ラブライブ! ~The another story~ 作:癸楓文音
今回はとても僕にとって懐かしさと儚さを感じた回でした。
題名からしてもう結構想いが強いのですが・・・。
それではどうぞ!
卒業式当日。いつもの様に制服を着て、いつもの待ち合わせ場所で前川と合流する。
「ついに卒業式かぁ。先輩達ともお別れか」前川が道に咲く桜を見上げて言う。
「別に会えなくなるわけじゃないだろ」レナが冷静に言う。
「今日は絢瀬先輩と一緒に登校しなくていいのか?」
「良いんだよ。今日は高校生として最後の日なんだし、希やにこと登校したいだろ」
「そんなもんかね・・・」少し感慨深そうに言う。
「普通で良いんだよ」そう言って歩き続ける。
音ノ木坂学院 アイドル研究部。
「中に誰か居るみたいだな」レナがドアノブに手をかけて言う。
「まぁ、特別な日なんだしおかしくはねーよ」前川が少し嬉しそうに言う。
コンコンッ 2回ノックをしてトビラを開ける。
「おはよう!ッ!?」目の前の光景に少し驚くレナ。
「皆おはよう!ん!?矢澤先輩が2人!?」前川が驚く。
そこにはラブライブ優勝の旗を眺める2人のにこが立っていた。
「ね!本当に優勝したでしょ!?」片方のにこが誇らしげに言う。
「ええ!おめでとう!!!にこ!!」嬉しそうににこをほめるにこ?
「レナ君、前川君おはよう!にこちゃんは1人だよ」花陽が笑って言う。
「それじゃ・・・この人は」前川がもう一人のにこと思われる人物を見る。
「どうも、矢澤にこの母です」笑顔で挨拶をする。
「なっ!?にこのお母様!?失礼しました!家業院レナです!」かしこまって頭を下げるレナ。
「失礼しました!前川達樹です!」前川も頭を下げる。
「いえいえ、よく似ているって言われるものですからお気になさらず。それであなたが家業院レナさんね」にこママがレナに言う。
「・・・?はい」少しきょとんとして返事をする。
「にこがお世話になりました!この子の事だからたくさん迷惑をかけたと思います。この子は昔からアイドルが大好きで・・・」少し涙目になるにこママ。
「ちょっとママ!もう良いでしょ!」にこが止めに入る。
「にこちゃんったらお母さんにとっても甘えん坊なんだよ!」凛が嬉しそうに言う。
「そうなのか?」レナが少し微笑む。
「べ、別に良いでしょ!」にこがふてくされる。
「それより・・・この色々並んでいるグッズは全てにこの物?」少し厳しい顔をするにこママ。
「そうですけど・・・」真姫が言う。
「『立つ鳥跡を濁さず』早急に全て家に持ち帰る事!」にこに忠告をする。
「・・・はい・・・!」少し残念そうに返事をするにこ。
『ただいまより、企画委員は体育館にて、設備の最終チェックに入ります!企画委員は全員体育館に集合してください』放送部の放送が入る。
「あ、私たち3人とも企画委員だね」花陽が言う。
「そうね。それじゃ、行くわね」真姫が歩き出す。
「そうだ!レナ君、前川君!穂乃果ちゃんにあったら送辞のことちゃんと聞いてね!」凛が嬉しそうに出て行く。
「送辞・・・?」レナが首を傾げる。
「生徒会長が読むやつだよな・・・。いつも無駄に長いやつ」前川が言う。
「穂乃果が考えたのか・・・。まぁ、後で聞いてみよう」
「あ、いっけね!俺部活動報告の紙出してなかったんだった!行ってくる!教室で会おうぜ!」前川が走って行く。
「・・・忙しい奴だな・・・」レナが微笑む。
「それじゃあ私もこの辺でおいとまします。にこ、名前を呼ばれたらしっかり返事をするのよ」にこママがそう言って部屋を出て行った。
「2人きりになったちゃったわね・・・」にこがつぶやく。
「ああ・・・おう」少し気まずくなる2人。
