フォーサイスより愛を込めて(魔法先生ネギま!×EVOLIMIT)   作:瓶缶ペットボトル

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期末試験編(2)


2003年3月15-16日

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2003年3月15日

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 午前授業の土曜日、2-A教室にて。

 

「何ですって!? 2-Aが最下位脱出しないとネギ先生がクビに!?」

 

 委員長の雪広あやかが騒いでいた。どうしてそんな大事なこと言わなかったんですの! と桜子に詰め寄っていた。

 

「みんなー! 大変だよー! ネギ先生とバカレンジャーが行方不明に!」

 

 走り込んできたハルナの言葉でクラスメート達が顔を青ざめさせていた。

 

「で、でも大丈夫ですー」

 

 のどかの言葉はがやがやと騒がしくなったクラスメート達の声にかき消された。

 わたわたしているのどかを見た千雨が溜息を吐きながら教卓に立って、日傘を振り下ろした。

 

――BASYYYYYN!

 

「私を見ろっ! そのことについて、私から話がある」

 

 全員が口を閉じ、千雨に注目が集まっていた。

 

「バカレンジャーとネギ先生は強制勉強部屋、通称タコ部屋へ入った。試験前日夕方5時まで出られない勉強部屋だ」

 

「ど、どういうことですのっ!? どうして長谷川さんが!?」

 

「私は昨日、ツナミが残した置手紙を見て図書館島へ向かった。そこで、ネギ先生とバカレンジャーに加え、近衛とツナミが行方不明になったことを知った。そして、桜咲と二人で図書館島地下11階へ向かった。そこには、学園長がいたわけだ」

 

「地下11階って、どうやって行ったんですの?」

 

「桜咲と二人で飛び降りた」

 

「……え? 今なんと?」

 

「いいんちょ、それが本当なんだって。私とのどかが見てたからさ。地上から地下11階まで飛び降りたんだって」

 

「刹那、本当かい?」

 

 教室後方で刹那と話していた龍宮が刹那に話しかけていた。

 

「本当だ。長谷川さんの日傘あるだろ?」

「ああ、年中持ち歩いてるやつな」

「あれ、フック銃だった」

「フック銃?」

「柄の部分がフックになってた」

 

「そんなことはどうでもいいだろ! バカレンジャーはな! 『読めば頭が良くなる魔法の本』を取りに行ってたわけだ。だが、これは学園側が流したデマだったんだよ! 魔法の本を探しに来た不良学生をとっ捕まえて、試験日まで缶詰にして勉強させるための罠だったんだ!」

 

「そ、そうだったんですのっ!?」

 

「そうだ。バカレンジャーは試験日までみっちりと勉強してるから心配はいらない。むしろ、私達がヤバイ! 近衛とツナミがバカレンジャーに取られた今! ヤバイのは私達なんだよ! というわけで――」

 

 途中で言葉を切り、千雨が超鈴音と葉加瀬聡美を交互に見ていた。

 

「さっぱり分かりませんわ! 何が『というわけで』なんですの?」

 

「というわけで、超と葉加瀬! 私に勉強を教えてくれ」

 

「ムム? 長谷川さんが私を頼るなんて珍しいネ! いいヨ!」

 

「はぁ、確かにそうですね。いつも日傘の改良とメンテナンスを頼んでくるくらいですし」

 

 まったく、CNTワイヤーにしろなんて無茶苦茶言ってくるんですから、と葉加瀬がぶつぶつ文句を言っていた。

 

「あれ作ったのあの二人だったのか」

「納得だな」

 

 龍宮と刹那が囁き声で会話をしていた。

 

「ありがとう! ふふふっ! これで私はバカレンジャーに入る心配がなくなった」

 

『ん?』

 

 千雨の言葉を聞き咎めて、クラスメート達が疑問符を浮かべながら千雨を見つめた。

 

「えート、どういうことカナ? 長谷川サン?」

 

「どういうことって……バカレンジャーの成績が上がることは間違いないからな、バカレンジャーのメンバー入れ替えなんてやだし」

 

『ハッ!?』

 

 今回も真面目に勉強する気などさらさらなかった者達が衝撃を受けていた。

 

「成績的に言えば……柿崎は2代目バカピンク、絡繰はバカメタル、マクダウェルはバカゴールド、桜咲は2代目バカブラックで、私は2代目バカレッドかバカオレンジだろ? んで、ザジがバカシルバーってとこか?」

