとね」

「ちょ、ちょっと待って真癒さん、何で俺の服?」

「し◯◯らなんかで適当に見繕ってる弟子のセンスを磨くのも師匠の務め!良いの選んであげる!!」

「あ、ちょっ、引っ張らんでくださいよ転けるぅっ!?」

 

気乗りしない、とまでは言わずともスイッチオフのまま連行されてしまった。あぁ、もう二年近く会ってない両親よ。息子の服装センスはここでアップデートされるようです。お前ら俺がガキの時にもっとマシな服選んどけやチキショウ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「雄也!これいいかも!これは!?これもどう!?」

「服の名前とか全然わからんし組み合わせの良さとかの知識も皆無なんでわからんです!!」

 

そこそこ大手の服飾店のテナント。俺は見事に着せ替え人形にされていた。しかも知らない単語を並べ立てられて混乱する。なるほど、訓練生時代の座学でめっちゃ頭抱えてた真治の心境はこういう事か。次からそういう方向でいじるのやめてあげよう。

 

閑話休題(まあそれはさておき)

 

冬服など、Tシャツとパーカーと長ズボンとジャンパーくらいしか知識がない俺には、『ダッフルコート』すら『ワッフルチョコ』と脳内変換して現実逃避してしまうため、真癒さんの言ってる意味がイマイチわからん。ジャケットがギリギリなんなのか察せる程度だ。

服装などある程度の機能性とあまりに珍妙な格好でなけりゃ何だっていいだろうに。偉い人のスーツ?アレは立場上良いもん着るしかないんだから、俺の中では『機能性』として含む。役割あるならそれは俺の中では機能性扱いだ。

 

「ちょっと雄也?人の話聴いてる?どっちがいい?」

「聴いてます聴いてますどっちも良さそうですね真癒さん適当に決めてください」

「やっぱり聴いてない!師匠の言葉は聴いておくべき物だって、よく分かってる癖に!」

 

軽い現実逃避から引き戻される。あと今の真癒さんは『師匠』と言うより『ただの女子高生』だ。『学校でボッチの男子中学生』とは色々違いすぎて付いていけない。

さて、そんな彼女が手に持つ服は、ベージュのワッフルチョコと、ミリタリーチケットとやらだ。

 

「ダッフルコートとミリタリージャケット!名前くらいは覚えて!」

「はい……でも、何がいいのかよく分からんです……色はともかく服の種類の組み合わせとかさっぱりですよ……」

「うーん……誠也……は服の趣味と似合う服の方向が全然違うから参考にならないし……そうだ!【関東支部】の友達は?」

 

【関東支部】──以前俺とアニキで出張に出て知り合った『桐谷昂助(きりたに こうすけ)』の事か。確かに同年代のアイツの服装なら参考になりうる。しかし──

 

「アイツもアニキの弟分だと言えば察するでしょ?」

「……うーん、困ったね……洞窟でアクラ・ジェビアとフルフル亜種特異個体に挟まれた時くらい困った……」

「伝わりますけど喩えが微妙すぎません?」

 

首を捻って思考を回す真癒さんだが、その喩えが〈ハンター〉の中でも限られた者にしか分からない物なので、伝わりはしてもイマイチ同意しづらい。

 

「要するに八方塞がり、って事だよ。……もう、一回試着した方が早いかもね。ほら、取り敢えずこの黒いミリタリージャケットと……雄也が最初に選んだこのグレーのパーカーと……はい、ジーパン。ほら入って」

「……わかりました」

 

言われるがまま試着室に入る。しかしパーカー以外初めての物ばかりだ。ジーパンすら履いたことがない。

 

「あ、そうそう。ジャケットはファスナー開けてね!」

「分かりました」

 

パーカーの上からジャケットを羽織り、既に履いたジーパンのベルトの締り具合を確認してから鏡を見る。

 

「……悪くは無い、のかな」

 

本音を言えば俺の感性にかなり響いたが、一般的な良し悪しを考えるとよく分からない、としか言いようがない。まあ真癒さんが『良い』と思って選んだのだから良いとは思うが。

