やはり俺の魔物の王を決める戦いは間違っている。   作:ホッシー@VTuber

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何故かいつもの書き方が出来ず、本当に自分で書いた文章なのか!?と思うほど違和感ありまくりの45話です。



あ、テスト終わりました。
ですが、今度は12月22日までに動画を2本作らないといけないので多忙な日々が続きます。
はい、頑張ります。


LEVEL.45 比企谷八幡は群青少女の代わりに戸塚彩加を摂取する

 そんなこんなで修学旅行当日。京都に行くために一度、故郷の千葉を離れ、東京に行かなければならない。朝、サイとこれでもかとじゃれ合ったせいで家を出る時間がギリギリになってしまった。でも、家を出る直前までサイが笑顔だったのは気になる。そんなにゲームが楽しみなの? 俺のVitaちゃんを過労死させないでね。

 東京駅に着いたのは集合時間まで後もう少しというところだった。あぶねぇ。急ぎ足で集合場所に向かい、クラスメイトが集まっている場所にそっと気配を消して近寄る。サイとの特訓で強化されたステルスヒッキーを舐めるな。今では真後ろにいても気付かれないほどにまで気配を消せるようになった。忍者になった気分だ。いつかサイのように天井を移動できるようになるのかしらん?

 どうでもいいことを考えているといつの間にか集合時間となり、集合させられ並ばされ行進させられた。引っこ抜かれて働いて食べられちゃいそう。社畜の極みだな。

「あ、八幡!」

 気配を消していたせいで危うく欠席にされそうになったが、戸塚が俺の名前を呼んでくれたから元気になりました。これが癒しか。

「おはよう、戸塚」

「うん、おはよう。ずっと探してたのにどこにいたの?」

「わ、悪い……ギリギリに来たから」

 そんな会話をしながら俺たちが乗車予定の新幹線に乗る。それにしても新幹線の座席ってなかなか不思議な作りだと思う。一列が五席あり、三席と二席に分かれている。座席を決めにくくて仕方ない。他のクラスメイトも様子をうかがって動く気配もないし。そこへ葉山たちもやって来た。

「あーし、窓側がいい」

 そんな女王様のお言葉を筆頭にぞくぞくと(海老名さんが由比ヶ浜と川崎を座らせて)座席が決まって行き、最終的に葉山、戸部、川崎。葉山の正面に三浦、その隣に由比ヶ浜。そして、戸部の想い人、海老名さんが座った。あの川崎さん、もう少し愛想良くしてください。戸部がものすごくビビっています。

「八幡、どうしよっか?」

 それを見ていると不意に戸塚が俺の袖をくいっと遠慮がちに引っ張った後、そう問いかけて来た。とりあえず戸塚で。

「そうだな」

 上目使いの戸塚から目を逸らすように車内をぐるりと見渡す。葉山たちが真ん中の方に座ったため、他の人たちも真ん中に集まっていた。空いているのは前後の席か。

「前の方が空いてるし。そっちかな」

「うん、そうしよっか」

 天使が頷いたのを見てそちらへ向かう。ちょこちょこと戸塚が俺の後ろをついて来るのをチラリと見ながら極めてゆっくりと歩く。一生この時間が続けばいいのに。あ、でもそれだとサイに会えないから駄目だわ。

 一番前もそれなりに人がいるので前より少し後ろの列を選び、上の棚に荷物を入れた。俺の荷物は少ないからまだスペースはある。戸塚の荷物も入りそうだな。

「ほれ」

 そう思い、戸塚に向かって手を伸ばすと戸塚は不思議そうに首を傾げた後、何故か俺の手を握った。やだ、何この柔らかくて小さくてすべすべのお手々。いつまでも触っていたくなる。

「いや……そうじゃなくて荷物を」

「あ、ご、ごめん!」

 自分の間違いに気付いた彼女――いや、彼は慌てて手を離す。それから真っ赤な顔を俯かせながら荷物を俺に渡した。このまま荷物だけじゃなくて戸塚も抱き上げてしまいそうだわ。戸塚の荷物を棚に入れた後、まだ恥ずかしがっている戸塚を窓側に誘導してその隣に俺も座る。それからすぐ発車ベルのメロディが鳴った。