 

 千雨に名前を呼ばれた柿崎、エヴァンジェリン、刹那が険しい顔で千雨を睨みつけていた。茶々丸は照れくさそうに頭を掻いて、ザジは頬を膨らませていた。

 

「6人いるヨ?」

 

「だからだよ! 私は私以外の5人を蹴落とせばバカレンジャーにならずに済むからな」

 

『性格悪っ!』

 

 クラスメート達が声を揃えて千雨を非難していた。

 

「……柿崎サンと桜咲サンは私と葉加瀬が担当するヨ。いいんちょサンはザジサンを頼みたいガ、どうカナ?」

 

「任せてくださいまし」

 

「エヴァンジェリンサンはどうカナ?」

 

「私か? 私と茶々丸なら問題ない。茶々丸、今回のテストは本気でやれ」

 

「了解です」

 

「あれっ!? えっ? おい、超! 私は?」

 

 千雨がおろおろしながら超鈴音を見つめた。

 

「自分で勉強すればいいんじゃないカナ?」

 

「なんで!? 勉強教えてくれるって言っただろ!」

 

「確かに言ったけど、あれは嘘ヨ」

 

 超鈴音が肩をすくめた。

 

「な、なんでだよ?」

 

 千雨の顔が青ざめていた。

 

「なんでって、当たり前ヨ! 長谷川サンの話を聞いて長谷川サンに勉強教える人なんかいないネ!」

 

 超鈴音の言葉を聞いて千雨が教卓に手を付いて肩を落とした。

 

「そ、そんな……ひどい、ひどすぎる……なんて奴らだ……そんなにバカレンジャーになりたくないのか……ちくしょう、こんなことが許されるのか」

 

『お前が言うな!』

 

 いつも通り、千雨にイラッときていたクラスメート達が叫んでいた。

 

「だって……だってさ、2代目バカレッドならいいけどさ――」

 

「えっ、いいんですかー?」

 

 千雨の隣にいたのどかが驚きに目を見開いた。

 

「――バカオレンジとかバカレッドの偽物みたいじゃん! ……あれ? 今気付いたけど……私って髪型変えて眼鏡取ってカラコン入れたら神楽坂に似てるんじゃねーか? やばい! バカオレンジはバカレッドの劣化クローンっていう設定になっちゃう! きっと瞳の色が受け継がれなかったから私はレッドになれないんだ……ちくしょう! ちげえよ! まだバカオレンジじゃねえよ!?」

 

「長谷川サン……じゃなかった、バカオレンジサンも強制勉強部屋に行った方がいいんじゃないカナ?」

 

「いや、長谷川で合ってるし! まだバカオレンジじゃねえよ! いや、待てよ? 私の席なら、超の答案見えるんじゃねーかな」

 

「長谷川君? 君もタコ部屋に行くかい?」

 

 朝一の授業に来ていた高畑が溜息を吐いていた。

 

「いや行かないです。真面目に勉強しないと駄目か。はぁ、チョコレート買ってこよ」

 

「これから授業なんだけど?」

 

「お腹減ってるんで休みます」

 

「駄目だよ」

 

「駄目かー、私ですよ?」

 

「いや、うん、駄目だよ。何、長谷川君、どうしてそれで休めると思うの?」

 

 千雨がうんざりした顔をしながらも自分の席に歩いて行った。

 

「あ、そうそう。うちのクラス最下位でもネギ先生クビにならないから安心しろよ」

 

『えっ!?』

 

 あやかを筆頭に、クラスメート達の顔が明るくなった。それなら別に頑張らなくてもいいんじゃないかと明るい声を出していた。

 

「最下位だと来年から新田先生が担任に代わるだけみたいだから」

 

『え゛!?』

 

 最初以上にクラスメート達の顔が暗くなっていた。全員がサッと席に着いて教科書とノートを開き、鬼気迫る顔つきで勉強し始めていた。

 

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 一方その頃、図書館島の地底図書室に落ちた面々はというと。

 

「チサメの作った辛口カレーが食べたい」

 

 マキエ、ここの計算間違ってる、と言いながらツナミが溜息を吐いていた。

 

「あれ甘口だよねー」

 

「違う、あれが辛口なの!」

 

 朝一の勉強会が始まっていた。

 

