Monster Hunter 《children recode 》   作:Gurren-双龍

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お待たせしました
内定取れたから、卒論に支障ない範囲でペース取り戻します


第30話 蒼空の流転者

「……ん……っ?」

 

 目が覚めると、妙に薄暗かった。しかし細かく光が差し込んでるようにも見える。これは……

 

「あぁ……そっか」

 

 天空から広がった、謎の光の大爆発を受けたのだ、俺たちは。んで、俺達はギリギリのタイミングで常磐誠也(アニキ)に蹴飛ばされ、地下道への入口の影に入ったんだ。そして今、大爆発の影響で吹き飛んだ瓦礫が地下道への入口を塞ぐも俺達自体を埋めはしなかったようだ。現に俺は瓦礫に足を挟まれた、ということもなく、真治(まや)もまだ起きてこそないが俺のすぐ隣で寝ている。

 

「……はっ! アニキは!?」

 

 が、肝心要、俺と真治を助けたアニキの姿が見えない。まさか地下道の入口に入り損ねたのか。

 

「真治……真治起きろ!!」

「んっ、……はっ!ここは?」

「地下道の入口。瓦礫で塞がれてるけどな……それより、アニキを見てないか?」

「……もしかして……」

 

 周りを見て気配を確認できないことから察したのか、真治もACCデバイスをすぐさま確認し、アニキの場所を確認する。だが──

 

「嘘……映らない!?」

「故障……いや違う、このノイズって……?」

『ふた……も……える!?』

 

 考えていると通信が入った。だが酷くノイズがかっている。

 

「雄也、地下基盤回線に変えるわよ」

「分かった」

『……あ、繋がった!?映像も見える!?』

真癒(まゆ)さん!」

 

 ハンドルマは異変が起こって通信に支障が出た時のために、地下に回線を張っている。全支部が支部のある地に近い都市部や戦闘に利用する可能性の高い区域にそれを行っている。だが滅多に使われるとこはなく、今はそれを利用するほどの事態ということだと、否応なしに理解を強いられてることを実感する。

 

「今、何が起きました!? アニキはどこに!?」

『……順を追って説明するね。まず何が起きたか……コンソールに資料送ったよ』

 

 ポーチにしまっておいた携帯用コンソールが光った。壊れてはないらしい。

 

「これは……?」

『結論から言うよ。龍力の奔流ともいえる大爆発が、岡山駅付近一帯を薙ぎ払ったの。しかもそれは高熱性で、地下通路の入口の屋根みたいなサイズの物は熱膨張が酷すぎてそのまま崩れたの。これらは突如現れた超高濃度龍力生命体──現時点では『古龍』クラスとされる龍力生命体が、膨大な龍力を圧縮と放出をしたせいでね』

「──ッ!」

 

 瓦礫の理由に納得できた。だが同時に、悪寒が走る。アニキは?確か俺達がここにいるのは、アニキに蹴飛ばされたせい──

 

「……まさか」

『誠也は……二人の避難を優先した結果被弾したよ』

「──アニキっ!!」

 

 すぐ救助しなくては。だが。

 

「……この瓦礫が、邪魔すぎる……!」

 

 市街地故に大タル爆弾を使えば余計な破壊をしかねない。それにアニキがこの瓦礫の壁近くにいるかもしれない。どうしたら──

 

『幸い、地下通路は無事だし他の建物自体は無事なものが多いよ。案内するから動いて!』

「「了解!!」」

 

 地下通路に足を向ける。待ってろアニキ!!今すぐ行く!!

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「……グッ……」

 

 ACCデバイスから喧しいアラートが鳴り響き、目が覚めて最初に目に入ったのは、空から降り注ぐ金粉だった。忘れもしねえ、二年前の梅雨頃、天空に座していた()()()のそれだ。

 

キシャアラルラァ………

 

 かの龍が俺を認識し、降りてくるのが見える。身体に力は入らない。まるで全身に火傷を負ったような感覚で、中身まで焼け爛れたと思わせられる。デバイスのアラートはそれなんだろうなぁ。

 

「……ケッ……」

 

 奴が着地した。死んだな、こりゃ。自分のことなのに、何だか他所のそれを見てるみてぇだ。

 ……雄也と真治は無事だろうか。流石に地下まで焼き殺すような物ではないと思いたいな。

 

キシュルルララァ……

 

 奴が俺に近づく……なんか、顔が鋼龍(クシャルダオラ)に似てんなぁ……キンキラしすぎてるし、角も水晶か何かで出来てるからちょっと似ても似つかねえ気はするが。

 ともあれこいつがかの──

 

「お前か──いつかの金塵龍(きんじんりゅう)ってヤローは」

 

キア"ァ"……

 

 動かない身体で、眼光だけで挑むしか出来ない。体がダメでも心までてめぇにやられたつもりはねえぞ、金塵龍。さぁ来やがれ。転がるだけでも雄也と真治が目を覚まして避難する時間くらいは稼いでやる……!!

