やはり俺の魔物の王を決める戦いは間違っている。   作:ホッシー@VTuber

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LEVEL.214 ようやく彼らは合流する

「そう……ウォンレイが……」

 腹部の痛みも引き、茫然としているみんなに何が起きたのか聞いたところ、突如として現れたウォンレイが私の横っ腹を蹴ってチェリッシュたちを助けたらしい。あの千年前の魔物との戦いでウォンレイの戦い方は残念ながらほとんど見られなかったがカンフーの使い手だと聞く。魔物特有の身体能力と武術を組み合わせた一撃ならあの破壊力も納得がいった。

「それでこれからどうするの? ガッシュたちも戦ってるなら助けに行かないと!」

「待って……向こうも戦い終わったみたい」

 『魔力探知』でガッシュたちの魔力を探ると先ほどまでいた2体の魔物の魔力は感じられず、随分弱弱しくなってしまったガッシュとキャンチョメ。あと、モモンも合流できたようでゆっくりとした足取りでこちらに向かってきている。モモンの『魔力探知』でこちらの魔力を頼りに合流しようとしているのだ。

 そのことをみんなに話すとほっと安堵の溜息を吐いたがメグちゃんだけはすぐに表情を曇らせてしまう。

「八幡君の居場所だけ……わからないんだね」

 その言葉に私は思わず視線を落としてしまった。ハチマンは常に『サジオ』を纏っているが術の効果であるにもかかわらず『サジオ』は魔力を一切発さない。ハチマンは負の感情が乗った魔力であるならば文字通り、体で感じ取ることが可能であるため、ハイルの一撃からウマゴンを守るために私があの状態になった時、その魔力から私の居場所はわかったはずだ。

 しかし、先ほどの戦いでチェリッシュたちの魔力には負の感情はなかったがガッシュたちの戦いでは敵の魔力に負の感情が乗っていた。おそらく、パートナーである私の方へ向かってくると思うが彼が落ちた場所によってはガッシュたちとの合流を優先するだろう。そもそも最初からガッシュたちと合流出来ている可能性だって否定しきれない。

「……では、私とウマゴンがここに残ろう。サイたちは清麿たちと合流してくれ」

 そのことを話すとサンビームさんがハイルの『ギガノ・シルガルルラ』で吹き飛ばされ、今もなお大泣きしているウマゴンのお腹を撫でながらそう提案した。

「そっか。ハチマンがこっちに向かってきてたらここで合流してウマゴンに乗って追いかけてくるんだね」

 仮に敵に襲われてもウマゴンの足ならば逃走も可能な上、魔力の騒めきを感じ取った私が合流するまで時間稼ぎもできるだろう。『ディオエムル・シュドルク』を使い、いつかの『ザケル』のように上空に炎を打ち上げてくれたらキヨマロたちも察してくれるはずだ。

 本当なら私がここに残ってハチマンを待っていたい。だが、私がここに残ってしまうとガッシュたちの魔力を辿れず、モモンの『魔力探知』頼りになってしまうので合流に時間もかかってしまうだろう。ここはサンビームさんとウマゴンに任せるのが得策だ。

「ああ、そうするよ。そっちで合流出来たら申し訳ないが迎えに来てほしい」

「了解。それじゃあ、どこか休めそうな場所を探しながらみんなと合流しよっか」

 上空から見た時、大半は森だったが家のような建物があった。きっと、『ファウード』が封印される前はここで暮らしていた魔物がいたのだろう。また、『ファウード』の封印を解くためにリオウたちはここで生活しているだろうし、どこかに水路があるかもしれない。

「じゃあ、私についてきて。多分、足場が悪いからゆっくりいくよ」

 千年前の魔物たちとの戦いを経験したメグちゃんとティオはまだしもシスターには辛いはずだ。早くガッシュたちと合流したいところだが、焦る気持ちを抑えて私は『魔力探知』に意識を向けながらサンビームさんとウマゴンに別れを告げ、森の中へと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 運よくまだ使われている水路を見つけ、ガッシュたちとの距離も目と鼻の先まで近づいていたこともあり、私たちは水路の近くで休憩することにした。

