フォーサイスより愛を込めて(魔法先生ネギま!×EVOLIMIT) 作:瓶缶ペットボトル
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2003年4月10日
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「昨日騒がしかったけど、何かあったの? いや、よく考えれば毎日騒がしいから昨日だけじゃないか」
「んー? Mustela ermineaをネギ坊がペットにした」
ツナミが腕を組んで前日の乱痴気騒ぎを思い出していた。ツナミは風呂嫌いなせいで大浴場での騒ぎは人伝に聞いただけだったが、どうやら風呂場でネギを中心にしたドタバタ騒ぎに明け暮れていたらしいことだけは分かった。
「マステラアーミニア、ってなんだよ?」
「哺乳網食肉目イタチ科イタチ亜科イタチ属、オコジョ。イギリスからネギ坊を探して来たみたい、忠犬ハチ公もビックリして裸足で逃げてく。私も欲しい」
千雨が天井を見上げてうんざりしていた。
「どうやって日本まで来たんだよ……いや、小動物はお約束か、うん」
魔女っ子ものには付き物だよなぁ、とぶつぶつ誰にも聞こえないように呟いた。
「遅刻しますがよろしいですねー」
飛行形態のチャペックが吹き抜けに浮かび、モノアイをグルグル回しながら点滅させていた。まずザジとツナミの二人が手すりを蹴ってチャペックの背中に飛び乗った。
「それ私もやらなきゃ駄目?」
未だ包帯の巻かれた両手と手招きする二人を交互に見ていた千雨が困った顔をしていた。
「はやくー」
ツナミに催促された千雨が手すりを蹴って二人の間に飛び乗った。上体をふらふら揺らして危うい雰囲気だったが、二人から手を掴まれてどうにか安定した。
が、掴まれた両手の痛みに歯を食いしばって凄い顔になっていた。
その後、千雨は午前中の間ずっとツナミとザジの二人とは一言も口をきかなかった。
放課後、寮の裏手の桜の木の後ろで明日菜と千雨が顔を見合わせながら小さな声で怒鳴り合っていた。明日菜は手に一枚の封筒を持っていて、千雨はジャージ姿だった。そんな二人は、また別の二人を見つからないように隠れていた。
「ごにょごにょごにょごにょ(なぁ、神楽坂……じゃなくてバカレッド。すげー恥ずかしいんだけど)」
「ごにょごにょ(私だってそうよ!)」
「ごにょごにょ(それ行けっ、何やってんだあのガキ!)」
「ごにょごにょ(ひゃー、本屋ちゃん大胆ね)」
「ごにょごにょ(ってこれ見ちゃ駄目なやつだろ)」
「ごにょごにょ(そ、そうね! 長谷川、ちょっとこれ読んでみてよ)」
「ごにょごにょ(他人の手紙読むんじゃねーよ!)」
「ごにょごにょごにょごにょ(ネギのお姉さんからの手紙なの。オコジョに渡したんだけどゴミ箱にあったのよ。あのオコジョ絶対何か隠してるわ)」
「ごにょごにょ(分かった分かった)」
なんだオコジョに渡すって、と呟きながらも突き出された手紙に目を向けた。
明日菜と千雨の二人がそんな会話をしている間にネギとのどかの二人が目を閉じて向き合っていた。顔を真っ赤にして棒立ちになっているネギに、のどかが少しずつ顔を近づけていた。
「ごにょごにょ(えーと、アルベール・カモミールがそっちに行ってない? 彼は下着泥棒だ。なんだこいつ、2000枚も盗んでるぞ。見つけたらウェールズに送り返して欲しい。ネギ、あなたは元気か? あー、あとはそんな感じだ。そんで誰だアルベール・カモミールって?)」
「あんのエロオコジョ!」
明日菜が千雨の前に突き出していた紙を握りしめ、走り出した。
「やべっ、逃げた方がいいか、いや潔く謝るべきか。頑張れ宮崎、あと少しだ――あーあ」
明日菜が旗を振っていたオコジョを掴み取ってネギとのどかの間に割って入った。それを見た千雨が手で顔を覆い、頭をゆるゆると振っていた。
ネギ、明日菜、オコジョの2人と1匹がなにやら過去の回想ドラマに入っている間に、千雨は目を回して芝生に寝ているのどかを介抱していた。手の痛みに呻きながらものどかを起こし、顔を真っ赤にしたのどかと千雨の二人も途中からオコジョの回想話に耳を傾けていた。
「なぁ、宮崎。オコジョ喋ってるよな?」
千雨が唖然としながらものどかの肩を掴んで揺さぶっていた。また私だけに聞こえてるわけじゃないよな、と必死の形相で。
「あ~う~、聞こえてますよー」
「だよな、そうだよな!」