「丁度よかったわ!あんたに言いたいことあったから」
「言いたいこと?」
「・・・『ありがとう』って言いたかったの。あんたには3回も助けられた!1回目はスクールアイドルに復帰させてくれた事!2つ目はμ’sが終わりそうになったとき繋ぎ止めてくれた事。3つ目は家族を大事に思う事が出来た事!全部、あんたのおかげなの」少し照れくさそうに言うにこ。
「にこ・・・」にこの顔を真剣に見つめる。
「あんたが居ないとこうして部室はにぎやかにならなかったわ。きっと・・・ずっと。でも!あんたと関わってから笑顔があふれる毎日になった!それに・・・夢を叶える事が出来た!だからレナには1番に報告したかったの!」そう言って『UTX』と書かれた封筒をを差し出す。
「これって・・・・」封筒から取り出した紙を見て驚く。
「そう!『A-RISE』のメンバーオーディション申し込み用紙よ。じつはね、ラブライブの決勝が終わってから数日して、電話があったの。メンバーに入らないかって」
「そんなことがあったのか・・・?」驚きで言葉が全く出てこない。
「これもレナのおかげ。ラブライブという最高の大会に出場できた事!そしてそれに優勝できた事!そして・・・これからももっともっとアイドルとして高見を目指して頑張れる事!全部レナのおかげなの!だからありがとう!!!」抱きついてくるにこ。
「なんだよ急に・・・。おめでとう!でも、俺からも一つ」レナが封筒をを差し出す。
「え?同じ紙?」『UTX』と書かれた封筒から紙を出す。
「俺も、卒業後UTXプロダクションで作詞・作曲を続ける事になったんだ!あと1年は音ノ木で曲を作ることに決めてるけど。1年後またお前に曲を書くことができるかも知れないな!」嬉しそうに言うレナ。
「本当・・・?本当に!?」少し目に涙が浮かぶ。
「ああ!だから先待っててくれ。お前達A-RISEに最高の楽曲を提供する!」
「・・・ええ!楽しみにしてるわ!」いつも通り少し見栄を張った言葉遣いに戻る。
「にこ・・・!」また笑顔になるレナ。
「それじゃ、私も教室に戻るわね!あ、あとそれと・・・」にこが言葉を少し詰まらせる。
「ん?どうした?」心配そうに顔を覗き込む。
「『決着』つけなさいよね!」にこがいたずらっぽく言って部屋を出て行った。
「決着・・・・?」その言葉の意味が理解出来ず少し困ったレナであった。
中庭 花壇前 暖かい春の日差しが辺りを照らす。
設営を手伝いに行こうと体育館に向かっていると希が花壇の花を見ているのを見つけた。
「何してるんだ?」声をかけてみる。
「レナ君!おはよう!どう?すこしおめかししてみたの!」いつもと違う髪型、ほのかに施された化粧を見せる。
「ああ!とっても綺麗だよ」笑顔で答える。
「ありがとう!」希も笑顔で礼を言う。
初めてあった時から希の笑顔の可愛さは変わらないままだ。
「こんな所で何してるんだ?」本題に戻る。
「ここに咲いてる花達はね、1年生の時にエリチと埋めた花なんよ」
「そうなのか?」見事に咲き誇る花を見て感動するレナ。
「生徒会に入って、初めておこなった取り組みが学院に花を咲かせようってことやったの。エリチは仕方なしに埋めてるようやってんけど・・・。雨が降った日には急いで学校に向って花壇に傘をさしてたんよ」花に手を当てて言う希。
「そんな事があったのか?」レナが笑う。
「ずっと心の奥に隠してた自分の優しさをこの花には見せてたんよ。それをうちは皆に知って欲しかった。だから・・・レナ君に助けを求めたんよ」
「それは俺も同じ考えだった。だから、希を信じる事が出来たんだよ」
「ありがとう!うちもレナ君を信じて良かった!素直になれてないのはうちも同じだったんやけどね。レナ君はそれさえも見透かして助けてくれた。本当に・・・うちの神様や!」