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2003年3月16日

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 女子寮2階のセミナー室では2-Aの勉強会が行われていた。

 

「試験は明日ネ! 今日は皆のために葉加瀬と二人で想定問答集を作ってきたヨ」

 

 超鈴音がホワイトボードの前でプリントの束を抱えていた。

 

「試験まで時間がないので、所要時間は各教科2時間程度、80点は取れるように作ってきました」

 

 葉加瀬も超鈴音と同量のプリントの束を抱えていた。

 

 二人がプリントを全員に配り始めた。

 

「てめえら作れるんなら毎回作れよな」

 

「文句言うなら長谷川サンにはあげないヨ」

 

「ごめんなさい」

 

 千雨は弱かった。うやうやしく超鈴音からプリントを受け取り、頭を下げていた。

 

「今まで誰一人頼んで来なかったからネ!」

 

「皆さん勉強嫌いみたいですからねー」

 

 超鈴音と葉加瀬の一言に普段真面目に勉強しない生徒達が一斉に顔を背けた。

 

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 一方その頃、バカレンジャー組はというと。

 

「キャーーッ!」

「大変や、アスナー」

「どうしたの、このか!?」

 

 まき絵が動く石像(ゴーレム)に捕まった状態で明日菜とネギの前に現われていた。

 

「誰か助けてーッ!」

 

 ネギ君、アスナー、とまき絵がゴーレムの手の中で藻掻いていた。

 それを見たネギがぷんぷん怒りながらぶつぶつ何やら呟いてゴーレムめがけてビシッとポーズを決めた。

 

「くらえ、魔法の矢!!」

 

 かっこつけてポーズを取ったものの何も起こらず、非常事態にも関わらず白けた雰囲気に包まれた。

 

「「まほーのやぁ?」」

「ネギ坊、アニメの見過ぎ」

 

 楓と古菲がネギを見ながら大口を開け、ツナミがやれやれと肩をすくめていた。

 

「フォフォフォ、ここからは出られんぞ。もう観念するのじゃ。迷宮を歩いて帰ると三日はかかるしのうー」

 

 ゴーレムが最初に気を取り直してまき絵を掴んだままじりじりと近づいていた。

 

「みんな、あのゴーレムの首のところを見るです! 本をいただきます! まき絵さん、クーフェさん、楓さん!」

 

「「OK、バカリーダー!」」

 

 夕映の言葉に楓と古菲がビシッと親指を立てていた。

 古菲がゴーレムの脚を殴りとばし、まき絵が捕まっているゴーレムの右手を蹴り飛ばした。

 

「楓! まき絵は任せたアル!」

「任せるでござる」

 

 跳び上がった楓がゴーレムの手から投げ出されたまき絵をキャッチしていた。そして、まき絵がどこからともなく取り出したリボンでゴーレムの首に引っかかっていた本を取っていた。

 

「逃げるわよ! ツナミ、早くしなさい!」

 

 明日菜が音頭を取って逃げ出そうとしていたが、逃げる様子のないツナミを見て叫び声を上げた。対するツナミはゴーレムを前に不敵に笑っていた。

 

「フッ……逃げない、ゴーレムには倒し方があるから逃げない! カエデ、マキエを下ろして、もう一回ジャンプして! 頭のどこかに文字が書いてあるはずだからー!」

 

「フォッ!? に、逃げんのか!? ……逃げてくれんと困るんじゃがのう」

 

 ゴーレムが困ったような声を上げておろおろし始めた。

 

「倒せるでござるか?」

 

 楓がまき絵を下ろしながらツナミの横に立ち並んでゴーレムに目を向けた。

 

Yippiee-ki-yay(あったりめえよ)!」

 

 ツナミがニヤリと笑いながら親指を立てていた。

 

「ゴーレムの倒し方……ハッ! そうです。emeth(真理)meth()に変えればいいはずです!」

 

「なるほど……では」

 

 楓がゴーレムに向かってジャンプした。ゴーレムの頭上で宙返りをしながら文字を確認していた。

 

「フォフォフォ……そう上手くいくかのう」

 

「確かに頭の上に書いてあったでござるが、違うでござる!」

 

「何て書いてあったのー?」

 

「『hard』でござる」

 

「hardって熱心に!?」

 

「違いますよ、明日菜さん。この場合は堅いってことです」

 

 英語教師のネギが少しだけ呆れていた。

 