良かったと呟いた千雨がのどかの肩から手を離した。のどかは側頭部を抑えながらふらふらしてはいたが、どうにか状況が飲みこめてさらに顔を赤くしていた。
オコジョの回想話も既に終わっていた。
「し、知らなかったよ……カ、カモ君がそんな苦労をしてたなんて」
「あ……兄貴」
カモの話を聞いて涙を流すネギに明日菜と千雨が呆れた顔をしていた。のどかはネギと一緒に瞳を潤ませていた。
「わかったよ、カモ君。君をペットとして雇うよ!」
「あ、兄貴ーッ!」
ネギとカモががしっと抱き合っていた。
「いや……まぁ、いいんだけどね」
「付き合ってらんねーな」
「ね、ネギ先生……」
呆れた顔で頬を掻く明日菜と、馬鹿馬鹿しいものを見て笑う気も起きない千雨と、赤い顔でネギに熱のこもった視線を送るのどかがネギをカモを眺めていた。
「宮崎、邪魔して悪かったな」
「えっ、あ……はうぅ」
「あっ! ゴメンね!」
その後、ネギとカモの話も一段落付いた後、千雨と明日菜はひたすらのどかに謝り倒していた。
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2003年4月11日
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「――今日もまったりサボらせてもらうよ」
千雨は昇降口で上靴に履き替えてすぐにずり落ちそうになる眼鏡を押さえた。朝からクラスメートが教師をいびるところを見てしまったせいだった。しょうがないので背負っていた鞄から教科書を一冊取りだして丸めて振りかぶった。途中で一回茶々丸と目が合ったが、人差し指を口の前に立てると茶々丸からウィンクを返されていた。
「フフ、ネギ先生が担任になってからいろいろ楽になった――あいたっ!?」
すぱこーん、と良い音が響き、エヴァンジェリンが叩かれた頭を押さえて振り返った。茶々丸はエヴァンジェリンから顔をそむけて笑っていた。
「マクダウェル、今日こそ私の代わりにノートを取れ」
振り返ったエヴァンジェリンが丸めた教科書を手に持っている千雨を見て目を剥いた。
「貴様ッ! 誰がノートなんぞ取るか!? ……ん? もう治ったのか?」
「あぁ、やっぱそう思うよな……今回はなんだか治るの早い気がしてたんだけど、私の気のせいじゃなかったか」
「ちょっと見せてみろ、屋上へ行くぞ」
「んじゃ私もサボるか――いてっ!?」
すぱこーん、と良い音が響き、振り返った千雨はふくれっ面で教科書を握るツナミと目が合った。
「チサメ、行くよ」
「……はい。マクダウェル、放課後でいいだろ」
「まぁいいだろう。それにしても貴様はツナミ・カラニコフとピエロには弱いな」
両側から腕を掴まれてずるずると廊下を引きずられていく千雨の背中にエヴァンジェリンの呆れたような声が届いた。
「さて、ではネギ先生……あれっ?」
さきほどまで目の前にいたはずのネギがいなくなってエヴァンジェリンがきょろきょろと周囲を見回し、最後に茶々丸を見た。
「ネギ先生達でしたらマスターが長谷川さんと話している間に教室に向かいましたが?」
「……アイツがいると碌な事にならんな。それではな、私は屋上で昼寝でもしてる」
「了解しました」
エヴァンジェリンが屋上へ向かって歩き始め、茶々丸とチャペックの兄妹が昇降口に残った。傍目にはまったく似ていないメカメカしいロボットの兄と人に似せて作られたガイノイドの妹、割と珍しい兄妹だった。
「ヘイ、マイシスター。ちびっこにいびられたときはワタクシに言いなさい。すり下ろしニンニク持ってお邪魔してあげますので」
「間に合ってますから結構です。それよりもモンプチ買ってきて下さい」
「愛する妹の頼みとあらば、ジョワッチ!」
飛行形態に変形したチャペックが昇降口から飛び出していった。
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一方その頃、ネギは話の途中でアスナに腕を引かれて階段の踊り場まで来ていた。
「アスナさ~ん、話の途中で逃げてきてよかったんですかぁ?」
「いいのよ。長谷川のことはエヴァちゃんに、エヴァちゃんのことは長谷川に……2年も一緒だったんだからみんな分かってる。長谷川が騒ぎを起こしたときはエヴァちゃんに、エヴァちゃんの機嫌が悪いときは長谷川にって」
「そんでネギの兄貴、あの二人なんだったんスか? 問題児なんスか?」
