フォーサイスより愛を込めて(魔法先生ネギま!×EVOLIMIT) 作:瓶缶ペットボトル
追記:毎月1日があずきの日らしいので、5月1日にしました
平日深夜、麻帆良学園外縁部森林にて、魔法使いは世界樹を狙ってやってくる者達と戦闘中だった。
響き渡る銃声の度に召喚された鬼達は数を減らしていた。
「我が力は全ての生者と死者に沈黙を与え」
「我が力に全ての死者と生者はひれ伏すだろう」
「
2挺の拳銃の後ろに魔法陣が浮かび上がり、銃弾が補填されていた。明石祐奈がまともに使うことができる魔法の一つ、弾薬の召喚再装填魔法だった。
――BANG!
――――BANG!
――――――BANG!
「ふーっ。私の名前はゆーな☆きっど。全ての人間に仕える
周囲にいた鬼は全て消え去り、執事服に身を包む明石祐奈が2挺の拳銃を腰のホルダーに突っ込んだ。
「明石、そっち終わったか?」
祐奈の後ろから龍宮真名がひょっこりと顔を出した。
「決まった!」
「いちいちカッコつけなきゃ終われねーのかよ!」
漆黒の銃剣付回転式拳銃の
「今日は私だけで十分だったでしょう」
白銀の銃剣付回転式拳銃の
「ああっ? 俺だけで十分だっつーの!」
「黙りなさい、ゴキブリがっ!」
「毎度毎度お前の銃は賑やかだな」
「ベイル! ルダ! 喧嘩しないの! たつみー、お疲れー」
「チッ!」
「フンッ!」
「ああ、お疲れさん」
「桜咲さんは?」
「術者を刀子先生に引き渡してる。私達の仕事は終わりだ」
「そっか。おとーさんと一緒にかーえろっと」
「なぁ? 前から言おうと思っていたんだが」
「なに?」
「女でもバトラーなのか?」
「ハウスキーパーが普通だと思うんだけどね、裕奈はバトラーって言いたがるんだ」
「おとーさん!」
「明石先生、こちらは終わったのでもう上がっていいそうですよ」
「龍宮君も寮まで送ろうか?」
「がるるるる」
「……いえ、刹那を待って二人で帰ります」
「いやー悪いねーたつみー! 帰ろうか!」
「あ、ああ、いつも娘がすまないね」
「ふーんだ! おとーさんのお酒もお金も私が管理してるし、ワイシャツのアイロン掛けも全部私がやってるんだからバトラーでいいんだもん」
明石親子が帰宅の途に着くのを龍宮は呆れ顔で見ていた。数分後、一仕事終えた桜咲刹那が龍宮と合流した。
「こちらリーティア・フォン・エアハルト! 術者が召還した鬼はまだ残ってる! 一般生徒1名が召喚された鬼達と接近中!」
「龍宮さん、桜咲さんが一番近いです」
龍宮と桜咲が顔を見合わせて、走り出した。既に仕事人の顔つきになっていた。
「一般生徒もう1名接近中! 龍宮! 桜咲!」
「「了解!」」
「夏目です。一般生徒はツナミ・カラニコフさんです」
「……ふぅ、もう一人は?」
安心したようにリーティアが息を吐いた。
「待って下さい……あ、は、長谷川千雨さん、です」
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生物学的に人体で最も堅いのは歯だから今日こそアイツに挑戦する、というツナミの気まぐれで千雨とツナミは夜遅くにコンビニに向かっていた。井村屋のあずきバーを求めて。
いつもの道を通ろうとして千雨が足を止めた。
「ツナミ、遠回りしていくぞ」
「チサメ? でもこっちの方が近いよ?」
「いいから、ここは危ないんだ、遠回りしていくぞ」
「……むー、チサメ、なんか変」
「あとで説明するから。急いでくれ」
千雨の声は少しだけ遅かった。月明かりと薄い街灯でようやく見える道の先、明らかに人間ではない異形の者達が立ちはだかっていた。千雨は舌打ちをして前にいるツナミの手を取った。ツナミは大きく目を見開いて掴まれていない腕を大きく上げた。
「ちっ! 見逃してくれるんじゃなかったのかよ」
「モンスターだっ!」
「ツナミ! さっさと逃げるぞ!」
