ラブライブ! ~The another story~   作:癸楓文音

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夢から目覚めたところから始まります!!!


果たして誰が命をかけて夢を見たのか?


14話:命をかけて見た夢(家業院零七)

かすかにまぶたの隙間から差す光に目が覚める。ぼやける視界の中自分の寝ているベッドの横に様子を見に来た叔母が座っているのがわかる。

「叔母さま・・・・?」

「起きたかい?お医者さんを呼んでくるね」そう言って叔母は部屋を出て行く。

「・・・そうか。俺、手術が終わったんだ・・・」まだぼやける視界の中に医者の姿が入り込む。

「目覚めたかい、レナ君」

「カルトさん・・・?」医者の名前を呼ぶレナ。

「ああ、気分はどうだい」

「・・・視界がぼやけるんです。あなたの顔もはっきりとはわからないくらいに」

「・・・まさかここまでとはね・・・」あごのヒゲを触るカルト。

「どういう事ですか?」

「レナ君、この眼鏡をかけてくれるかい?」そう言って眼鏡を差し出す。

差し出された眼鏡を受け取りかけてみる。

「あ、見えます・・・。はっきり」

「やはり・・・。君に遺伝したようだ」

「え?」

「君にドナーの視力も遺伝したみたいだ。このようにドナーのもとの何かが遺伝される事があるんだ」

「つまり・・・俺はドナーと同じ視力に・・・?」

「ああ、そうなるね。何より君とまたこうやって話せて光栄だ。手術は成功だ」手を差し出す。

「ありがとうございます!!!!」レナも手を差し出し握手を交わす。

「ところで、カルトさん。資料に載せていた、『伝えたい事』とは何ですか・・・・?」

 

「君には少し衝撃的な事実だよ」

「・・・構いません」

「そうか・・・では話そうか・・・」

 

『君のドナー提供者は君の父親、家業院歳氏(さいし)だ』

重い口から発せられた言葉にレナは言葉を失う。

 

「そうなるのもわかる・・・。そしてもう一つ事実を伝えるよ」

「・・・・はい」

 

『君の父親、歳氏は3ヶ月前まで生きていた』

「え・・・・?」あまりの予想を上回る内容に混乱する。

 

 

「君の父親はね、3ヶ月前まで生きていた。しかし不慮の事故で脳死。そのままドナー提供で君のドナーとして臓器を提供してくれたんだ」

「そんな・・・父親が生きていた・・・・」

「少し話が長くなる。構わないかい?」

「・・・詳しく聞かせてください」

「ありがとう。では、『君に伝えたい事』を話そうか。それはね、私と歳氏は同じ心臓移植の医療チームだったんだ」

「医療チーム?つまり・・・俺の父親・・・歳氏は医者だったと?」

「そうだ。私が君に伝えたい事、それは歳氏がどういう男だったかだ」

「父さんの事・・・?」

「そう。まず君はいま何を思っているかね?」

「どうして父親は死んだ事にしていたのか・・・。俺を見捨てたのかという思いです」

「だろうね。でもそれは違うんだレナ君。君の父親は君を愛していた」

「愛していた・・・?ならどうして俺のそばに居てくれなかったんですか!?」

「『君のそばに居るために』君の元を離れたんだ」

「え・・・?」

「私たちは同じ心臓移植の医療チームでね、大学からの仲だった。君の母親『家業院ラミア』は私たちの一つ下の学年だった。歳氏とラミアが付き合いだした頃から歳氏は言っていた。『もし息子が出来たら、将来笑い合って酒を飲みたい』と」

「・・・・あ___」夢の中の約束を思い出す。

「そして、君が生まれた。しかし生まれた段階から君の心臓病は発覚していた。ドナーで一致するのは歳氏だった。しかし君と果たす夢を叶えるためには君のドナーである事を認めてはならなかったんだ」

「・・・・・」

「そして歳氏は心臓移植専属の医者をめざし私をチームに誘ってくれた。どうしてかわかるかな?」

「・・・・何故ですか」

「答えは簡単だ。『君のドナーを見つけるため』だよ」

「俺のドナーを見つけるため・・・?」

「そう。ドナー提供の中には移植相手に一致せず保管されることが多い。歳氏は色々な心臓移植の手術に携わり君の心臓の形と一致する物を探し求めていたんだ」

「・・・・夢をかなえるため・・・?」

「そう。全ては君のそばに居るために。自分がそばに居たいからこそ君の元を離れたんだ。しかしドナーは見つからなかった。私達はずっとドイツに居たんだがアメリカにくる途中歳氏の乗っていたバスが事故に会ってね。彼は夢を叶える前に死んでしまったんだ」

「・・・つまり3ヶ月前まで俺のドナーを探していたという事ですか・・・?」

「ああ、そう言う事だね」

「俺は・・・そこまでして生きる価値がありますか・・・」涙を流しながら震えた声で問いかける。

「当たり前だ。少なくとも君は歳氏の夢なんだ。君が生きる事が歳氏の望みなんだ」

「どうして・・・。自分の一生を・・・命をかけてまで俺の事を考えたんだ!自分にはもっと時間があったはずだ!俺が生まれていなかったらもっと幸せな生活を送って長生きしたかもしれない!!!」