「言い過ぎだよ。俺だって希にたくさん助けてもらった。ファーストライブの時のトラウマだって、エリチカを助けるときだって一緒に作戦を立ててくれたろ?そして何より、転校して1日目の占いが無かったらこうして正しい道を進む事は出来なかった」
「10人が巡り会うのは奇跡の様で・・・。運命だったのかもしれないね。今こうして後悔無く卒業できるのも皆のおかげ!だからレナ君、君のおかげでもあるの!ありがとう!」
「ああ!こちらこそありがとう!」
「あ!そうだ!」何かを思い出した様な顔をする希。
「ん?どうしたんだよ」
「『決着』つくの楽しみにしとるよ」希がいたずら顔で言う。
「それにこにも言われたんだよ。決着って何なんだ?」
「なんのことやろー?忘れちゃった!」笑顔で答える希。
「もう!皆してからかいやがって・・・」
「それじゃ、うちは行くね」そう言って手を振って歩き出す希。
「・・・おう!」希の後ろ姿を見て小さく手を振った。
2年1組教室 HR。
在校生はそれぞれの教室に待機して放送の指示を待っていた。
「いいかーお前達、式中は絶対静かにしろよ。とくに前川!」担任が前川に言う。
「んなっ!!なんで俺ピンポイントなんだよ?」驚きながら対抗する前川。
クラスの皆が前川を見て笑う。
「家業院君、式には出るの?」クラスの女子が聞いてくる。
「ああ、出るつもりだよ。前川を静かにさせないといけないから」笑いながら答える。
「あはは。前川、家業院君に迷惑かけちゃダメだよ!」そう言って前川に厳しい顔を見せる女子生徒。
「だからなんで俺をそんなに責めるかね!?なんかしました!?」
「いつも授業でうるさい、しつこい、挙げ句の果てに寝る。提出物を期限以内に提出した事がない、そんでもっていつも俺や他の子に見せてもらおうとする」レナが前川に次々とダメ出しをして行く。
「かぁー!私そら怒られますわー!」飛び上がりながら叫ぶ前川。
それを見てまた皆が笑う。
『在校生の皆さんはクラスで列を作って体育館に集合してください』生徒指導部の顧問の放送が掛かる。
「よし、それじゃ皆いこうか!良いか、移動中もうるさくするんじゃないぞ」担任が出席票を持って歩き出す。
全校生徒が体育館に歩き出す。
そんなときにレナのケータイがなる。
「お、すまん。先に行っててくれ」前川に言う。
「おう、あんまし遅れんなよ」そう言って歩き出す。
レナを探して走り回る穂乃果。
「レナ君どこに居るんだろう?」辺りを見回しながらクラスの方に走って行く。
「はい・・・。先ほど本人から聞きました・・・。はい!驚きましたよ!。でも、もっとやる気でました!はい!顔は出そうと思ってます!はい・・・失礼します!」ケータイを耳に当て下手で話すレナが立っていた。
「レナ君!」穂乃果が息を切らして声をかける。
「ん?穂乃果か。おはよう」微笑んで挨拶をする。
「おはよう!・・・探したんだよ!」
「探すって・・・何か用か?それより、体育館行かないと怒られるぞ?」
「うん!これ渡したくて!」そう言って一切れの紙を差し出す。
「何だこれ?」そう言って紙を見る。
「これ!今日の送辞!協力してね!それじゃ、先に行くから・・・前川君にも伝えといてね!」そう言って走り出す穂乃果。
「・・・ハラショー・・・。相変わらずぶっ飛んだ事考える奴だな」そう言って笑うレナだった。
体育館 式の雰囲気を出す為に周りは少し暗い照明となっていた。
「すまん」そういって前川の横に座る。
「おう、何の電話だったんだ?」前川が聞く。
「UTXプロの社長からの電話。色々あってな」
「そうなのか・・・。すげーな、もう内定確定してるみたいなもんだよな」