「いやそれが、問題児ではないんだよ。僕に、いや正確にはお父さんに恨みがあるみたいで」
「よーし! 俺っちが話つけてくるッスよぉー!」
「いやオコジョじゃ無理でしょ」
「実はエヴァンジェリンさんは吸血鬼なんだ……しかも真祖。茶々丸さんはパートナーなんだ」
「く、故郷へ帰らせていただきます」
「コラ……このオコジョ役に立たないわね」
カモが明日菜に尻尾を掴まれてじたばたしていた。
「姐さん動物虐待は勘弁っス! ネギの兄貴と姉さんがサクッと仮契約を交わして……相手の片一方を二人がかりでボコっちまえばいいんだよ!」
「え~っ! 仮契約って昨日の本屋ちゃんのやつでしょっ!?」
「僕とアスナさんが仮契約ー!?」
「本屋ちゃんとすればいいじゃないの」
「宮崎さんとは……あぅぅ」
「姐さんの体術は身を以て体験済みですぜ、姐さんならやれるっスよ」
「だからそれは本屋ちゃんと……あ、遅刻だわ」
朝のチャイムが鳴っていた。
先生なのに遅刻はマズいですー、とネギが慌てて走り出した。
カモが置いて行かれないようにと明日菜の肩に飛び乗った。
「なんで私なのよ!? あんたネギのペットでしょっ!」
「いいじゃねえっスか。仲良くしましょうぜ、姐さん」
お昼休みの中庭の外れ、人気の無い木陰に4人と一匹が集まっていた。お昼ご飯と内緒話とで他人の耳のない場所を探し歩いて辿り着いた場所だった。
「そんじゃ作戦会議といこうぜ、兄貴と姐さん達」
「うぅ、今日もエヴァンジェリンさんは授業に出てくれなかった」
「はうぅ、ネギ先生のお隣ですー」
「とりあえず、ご飯食べない?」
「この集まり私はいらねーよな」
カモが音頭を取ったが空回り、ネギは授業に出てこないエヴァンジェリンにショックを受けて教師としてやっていけるか不安顔、ネギの隣ののどかはほんのり嬉しそう昨日の今日で恥ずかしそう、のどかの向かいに座る明日菜は話よりもご飯な気分で、千雨は面倒くさそうな顔でネギの向かいに座っていた。
「ねぇ、食べないの?」
「話は後にしようぜ」
明日菜と千雨の二人がネギとのどかを置いて先に食べ始め、やがて気を取り直したネギとのどかも食べ始めた。そんな二人の様子を見ていた明日菜と千雨が二人で内緒話をし始めていた。
「ごにょごにょ(これ私達邪魔じゃない?)」
「ごにょごにょ(言うなっつーの。気付かないふりしてたんだよ)」
食べ始めてすぐに胸焼けしたような気分になりながらも明日菜と千雨は昼食を終えたところで、カモが口を開いた。
「そんじゃ作戦会議でも始めますか、姐さん方」
「まだ二人は食べ終わってないじゃないの」
「だからその話私はいらねーだろ」
「まぁまぁそう言わないでくだせぇ。兄貴が襲われちまうんですよ! だから兄貴とサクッと
「それ朝も聞いたわ」
「パクティオーって?」
「よくぞ聞いてくれました、眼鏡の姐さん!」
カモが目を輝かせたが、千雨の目はどんより曇って、オコジョと話しちまった、と落ち込んだ。
「兄貴と仮契約をすると
「パートナーだぁ? それ本屋の前で言うか、普通?」
千雨がカモを睨んでからのどかとネギをちらりと見た。
「パートナーのことはどうでもいいや。ネギ先生はまだマクダウェルと喧嘩中だったのかよ」
「喧嘩と言いますか……また襲われるかもしれないんです」
「長谷川はなんで知らないのよ? エヴァちゃんと話したんでしょ?」
「うん、話したよ。魔法使いには興味ないから魔法使いになりたくないって」
一昨日授業サボったときに、と続けた。
「えっ!?」
ネギが素っ頓狂な声を上げ、目を丸くして千雨を見ていた。他の面々もネギと似たような顔つきで千雨を見ていた。
「……それだけ?」
誰も口を開かない中、明日菜が千雨の様子を窺うように尋ねた。
「他に話すことないだろ。あと他の人には話しちゃ駄目なんだろ?」
「はい、そうです」
「いやだから、それだけ?」
再び明日菜が千雨に尋ねた。他に話すことあるだろうと思いながら。
「そうだって言ってるだろ」
「なんでエヴァちゃんがネギを狙うか知らないの?」
「聞いたけど答えてくれなかった。私が寝てて話聞いてないだけかもしれないけどな」
「役に立たないわね」
「あん? ガキが先生面してるのが気に入らないんじゃねーの?」
「違うわよ! あれ……違うのよね?」
「違いますよー! かくかくしかじかで」
ネギが千雨に懇々と説明し始めた。聞いているような聞いてないような顔で千雨がおざなりに相槌だけ打っていた。明らかに自分に関係ないことなので興味ないです、と言いたげ雰囲気だった。
