私がフランドール・スカーレットになっていた件 (未完)   作:冷水

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吸血鬼と「私」

==少女迷い中==

 

フランドールは、ひとしきり笑った後、たった今撃墜したチルノのことを考えて、焦り始めた。

 

妖精は死ぬことは無いらしいが、それでも心配になり、落ちていった方向に降り立った。

 

すると、頭をさすりながら、服装もぼろぼろになっているチルノがいた。

 

 

「だ、大丈夫・・・・・・?」

 

そう問い掛けると、チルノはこちらに気づいた。

 

「あ、あたいは、最強だからこれくらい平気さ!」

 

 

若干、目が泳いでいる。

 

目元に涙も浮かんでいることから、悔しかったのか、それとも痛かったのか。

 

 

 

手を差し出し、起き上がるのに手を貸そうとする。

 

 

 

 

すると、チルノはその手を、驚いたように、じっと眺めていた。

 

しかし手を取ろうとせず、しばらくして自力で立ち上がり、服についた砂埃を払った。

 

 

 

「あたいに触れると、氷付けになるよ」

 

少し寂しそうに、チルノは言う。

 

 

 

青年の記憶の中に、確かに、チルノに関してそんな設定があったかもしれないと思う。

 

私の方も、差し出した手が空を切ったことに、少し傷ついていたが、

 

同時に、フランドールは己の浅慮を恨めしく思った。

 

 

 

「そう、ごめんなさい・・・」

 

 

しゅんとして、俯いていると、チルノはその場の空気を吹き飛ばすように言った。

 

 

「また今度、勝負しよう!」

 

その時は、次はあたいが勝つけどね!と、チルノは元気に宣言する。

 

 

それにつられ、フランドールも元気が出てきた。

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年は、そこでふと思った。

 

なんだか、フランドールの記憶を思い出していくうちに、

 

青年はだんだんと、フランドールに近い反応になってきていると。

 

 

 

特に、話し方。

 

 

 

生前の一人称は「俺」だった。

 

思考こそ、男っぽい考え方(と本人は思っている)なのだが、

 

どうにも体とベースとなる記憶が違うせいか、日が経つにつれて”フランドールらしさ”が増してきている気がする。

 

「うん!」なんて可愛い反応、私はしなかった気がする。

 

 

 

 

ああ、まただ。

 

また「私」になっている。

 

だが、やはりそこまで考えて、青年は考えるのを放棄する。

 

それは、考えてはいけないことだと言い聞かせる。

 

 

 

「私」が誰であろうと、主観の主は”自分自身”なのだと言い聞かせる。

 

--青年とも、フランドールとも言わない、曖昧さを残して。

 

 

----------------

 

 

==少女迷い中:森==

 

心なしか、辺りが明るくなってきているような気がする。

 

チルノと別れ、いつか再戦の約束をした後、

 

フランドールはふらふらと、今度は飛び始める。

 

 

なんだか、眠くなってきているというのも、

 

もしかしたら朝が近いのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

そこまで考えて、一気に思考が”覚めた”

 

 

(あれ?朝になったらやばくね?)

 

 

 

 

まだ夜明け前、日が出るには未だ早い。

 

 

しかし、日の出まで、おそらく一時間は無いのではないだろうか。

 

 

そう思うと、今までなんとなく漂っていた周囲を見回す。

 

 

 

 

あたり一面、樹木が生い茂り、木々ばかりが生えている。

 

民家など一軒も無く、隠れられる場所は木の陰しかない。

 

 

 

 

 

そうすると、冷や汗が出てきた。

 

 

フランドールは、日が出る前になんとしても「日光の射さない安全な場所」を確保しなければならないと、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





==作者のつぶやき==

なし
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