 

「どう?」

「開けます」

 

意を決して試着室のカーテンを開ける。なるべく堂々と構える。

 

「おぉっ!!いいよこれ!!私の目に狂いは無かったね!」

「良かったです。俺も、結構気に入ったので。……ところで真癒さん、その手に持ってる服、なんか、俺が試着室に入る前より増えてません?」

 

話題を振ると、真癒さんはキョトンとした顔で己の手に握るものを見始めた。

 

「何言ってるの雄也。これだけで終わる訳ないでしょ?比較的雄也の好みに合わせて、なおかつ似合いそうな物をリストアップして来たの」

「……まだやるんすか!?」

「当然!!マフラーや手袋と言った小物も揃えてるよ。さあ!まだまだ試すよ!!」

「勘弁してください!!」

 

真癒さんの中では、俺の着せ替え人形役はまだまだ終わらないようだ。この後も色々着せられた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

『お疲れ様。よくお姉ちゃんの着せ替え人形タイムに付き合いきれたわね。アタシは好きだから慣れるも何もないけど』

「お前知ってて言わんかったな!?」

 

お昼時。適当なファミレスに入って注文を済ませ、真治に愚痴ってる所だ。因みに真癒さんは今、諸用(お花摘み)でここにいない。

 

『どうせ逃げられないんだもの。余計な情報は無い方がいいかな、って。で、どうだった?』

「……まあ、楽しかったよ。色んな服も買えたし、悪くは無い」

『良かったわね。かっこよくもダサくもない中途半端なんかよりよっぽど良いものになったと思うわ』

「そうかよ。ってか、写真送られたのか」

『アニキにも来てるわよ。ってか、電話の前にアタシに教えようとROADで送って来たし』

「はえーよアニキ……出張中だろ……?」

 

ROADの伝達速度恐るべし。と感嘆していると、電話の向こうからお昼時のチャイムが鳴った。

 

『さ、アタシはお昼食べるからここまで。アンタもお姉ちゃんとでしょ?』

「あぁ。つっても適当なファミレスだがな」

『そ。なら師弟デート、適当に楽しみなさい』

「師弟じゃデートになんねぇだろ……?それに、俺にそういう気持ちはねえよ」

『なんでよ?お姉ちゃん綺麗で良い人なのに。最高に優良物件よ?』

 

確かにそうだ。かつて彼氏もいたらしいし、別れた原因も〈ハンター〉としてのやり方云々で揉めて自然消滅した、ってだけだ。普通に付き合う分には真癒さんほどの人もそうそういない。が、俺はどうもそういう気が起きない。何故ってそりゃ──

 

「師弟だから、さ」

『……アンタなりの信念でもあんの?』

「恋人ってさ、『並び立つ』モンだろ?でも師弟ってのは『超え合う』モンだ。並び立つにしたって、そんなの一瞬だ。目ェ離したらいつの間にか超えるか超えられてるか、だ。だから師弟でそういうのは、成り立たないと俺は思う」

 

師弟とは『研鑽し合い』、『競い合う』者達でもある。だからどうあろうと恋人に(そう)はなれない。俺はそう思う。

 

『……ふーん、そういう事。ま、良いんじゃないそういうの。アタシは嫌いじゃないわ。でも、その在り方を押し付けないようにね』

「……肝に命じておく」

『よろしい。じゃ、ご飯行ってくるわ。アンタの好きな『モスの煮込みハンバーグ』食べてくるわね』

「安心しな。モスの煮込みハンバーグならこっちにもあるからよ」

『あら良かったじゃない。それじゃ』

「おうよ」

 

通話が切れる。通話時間はそこそこ長かったか。

 

「楽しかった?真治との通話は」

「うわ!?ああ、真癒さんですか。おかえりです」

「ただいま。それで、どうだったの?」

「どうって……別になんてことは無かったですけど」

「ふーん……結構気の知れた仲だし、そういう事もあるのかな、と思ったんだけど……」

 

姉妹揃って同じこと聞きおって……まあいい。

 