「……親の因果が子に報いってことか。頑張れ、少年。んじゃ教室戻るか」
ネギとエヴァンジェリンの因縁を一言で片付けて千雨が立ち上がって帰ろうとした。
「待ちなさいよ!」
が、明日菜にコートの裾を引っ張られ座り直していた。
「なんだよ、まだ何か用か?」
「エヴァちゃんを説得してよ」
「仲良し……だったはずですー」
「無理だな」
「無理なんですか?」
千雨の返答にネギの顔が曇った。
「眼鏡の姐さん、そんなケチくさいこと言わないでくださいよー、痛いっス」
カモは千雨にデコピンされてごろごろ芝生の上を転がった。
「私には無理だ。そもそもマクダウェルの方から喧嘩ふっかけたことが不思議だったんだ。アイツは面倒事と他人が嫌いでプライドが高い」
「酷いこと言うのね」
「えーと、売られた喧嘩は買うけど自分からは売らない、弱い奴から売られた喧嘩は鼻で笑い飛ばす。マクダウェルから喧嘩を売ったってことはそれ相応の理由があると思ってた……私は絶対に勝てないけど魔法使いならなんとかなるんじゃねーの? 何かのせいで弱ってるんだろ?」
「次の満月までは人間と同じらしいわよ」
「ふーん、じゃあ満月までにぶっとばせば?」
千雨と明日菜の話を聞いていた二人が首を傾げた。千雨の話しぶりに違和感を感じたが故だった。共有していないはずの情報が共有されているような、そんな違和感を感じていた。
「ん? えーと、あれー?」
「長谷川さん?」
ネギとのどかが同時に話に割って入った。
「ん? なんだよ?」
「エヴァンジェリンさんが吸血鬼だって知ってるんですか?」
ネギが千雨を見た。
のどかは顎に手を当てて考え込んでいた。そして思い出した。『だから今の貴様の血は不味い』、昔はそうじゃなかったと暗にエヴァンジェリンが言っていたことを。
「あっ! そういえばっ!」
「知ってるよ。合気柔術の月謝は血液払いだからな」
「えっ!? でも魔法は知らなかったんじゃ?」
「魔法なんてあるわけない……と思ってたからな」
「吸血鬼は?」
「いてもおかしくないだろ」
千雨以外の面々が千雨を変な顔で見つめた。千雨はそんな顔を今まで何度も見ていたので唇をへの字に曲げて腕を組んだ。どうせ次に言われることは分かっているのだから。
「あんたおかしいわ!」
「おかしいですー」
「変わってますねー、長谷川さんって……分かってましたけど」
「てめぇらに言われたくねえよ」
心の内でほらまただと思いながらも憮然とした表情のままだった。
「姐さん――ぷぎゃ」
「てめぇは喋るな!」
そして近づいてきたカモを叩いた。紛う事なき八つ当たりだった。
「カモくーん!」
ネギがカモの頭を撫でて肩に乗せた。千雨にはジト目を送っていた。
「カモさーん、大丈夫ですか~?」
「長谷川、あんたねぇ」
「はぁ、悪かったな、オコジョ――ストールにするぞてめぇ!」
「ひぃーっ!」
「あんたやっぱりおかしいわよ!」
「ああ今のは私がおかしかったよ! それで、話の続きは何だ? 一体何の話をしてたんだ、私達は!?」
癇癪を起こした千雨が全員の顔を見回した。
「さぁ?」
「バカレッド、お前も喋るな」
「エヴァンジェリンさん達にネギ先生が襲われるのをなんとかしようと会議中ですー」
「よし、本屋は今後も発言を許可する」
「長谷川さんはエヴァンジェリンさんが吸血鬼だって知っていたんですよね? でも魔法は知らなかったんですか?」
「両方イエスだ。マクダウェルが吸血鬼だっていうのは私はなんとなく分かるんだよ、そういうことが。相坂のこと聞いてないのか? 魔法なんかあると思わないだろ、普通は」
「あーはい、相坂さんのことは昨日朝倉さんから聞きましたけど、そういうことだったんですか」
「次の話はなんだ? お前は喋るな! なんでオコジョが喋るんだ、おかしいだろ!」
ネギの肩に乗って前足を上げるカモを怒鳴りつけた。
「なぁ、眼鏡の姐さん? 聞くところによると、魔法の矢を100本ほど手で捌いたんですって」
「魔法の矢? ってなんだよ?」
「「氷柱です」」
ネギとのどかが声を揃えた。明日菜はその場にいなかったため何のことだろうという顔をしていたが、喋るなと言われたのを律儀に守って口を開かなかった。
「あぁ、あれな。古菲より楽だったけど」
「あー」
のどかが昨年、一昨年のウルティマホラを思い出しながらうんうん頷いた。