 サイのいない修学旅行が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不意に目を覚ました。いつの間にか眠っていたらしい。まぁ、昨日は夜遅くまでサイと遊んでいたし。朝も早く起きてサイと遊んでいたから寝不足なのだ。大きな欠伸をしていると通路側の席からくすりと笑い声が聞こえた。

「寝過ぎ」

「……由比ヶ浜か」

 そっち側に気配を感じるとは思っていたが、由比ヶ浜だったとは。何でここにいるの? それにここにいるってことは俺の寝顔を見ていたってことになる。恥ずかしいじゃないですか、やだー。思わず、涎が出ていなかったか確認してしまったわ。

「だいじょぶだいじょぶ。口閉じてたし、すごい静かに寝てたよ」

 お前、いつから見ていたん? 結構、長い時間見てないとわからなくない?

 そんな疑問を抱きながら戸塚の姿を探すと俺の肩に頭を乗せて寝ていた。こ、これは……あの『隣の席の男子の肩に乗せながら寝ちゃって起きたらドキドキしちゃう!』と呼ばれるラブコメシチュエーション! しかもそういう時に限って隣の席の男子が片思いの相手で余計、ドキドキしちゃうって奴! もしくはすごい怖い男子だと思っていたけど肩に乗せて寝ていたのに文句を言われなかったことに気付き、『あれ、この人優しい……』とトゥンクする奴! これで戸塚が目を覚まして俺と目が合えば戸塚が俺にトゥンクするはずだ。戸部、悪いな。お前より先に俺がエデン行きになりそ――。

「ヒッキー、どうしたの?」

「ッ……い、いやなんでもない」

 あ、危ない。危うく戸塚エンドを迎えそうだった。

「でも、いつもよりなんか元気ないように見えるよ?」

「そうか? 俺は至って普段通りのつもりなんだが」

 ちょっと戸塚にトキメキやすいだけだ。ほら、見てみろよ。こいつ、男なんだぜ? 見えないだろ?

「んー……何と言うか、空回りしてる感じ? いつものヒッキーよりきもいし」

「きもいの関係なくない?」

 しかも、普段から俺がきもいってことだよね、それ。俺ってそんなにきもいかな。教えて、サイえもん。『サウルク』と『サグルク』唱えるから超特急で俺のところに来て。

「やっぱり、サイがいないから?」

「……」

 ああ、そうか。サイに俺が必要なように俺もサイが必要なのか。サイニウムを求めるように代わりとなる戸塚ニウムを吸収し、戸塚酔いをしていたらしい。使用上の注意をよく読み、用法・用量を守って正しくお使いくださいってことか。中毒性もあるから十分注意しないと。

「んゅ……」

 だからこんな可愛い寝言なんて聞こえない。なに、『んゅ……』って!? 初めて聞いたわ。録音するからもう一回、言ってくれませんかね。

「それと……あっちは大丈夫なの?」

 声を小さくして問いかけて来る由比ヶ浜。戸部の依頼のことだろうか。

「そっちは大丈夫じゃないか? 適度にサポートして2人きりにしたりすればいいだろ。2人きりにしたところで何も起きないだろうけど」

「へ? あ、そっちじゃなくて……魔物の方」

 おっとそっちか。後、由比ヶ浜さんや。君が受けようって言ったのだからもう少し戸部の方を心配してあげて。今も川崎の威圧にビビっているだろうから。

「……まぁ、相手次第だな。それに今、魔本持ってるのはサイだし」

「え? そうなの?」

「俺が持ってても意味ないしな。ある程度、戦えるようになったとは言えサイの方が強いから向こうの方が安全だ」

「そんなもんなんだ……って、戦えるようになった!? ちょ、ちょっとヒッキーどういうこと!?」

 突然、由比ヶ浜が叫んだ。やべ、口滑らせた。サイがいない上、寝起きだからポロッと言ってしまったわ。口は災いの元ってことね。

「おい、声が大きい。戸塚が目を覚ましたらどうするんだ」

「そこ!? 気にするとこそこなの!?」

「……ふわぁ。あ、あれ? 僕、寝ちゃってた?」

 由比ヶ浜のツッコミがトドメになったのか戸塚は俺の肩から頭を上げて小さく欠伸をした後、呟いた。いつもより舌足らずでとても可愛らしい。まずい、戸塚ニウムが勝手に体の中に!? このままでは戸塚中毒になってしまう。