 

キア"ァ"……キシャア"ァ"!?

 

 瞬間──奴の頭に徹甲榴弾が刺さり、爆ぜた。まさか……!

 

「アニキ!! 無事!?」

「俺が牽制する! 真治はアニキを!」

「お前……ら……!」

 

 俺の後ろから現れたのは、今まさに逃がそうと思っていた後輩二人だった。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「何なのこいつ……!」

「……!」

 

──見たことがないな。

 

 俺と同じ考え。でも、何か含んだ違いを感じる声がまた響く。やめろ、()()が聞こえると大体何かが起きそうなんだ。眠っててくれ。誰か知らないけどもさ。

 

「アニキ、立てるか?」

「はは……悪ぃ……全身……焼かれた……みてぇでな……」

 

 やはりか……ならば、と双剣を抜き、投げナイフホルダーに手を添えて構える。

 

「……真治」

「あんた正気?アニキは救護班に任せてアタシ達二人で止めた方が現実的よ?」

 

 真治もライトボウガンを構える。どちらも迎撃体勢は万全──だが。

 

「アニキがもってくれるか、相手は古龍だ……直撃受けたアニキの容態が一番心配な案件なんだよ……」

「ヘリはもう動いてる……さっきのデパートの屋上までの行き来で……十分、もたせられる?」

 

 十分──未知にして先輩たるアニキを一蹴する程の存在から十分凌ぎ切る……至難の業にも程がある……が。

 

「……司令部、アニキ達から離しつつ、奴の気を引いて安全に下がれるルートの検索を」

『十秒待って』

「了解」

 

 真癒さんがルートの検索を開始。ホント、板についたもんだな真癒さんの支援も。

 

「ルート検索が済んだら3カウント……1を言ったら閃光玉を投げる」

「……すぐ戻るわ」

 

 投げナイフからポーチの閃光玉に手を伸ばす。だが奴からは目を背けない。

 

『検索完了しました。いつでも誘導できます』

「助かります……3……」

 

 俺は閃光玉を取り出し、真治はライトボウガンを納めつつアニキに目線をやる。金色の龍は怪訝そうにこちらを見る。

 

「2……」

 

 安全紐をもう片方の手の空いた指で掴む。真治は少し後ずさった。龍はこちらを未だ睨むのみ。

 

「1……」

 

 紐を抜く──真治は完全に背を向け、走り出す準備だ。奴は上体を上げんと前肢を地から跳ねさせる。

 

「行け!!」

「死なないでよ!」

 

キ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!!

 

 閃光玉を投げ付ける。奴が咆哮を放たんとするのは見えた──ならばそこの目線に合わせるのみ!

 

キシュルラア"ァ"!?

 

──恐らく長くは効くまい

 

 だろうな。そんな気は俺もしている。だからまずは後ろに回り込みながら!!

 

「こっちだこっち!!」

 

 大声を上げながら投げナイフを頭部に当てる。一瞬とは言え目が眩んだ古龍は、しかし当てられたナイフの側に振り向く。その隙に真治の側を確認──既に地下通路にアニキを抱えて飛び込んだようだ。アニキはあのままさっきのデパート屋上まで運び込み、真治はその後こちらの援護に来る。ここからの十分が勝負だ!

 

「来やがれ金ピカデカブツ野郎!!お前の相手はこの俺だ!!」

 

 罵倒を混じえた大声で奴の気を引く。〈モンスター〉に対して罵声を浴びせるような悪趣味なことはしたくないが、今は何としても気を引かねばならない。

 

キア"ァ"ッ!