「チサメ、モンスターだよっ!」
「分かってるって! なんだぁ!? 後ろからも誰か来たぞ!」
「二人とも、私の後ろへ! 龍宮、援護!」
桜咲刹那が千雨とツナミを追い抜いて鬼達の前で刀を抜いた。
「セツナだーっ!」
「桜咲か。おせーぞ!」
鬼達を相手に野太刀一本で圧倒する桜咲と時折後ろから聞こえる銃声は鬼達の数を一気に減らしていった。
「くそっ、なんで
ツナミと並んで非現実的な光景を見ていながらある程度余裕ができたのか、千雨が溜息を吐きながら悪態を吐いた。
「えっ、今なんて?」
千雨の言葉を聞きとがめて桜咲が鬼と切り結びながら振り返った。桜咲と千雨は目が合い、千雨が驚きに目を見開いた。
「よそ見すんじゃねえ!」
「え? あっ! 長谷川さん!」
千雨の言葉に自分の横をすり抜ける鬼に気付いた桜咲が焦った。
龍宮の銃弾も間に合わず、桜咲の刀も届かない。
鬼が向かう先にいるのは千雨とツナミの二人だった。桜咲刹那と龍宮真名は知らない。夜間の麻帆良警備陣の中で今年から高等部入学してきた、高い戦闘能力は当然として、類い希な安定感を発揮する風魔環太郎と、冷静沈着で優れた戦術眼を持つアクア・ダンチェッカーと、圧倒的カリスマ性で一際光り輝くリーティア・フォン・エアハルトの3人と同等の戦闘能力をツナミ・カラニコフが持っていることを、桜咲刹那と龍宮真名は知らなかった。だからこそ二人は焦った。
向かってくる鬼を前に動いたのは『パッチ』の力で桜咲刹那と同等程度の身体強化が可能なツナミ・カラニコフ……ではなく、長谷川千雨だった。
千雨はツナミを後ろに突き飛ばして、ツナミの前に立った。そして棍棒を振りかぶった鬼と向かい合っていた。
「――――――――――――――――――――――」
*****
桜咲刹那は憤りを感じていた、自分に対して。
もしも自分がよそ見なんてしなければ、誰も失わずに済んだかもしれないのに。
だからこそ、最後まで瞬きもせずに目を離さずに見届けなければならなかった。
そして、桜咲刹那は目撃した。だが見たはずのものを理解することが出来ず、思考停止した。
なぜ、長谷川さんと目が合うんだろう、と。
*****
龍宮真名は奥歯を噛みしめていた。
最悪な偶然が最悪なときに重なった。桜咲刹那、長谷川千雨、ツナミ・カラニコフの間で何があったのか分からない、話し声が届かない距離にいるせいだった。
らしくもなく刹那がよそ見をした。鬼が刹那の横を抜けた。そのときの私は換装中。最悪な偶然が最悪なときに重なった。そのせいで長谷川とカラニコフが助からない。長谷川がカラニコフを後ろに突き飛ばした、これでカラニコフは助けられる、だが長谷川はどうなるか。なぜ、なぜ、いつも良い奴から先に死んでいくんだ。自分よりも他人が大切な奴から先に。
そして、龍宮真名は目撃した。だが見たはずのものを理解することが出来ず、思考停止した。
なぜ、長谷川が生きてるんだ、と。
*****
ツナミ・カラニコフは鬼を前にして、『パッチ』の力を使う決断をした。千雨の前に出て、鬼を打ち倒させねばならぬ、と決めたときには既に千雨に突き飛ばされていた。尻餅をつきながら前を見上げれば、千雨の背中があった。その背中はいつか見た、誰かの背中に似ていた。赤い星の砂漠の大地で見た、誰かの背中と重なって見えた。
この瞬間、ツナミ・カラニコフは長谷川千雨の背中を見た最初の人間になった。誰よりも、長谷川千雨本人よりも長谷川千雨という人間について理解した瞬間だった。
ツナミ・カラニコフにだけは長谷川千雨の呟きが聞こえていた。
「対妖拳法九鬼流絶招・肆式名山・内の壱、
小説の情報を更新しました。
『あやかしびと』『長谷川千雨魔改造』タグを追加しました。
エヴォリミットから、超鈴音組が強化。
Bullet Butlersから、明石祐奈魔改造。
あやかしびとから、長谷川千雨魔改造。