「それは違うよレナ君」優しく肩を握るカルト。

「・・・どうして、どうして父さんは俺のために・・・・」泣き崩れるレナ。

「『最愛の息子』だからだよ。ただそれだけだ。息子への愛だからだ。レナ君、歳氏の口から君の名前が出ない日など一日たりとも無かったよ」

「・・・・ううっ」涙を流し続ける。

「歳氏は言っていたよ。『髪が紫色で、目が青ければラミアの息子である証拠』『涙もろくて、泣くとすぐに目が赤くなるなら俺の息子である証拠』だと」

「赤く・・・・なる・・・」過呼吸気味になりながらも鏡を見る。

するとそこには目が涙で充血した目をした自分が写っていた。

 

「君の名前は少し不思議な名前をしているね。その由来も話そうか」カルトが切り出す。

「名前・・・。お願いします」

 

「君の名前は漢字で書くと『家業院零七』だね。君は歳氏の生きた証なんだ」

「俺が父親の生きた証?」

「そう。君の家系・・・つまり家業院は代々日本のお寺を継いでいる。今も君の祖父が寺を管理しているはずだ。その道から反れ、医者となった歳氏は『医者としての家業院は初代。つまり原点の零だと。そして歳氏は家業院として7代目の子孫』だった。原点の零と七代目の自分を合わせて零七。つまり君は歳氏の生きた証明なんだ」

「そんな・・・事が・・・」

「涙を拭きなさい」ハンカチを差し出す。

「ありがとうございます」涙を拭き取り微笑む。

「俺が・・・父さんの生きた証。ううん、父さんは今でも俺の中で生きてる。ずっと一緒に居てくれるんだ・・・」胸に手を当てて目を閉じる。

「ああ、そう言ってもらえると、歳氏も喜ぶ」カルトも笑顔になる。

 

「その祖父の寺ってどんな所かわかりませんか?」

「ああ、住所を歳氏から聞いているよ。ほれ」住所の書かれた紙を渡す。

「ありがとうございます。・・・実は夢を見たんです。手術の間」

「ほう、どのような夢かな?」

「歳氏と・・・海辺で話す夢なんです。おかしいですよね、俺、父さんの顔なんてしっかりと見た事無いのに。俺が天国に行こうとするのを止めてくれたんです。そして俺の今までの人生について聞いてたり。俺が将来天国に行ったら酒を飲もうって約束したり。最後にはぎゅっと抱きしめて泣いてくれました」

「歳氏はきっと君に会いにきたんだ。夢じゃないと思うぞ」

「きっと・・・今も見守ってくれてますよね」

「ああ。ずっと君の幸せを望んでいるはずだ。・・・君に歳氏の遺品を渡しておこう」      そう言って銀色のペンダントを差し出す。

「これが父さんの遺品・・・」

「中を見て見なさい」

ペンダントをあけると中には母親『ラミア』と『1歳の零七』と共に『男』が写った『家族』の写真が入っていた。男は夢で出会った父親と同じ顔をして居た。

 

「これ・・・」

「そう、その男が歳氏だよ。彼はそれを肌身離さず持っていたよ。眺めては『レナに幸せが舞い降りますように』と祈っていた」

「・・・幸せ・・・」また涙がこみ上げて来る。

 

「・・・幸せだよ?俺最高の父親の元に生まれたんだ。自分の命をかけてまで俺の事を考えてくれたんだ。あんた最高の父親だよ!ありがとう・・・!これから俺の見る景色、関わる事全部あんたに届くと良いな・・・。絶対に酒飲もうな・・・!絶対に母さん見つけろよな!」涙で声が途切れながら叫ぶ。

 

「レナ君、ありがとう・・・。親友としても嬉しいよ。彼にきっとその声は届いているはずだよ」

「カルトさん、本当にありがとうございます」

「ああ、君は1ヶ月間リハビリになる。歩く感覚、見る視界など少し困難な事があるかもしれない。しかし頑張れるね?」

「当たり前です!なんとしても皆の元へ帰るために!!」

「よろしい!ではまた明日会おう。今日はもう遅い。寝起きかもしれないが明日の為にしっかりと眠りなさい」

「はい!!!」

「おやすみ」カルトは電気を消して部屋を出る。

「おやすみなさい!」

 

 

(歳氏、お前の息子は立派に育っている!お前もそばに居てやれるんだな・・・。まだ私は君と共に戦った皆と医者の道を行くよ。応援してくれるよな)

 

カルトは目に涙を浮かべつつも笑顔で廊下を歩いた。

 




いかがでしたか?

2期からはオリジナルのストーリーをちょこちょこと挟んでいきます!
カルトさんは父親の友人でありレナの主治医でしたね!

レナくんの名前の由来もわかりました。
こんなお父さん僕も欲しかったと思いますw



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