 

 目が治ったらしい。こちらを睨みつけてきた。

 

「誘導お願いします!」

『市役所方面の大通りへ! 下手に隠れきれる位置を使えば救護ヘリに気付かれるため、危険を承知で遮蔽物を利用してください!』

「了解!」

 

 ヘリに気付かれないようにする、つったら……やはり大きな音や光か……?だが音爆弾はない……遮蔽物の破壊音を利用するしかねえか!

 

キア"ァ"……!

 

「突進……! このっ!!」

 

 横に飛び退いて突進を回避する。見たところ、やはりというかリオレウスよりも遥かに大きい。頭から尾先に掛けて、古龍ならではの圧を感じる──というか、角と尾先、更には四肢に翼の各部位に水晶が散りばめられている。これは……?

 

『まだその大通りを奥に進んでください! 路面電車の路線に沿いつつお願いします!』

「了解!」

 

 路面電車の路線か、わかりやすくて助かる。ついでに向こうは俺とやり合う気満々──俺自身は直接ぶつかって生きていける自信はないので、今は睨み合って引きつけるのが精一杯だが!

 

キア"ァ"ァ"……ッ!

 

 立ち上がった。翼を拡げた。飛んでくるのか?

 

「ん……! これはぁ!?」

 

 奴に向かって風が吹き始め、そして俺も吸い込まれる程の暴風が吹き始めた。

 

「まずっ……!」

 

 足を取られ、浮いてしまった。だが!!

 

「こっ……のぉ!!」

 

 取っておきの一本、ワイヤー付き投げナイフを路面電車の駅の柱に向けて投げ、括り付ける。

 

「ぐっ……うぅ……!」

 

 しかしそれでもなお引っ張り続けられる程の風が吹く。そして。

 

キア"ァ"ァ"ァ"ッ!!!!

 

「うおおぉぉ!? ガァッ!?」

 

 今度は吹き飛ばすような風を放った。いきなり逆方向に飛ぶ力が働き、ワイヤーを括り付けた地点から弧を描いて地面に叩きつけられた……いってぇ……!

 

「くっそ……何だ、あれは……!?」

 

 かの龍を睨み直すと、周囲の木々や道路に氷……いや……アレは奴の持つ結晶か……!?

 

『あの〈モンスター〉の風を伴った攻撃には、結晶化液が混ざっている模様……あれを受けて結晶化すれば到底逃げ切れません……!』

「アクラ・ヴァシムのアレと同じか……!このっ!!」

 

 痛みはするがすぐさま立ち上がり、距離を取りつつ投げナイフをぶつける。当然だが刺さらない。硬すぎる。……投げナイフはここで捨てざるを得ないワイヤー付きも使ってしまったため、残りは5本……他の投擲アイテムも、閃光玉は残り2つ、こやし玉が9つってとこか。気を引くには十分……だが……あれほどの攻撃、己の身を守るにはもう心許なくすら感じる……凌げるか……?本当に……

 

『動いてください! そのままでは!』

「いや、下手に動くのではなく……ここに釘付けにしていく……! ワイヤーもない……また吸い込まれたら今度こそ終わりだ……!」

 

 ここを離れれば次は掴まれる場所を見つけるのに時間がかかる。路面電車の駅……ここで完全に壊す羽目になろうとも使わねば死ぬ……!

 

『雄也! 雄──』

 

 通信を切る。一瞬でも他に気を取られては死ぬ……そんな予感がした。

 

「来やがれ……てめぇをどこにも行かせはしねぇぞ!!」

 

キア''ァ''ァ''ァ"!!

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「雄也! 雄也!! ……ダメです、通信切られました……」

「再接続を試みますが、龍力も濃いこともあって難しいかと」

「……参ったのう……【関東支部】からの援軍は!?」

「『岸野陽子』は現在『インド洋』にて古龍『大海龍』の討伐・撃退任務(クエスト)の途中とのこと!」

「なんと……! くっ、国外の〈龍血者(ドラグーン)〉のいる支部全てにコンタクトを取れ!急げ!!」

 

 司令部が慌ただしくなる。陽子は別の戦い……ナナーラや()()()も、恐らくそれに行っているか、万が一動けても時間がかかる……それじゃあ雄也は……真治は……!

 

「……でも……それは……」

 

 私は、もうそれを選んでは行けない。でも……私は──

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

キア"ァ"ァ"!!