「そこで相談なんですがね、ネギの兄貴のパートナーに」
「やだ」
「バッサリ断ったわね」
あっさり口を開いた明日菜が千雨から睨まれたがそっぽ向いて口笛吹いて誤魔化していた。
「何が不満なんスか?」
「魔法使いに興味もないし、ネギ先生のパートナーになる気もない。パートナー探しなら他を当たれ、春休みの騒ぎの続きでもやってろよ。つっても宮崎かバカレッドが順当か」
「パワーアップで吸血鬼に勝てるかもしれないのにですかい?」
「マクダウェルとの喧嘩は私の負けでマクダウェルの勝ち、それで終わり」
「じゃあ兄貴が干涸らびるまで血を吸われてもいいんですか?」
「そうならないための魔法じゃねーのか?」
「うわーお」
明日菜とのどかが顔を見合わせていた。取り付く島もない、明確な門前払い、これは何を言っても駄目なんじゃないかと思い始めていた。
「私はごくごく普通の人間で魔法を使えないんだから魔法使いのネギ先生の方が強いんだろ? 助っ人は自分より強い奴に頼まないと意味ないだろ。マクダウェルに勝てる奴連れてくればいいじゃねーか」
「うわーお、長谷川が普通ってギャグ?」
「いつものギャグですねー、笑えないですー」
「カモ君、無理強いするのはよくないよ。エヴァンジェリンさんのことは僕一人でどうにかしないと」
「でも兄貴、一人じゃ無理ですって。骨と皮だけになっちまいますぜ」
「パートナーくらいなってあげればいいじゃないの」
既に諦めムードで暗い雰囲気を醸し出しているネギを見かねて明日菜が口を出した。
明日菜とのどかから責めるような視線を向けられて千雨が頭を掻いた。
「あー、正直なことを言うと……ネギ先生が好きじゃない」
「うわーお、ネギ振られちゃったわよ!」
「なんでそんなこと言うんですかっ!」
「なんで宮崎が怒るんだよっ!? 好きじゃないは言い過ぎだったな……ネギ先生に興味がない」
「おんなじですっ!」
「……ネギ先生よりも好きな人がいる」
「マジ!? 誰よ? 高畑先生じゃないわよね!?」
「ホッ……そういうことならしょうがないですねー」
「なんで今度は嬉しそうなの? うだつの上がらない中年はねぇよ」
「ぶっとばすわよ!」
騒ぎ始める3人の乙女をよそにネギとカモはのどかを見ながら話をしていた。
「ネギの兄貴? 昨日あのまま仮契約すればよかったんじゃねースか?」
「でものどかさんを巻き込めないですよー」
「マクダウェルとの喧嘩のときにもう巻き込まれてたんじゃねーのか。だったら今更遅いだろ、神楽坂はまぁいいか、バカレッドだからな」
「まぁいいかって何よ! 長谷川だってそうじゃないの!」
千雨が肩を竦めた。
包帯だらけの手のひらを見ながら数回握って予想よりも動くことを確認して目の前に掌打を一つ、打ち出した。
誰にも当たらずとも、空気が凍り付いた。
凍り付いた空気を気にすることもなく、千雨が腕を振って隣に座っている明日菜の腕に触れた。次の瞬間には明日菜が正座のまま横にぐるっと回転して、同じ位置に同じ恰好のまま着地した。
「なななっ、なにすんのよーっ!」
「「わー」」
「これがジャパニーズマーシャルアーツっスか」
「師匠から九鬼流習ってたのも、マクダウェルから合気柔術習ってたのも、そういうときのためだ。巻き込まれたときに自分で自分を助けられるように……一昨日は授業料だけで死ななくてよかったぜ。宮崎と神楽坂に関してはネギ先生の責任だ、私は関係ない。背負いたくないならマクダウェルにでも押しつけろ、どうなっても知らないけどな」
「うっ」
「子供相手に厳しいこと言うわね」
「先生はガキじゃない、ガキは先生じゃない。子供として生きるならガキはガキらしく大人に泣きつけ、先生として生きるなら自分の責任を他人に押しつけるな。私は教育に――」
「命を賭けられないやつを先生とは認めない、でしょ。なによ、エヴァちゃんも生徒だって言いたいの?」
「立場的にはそうなるな……不良生徒ってだけならいいんだけどな」
「どうすればいいんですかー?」
「ネギ先生の親父さんを連れてくれば済む話だろ」
「行方不明なんです」
「それは……悪いことを聞いたな。10歳で仕事に就いてるってことをよく考えとかなきゃいけなかった、ごめん」