「互いの好きな物食べる宣言してたのは?」

「そこも聴いてたんすか……まあ、軽い嫌味混じりのジョークなんじゃないんすか?お前が食べたいであろう物を私は存分に味わって楽しんでやる、とか」

「……雄也、物事への認識が結構ひねくれてるね?」

「そっすか……?少なくとも真治にそんなつもりはなかった気がしますけど……それにアイツは、大体事は一直線に撃ってきますし」

「そう言われたらそうかな……」

 

取り敢えず納得はしてもらえた。一息つくためにメロンソーダを口に含む。このわざとらしいメロン味の甘さは最早癒しだ。

そこから少し無言が続くと、店員が料理を持ってこっちに来るのが見えた。

 

「お待たせ致しました!モスの煮込みハンバーグのランチセットと、ブルックのリブステーキのランチセットでございます!」

「モスは俺です」

「ブルックはこっちに」

 

お待ちかねの料理がやってきた。煮込まれたデミグラスソースのハンバーグと、オニオンソースのリブステーキだ。

 

「さ、食べよ」

「はい。待ちきれませんからね……!」

 

ハンドルマの食堂の特製ソースとは違うデミグラスソースの煮込みハンバーグ……見せてもらおうか。ファミレスならではの、モスの煮込みハンバーグの味とやらを……!!

 

「「いただきます」」

 

まずは煮込みハンバーグにナイフを入れる。肉汁が溢れ出す。その肉汁を逃がすまいと即座に口に放り込む。肉汁が口の中で踊り出す。そこにデミグラスソースのコクが混ざり、俺の舌に絡み付く。……美味いッッッッ!!!!最早言葉など無粋……それほどまでの……「美味い」が、ここにあるッッッッ!!!!

 

「ん〜〜〜〜っっ!!」

 

真癒さんも唸っている。無理もない。ブルックは険しい山地などに住む〈モンスター〉で、筋肉が多く付いてる。彼らから取れる肉は必然的に肉厚で、しかしそれでいて脂っこくない。老若男女問わない人気を持つ肉なのだ。俺も以前食べたが、非常に食べ応えがあって楽しめた。一時期はモスの煮込みハンバーグよりもハマっていた。

 

「「……ンンっっ!!」」

 

そのまま食べ終わるまで、俺と真癒さんは無言でその味を堪能し続けた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

……なんて楽しんでたのも束の間。私達は今、デパートに来た時のバスで逆戻りし、バス停を降りたところから全力疾走してるところだ。因みに荷物は全て持ったままなので、揺れて当たる袋がチクッと来たりする。

 

「色々美味しい想いをしてたってのに……!!もうー!」

 

食事を終えて私の服を買いに行こうとしたら、急遽先遣隊から連絡が入ってしまったため、買い物はあえなく中断。この日ほど〈モンスター〉の出現を恨んだのは久しい。

 

「にしても、先遣隊がこうもすぐ連絡を出すなんて……やばい反応が出たのか、それとも例の反応がやばいから神経質になってるのか……」

「どっちにしても!!買い物を邪魔されたのはムカつく!!」

「あ、はい」

 

そんな塩な返事をした雄也は、なんかその奥で安堵を感じてるのが伝わってくる。そんなに私との買い物が嫌だったのだろうか。

 

「人酔いしやすいからそこから逃げれたのが安心ってだけです……!」

「……そういう事にしといてあげる」

 

サラッと心を読まれたが、今大事なのはそこじゃない。それでも、乙女の楽しみを邪魔されたのは悔しくてならない。可愛い弟子との楽しみは今度に取っておこう。

 

「因みに真癒さん、古龍以外で今回の反応を出しうる奴って、心当たりあります?」

「一応ある……けど、今回の反応は多分違うと思う。例の反応が出た時のレーダー波系を見せて貰ったけど、私がかなりの危機感を感じたの。でも今回はこれがないの」

「だから違う、と。真癒さんにしては随分と抽象的というか感覚的な根拠っすね……」

「〈龍血者(ドラグーン)〉なんて、大体これくらい感覚的な方が向いてるよ。陽子だって結構勘に頼ってるし」

「そうなんすか……ナナさんにも聴いとこ……」

 