「フォフォフォ……堅くて壊れんぞ! 本を返すんじゃ!」

 

 ツナミが不敵に笑っていた。

 

「フッ……カエデ、最初に『s』を書いて!」

 

「フォッ!?」

 

「分かったでござる!」

 

 ゴーレムを飛び越えて後ろにいた楓がジャンプし、どこからともなく取り出したクナイでゴーレムの頭のてっぺんに書かれた文字の最初に『s』を刻み込んだ。

 

「カエデ、離れて! マキエ、本ちょうだい」

 

「うん、はい」

 

 まき絵から本を受け取ったツナミが楓が離れたことを確認してから、本をゴーレムに投げつけ、背を向けた。

 

「フッ……砕け散れ、()()()のように」

 

「なんじゃとーーーッ!!」

 

 背を向け歩きだすツナミの後ろで、ゴーレムがキラキラ輝くガラスの破片に変わっていた。

 

「さぁ、帰るよー」

 

 歩き出すツナミの背中に尊敬のまなざしが集まり、目の錯覚だろうがツナミの背中が光り輝いて見えた。

 全員があることに気が付くまでは。

 

「……えっ、本はどうするですか?」

 

 夕映がガラスの山を指差して唖然としていた。

 

「まきちゃん! リボンで取ってよ!」

 

「拙者からは見えたのでござるが……本も粉々になってしまったでござる」

 

 尊敬のまなざしは消えて、非難の視線がツナミの背中に集まっていた。

 

「……ズルは駄目」

 

 振り返ったツナミが良い笑顔で親指を立てていた。さらにサービスでウィンクを一回。

 

「……誰ですか、ツナミさんを連れてきたのは?」

 

 夕映が頬を引きつらせながら呟き、ツナミ以外の視線が明日菜に集まっていた。

 

「だから悪かったわよ! でも、うん、そうね……ズルは駄目よ!」

 

 明日菜がやけくそ気味に叫んだ。

 

「帰りましょう、みんなで。ツナミさんの言うとおり、結果がどうなろうと、ズルは駄目ですよ。でも、大丈夫です、ちゃんと勉強したじゃないですか、ねっ?」

 

 ネギが明日菜とツナミをフォローしつつ綺麗にまとめようと動いていた。

 

「歩いて帰ると三日かかるってゴーレムさんが言ってたえー」

 

「いいから私についてこーい!」

 

 ツナミが腕をぶんぶん振りながら歩き始めた。

 ツナミの言葉に後ろの全員が嫌そうな顔をしていたが、顔を見合わせながらとりあえずツナミの後ろについて歩き始めた。

 

「ヒントは3つ。『読めば頭がよくなる魔法の本』の噂が何年も前からあること、英単語ツイスターのバージョン、新鮮な食料と飲料水、そして本棚の蔵書」

 

「4つでしょっ!」

 

「チャペック殿の持ちネタでござるなぁ」

 

「まず1つ目、この地底図書室はずっと前からある。2つ目、英単語ツイスターのバージョンは10.5。これはつまり、少なくとも大規模な修正を9回、小規模な修正を5回繰り返している。つまり、ここには何度も生徒が来てるってこと。3つ目、この地底図書室を管理している何者かが存在している。そして、最後、蔵書の大半は教科書や参考書だった……導かれる結論は一つ。ここは魔法の本を探しにきた不真面目な学生を捕まえて勉強させるための部屋」

 

『なるほど!』

 

「さらに類推が可能。ゴーレムが出て来たということは、帰るためのドアが開けられた。おそらくエレベーターのようなもの。そして二つ目、ここから先にあるのは簡易的な試験のようなもの……つまり、試験に出る!」

 

『な、なるほど!』

 

「ゴーレムが私達を追い込もうとした先にあるのは、あの滝。きっと滝の裏にドアがある」

 

「ツナミ! あんたがいて良かったわ!」

 

 ツナミを連れてきたことに若干の責任を感じていた明日菜が明るく騒いでいた。

 

「あっ! ホントにあった!」

 

 滝の裏には非常口があった。

 ついでにドアには問題文が書かれていた。

 

「ここから先の問題は全部、バカレンジャーが答えて」

 

 ツナミの言葉にバカレンジャーがうんざりしつつ問題文とにらめっこしながら唸っていた。

 

/////*****/////

 

