ふと見たランキングページ、目をこすって二度見。顔を洗って三度見。眼鏡を拭いて四度見しました。
今回は大分話が迷走してる気がします。描きたい内容ははっきりしてるんですが、うまく描写できなくて…
とりあえずどうぞ!
「へぇ『μ's』かぁ。いいんじゃない?綺麗な響きで。意味があるようなら調べておこうかな。分かったらメールするよ」
『うん!ありがとうミコちゃん先生、じゃあまたね!』
病室で思考の海に沈んでいた最中、興奮した様子で電話してきた穂乃果さん。グループ名が決まった!と嬉しそうに報告してきた。
私が聞いてみるまで名前のことを完全に忘れていた彼女たちは、その場で30分ほど議論を戦わせ、結局ラチがあかないと判断した私の「一般生徒に募集をかけたら?これを期に興味を持ってくれる人がいるかもよ?」という意見を採用し、廊下に募集の用紙と箱を置いて、放課後中ライブの宣伝チラシを配っていたそうだ。
しかし、μ'sか…「石鹸じゃないよ!」と穂乃果さんは言っていたが…多分最初に聞いたときに自分でも思ってしまったんだろう。意味を調べてみたら、ギリシャ神話の女神の名前「ムーサ」から来ているらしい。音楽、文芸、学問等を司る9人の女神達…のようだ。…9人?
なんというか、これを書いた生徒は変わった知識を持ってるんだな。アイドルにつけるにはいい名前だとは思うが、世間知らずの私でなくとも、これは普通に知らない人の方が多いだろう。
なんとなくこういったことに精通していそうな生徒に1人心当たりがある。彼女もあの3人には好意的なスタンスを取っているようだし、もしかしたらそういうことなのかもしれないな。
名前も決まって、曲もとりあえず真姫さんが用意してくれたそうだし、作詞作業も順調らしい。ここまでの流れは上々。ただ、生徒の関心についてはまだ微妙なところのようだ。
私もそれとなく来室生徒に聞いてみたりしているが、どうにも廃校問題もスクールアイドルも他人事のように捉えている生徒が多い。それも仕方ないことだし、強制できることでもないのだが、必死にあがいているμ'sや絵里さんのことを思うとやるせなくなる。
そう、絵里さんだ。電話が鳴るまで考えていたのは彼女のこと。絵里さんとμ'sの関係改善。これができれば学校内での活動は随分やりやすくなる。絵里さんにしたって、先入観ナシにして彼女たちを見れば、本気さはわかってくれるはずだ。そうすれば多少は気持ちも楽になるのでは…
そういった意味でも今回の希さんからの相談、きっちり遂行しなくてはならない。原因の一端を私が担ってしまっているならなおさらだ。
気合いを入れ直して、翌日の出勤日に備える。今日は早く寝よう…
そして迎えた放課後…私は不機嫌全開の絵里さんと対峙していた。
「………あ、あの〜、絵里さん?」
「はい、ナンデショウ命さん?」
……希さん、あなたいったい何を言って連れてきたの?ほんの数分前にポカンとした顔の絵里さんを連れて来室し、お互い疑問符を頭上に浮かべた私と絵里さんを置いて速攻で退室した副会長の去り際の笑顔を思い出す。確証はないが、絵里さんから立ち上る真っ赤な怒りオーラは間違いなく希さんが原因だろう…まぁこうなったらその件には触れずに本題に入った方がいいかもしれない。
「きょ、今日は絵里さんと話したいことがあるんだ」
「えぇっ‼︎…わ、分かりました。続けてください」
な、何だろう…このリアクションは。『話がある』という一言に大いに動揺している。心なしか顔も赤いし目も合わせてくれない。なんだかさっぱりだが、なにかを勘違いしているようだ。これはもう、余計な誤解を生み出す前に速攻で話すしかない。
「この学校でスクールアイドルをやろう!って今動いている2年生…あの子達となんだか…うまくいってないんだって?」
私の言葉を聞いて、顔の熱と一緒に大事な何かが抜けたように、絵里さんは表情をなくした。
「ええ、命さんもあの3人に協力してるんでしたっけ?それで私を説得しようと…そういうこと」
いつもの彼女と違いすぎる。礼節も愛嬌もない。予想以上に根が深いみたいだ。
「君が彼女たちを認められない理由…なんとなく想像はできるよ」
「…へぇ、じゃあ言ってみてください。聞きたいです。命さんの考え」
妙に距離を置いた話し方。初めて会った時のようだ。
「まず、君は生徒会長として、生徒会や理事長に働きかけて色々動いていた。聞いた限りでは生徒会も協力的ではあっても中々いい案が出なかったそうだね。理事長も何を言っても好色は示さなかった」