しかし、雄也には言わなかったが僅かにでも感じてるのは事実だ。今は眠ってるか、少し遠くに潜んでるか。どちらかの可能性がある。雄也に話さなかったのは、やはり目の前の戦闘に集中して欲しいがため。無駄な要素は省こう。……この判断で好転するといいけど。でも頑張らなきゃ。私は師匠、弟子(ゆうや)の未来を閉ざしうる芽は摘まなきゃ──

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

冬雪 真癒(ふゆき まゆ)上田 雄也(うえだ ゆうや)、着きました。先遣隊の皆様、ご苦労様です」

「こちらこそ、ご足労頂いて感謝します。私は先遣隊隊長の内海(うつみ)と申します」

 

メガネで白髪混じりの先遣隊の隊長と、真癒さんが握手し合う。無論興味はないので、寝室に急遽設置されたスクリーンに目を向ける。

 

「状況は?」

「〈モンスター〉の出現時に発生する(ひず)みはいつも通りです。しかし、先日ほどではありませんがノイズ掛かった調子でして……戦闘の際はお気を付け下さい」

 

そう言って、既に映されたスクリーンに指を向ける。指先は、如何にもレーダーと言った部分に向けられている。確かに、レーダーの波の打ち方が不規則すぎるのだ。〈モンスター〉が放つ龍力の波は、火や冷気などの持っている力──これらは通称『属性エネルギー』と呼ばれている──によって、一定の法則性を持っている。のだが、今回の反応は、そういった法則性から外れているのだ。いや、火や冷気を持たない、いわゆる無属性エネルギーに分類される反応に近いのだが、それにしては乱れているのだ。こうなんというか、無理矢理混ざってるようなそんな感じ。

 

「……今回のパターンは?」

「飛竜です。しかし龍力波の乱れによって、レーダーが誤認してる可能性もあります。降雪地帯や寒冷地帯に出現する〈モンスター〉の傾向を無視したモノが現れるかもしれません」

「……まあ、それでも私の武器は黒天白夜(この二振り)だけだし、雄也だけ気をつければいいのかな」

「そうなりますね」

 

環境を無視する〈モンスター〉が現れるかもしれないとはいえ、環境を考えれば降雪地帯の傾向で考えるのがベストだろう。となれば、アイツを使うか。

 

「では、そろそろ出撃をお願いします。それと……」

「山の近くは気流の乱れが起きやすいから麓まで、ですね?」

「お察し助かります。ではお願いします。ヘリはもう飛ばせますので」

 

それだけ告げて、先遣隊の隊長は作業に戻った。俺も装備確認をしよう。

 

「私はヘリで待ってるね」

「わかりました。五分で行きます」

「ん、分かった」

 

先遣隊が持ってきていたアームド・カスタマーに、俺のデバイスを接続。現在の武器は、『鎧竜 グラビモス』とその亜種の素材から作られる、鋸のような刃を持つ白と黒の双剣『メルトブレイヴァー』。鋸を引くように斬ることで、溢れる炎熱と毒ガスを流し込む強力かつ危険な双剣だ。そしてこの武器との噛み合わせ(シナジー)も考慮すると……よし、こいつだ。

 

「アイテムはいつものと……ホットドリンクに解氷剤、吹雪いてた時用に『爆雷針』、かな。よし」

 

アイテムを整え、真癒さん達の待つヘリへと向かう。経過時間はざっと三分。セーフだ。

 

「お待たせしました!!」

 

既にローターを回しているヘリの前で、真癒さんは腕を組んで待っていた。

 

「よし、一狩り行こうか」

「はい!!」

 

上位昇格試験から6ヶ月(はんとし)。俺は上位ランクのその()()()()()、『凄腕ランク』に到達した。そして今回は、昇格後の初仕事である。




今回は日常メイン。久しぶりにそんなの書いた気がする
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。