千雨がバツが悪そうに頭をがしがし掻いた。このあたりが未だ千雨の未熟な部分だった。異常は分かる、非常識に気付く、でもそこで終わりにしてしまう、立ち止まってしまう。超鈴音とツナミ・カラニコフの二人から遅れを取っていると千雨自ら自覚しているところだった。超鈴音に語られた、ツナミ・カラニコフに諭された。異常が異常のまままかり通っていることは分かってもその理由にまでは頭が回らない未熟さ。考えて分からないのは仕方ないにしても初めから考えようとしない千雨の怠慢の現われだった。これもまた、千雨の抱える根が深い問題だった。誰も自分の疑問に答えてくれる人などいなかった、誰も質問の意味が分かっていなかった。だからただおかしいとそう結論づけて自分を守ることしかできなかった生き方の名残り。
齢10歳の子供が教師をやることがおかしいと分かっても、何故周りがすぐに受け入れるのか、何故子供が教師をやらなければならないのか、そこまでは頭が回らなかったことを恥じていた。
「いえ、それはいいんですが」
「はぁ、親父さんがいないんじゃどうにもならないな。自分でなんとかするか、マクダウェルに勝てる奴に助っ人を頼め」
「エヴァンジェリンさんに勝てる人……いやでも」
「それが眼鏡の姐さんなんですって」
「他を当たれ。私は他人の喧嘩に首をつっこむほど無粋じゃない」
千雨の一言にネギとのどかが目を丸くした。
「「えぇーっ!?」」
「なんだよ」
「自分で首つっこんだんじゃないの!?」
「そういうことも昔はあったな、うん」
「一昨日の話ですよねー!?」
「昔だろ?」
「いやまぁ、一昨日を昔というなら……そうですが」
「パートナーに話を戻すけど、ハッキリ言ってマクダウェルが相手なら誰がパートナーでも変わらない。勝ち目なんてないんだからな。まぁ、最初から勝ち目がないなら後悔しない結末を、だな。ネギ先生と一緒に心中してくれる奴がパートナーになればいい」
「うわーお、厳しいわね」
「メリーバッドエンド……ですかぁー」
「そういうこと。ネギ先生、短い人生だったな。それじゃ」
「だから待ちなさいよ! エヴァちゃんって……そんなに、ヤバい相手なの?」
「さぁ、私は吸血鬼で合気柔術の達人っていうことしか知らない。魔法使いのことには興味ないから。レディの年齢については私からは話せないけど……勝ち目がないのは分かる。悪くても死にはしないと思うけどな。身の振り方は考えとけよ、ネギ先生の味方をするか、関わらずに中立を保つか、マクダウェルの……下僕になるか、か」
「ねぇ、今の私たちって実は結構危ないの?」
「マクダウェルがやる気になるまでは危なくないんだろ?」
「やる気になったら危ないんですか?」
「それは私じゃなくてマクダウェルに聞いてくれ」
「そ、それもそうですね」
「長谷川、あんたはどうなのよ」
「私は私の味方ってところかな。他人の味方をしてる余裕はないんだよ、私には――」
千雨が自嘲気味に呟いた。続きはどうにか飲み込んだ。私には味方がいないんだ、などと今更言えるわけがない。
「あんたちょっと冷たいわよ」
「身の程を知ってるだけだ。勝つためには躊躇うな、負けないためには最善を尽くせ、どっちでもいいなら無効試合にしろ……逃げ出すのも悪くないと思うけどな、私は」
「逃げ出すのも……ですか」
ネギがふと考え込んだ。
「長谷川さんならどうしますか?」
「マクダウェルについて調べる。次は準備する、物と人を。最後は邪魔は入らないけど人の目があるところで一対一……そんで負ける、と。後腐れ無く終わって次の日はいつも通り……一昨日と同じだな」
「あんまり参考にならないじゃない」
「私の方法はあてにならねえよ、私とネギ先生は違うんだから」
「仲間集めて闇討ちがいいんじゃねぇすか? やっぱりそれしかないっスよ」
「いやでもそれは卑怯だよ、カモ君」
「いいぞ、オコジョ、その調子だ。今のネギ先生達は……正しすぎる。邪道で勝って後悔しないならそれでいい。正々堂々やって負けて後悔するなら他の方法を考えろ。話は終わりか?」
千雨がぐるっと顔を見回した。隣で小さく手を上げる明日菜を素通りして視線を一周させた。
「バカレッド、喋っていいぞ」
「あのさ、長谷川、対人恐怖症って本当なの?」
「バカレッドはこれだからなぁ」
「さっきからバカバカうるさいわよっ!」
「違うよ」
「「えぇーっ!?」」
ネギとのどかが目を丸くして千雨を見た。
明日菜は最初から信じていなかったため納得したような顔をしていた。
「やっぱりそうよね」
「対人じゃなくて……視線」
「一緒じゃん!」
「バカレッドはこれだからなぁ」
千雨がやれやれと肩を竦めるのをよそに、釈然としない顔で3人と一匹は声を潜めて話していた。