「ほら、起きちゃっただろ」

「あ、さいちゃん。ゴメン……じゃなくて! だから、その!」

 戸塚が起きたから『魔物』とか『戦い』とか言えなくなりしどろもどろになり始めた。このまま誤魔化してやる。

「戸塚、すまん。起こしちゃったみたいで」

「ううん、気にしないで。それより結衣ちゃんはいいの?」

「ああ、大丈夫だ。もうちょっと寝ててもいいぞ? 俺が起こすし。また肩使うか?」

「え!? ぼ、僕八幡の肩使っちゃってた!? え、えっと……それなら今度は僕の肩使って寝てもいいよ? ちゃんと起こすから」

 戸塚ニウムが入ってくりゅうううう! 八幡駄目になりゅうううう!

「いやいや二人とも寝過ぎだから。修学旅行始まったばっかなのに今からそんなんでどうするの?」

 とりあえず、先ほどの件は後回しにしたようで由比ヶ浜が会話に参加して来た。これからのために寝ておくのだよ、ワトソン君。多分、夜とか眠れないから。主に戸塚にドキドキする的な意味で。あ、そう言えばお風呂……ごくっ。楽しみが増えたな。

 それから戸塚も交えて(普通に由比ヶ浜と戸部たちについて話していたら速攻でばれた)『戸部をプロデュース! ドキがムネムネの告白大作戦』の作戦会議を開いた。開いたと言ってもすぐに富士山が見えてうやむやになってしまったのだが。後、由比ヶ浜よ。富士山を見るために俺に触れるな。思わず、ドキッとしちゃうだろう。由比ヶ浜ニウムはお呼びではない。戸塚ニウムでいっぱいいっぱいなのだ。

「八幡、本当に背中大丈夫?」

「おう」

 由比ヶ浜に気を取られて戸塚に迫るような体勢だったのを思い出し、急いで離れたせいで背中を手すりに強く打った。まぁ、普段からサイに骨を折られているため、そこまで痛くはなかったのだがなかなかいい音がしたせいで戸塚に心配されている。戸塚、そろそろ俺の背中を擦るの止めようか。色々と我慢できなくなる。

「っと。すまん、トイレ行って来る」

 唐突に訪れた尿意。戸塚にそう言ってから立ち上がり、一番近いトイレへ向かう。

「う、うぅ……わ、我としたことが昨日、食べ過ぎたか。く、くくく。だが、こんなことで我を倒したと思ったら大まちが――お、おぉ……」

「……」

 男女兼用のトイレから聞き覚えのある声が漏れている。どうやら長そうだ。心の中で材木某座にエールを送りながら別のトイレを目指す。結構、ギリギリなので急ぎ足で進む。

「あ……」

 何とか間に合ったが不運なことにトイレのドアノブ付近に使用中を示す赤い印が見えた。しかし、別のトイレへ移動するのは些か不安である。主に漏れる的な意味で。『待ってる人がいるよ! 早くして』と言わんばかりにコンコンと扉をノックした。すると、扉の向こうから衣服の擦れる音が聞こえる。おお、これは間に合いそうだ。そわそわしながら待っていると扉が開かれ――。

 

 

 

 

 

「……は?」「……え?」

 

 

 

 

 

 ――制服姿の大海恵が出て来た。

 俺たちはお互いに目を見開きながら硬直する。まさかこんなところで会うとは思わなかったからだ。数日前に俺の家で遊んだ以来である。向こうは向こうで顔を真っ赤にして慌てているし。誰だってトイレから出て来たところを知り合いに見られるのは恥ずかしいものである。しかもそれが異性で――そして、本人が女の子であればなおさらだ。き、気まずい。

