私がフランドール・スカーレットになっていた件 (未完) 作:冷水
紅魔館からの脱出
==紅魔館内部:地下からのびる階段==
フランドールは、地下から地上へ出る為の階段を上っている。
フランドールには、今が何時なのかは分からない。
しかし、ある要因により今が脱出する絶好の機会だったから。
なぜ今なのか?
フランドールが自分を破壊する間際まで、地上では何か派手な力のぶつかり合いが起きていた。
今はそれが収まり、なぜか姉レミリアの気配や、門番やパチュリーの気配までが屋敷内から消えていたから。
コツ、コツ、
階段を上がる音だけが、空しく響きわたる。
吸血鬼だけあり夜目や暗いところでの視界は、明かりなしでも平気に歩ける程に良好だった。
20分ほど階段を上ると、扉が見えてきた。
出ると、そこは赤い絨毯の敷き詰められた豪勢な屋敷だった。
このあたりは、フランドールの記憶との違いは特になかった。
幸い、今は真夜中らしい。
こんな風に紅魔館の主要メンバーが出払っているというのは、おそらく滅多な事ではありえない。
私が姉の気配を悟れるように、おそらく姉や魔法使いパチュリーなんかは、私の気配が動けば勘付かれる。
だからと言って、日中に行動して日光で焼け死にゲームオーバーなんて、嫌すぎる。
今は誰かに見つかっても、別にどうという訳でもないが、
今から家出(?)をするという状況で、家人や使用人に姿を見られたくないというのは、
人間だったころの心の機微なのかは分からない。
裏口へまわり、誰にも出くわさずに外に出ることに成功した。
外は、地下の空気とはくらべものにならないほど澄んでいた。
日本でも、これほどの場所はあまり無いんじゃないかとも思う。
星空を眺めれば、一面に広がる銀色の輝きは、息を呑むほどの美しさがあった。
「きれい・・・」
その言葉を発したのは青年としてなのか、今は壊れてしまった少女の部分なのか、
それは誰にも分からない。
----------------------
フランドールは歩きはじめる。
今夜は、新月の夜らしい。
その暗さは吸血鬼にとっては何でもないことなのだが、
フランドールの瞳は赤く輝き、翼は七色に輝いている為に若干目立っていた。
周囲の潜んでいる夜行動物や妖怪にとって、吸血鬼の気配というのはただでさえ恐怖に値するものである。
その上、赤い瞳で見られたと感じたり視界に色を捉えただけで、ほとんどの妖怪や動物は息を殺し、必死に悟られないように固まっていた。
しかしながら、無邪気な彼女がそれを気にすることはなかったが、それを知る者は誰もいない。
==作者のつぶやき==
紅魔館脱出は、無事に成功しました。
誰にも会わなかったので、特に会話などありませんでしたが、
早く誰かと出合いたいと、フランドールは思っています。