私がフランドール・スカーレットになっていた件 (未完) 作:冷水
フランドールは目を覚ました。
起き上がろうとすると、体には毛布が掛けられていた。
はっとして、あたりを見回すと、部屋には明かりが灯り、
自分が寝ているのもソファーの上だということに気がついた。
視線の先にある窓を見ると、外は夕方らしく、夕日が大地を赤く染めていた。
直接当たりさえしなければ、夕日程度なら見ても頭は痛まなかった。
考え事に没頭していると、人の気配が近づいてくるのに気づいた。
そちらへ顔を向けると、
金髪の長い髪、片側をおさげに纏めた髪型で、
黒い衣服に白いエプロンを着た少女が現れた。
「目が覚めたか?」
それは紛れもなく、霧雨魔理沙その人だった。
フランドールは、自分の行動を思い起こす。
朝が来てから、日光に焼かれる痛みと眩しさで、所々記憶が曖昧になっていた。
日光に焼かれながら、どこか薄暗い場所へ入って行った記憶がある。
「あなたが助けてくれたの?」
フランドールはそう問い掛けると、少女は困ったように苦笑する。
「お前が、私の家に寝ていたんだが・・・、覚えてないか?」
そう返されてしまったが、確かにそんな気もする。
「私の名前は霧雨魔理沙。名前を聞いてもいいか?」
キッチンと思われる場所へ姿を消したかと思うと、2人分の湯のみと急須を用意し、
フランドールの対面、テーブルを挟んだ向かい側のソファーへ腰掛ける。
お茶をこちらへ出して来るタイミングで、魔理沙はそう問い掛けてきた。
「私は、フランドール・・・」
一瞬、スカーレットという姓まで名乗りそうになったのだが、
原作のように、魔理沙はもしかしたら紅魔館の人達と交流があるかもしれないと考え、口には出さなかった。
その勘は当たっていて、昨日に行われた紅魔館のメンバーを含めた異変解決の宴会に、
魔理沙も参加していていた。
レミリアや美鈴らと酒を飲み交わし、そして異変ではパチュリーとスペルカードで相対するなど、
交流を深めていた。
フランドールにとって幸いだったのは、銀髪の姉と対比して金髪であることや、
翼が宝石をあしらったような不思議な形をしているなど。
姉との関連こそ疑われてはいなかった。
何か訳有りなのだろう程度に、魔理沙は考えていた。
「何で、私の家にいたのか、よければ話してくれないか?」
控えめに、言いたくなければ言わなくていいという風に、質問をしてくる。
フランドールは考える。
なぜ”ここ”にいるのか?
それはフランドール自身にも、なんとなくとしか答えられなかった。
紅魔館から出て来たのは、幻想郷が面白そうな場所だと思ったから。
それに、地下に居るのは気が滅入りそうだと思ったから。
新しい生を得て、それを素晴らしいものにしたかったから。
自由に、生きてみたかったから。
色々考え、フランドールは口を開く。
「私は、家出をしてきたの」
魔理沙を見つめ、フランドールはまっすぐに言う。
「自由に生きたいと思ったから」
==魔理沙の家==
魔理沙はそれを聞いて思った。
妖怪ではあるが、自分と同じような考え方をした少女なのだと。
魔法の道を目指し、人里でも有数の大商人の娘という地位を捨て、
家族を捨て、家出した過去を思い出す。
まっすぐに見つめてくるこの目。
自由に生きたいという意思。
少なからずフランドールに共感できる部分があった。
魔理沙は問う。
「行く宛はあるのか?」
フランドールは、ここへ来たときは酷い怪我をしていた。
背の翼は焼け焦げ、顔には火傷の跡があった。
衣服は所々、木々に引っ掛けたのか、破けていた。
見ると怪我は、時間が経つとともに治って行ったが、
本人は気づいているか分からないが、
服装に関しては今も酷い恰好をしている。
そこまでするだけの、何かがあったのだろうと思う。
実際には、フランドールは行く宛など考えず家出し、
夢中になって逃げていただけなので、何も考えてはいなかったのだが、
魔理沙の目にはそう映った。
「う・・・・」
フランドールは、そこで目を泳がせた。
行く宛など無い。
ここを出れば、また明日も同じような生活をするだろう。
もしかしたら、今日よりは賢く動けるかもしれないが、
朝が来るまでの短い時間で、良い居場所が見つかるとも思えない。
「なら、私の家に住むか?」
短い間でもいいし、気が済むまで居てもらって構わないと言う。
ただし、色々手伝いはしてもらうけどなと、そう呟きながら。
フランドールは、そこで顔を上げた。
「え?」
私は妖怪、彼女は人間。
魔理沙からの提案は、フランドールにとって願ってもないことだった。
だけど、本当にいいのだろうかと思う。
同時に、なぜ初対面の自分にそこまでしてくれるのか、疑問に思った。
驚いた顔で、魔理沙を見つめる。
得意げな顔で、ニヤリとしつつ、フランドールを見てくる魔理沙。
気分を害してしまうかもしれないと思いつつ、フランドールは問いかける。
「なんで・・・・そこまでしてくれるの?」
私は妖怪で、怖くないの?とも問う。
そこで、魔理沙は言う。
自分と同じように、家出をするフランドールの事が放っておけなかったと。
「それに、私も最初は住む場所に困ったからな」
少し寂しげな表情をしつつ、フランドールをまっすぐに見つめる魔理沙。
フランドールは、そこでソファーから立ち上がった。
「お願いします。私をここに置いてください」
頭を下げ、魔理沙に頼み込んだ。
それを、魔理沙は快く了承するのだった。
==独自解釈or設定==
レミリアの髪色・・・この作品では「銀髪」とします
公式の記載を、見つけられなかったので、独自解釈or設定とします。
青髪や、紫という方もいるかもしれません。
==作者のつぶやき==
さて、しばし、フランドールパート(の予定)です。
咲夜達、紅魔館組が、ほぼ同時に動きだし、
ここに来て焦点を当てるのは、フランドールがどのようにして、
外の世界に溶け込んでいくのか。
あまり、起伏の豊かな文章が書けないのが悔しいのですが、
もし、続きを見て下さる方がいたら、嬉しいです。
次回、フランドールが魔法少女に変身します!
タイトルはさながら・・・
「魔法少女フランドール・スカーレット」
※タイトルは違います、多分