「一緒よね?」
「一緒だと思いますー」
「何が違うんでしょうか?」
「俺っちの視線も怖いんじゃないスか?」
「対人恐怖症は他人だけだろ、私は私の視線が一番怖いんだ」
「意味わかんないし!」
「バカレッドはこれだからなぁ」
「私も分からないんですけどー?」
「僕もですー」
「俺っちも」
千雨が眼鏡を鼻の頭までずらして空を見上げた。
「はぁー。眼鏡を外せば世界が変わるんだよ。見る物ぜーんぶ総天然色で嫌になるほど綺麗だった。これからちょっと過去の回想に入るぜ。聞くも涙、語るも涙の私の秘話」
「もったいぶらずに話なさいよ!」
「伊達眼鏡だったはずですー」
ガラス1枚あるだけで違うんだよ、と千雨がぶつぶつ呟いてから咳払いをした。
「眼鏡を外せば総天然色、全てが綺麗に見えて、私は解き放たれたような気分になった。あの日の私は好きな彼と小さな遊園地でデート。最初に乗った観覧車は揺らしまくり、コーヒーカップは回しまくり――」
「えっ? 最初に観覧車ですか?」
のどかがちょっと信じられない気分で呟いていた。
「最後にもう一回乗る予定だったんだよ! 最後のジェットコースターでは彼の首に腕を回して甘えまくり」
千雨が明日菜の首に腕を回した。
「……だったら良かったんだけどなぁ。回した腕で彼の首をロック、終わる頃には泡吹いて気絶してた」
明日菜の首に回した腕に力を込めた。
「タップタップ! なんで私なのよ!?」
「長谷川さんらしい気がするんですが」
「長谷川さんですね~」
「兄貴、日本人って奥ゆかしくてお淑やかなんじゃねーんスか?」
「……え? ていうか終わり!? 今ので?」
首を撫でさすりながら千雨を見ていた。
「あぁ……昼前に帰ってその話を聞いた師匠達は馬鹿笑い、言うに事欠いて『千雨、お前も普通じゃないな』だとさ。私は言い返せなかった! 普通だと思ってた私も普通じゃないのかもしれない、認めたくなかった、気付きたくなかった。それでも気付いてしまう私の視線が怖い! 他の奴に気付かれるんじゃないかと思うと……眼鏡は手放せないんだ」
「「「…………」」」
皆が変な顔で千雨を見ていた。呆れたような、何を言っているんだろうコイツは、というようなそんな顔をしていた。
「私の悲しい過去は終わりだ」
ずらしていた眼鏡を元の位置まで戻した。
「やばいわ、すっごく殴りたい!」
「最後まで聞いたのが馬鹿馬鹿しいんですが」
「そうですねー、ん? あれ? 長谷川さん、道化芝居は……?」
「眼鏡の姐さん、本気で言ってるんスか?」
「てめえらには分からねえよ。彼の娘さんにまで笑われた私の気持ちは」
「「「えっ!?」」」
「いや、ちょっと待ってよ! その彼っていうのは?」
「ん?」
「子供がいたんですかー?」
「うん、私よりも年上の娘さんがいる。すず姉ちゃんっていう優しいお姉ちゃん、昔は人嫌いだったらしいけどな」
「うわーお、あんたやっぱり変だわ」
「「えぇーっ!?」」
ネギとのどかが信じられないような顔で明日菜を見ていた。
「なによ?」
「神楽坂に言われたくねぇよ。あ、間違った。バカレッドはこれだからなぁ」
「言い直さなくていいでしょ!?」
「あのー、ネギの兄貴、やっぱり昨日あのまま仮契約しといた方が良かったんじゃねースか?」
「優しいのどかさんを巻き込めないよ、カモ君」
「や、優しいって……はぅ」
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「長谷川サン、新しい日傘が完成したヨ」
「ギミック追加しておきましたよー」
「お、早いな……どこにあるんだよ?」
「研究室に置いてあるネ」
「動作チェックできますか」
葉加瀬が千雨の手に目を向けた。
「あぁ、大丈夫だ。放課後はマクダウェルと――」
「長谷川さん、今日は茶道部がありますから構いませんよ」
茶々丸が振り返りながら千雨に声をかけた。
「そうか。じゃ先に日傘取りに行くか」
「私も行くー」
「ザジはサーカスか? ご飯は7時でいい?」
とてとて歩いていたザジが一回こくりと頷いてビシッと親指を立ててそのまま教室を出て行った。
「もう手が動くようになったんですか?」
「あー、うん。不思議だよなー」
千雨が席から立ち上がって葉加瀬と二人で歩き出した。
二人の後ろで超鈴音が隣のツナミに視線を飛ばした。ツナミがにこっと笑い返した。服の上からパッチの付いた場所を指で叩きながら。