「まぁな。でも、本当に楽しそうな会社だよ。また今度見学に行ってくる」
「おー!土産話楽しみにしてるぞ」
「おう!それより、これ、穂乃果から伝言。今日の送辞でやりたいんだってさ」そう言ってさっき受け取った紙を渡す。
「何だこれ・・・。なになに・・・『皆で歌おう!愛してるバンザーイ!』!?」驚愕する前川。
「ああ、送辞で皆が一つの歌を歌って3年生を送り出そうってことらしいよ」
「またまた凄い事考えるのねあの子・・・」すこし呆れ気味に言う前川。
「それは俺も思ったよ。でも、その無謀で馬鹿みたいなことを言って実現させるんだもんな、あいつは」
「まぁ・・・。1年であのA-RISEに勝っちゃったんだしな・・・」
「だから今日もあいつに協力しよう」
「そうだな!」
式が始まり数十分。PTAや東京都知事の祝辞を右から左に流し終わった後、いよいよ穂乃果の送辞の時間が来た。
『送辞 在校生代表 高坂穂乃果』実行委員が司会を進行する。
「はい!」元気に返事をし前に歩き始める。
『皆さん、ご卒業おめでとうございます!今日の朝までここで話す事を考えていました。それでも、しっかりとした言葉は見つかりませんでした。でも、思ったんです!私、昔からそう言うのが苦手だったんだって!』笑顔で言う穂乃果。
生徒達が少し笑う。
「穂乃果・・・?」エリチカが戸惑う。
「なにごとやろ?」希も少し心配する。
『でも、そんな時私は歌と出会いました!素直に言葉を言える歌と出会いました!私はそんな歌が大好きです!先輩、皆様方への感謝とこれからのご活躍を心からお祈りしこれを送ります』
穂乃果がそう言うと真姫が壇上にあがりピアノの前に座る。
「真姫!?」にこが驚く。
『愛してるばんざーい! ここでよかった
私たちの今がここにある
愛してるばんざーい! 始まったばかり
明日もよろしくね まだ ゴールじゃない』
ピアノの伴奏が続く
『さぁ!』真姫がかけ声をかける。
『大好きだばんざーい! 負けない勇気 私たちは今を楽しもう』海未とことりが歌いだす。
『大好きだばんざーい!頑張れるから』花陽と凛も歌いだす。
『昨日に手を振って ほら 前向いて』レナと前川がつづく。
「皆・・・」エリチカが周りを見渡し涙を浮かべる。
『皆も歌って!』穂乃果が皆に声をかける。
『LaLaLa LaLaLaLaLaLaLa 〜』会場全体が心を一つにする。
アイドル研究部部室 にこが親に言われた通り私物を皆と片付けていた。
「本当にこれ全部にこちゃんの私物なの?」凛が荷物の多さに驚愕する。
「私物だけど・・・貸し出してたのよ!」にこが言う。
「物は言いようだにゃー」凛が指摘する。
「でも、ここまで片付いちゃうとなんだか寂しいね」花陽が言う。
「次の部長が新しく家から持ってきたら良いじゃない」にこがパソコンのコードを片付けながら言う。
「次の部長・・・?」真姫がつぶやく。
「そう言えば決めてなかったな」レナが少し驚く。
「誰にするの?」ことりが聞く。
「そうね・・・・・花陽!あんたに任せるわ!」にこが花陽を指差す。
「ええ!?私!?」意外な結果に驚く花陽。
部室前に居るメンバーにその事を報告する為に皆が教室を出る。
部長と大きく書かれた黒板の前に冠をかぶせられDDDを持った花陽が立たされる。
「私が部長!?」再び驚く花陽。
「生徒会と兼任させる訳にはいかないでしょ!それに、私の次にアイドルに詳しいのはあんたしかいないんだから」にこが説得する。
「凛だってリーダーやったんだよ!」凛が花陽の肩を持って言う。
「適任ね・・・」真姫が髪の毛をいじりながら言う。
「お願いしますね。部長!」海未が言う。