 

「このぉ!!」

 

 噛み付きを躱し、顔を横殴りにするように斬りつける。流石に双剣の斬れ味で弾かれることは無い──が、思った以上に浅い。剣が宿す電撃は、恐らく金属製であろう奴の甲殻や鱗に通じているとは思うが、直接的な打撃や斬撃ではあまり有効性を感じない……! 武器の斬れ味も俺の精神も、もつのか、これ?

 

キア"ァ"!

 

 次は引っ掻き攻撃、思いの外単純な攻撃が多いが、いつまたさっきの吸い込みや、あれに準ずる未知の技が来ると思うと、うかうかしてられない……!

 

キア"ァ''ァ''……!

 

 突如浮き上がった。しかも口から吸い込むように風を集めながら……これは……初めて見る攻撃!……着地した?いや、これは恐らく何かを放ってく──

 

──近寄れ!!

「な──ッ!?」

 

 身体が声に従った。直後、奴が羽ばたいた。ほら見ろやはりこれは──来ない? いや、奴の身体から1メートルほどの距離を複数の竜巻が渦巻いた。なるほど、騙されてしまったがそういう攻撃か!向き直ると、そこには奴の前足がある……結晶部分ならどうだ!!

 

「でぇぇやぁっ!!」

 

 左の剣を振り抜く。結晶は──少しだが割れた!いける、こいつは俺でも戦える!

 

キア"ァ"!

 

 案の定引っ掻いてきた。シミュレーターで戦った古龍は大体、横殴りにするように引っ掻いてくる!こいつもその例に漏れなかったか!

 

「雄也!!」

「真治か!」

 

 通常弾が甲殻に打ち付けられる音が響いた。アニキは無事搬送できたようだ。

 

「撤退するわよ!アタシ達で相手しきれるような奴じゃないし!!」

「撤退するつったって、どこにだよ!」

「増援来るまで地下よ!!」

「やっぱりそれか!」

 

 しかしそれしか手はない。俺自身既にリオレウス亜種とリオレイア亜種と交戦してそのままこいつとやり合っている。疲労も集中切れも、飛竜達とは比較にならないほどのものを感じている今、退く以外の選択肢は選ばないほうが賢明だろう。

 ひとまず真治に気を向けた隙に後ろ側に回り込み、通信を起動させつつ作戦を立てる。

 

「どこで地下に行く?」

「アニキを助け出した時の地下通路が一番近くて入りやすいわ。というか、駅周辺の建物の外の地下通路の入口はさっきの光の爆発でぶっ壊れたから……」

「退路は一つしかない、か……!」

 

 真治は徹甲榴弾を頭に、俺は再び投げナイフを首に当てる。それを見た真治が何か違和感を感じた声を上げた。

 

キア"ァ"……!

 

「……今気付いたけどあいつ、クシャルダオラそっくりなのに、風の鎧を纏わないのね……」

「ん……あぁ、今気付いた……本当だな」

「アンタが見落とすってことは、よっぽどキツい戦いしてたのね。でもこれは……」

 

 麻痺投げナイフに手を伸ばす。これならもしや──

 

「待って。リスクが高いわよ。それよりは拡散弾や徹甲榴弾で瓦礫を作って、それや土煙に紛れて撤退する方が確実よ?」

「……それもそうか……でも瓦礫にしたって、ここらはビルばかりで安易に崩せないぞ?」

「崩された地下通路の入口があるわ。あれなら容易に吹っ飛ばせる!

「なら……下がるぞ!!閃光玉行くぜ!!」

 

 背を向けて走りながら、閃光玉の安全紐を抜いて投げ、刹那──光が弾けた。

 

キア"ァ"!?

 

「すぐに目を覚ます!真治!!」

「分かってるわよ!!」

 

 装填に難のあるLv3拡散弾をなんとか走りながら装填した真治は、すぐさま通り過ぎた瓦礫に向かって弾を放つ。

 

「伏せて!」

 

 内包された爆弾が爆ぜた。爆発に巻き込まれないように蹲る。しかしあまり時間もない。すぐさま立ち上がって走り──

 

キア"ァ"ァ"ァ"!!!!

 

「散開!!」

「ぬぁっ!?」

 

 金色の龍が突っ込んできた。吹き飛ばした瓦礫を物ともせず、俺達目掛けて駆け抜けてきた。

 

「見られてたわね……!」

「クソっ……もう一度閃光玉で……奴はどこだ?」

 

 直撃ではないが吹き飛ばされ、姿勢を取り戻すのに時間を取られた隙に、奴を見失った。俺達に強襲を仕掛けた主は、どこにも見えない。見えるのは辺りに舞い散る金粉と、何故か生えてきた結晶のみ。これはまさか!