「追加ギミックって?」
「小太刀です。刃はありませんよ」
「砥石ある?」
「え? 研げるんですか?」
「うん」
「あるヨ」
「チサメー、刀も打てるの?」
「うん、昔ちょっと、夏休みに覚えた」
葉加瀬と超鈴音が立ち止まり、唖然とした顔で千雨の背中を見つめていた。
「すごーい、私も欲しいー」
ツナミが万歳しながら千雨を見上げていた。
「ツナミが嫁入りするときに持たせてやるよ」
「むー」
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「どうだ、この新しい日傘は。小太刀が入った仕込み傘だ」
千雨が道場の外で日傘をぶんぶん振り回していた。エヴァンジェリンの前で、傘の柄ごと小太刀を引き抜いて、すぐに鞘代わりのシャフトに戻した。
「柄の形が風情に欠けるな」
「私もそう思う。しかも重くなったし、小太刀はいらなかったかもしれないな。わざわざ研ぐ必要なかったか」
「ん? 自分で研いだのか?」
「あぁ、超の研究室に研磨機もあったからな」
「ちょっと見せてみろ」
千雨がエヴァンジェリンに向かって日傘を投げた。
受け取ったエヴァンジェリンが日傘の柄を引っ張って首を傾げた。
「おい、抜けないぞ」
「簡単に抜けたら危ないだろ……こう、左右にねじりながら抜くんだよ。左に60度で一回抜いて次は右に45度で抜く、最後は左に30度で抜ける」
「面倒だな」
エヴァンジェリンが目を凝らして小太刀を見始めた。
「なるべく使いたくないからな」
「ふむ……お世辞にも名刀とは言えんが、なまくらでもないか」
刃に滑らせたエヴァンジェリンの指から血が滴り落ちた。
「痛くねえのかよ。見てると背筋が寒くなる」
「……コレクションにする気はないようだな。見た目より実用性か、肉を斬る分には文句ない出来だ」
「使わないにこしたことはないけど、使わなきゃいけないときは使うさ」
「生き残るためか」
「まぁな。誰も守ってくれない、助けてくれない……だから自分で自分を。私が私を――お?」
千雨が空から響いてくる音に気付き、上を見上げた。
毎朝聞いている音とそれとよく似た音。飛行形態のチャペックと茶々丸のバーニアの音が響いていた。
「茶々丸とチャペックか。どうしたんだ?」
「ネギ先生と戦闘に入りましたが問題はありませんでした」
「マスター・チサメ、聞いてクダサイ。ワタクシはバリアーを覚えましたー」
「バリアー? そんな装備ないだろ」
「何があった? 坊やらしくないな」
「ネギ先生が魔法の矢を撃ってきました。そして、私に当たる前に兄さんが私をかばって――」
「偉いぞ、チャペック」
「それほどでもあります、エッヘン」
「――兄さんに当たる直前にネギ先生が魔法の矢を戻して勝手に自滅しました」
「マイシスター、何度も言うようにワタクシのバリアーが跳ね返したのです」
「いやだから、お前にバリアーは付いてねえよ」
「坊やは一体何をやってるんだ?」
「さぁ? それはネギ先生に聞いて下さい」
「喋るオコジョに唆されたんだろ。仲間集めて闇討ちするって言ってたし」
「どうして貴様が知ってるんだ? あのオコジョ、やはりオコジョ妖精だったか」
「昼休みの作戦会議に呼ばれたからだよ……ネギ先生のパートナーに誘われたけど断った」
「貴様なぁ、坊やの作戦会議の内容を私に話すのはどうなんだ?」
「ちなみに私は仲間集めて闇討ちに賛成した」
「フン!」
千雨がエヴァンジェリンに殴られて吹っ飛び、木にぶつかってごろごろ転がっていた。
「い、いてて……今のマジな奴だろ。本気で殴るんじゃねえよ」
「殺すぞ」
「話は最後まで聞けっつーの……ネギ先生達は反対してた。あとチャペックに頼んだのは私だ」
額に青筋立てたエヴァンジェリンがチャペックを見上げた。
「そうですよ、ハイ。マイシスターを見守るようマスター・チサメから依頼されました」
「先に言わんか、阿呆が」
「殴るのは最後まで聞いてからにしろ、短気だな」
千雨がお腹を押さえて立ち上がり、コートの砂埃を払った。
「とりあえず、ネギ先生達が改心してよかったぜ」
「貴様一体どっちの味方なんだ」
「私は私の味方だ」
千雨が口の端を吊り上げるように笑ったが、茶々丸から有線式ロケットパンチを打ち込まれて先ほど叩きつけられた木まで飛ばされていた。
「録画完了しました。きっとマスター・ツナミも喜んでくれるはずです」
訂正)オコジョについての記述(2015/9/29 22:33)