ラブライブ! ~The another story~   作:癸楓文音

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前回、絵里との再会を果たしたレナ。
しかしその再会も束の間、患っていた心臓病が原因で倒れてしまった。

そこから彼はどうなったのか…?


それではお楽しみください!


8話:再会

目が覚めるとぼやける視界が徐々に明確になっていき、自宅であるということがわかった。

 

 

「あれ…俺どうして…」

 

体を起こすとエリチカが腕をベッドにのせ枕代わりにして眠っていた。

枕の隣には自分の額乗っていたであろうタオルが落ちていた。

近くには冷水の入った洗面器もあった。

 

 

「看病してくれたのか?」少し考えながらもエリチカを起こさないように布団から体を出し彼女に毛布をかけた。

 

 

「気分もいいな…。汗かいたし、シャワー浴びるか」

 

浴室に移動しシャワーを終えた。

 

 

 

頭を拭きながら脱衣所のカーテンをあけるとエリチカが座りながら不満そうにこちらを見ていた。

 

 

「おはよ。起きたんだ」わざと笑顔を作ってみせる。

「おはよう…。じゃないわよ!なんでお風呂入ってるの?」頬を膨らませる。

 

 

「ごめん…。起こしちゃ悪いって思ってさ。それに汗もかいてたから」

「んー…。本当に大丈夫なの?しんどくない?」

「大丈夫!気分もいいし、目眩もしないから」

 

 

「もう…学校で倒れるなんてビックリしたわ」呆れた表情を見せるエリチカ。

「ごめん。俺そっから記憶がないんだけど」

 

 

「あなたが倒れてから、学校にお医者様が来て点滴と検査をしたのよ。そしたら心臓病の処方箋を過度にとってるって。無理に体を動かそうとして体がついて行かなくなったって診断が出たのよ」

「…さすが医者。バレたか」

 

 

「関心している場合じゃないわよ!あなた1ヶ月分の薬が18日でなくなってるってどういう事?」怒った顔で処方箋の紙を突きつける。

 

「ごめんって!そんだけ真剣にお前とか、μ’sの事考えてたから…」

 

「…これからもうしない?」上目で見てくる。

「ああ、もうしない。だって、もう倒れたくないしな」

「なら…許す」

 

 

「ありがとう。ところでこれは?」

 

レナが指差した方向には一人用の鍋がおいてあり、その横には

『温めてたべなさいよ!にこ』とメッセージが添えられていた。

 

 

「ああ、それはね、にこが作ってくれたのよ。レナの事考えてね」

「そうなんだ…。矢澤先輩もここに来たのか?」

「そうよ。皆来たのよ」

「皆!?」

 

 

 

 

 

数時間前

 

 

 

検査が終わり理事長にレナの住所を聞き皆でその場へ向かった。

するとそこには4階立てのマンションが建っていた。

 

「ここの3階にレナの部屋があるみたいね」エリチカが住所の書かれた紙を見ながら言う。

 

「やっと着いたにゃー!家業院君重たいにゃ!」凛はレナをおんぶしていた。

「だから代わろうかって何度も聞いたじゃない」にこが言う。

「にこ先輩だとちっちゃいから靴を引きずっちゃう可能性があるもん!」対抗する凛。

 

「何ですって!?ふん!本当のにこちゃんは身長170センチなんだから」

「意味が分からないわ…」冷たい目をする真姫。

「むむ…」ふてくされるにこ。

 

 

「そんなことより、早く行こ?家業院君の体、余計に悪くなるよ?」希が歩き出す。

「そうね、304号室って書いてあるわ」エリチカも歩き出し皆歩き出した。

 

 

 

 

◎304号室前

「レナのポケットとかに鍵入ってない?」エリチカが聞く。

 

しばらく凛と花陽が探したが入っていなかった。

すると階段を上ってくる足音が聞こえた。

 

 

「おやおや、今日は賑やかだのう」目を細めたおじいちゃんが来た。

 

「えーと?どなた様ですか?」穂乃果が聞く。

「ここの大家じゃよ。家業院君とは仲が良くてね。今日は急いで家を出て行ったみたいだから代わりに鍵をかけておいたんじゃよ」そう言って鍵を差し出す。

「ありがとうございます!」海未が受け取り鍵を開けた。

 

「入って右に寝室がある。そこに連れて行ってあげなさい」おじいちゃんが言う。

 

 

「ありがとうございます」凛が連れて行きベッドに寝かせる。

「ところで大家さん、レナと仲がいいって?」エリチカが気になったようだ。

 

「そうなんじゃよ!実はの、家業院君は珍しい名前じゃから調べてみると陰陽師の祖先だったんじゃよ!その話をしてからいろいろと日本の事を聞かれてのう。こちらもロシアの事を色々教えて貰ってるんじゃ。週に1回わしの部屋に来て一緒にご飯を食べるんじゃ」

 

「ハラショー!!レナが陰陽師の家系…。そうなんですか」意外な言葉に驚く。

 

「ふぉふぉ、見た様子じゃと、家業院君は具合が悪いようじゃの。葱をたくさんいれたおかゆでも作ってあげなさい。綺麗なお嬢さん達を見れてよかったよ。家業院君によろしくの」