 

──奴は

「上か!!」

 

 しまっ──

 

「雄也!」

「ガッ!?」

 

 真治の声と同時、吹き飛ばされた。刹那──

 

「あ"ぁ"ぁぁぁぁぁっ"!!??」

 

キア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッッッッ!!!!

 

 真治の悲鳴にもならない悲痛な叫びを、奴の咆哮と砕け爆ぜる結晶が呑み込んだ。

 

「真治ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 せめて攻撃で吹き飛んだ真治を地面にぶつける訳には行かないと、落ちてきた真治をなんとか抱きとめる。これは──

 

「真治、真治!」

「うっ……ぐっ……」

 

 彼女の纏うディボアFシリーズの所々の隙間から、奴の各部位に根付く結晶と同じようなものが覗いていた。しかもこの結晶、肉体に刺さっている……放置などすれば、環境に合わない部分から結晶が爆ぜていく。そんな事が起きれば真治は当然タダでは──

 

「置いて、いきなさい……」

「バカ言うな!真癒さんまで傷つけて……お前まで……!」

 

 急いで抱き上げ、走り出す準備をする。そんな時に限って──

 

キア"ァ"……

 

「この光は……!」

──光の壁が見えないか?

 

 声に従って見ると、確かに奴の周囲に光るドームのようなものがある。まさかアレの中は無事とでも?だが何もしなければ二人とも死ぬ、だったら!!

 

「こんっ、のぉ!!」

 

 真治を抱えながら奴の懐に飛び込む。そしてその瞬間。

 

キア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!

 

「ぐおぉぉ……!」

 

 光が世界を塗り潰した。その圧、アニキの身を焼いたあの光の大爆発と同じそれだった。なるほど、この光のドームは、己すら耐えられない光から身を守るための──!

 

「光が収まった……けど!」

 

 奴もこちらに向き直っていた。こちらの対抗する力が削がれたことを奴も理解したのか、脅威と見なしてないのか、睨むだけで何もしてこない。くそっ……逃げるには好機かもしれないが下手にこういう時動くとどうなるか……!

 

「くっ……どうしたら……」

 

 少しずつでも後ずさってはいるが、限界がいつ来るかなど分かったものでは無い。見逃されることを祈るしか無いのか。

 

キア"ァ"……!

 

 俺に……もっと……

 

「力があれば……!!」

 

 あの日の雪山で、昇格試験で、初狩猟(ファーストクエスト)で、嫌という程湧き出た想い。仲間を何度も傷付けて、俺は……俺は……!

 

キア"ァ"ァ"ァ''ッッ!!

 

 奴が動いた。もう容赦しないと、そう叫ぶように。しかし同時──

 

『龍力生体反応接近』

 

 ありえないアラートが響いた。

 

「はっ!?」

──伏せろ!

「くっ!?」

 

 結局、この何もかも分からない声に従うしかない。しかし今の反応、なんだ?

 

キア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッッ!!??

 

「え……コホッ、コホッ」

 

 伏せた瞬間、奴の絶叫と土煙が巻き上がった。土煙は周囲の瓦礫をも吹き飛ばし、奴を大いに仰け反らせて下がらせた。

 

「な、何が……」

『こちら司令部!! あなたの目の前に来たのは誰!?』

「うぇっ!? あ、こちら上田雄也……誰って……え、何なんですか?」

 

 司令部からの予想外の通信が入る。真治用に使ったから開けてたか。

 それはさておき……誰……誰って……援軍じゃないのか?まずはこの目で──

 

「──え?」

 

 土煙は、襲来者によって砕かれた古龍の黄金の鱗の欠片と共に晴れて行った。

 

「嘘だ……そんな……どうして……!」

 

 あの日(二年前)から忘れたことのない、()()()()()()()()()()()が目に入った。

 

「──ごめんね、雄也」

 

 白夜のような刃が、黒き(そら)を押し込めたような切っ先が見えた。

 

「どうして──真癒(まゆ)さん!!」

 

 居るはずのない狩場(ばしょ)に、来るはずのない彼女(まゆさん)が、いる。困ったような笑みが、彼女であると思い知らされた。




とりあえず今年中目指す
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