私がフランドール・スカーレットになっていた件 (未完) 作:冷水
==少女迷い中(朝)==
「あぁ・・・死にそう・・・・」
日光に焼かれそうになりながら、フランドールは森の中をひたすらに走っていた。
日陰を渡り歩くように、そして時に実際に”焼かれ”ながら。
しかしそんな事よりもっと、フランドールの危機を煽ったことがあった。
それは地下に長く居たせいで、視界が暗い場所に最適化されすぎたこと。
姉と違い昼に表にでるという習慣が無いフランドールにとって、
日陰ですら眩しすぎて視界が安定しない。
(眼が見えない・・・)
これほど、生物にとって恐怖を引き出すことはない。
これは吸血鬼でさえも例外ではない。
むしろ強大な吸血鬼だからこそ、恐怖も大きいのかもしれない。
半ば狂乱しながら、フランドールは一か所にとどまることもなく移動し続けていた。
目を慣らそうとしても、頭がくらくらして目を開けていられない。
もう既に、片側の翼は半分ほど焼けて無くなっている。
姉はこの日の光の中を日傘一つで往来するというのだから、
吸血鬼としてはどこか、頭のネジが外れているのではないだろうか。
夜に寝て朝に活動する吸血鬼など、いくら幻想郷だとはいえ、人間にすれば恐怖以外の何物でもない。
というか、レミリアは日光にある程度の耐性があるのではないだろうか。
どれくらい走っただろうか。
フランドールにとって永遠にも等しい日光からの逃走劇は、
一つの終幕を見た。
薄く目を開けて見えるのは一つの建物だった。
今、周囲に人の気配はない。
フランドールは最後の力を振り絞り、その建物へ向かって走り出す。
光による激しい頭痛と、
体を焼かれることによる痛みと、
吸血鬼の本能が上げる絶叫が、
フランドールをただ突き動かしていた。
扉に体当たりする。
幸いにも、カギはしていなかった。
部屋はカーテンがかかっていて、薄暗いことも運が良かった。
急いで扉を閉める。
部屋の中央へ向かい、二歩、三歩。
そこで、フランドールは気を失った。
日光が当たらないという安心感と、
つかの間、気が抜けたことで襲って来た睡魔。
チルノと弾幕勝負をし、そしてひたすら走って来たフランドールには、
それに抗う精神力はもう残っていなかった。
余談だが、この建物の看板にはこう書かれていた。
『霧雨魔法店』と。
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==博麗神社==
博麗神社では、飲み潰れた妖怪や巫女、魔法使い達の姿があった。
紅霧異変と呼ばれる、吸血鬼レミリア・スカーレットが起こした異変。
その解決を祝って、昨夜から今朝にかけて盛大な宴会が行われた。
ある者は、神社の石畳に寝ていた。
ある者は、朝日に焼かれないように神社の屋内に移動していた。
ある者は起きだし、周りの者を起こし始める。
二日酔い気味で、気持ち悪そうにしている者もいる。
その中には、当然のようにレミリア・スカーレットが含まれている。
幻想郷の異変解決を祝う宴会には、異変の首謀者すら呼ばれる。
そう博麗の巫女が決めたから。
紅魔館からはレミリアの他に、従者の十六夜咲夜、門番の紅美鈴、動かない図書館ことパチュリー・ノーレッジが参加していた。
ゆえに、紅魔館のメンバーは未だ知らない。
フランドールが屋敷を抜け出したという事実を。
==作者のつぶやき==
作者、睡魔に負けそうです。