 一方その頃、女子寮637号室にて。

 

 千雨はカレーを煮込んでいた。辛口が食べたいという割に辛い物が食べられないツナミのために甘口のカレールーを使って。当然、ツナミに出すときは辛口だと言っているが。

 

 千雨が火を止めて時計を見た。

 

「図書館島にツナミ達を迎えに行ってくる」

 

 エプロンを外す千雨にザジが手を小さく振っていた。

 

「つまみ食いするなよ」

 

「……ちっ」

 

 ザジがそっぽ向いた。千雨が苦笑いしつつ部屋を出るとちょうど刹那も部屋から出たところだった。

 

「ん? 桜咲も迎えに行くのか?」

 

「え……いえ、そういうわけでは」

 

 刹那が目を泳がせていた。その様子に千雨が溜息を吐いた。

 

「まぁいいや、さっさと行こうぜ」

 

「いや、あの……そういうわけではないのですが」

 

 そう言いつつも、千雨と刹那が連れ立って寮を出て、図書館島に向かって歩き始めた。

 

「あのー、長谷川さん……」

 

「ん? なんだよ」

 

「私がいたことは内緒にして欲しいのですが……」

 

「近衛にか?」

 

「ええ、お嬢様の耳に入らないようにして欲しいのですが」

 

「あぁ、いいけど」

 

「えっ? いいんですか?」

 

 やけにあっさり言われて刹那が驚いていた。

 

「ん? あぁ、成績悪いのに遊んでることバレたくないんだろ」

 

「いや、ちがっ……そういうことでいいです」

 

 刹那が自分の成績を思い出して少ししょんぼりしていた。

 千雨と刹那の二人がぽつぽつ話をしながら歩き続け、図書館島に着いた。

 

/////*****/////

 

 その頃のバカレンジャー達と言えば、1時間以上螺旋階段を上り続け、全30問の問題を解き、一階直通のエレベーターにたどり着いていた。

 

「長かったぁ」

 

 エレベーターの中で全員が座りこんでいた。

 

「そういえば、ツナミさんに聞きたかったのですが……ゴーレムはどうやって倒したですか?」

 

「ネギ坊、解説」

 

「えーと、はい。『hard』は堅いという意味なのは皆さん知ってると思います」

 

「明日菜は間違ってたけどねー」

 

「ちゃ、ちゃんと覚えたわよ!」

 

「最初に『s』を付けて『shard』にすると、砕けやすいとかガラスの破片という意味になるんです。最初は堅くて壊れないゴーレムが砕けやすいガラスに変わったので本をぶつけただけで壊れたんです。ということですよね?」

 

「これは間違いなくテストに出る」

 

 ツナミが名探偵ポーズで頷いていた。

 

――チーンッ♪

 

「外に出れたーッ!」

 

 エレベーターから出た全員が眩しそうに太陽を見ていた。

 

「お、やっと戻ってきたな」

 

 日傘を普通に差している千雨が声をかけた。

 

「チサメー、ただいまー」

 

「あぁ、おかえり。ちゃんと勉強してきたか?」

 

「うん!」

 

「長谷川、なんでここにいるのよ?」

 

「学園長から聞いて全部知ってるからだ。不良学生を捕まえて勉強させるための部屋にいたんだろ?」

 

「あっ、はい、そうです」

 

 ネギが代表して頷いていた。他の面々は魔法の本を探しに行った後ろめたさで居心地悪そうにしていた。

 

「千雨ちゃん、一人だけなん? 他に誰かおらへんかったー?」

 

 木乃香が誰か探してる風に周りをきょろきょろ見た。

 

「……私だけだなぁ」

 

 千雨が木を見上げながら苦笑い。

 

「カレー作ってあるから早く帰ろうぜ」

 

「辛口?」

 

「あぁ、辛口だよ」

 

 ツナミが万歳しながら飛び跳ね、他の面々はお腹をさすりながら顔を見合わせていた。

 

「……はぁ、てめえらも来いよ」

 

 まぁ他の奴も何かしら作って待ってると思うけどなぁ、と呟いて寮に向かって歩き出した。




コミックスによると地底図書室のエレベーターの表示がB30になっていたようですが、どれだけ落っこちたんだろうと少し心配。

ゴーレムの倒し方については元ネタがあって、クロシェットの『サキガケ⇒ジェネレーション』より。
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