私がフランドール・スカーレットになっていた件 (未完) 作:冷水
==人里==
黒い服装の少女はお団子を食べていた。
黒いとんがり帽子と、赤と黒と白の衣装がよく似合う小柄な少女。
もちもちとした食感に吐息をもらし、甘さに頬を緩めている。
「甘くておいしい・・・」
金髪で赤い瞳の少女は、人里の茶屋にてお団子を食べていた。
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魔理沙は博麗神社へ行く前に、手土産を買いに人里へ寄った。
「ちょっとここで待っててくれ」
そう言い残し、フランドールを茶屋に置いて行く。
既にお代は払っていて、フランドールがそれを気にする必要はなかった。
少し申し訳ない気持ちになりつつも、お団子の甘さに頬を緩ませている。
ふと気づくと、隣に人の座る気配があった。
小さいため息をつきながら、どこか疲れたように座っていた。
青と白のメイド服、銀髪で凛とした顔立ちをしている10代後半の少女。
それは十六夜咲夜その人だった。
その姿を見てフランドールはびくっとなった。
まさか私に用?とも思ったが、どうもそういう様子ではなかった。
その横顔をまじまじと見ていると、咲夜はその視線に気づいた。
目と目が合う。
咲夜は金髪の少女を目を細めて見ていたが「気のせいね」と呟いて首を振る。
改めて少女を見ると、己の手にあるお団子の事に思い至った。
「これ、いる?」
見ると既にお団子を食べ終えていて、咲夜はお団子が欲しいのだと思った。
咲夜はお団子を少女の方へと傾ける。
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フランドールは戸惑っていた。
”私”の記憶には、咲夜と会ったという思い出は無い。
咲夜が何のためにここにいるのか、別に買い物という様子でもないし、何か疲れたような顔をしている。
もしかしたら私を探しているのかもしれないが、私が探し人とだと気付いている様子はない。
「遠慮しなくていいのよ?」
戸惑った様子のフランドールを、咲夜は遠慮しているのだと勘違いする。
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フランドールは意を決して、お団子にぱくついた。
それまでの緊張は、お団子の甘さに流されてしまう。
また頬が緩み、思わずつぶやきが漏れる。
「おいしい・・・」
咲夜は子犬に餌をあげているような、何かむずむずとする感傷を得ていた。
お団子を傾ければ、ぱくっとお団子を食べてくる金髪の少女。
その頬を緩めている表情を見れば、咲夜自身も思わずニコリと笑ってしまう。
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咲夜は思った。
魔法使いのような恰好をしているこの少女は、妖気が少し漂っていて、人間ではないと。
探し人の”フランドール・スカーレット”かとも思ったが、レミリアから聞いていた雰囲気と違うし、何より翼も無い。
そうして餌付けしていると、一皿目のお団子が終わった。
追加でお団子を注文し、一本を自らが食べつつも、相変わらず良い笑顔で食べるフランドールにお団子を傾けている。
咲夜はなんだか温かい気分になった。
いくら探しても見つからない探し人に苛立ちと焦燥を感じていたが、それらが吹き飛んでしまった。
気分転換に茶屋に寄ったが、結果としては正解だったと思う。
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フランドールは、遠くに魔理沙の気配を感じた。
咲夜とは逆の方向を見ると、歩いてくる魔理沙の姿に気づいた。
「お団子、ありがとう!」
咲夜の方へ向き、笑顔でお礼を言う。
そうして、魔理沙の方へ駆けて行く。
「あ、名前・・・」
咲夜は少女の名前を聞き逃してしまった。
それでも、なんとなくまた会えるのではないかと思った。
そうして一息つくと、お勘定をしに店主の方へ向かう。
調子に乗ってお団子を少女に奢りすぎたせいで、少し冷や汗がでる金額になったのは、また別の話。
==作者のつぶやき==
なし