「部長・・・いい響きだね!」穂乃果も嬉しそうに言う。
「盛り上げて行ってね」希が言う。
「また、遊びにくるから!」エリチカも笑顔で言う。
「頑張ります!!!」決心がついた花陽。
「よろしく頼むぞ部長」レナが言う。
「でも・・・・」少しうつむく花陽。
「どうしたの?」ことりが心配する。
「私が部長で凛ちゃんがリーダーなら、真姫ちゃんが副部長!」急に宣言する。
「ゔえぇ!?なんでそうなんのよ!」驚く真姫。
すると皆が真姫を見つめて拍手する。
「・・・もう!別に良いけど!」そっぽを向く。
「それじゃあ、決める事も決めて心残りも無くなった事やし」希が話を切り出す。
「そろそろ行きましょうか」エリチカが言う。
「え?もう行っちゃうの?」穂乃果が言う。
「ええ、卒業だし色んな所見て回ろうって言ってたのよ」にこが言う。
「それじゃあ私たちも行くよ。10人皆でいられるのは最後なんだし・・・」穂乃果が少し照れくさそうに言う。
『・・・・』皆が穂乃果を見つめる。
「あれ?」穂乃果が状況が読めていなかった。
「穂乃果ちゃん今『最後』って言ったにゃ!」凛が穂乃果にすり寄る。
「あー!!!」穂乃果が気付く。
「最後って言ったら皆にジュース1本おごるって約束だよな」レナが笑う。
「うう・・・・」穂乃果が仕方なく財布を取り出す。
中庭 半強制的に買わされたジュースを皆が笑顔で飲む。
「穂乃果のおごりのジュースはおっいっしーなっ!」エリチカが揺れながら言う。
「穂乃果ちゃんありがとう」希が笑う。
「どういたしまして・・・・(私の1000円が)」財布の中身を見て落ち込む穂乃果。
「そう言えば最近パン食べてないわね」真姫が気付く。
「うん!ラブライブの事もあったから控えてたんだ」
「結局ダイエットする事になりましたけどね!」海未が忠告する。
「まぁまぁ」ことりが笑いながら海未を抑える。
「そういえば、この中庭で初めて花陽と話したんだよな」レナが思い出深そうに話し始める。
「そうだね!」花陽も気付いた様に言う。
「そうなの?」エリチカが興味を示す。
「うん!μ’sの初ライブを見てからずっとここで落ち込んでた私に声をかけてくれたの。私が凛ちゃんと、真姫ちゃんとアイドルがやりたいって言ったらレナ君は『2人を巻き込めるのはお前しか居ない』って言ってくれたの」花陽が少し嬉しそうに言う。
「そうなんや・・・。レナ君も案外かっこいい事言うね」希が笑う。
「でも、実際に巻き込まれたわけだし」真姫が言う。
「あのときのかよちんの目は本気だったにゃ!」凛が元気に言う。
「泣いてたけどね」真姫が言う。
「なっ!花陽泣いたの?」にこが笑う。
「だってー」言い訳しようとする花陽を皆が笑った。
アルパカ小屋前
「久しぶりーーー!もふもふーーー」ことりが白いアルパカに抱きつきながら幸せそうな顔をする。
「はわわわわわわ・・・・・・」茶色いアルパカを見て怖がるエリチカ。
「シューーー!!!」茶色いアルパカもエリチカを見て威嚇する。
「何かあったのですか?」海未が聞く。
「い、いや・・・ちょっとね・・・・」何かトラウマが有るのだろう。
「それにしてもちょっと太ったんじゃないか?」レナが茶色いアルパカを見て言う。
「確かに、おなかが出てきた様な・・・」穂乃果がおなかを見て言う。
「ちょっと待って・・・!これって」真姫がまじまじと見つめる。
「妊娠してるっ!」真姫が驚きながら言う。
『ええーー!!!』皆が驚く。
「ヘッヘー!!!」白いアルパカが自慢げに鼻息を立てる。
「おま・・・お前が♂だったのか」レナが驚く。
「確かに誰もがこっちをメスだと思ってたわね・・・」にこも驚く。
「おめでとー!!!」嬉しそうに抱きつく花陽とことりだった。