そう言っておじいちゃんは降りて行った。

 

 

「葱おかゆかぁ…。ことり、花陽!材料買ってきて」にこが呼びかける。

「わかりました!」二人は急いで出て行った。

「私たちは何か手伝える事はないでしょうか?」にこに海未が訪ねる。

「そうね…。お風呂掃除とかもやっちゃいましょう!」

 

 

 

 

 

そして現在

 

 

「…とまぁこんな感じで皆色々やってくれたのよ」

「なるほど…。でも風呂掃除も洗濯も昨日も普通にやってたしなぁ」

「にこがこまめだって驚いてたわよ」

「どうも」

 

「…あ、もうこんな時間!?」エリチカが叫ぶ。

「ん?なっ!?0時半!?」

「終電、なくなっちゃった…」

「…泊まってけよ」

「え!?良いの?」

 

 

「始発乗れば一回家に帰って学校行けるだろ?」

「そうね…。ありがとう。でも、あなたは数日休む事って理事長が」

「マジか…。とりあえず風呂行ってこいよ。着替えは俺のになるけど」

「充分よ。ありがとう。じゃ、行くわね」

 

 

エリチカがシャワーを浴びている間に着替えを用意しておいた。

 

 

「ありがとう、さっぱりしたわ。昔とシャンプー同じなのね」髪を拭きながら出てきた。

「ああ、髪質的にあれしかないんだよ」少し笑う。

 

「何してるの?」レナはキッチンに立っていた。

「腹減ってるだろ?」そう言いながら火をつける。

「作ってくれるの?」

「うん、どうだ?久しぶりにロシア料理!」

「わぁ!良いわね!」

「座って待ってて」

「ありがとう!」

 

 

数十分後

 

 

メインのボルシチとロシア独特の炊き方をした塩炊き白米がエリチカの前に並んでいた。

 

「すごい!ほんとうにボルシチだわ!」

「俺は矢澤先輩特製のおかゆ?ってのを食べてみる」

「向こうの生活ばかりだからおかゆを知らないんだ」納得するエリチカ。

「ああ、正直こっちに来ていろいろと驚かされてるよ。20歳以上じゃないと成人扱いじゃないみたいだし…」

「あれ?あっちでは何歳で成人なの?」

「18だよ。だからエリチカは今年で成人だな」

 

「そうなんだ…。でも私は国籍も日本人だから関係ないわね」

「俺も本当は日本人なんだけどなぁ…。家業院って珍しい名字もあるし」

「陰陽師だもんね」

 

「俺は違うけどな!…父さんと母さんの顔、ちゃんと見た事がないし、どんな仕事してたとかも知らないからな…。もしかしたら、悪霊退散!とか言ってたのかもな」

「それは今の世の中だと凄く珍しい人よ!」エリチカも自然に笑顔になる。

 

 

会話も弾んで楽しい時間が過ぎて行った。

 

 

 

 

午前1時半

 

 

二人分の布団がなく、二人でベッドに入っていた。

「…なんか、恥ずかしいな」レナが言う。

「私もよ。それにこんな事してたって皆に知られたらただじゃ済まないわ」

「確かに、希先輩とかにやにやしそうだな」

「そうね、希はそう言うの大好きだから」

「ハハハ」

 

しばし沈黙が続く。

 

「なぁエリチカ」

「ん?」

「俺、日本に来てよかったよ」

「どうしたの?」

 

 

「まだ来てそんなに時間も経ってない。お前と話できたのもほんの数時間前だ。でも孤独だった俺を救ってくれたんだ。仲間が出来たんだよ」

「私を助けてくれるために来たのは驚いたわ」

 

「お前だから来たんだよ。唯一の親友だった。向こうでは俺はずっと独りだった」

「でも、もう違うわ」

 

「ああ、だからこっちに来てよかった。絶対に廃校も阻止しよう…。音ノ木も救うんだ」

「ええ。頑張りましょう」

「ああ。…明日も早いし、寝ようか」

 

「そうね。レナ、本当にありがとう。あなたが来てくれなかったら、私は今も追い込まれて一人だった」

「今まで無理してた分笑えば良いよ、皆と」

「ありがとう。おやすみなさい」

「おやすみ」

 

(こうやって話せたのも皆のおかげだ…。俺の今は皆が居ないと成り立たない…。ありがとう)

 

 

 

 

早朝、始発電車に乗るために朝早くに起きてエリチカを送り出した。

 

その数時間後インターホンが鳴った。

あけてみると前川が立っていた。

 

「倒れたらしいな!ほれ!風邪薬!そんで葱めっちゃいれたおかゆ作ってやる!」

 

「…おせーよ」

「えええええええ!!!!!!」

 




いかがでしたか?

みんなが帰っても一人看病してくれたエリチカにまた愛おしさを感じるレナ。
倒れた原因は処方箋の過度な摂取でした。

みんなが掃除やご飯を作ってくれた。今までに感じたことのない温もりが彼にできました。

やはり前川のキャラはいいですね!

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