「………。続きを」
「そんな中突如『スクールアイドルとして有名になって学校を守ります!』なんて子達が現れた。現実味の無い意見と、楽しげな雰囲気。真面目で建設的な思考方式の君からすれば信用できないのは分かるよ」
あの3人、特に穂乃果さんは無自覚に幸せオーラを撒き散らしている。深刻な問題に取り組んでいても、その努力が楽しい、と思える前向きさが今回は裏目に出たんだろう。
「それでも君はまだ理性的に応対していた。廃校問題に対して少しでも思うところがある分マシに見えたのかもね。でも彼女たちには味方がいた。理事長が協力の姿勢を見せたんだ」
少し表情が険しくなる絵里さん。あぁ、最近こういうこと多いなぁ。
「自分たちには否定的なのに、何故彼女たちの夢のような話には乗っかるのか。納得いかなかった。そう思うのは自然なことだね」
鶏子さんの考えも分かるが、ここまで絵里さんが追い込まれる前に話した方が良かったとも思う。私から理事長の気持ちを伝えるわけにもいかないし…
「そして彼女たちが活動を進めていく中で私のことも聞いた。『人に頼れ』、『話なら聞く』って偉そうに言っていたカウンセラーが自分よりも彼女たちの側にいる。想像するしかないけど、色々思うところがあったんでしょう」
ここまで話すと絵里さんは俯いた。私の位置からだと表情が見えない。
「まずは謝らせて欲しい。勘違いさせるようなことをしてゴメンなさい。私は決してどちらかの味方をする気はないんだ。彼女たちが切羽詰まっていたから、少しかかり切りになったけど、君を蔑ろにしたわけじゃない。抱え込んでいるものがあるなら私にぶつけて欲しいし、私からも何か力になりたいと思っている」
黙って聞いていた絵里さんの様子がおかしい。なんだ…?震えている?
「絵里さん…本当にごめ「……ま……いで…」えっ?」
「私がどんな気持ちでいたか!なにも分かってないのに、謝らないで‼︎」
時が止まったような気がした。なんだ?私は何を間違った?
「ッ!失礼します…」
ハッと口を抑えて退室する絵里さん。今のは言う気は無かった事だったみたいだ。それがつい口に出た、ということは混じり気のない本心、ということだ。
何が悪かったのか、未だに分からないが。一つだけ確かなことは、今日、私は1人の女の子を傷つけたのだ。
カウンセラーを始めてから、間違えたことはあった。しかしそれはその場で笑い飛ばせるような小さな話で、あんな風に声を荒げて逃げられたのは初めてだった。
ここまで明確な失敗を犯したのは初めてで、私は暫し呆然としていた。
息が荒い。この程度の距離を走ったくらいで疲れるほどヤワではないのに。やっぱり動揺がひどいんだろう。
紡屋 命さん。私が初めて家族以外で心を許せた男の人。その人を今日、傷つけてしまった。彼は100%善意で言ってくれていたのに、反発してしまった。たった一つ歳が違うだけで、子供のように見られているのが嫌だった。
命さんの言ったことは、概ね間違っていない。実際私は拗ねていたんだろう。根っこのところであの3人のことは認められずにいるが、ここまで悪感情を抱いている理由は、まさに彼が言った通りだ。そう、間違ったことは言っていない。
それでも嫌だったのは、まるで親に構ってもらえずに拗ねる子供のように見られていたこと。私の想いに気づかずに、無自覚なまま子供扱いされているのが我慢できなかった。あの時少しでも、私が特別だと、そんな言葉を期待してしまった。
そしてそんなことで彼に当たり散らした私が、まさに子供のようで…ますます惨めな気分になった。
「……命さん……ごめんなさい…」
こんなことをしている場合じゃないのに…状況は切羽詰まっている…
うん、今は自分のやるべきことをやろう…命さんにはいずれ謝るとして…今はまだ顔を合わせられない。
私は現実逃避気味に色々なことに思考を逸らして、大好きな彼のことを頭からむりやり振り払った。
閲覧ありがとうございます
なんだか絵里ちゃんがめんどくさい子になっちゃったかも…でも彼女もまだまだ十代の女の子。こんなこともあるんじゃない?ってかんじでご容赦願いたいです。
真姫ちゃんと似た流れだけど結果は真逆。お互い後悔の残る結果になりました。今回は主人公が言えば全部うまくいくわけじゃねーぞ、ってことで。まぁ先延ばしにした感がすごいんですけど。
次はどうするか…正直ブレッブレです。なんとか話の整合性は損なわないようにします。
ではまた!