「は、はちま――」

「待て」

 何か言おうとした彼女を止める。まずは早急に解決しなければならないことがあるのだ。

「すまん。まずはトイレをさせてくれ……限界」

「う、うん……じゃあ、ここで待ってるね」

 ……え? ここで待つの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……」」

 車両と車両の間の空間で俺と大海は黙ったままお互いを見ていた。何か、言ってくれませんかね。後、何でそんなに冷や汗を掻いているのだろうか。俺と会ってマズイことでもあるのかしら? このままじゃ埒が明かない。仕方ないのでこちらから話しかけよう。

「そっちも、修学旅行か?」

「ッ……う、うん。明日から」

「へぇ、明日から……明日?」

 じゃあ、何で新幹線に乗っているの? 楽しみすぎて日程、間違えちゃった?

「今日、京都で仕事があるから私だけ一足先に。でも、そのおかげで明日、学校の皆と現地で集合できるようになったの。これもマネージャーのおかげね」

 大海はアイドルである。そのアイドルの仕事のせいで学校の行事に参加できないこともあったのだろう。それを不憫に思ったのか大海のマネージャーが頑張って仕事を調節してくれたらしい。

「へぇ、いいマネージャーだな。文化祭の時も動いてくれたみたいだし」

「ええ、あの人がマネージャーで本当に良かったと思う」

 それにしてもアイドルって大変だな。学校も仕事のせいで休まなきゃならないし、その分、補習とかあるのだろう。それに加え、大海はティオとの2人暮らしだから家事とかも――。

「そう言えばティオは? 2人暮らしだから家に置いて来たわけじゃないんだろ?」

「……き、清磨君の家に預けたわ」

「……」

 何で今、大海は嘘を吐いた? 何か隠したいことでもあるのだろうか。それに俺と会ってからどこか落ち着かない様子。うむ、これはあやしい。俺は大海の横を通り過ぎて俺が来た車両ではない車両へ向かった。

「は、八幡君!? ちょっと!」

 ワンテンポ遅れて俺に向かって手を伸ばした大海だったが何となく気配で手の動きがわかったので振り返らずにひょいっと躱し、歩みを進める。この車両は総武高校が指定した車両ではない。そのため一般客がいる。なら――。

「あ、ティオそっち行った」

「え、ちょ、ちょっと待って! 今、研いでるから!」

 車両の真ん中付近にて。新幹線の座席に隣り合って座っている少女たちはモンスターをハントするゲームをしていた。なるほど、雌火竜か。

「ティオ、レイアはエリチェンした方が安全だぞ。突然火球が飛んで来るし。エリチェンする時間なかったら盾になるようなオブジェクトの裏にでも隠れろ」

「う、うん。わかった」

「ハチマン、次入ってー。早くティオのランク上げしちゃいたいから」

「おう、いいぞ」

「ありがと! これで3人で出来るね! やっぱり人数いないと効率が……こう、りつが……」

 ギギギという効果音が出そうな動きでこちらを見上げたのは家にいるはずの俺のパートナー。そして、その隣でレイアにボコボコにされて半分涙目になっているティオ。後ろで『あちゃー』と言う大海の呟きが聞こえた。

「色々、お話しした後、レイア狩りに行こうか。サイさん?」

「……あい」

 久しぶりに涙目のサイ見たわー。いやー、可愛いわー。もっと虐めたくなるわー。だから、こっち見ようね。震えていると余計、虐めたくなっちゃうよ?

「もうサイ! 何やって――ひっ!」

 動かなくなったサイに文句を言おうとしてやっと俺に気付いたティオが悲鳴を上げた。後で聞いた話では俺の顔がサイでも震え上がるほど怖かったらしい。

 




前書きで違和感ありまくりと言いましたが、きっと八幡の調子が悪かったので私にも影響があったんだと思います。
次回はサイと一緒にいられるのできっと次話は大丈夫だと思いますです。

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