「……うん、大丈夫。飲めるみたい。まぁ、本当なら念のために煮沸させた方がいいけど」

「さすがにガスコンロはないから……やっぱり、ここで生活してるのかしら」

「用事がある度にここに来るのは大変だろうからね。根城にできる建物はいっぱいあるからあらかじめ大量に食料を運ぶだけでいいし」

 メグちゃんの言葉にそう答えながら水筒の水を飲み干し、蓋を取って水路へと突っ込んで水を汲む。

 私たちはここまで飛行機で来たが彼らがどうやって登ってきたのかまではわからない。だが、ハイルのように飛行できる魔物もいれば『サフェイル』やモモンの『ミンフェイ・ミミルグ』みたいな術だって存在している。方法を考えるだけ無駄だろう。

「ぬ? おお、みんな、無事であったか!」

 その時、少し遠い場所からガッシュの声が聞こえた。そちらを見ると想像以上にボロボロになったガッシュとキャンチョメがお互いの体を支え合い、キヨマロは木の棒を使ってこちらに向かって歩いている。そして、彼らの後ろに――。

「――ッ! ハチマン!」

 ぼろ雑巾のようにぐったりしているフォルゴレと彼を背負っているハチマンの姿を見つけ、思わず水筒を放り投げ、彼の傍へ駆け寄った。よかった、ガッシュたちと合流できていたのか。

「サイ、無事だったか」

「うん、私は大丈夫。ハチマンは? 怪我とかしてない?」

「ああ、運よくすぐにモモンと合流できたからな」

 彼の言葉を聞き、よく見ればフォルゴレが落ちないようにモモンがフォルゴレのお尻を押さえていた。私と目が合った彼はビクッと肩を震わせてすぐに視線を逸らしてしまう。

 しかし、よく見ればハチマンの口元に僅かに血を拭った跡が残っている。ハチマンは少しでも気力の消費を抑えるために『サジオ』の出力を抑えている。そのせいであの状態になった時にまき散らしてしまった負の感情が乗った魔力に中てられ、ダメージを受けてしまったのだ。

「サンビームさんとウマゴンは? モモンの話じゃ途中で別れたみたいだが」

「それは――」

 そのことを謝ろうとしたが、その前にキヨマロに質問され、手早くハチマンと合流するために二手に分かれたことを伝える。それを聞いたハチマンはどこか居心地悪そうに目を伏せ、フォルゴレを近くに生えていた木の根元に置いた。

「じゃあ、迎えに行くか。サイ、準備は?」

 今すぐ謝りたいが今はウマゴンたちを迎えに行くのが先決。あとで事情を説明して謝ろう。

「うん、大丈夫。それじゃあ、私たちはウマゴンたちを迎えに行くからティオとメグちゃんはキヨマロたちの治療をお願い。あ、ガッシュとキャンチョメは少し我慢しててね。『サルフォジオ』で治すから」

 『サイフォジオ』は私の『サルフォジオ』とは違い、体力や心の力も回復する。チェリッシュたちとの戦いでメグちゃんも心の力を消費したので少しでも節約するために人間組は『サイフォジオ』で、魔物組は『サルフォジオ』で回復することになっていた。

「う、うぬ……」

「た、確か『サルフォジオ』って……ぼ、僕は全然平気だからさ! なんたって鉄のキャンチョメ様だぜ?」

「そんなボロボロな姿で何言ってんのよ……」

 『サルフォジオ』の巨大な注射器という造形に僅かながら苦手意識があるのかガッシュは顔を歪ませ、今にも倒れそうなほどボロボロなのに強がるキャンチョメにティオは呆れたように溜息を吐く。

「ふふっ……じゃあ、行ってきます。あ、ハチマン、あまり急がなくてもいいから」

「そうか? なら……『サルク』、『サフェイル』」

 森の中を移動するため、念のために目の強化と飛行の術を唱えた後、私は彼の手を掴んで浮かび、私たちを待つサンビームさんとウマゴンの元へ急いだ。

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