芝生グラウンド
「一度こうしてみたかったんだー!」穂乃果がゴロンと寝転がる。
「確かに、お日様もぽかぽかで気持ちいいもんねー」凛も横に寝転がる。
皆がそれを見て寝転がる。
(皆が揃って初めてライブをした日も・・・こんな風な青空だったな)そんな事を考えながら空を見るレナ。
「初めて皆とライブをやった時も・・・こんな青空やった。そんな風に考えてたんやろ?」希がエリチカに言う。
「・・・ええ」微笑むエリチカ。
(皆同じ事を考えてるのか。もうずっと一緒だったもんな)心でそうささやいて目を閉じる。
「皆とこうして手をつないだのって何回くらいあったかな」穂乃果が言う。
「そう言えば・・・たくさん皆と手をつないだ記憶がありますね」海未が言う。
「ライブの前には皆で手を合わせてたし、ずっと1つになってたから覚えてないや」ことりが微笑む。
「確かに、ずーっと一緒だったわね」真姫も気持ち良さそうにしていた。
(またかよ・・・。同じ事考えてる)
「ハハハ」自然と笑ってしまった。
「レナ君急にどうしたの?」希が笑う。
「いや、まったく同じ事考えてたから。つい」笑いながら言う。
「実は私もずーと同じ事考えてた」にこが言う。
「ほんとかなー?」穂乃果がからかう。
「なんでここで嘘つく必要あるのよ!」にこがツッコミを入れる。
『アハハハハ!!』皆が笑うのだった。
屋上
「やっぱり最後はここよね!」エリチカが言う。
「ここが皆と一番居た場所だよね!」花陽が言う。
「本当に色々有りましたね」海未が懐かしむ様に言う。
「そうね。ここで皆が練習して」にこが言う。
「皆でぶつかって」ことりが言う。
「皆で笑って」希が言う。
「そうやってここまで進んできたんだのよね」真姫が言う。
「楽しかったなぁ!」凛も今までの事を思い出しながら言う。
「本当、ここにはお世話になったな」レナが景色を眺めながら言う。
皆が皆過去形で話すのに少し切なさを感じる。
「そうだね!・・・・そうだ!いいこと思いついた!」そう言って校舎に入って行く穂乃果。
「穂乃果!?」エリチカが驚く。
「いきなり行動するのは今でも変わらないですね」海未が笑う。
「それでも良い方向に結果を進めてくれる!」ことりが言う。
「何をしに行ったのかしら」真姫が言う。
すると穂乃果はモップと水の入ったバケツを持ってきた。
「何するの?」凛が珍しそうに眺める。
「見ててね!!」すると穂乃果はモップを水に浸け屋上に何か文字を書き始める。
『μ’s』
水で書かれたその文字はどこか誇らしげだった。
「でも、こんなにお天気だとすぐに乾いちゃうね」花陽が言う。
「良いんだよ!」穂乃果が言う。
「え?良いのか?」レナが少し驚く。
「うん!消えて良いんだよ・・・・。さっき皆言ってたでしょ?同じ事を考えてるって!だから大丈夫!もう皆の心は一つになってる!だからここでこの文字が消えても皆の心が通じてるから大丈夫!」自信満々に答える穂乃果。
「穂乃果・・・・」にこが少し涙目で言う。
「穂乃果ちゃん・・・」希も同じく涙目だった。
「もう、2人とも!もう泣かない約束でしょ?」エリチカが言う。
「穂乃果ちゃんの言う通りやね。皆の心が通じていれば、大丈夫!」のぞみが言う。
「それじゃ、今までお世話になったここに御礼しましょ?」にこが涙を拭き取り言う。
「そうだね!せーの!」穂乃果が声をかける。
『ありがとうございました!!!』10人皆が頭を下げる。
かすかに『μ’s』の文字が消えて行く。
そして穂乃果、レナ以外の皆が下に降りて行った。
屋上には静かな風の音だけが鳴っていた。
「レナ君は行かなくいいの?」水を排水溝に流しモップを日向にかける穂乃果。
「ああ、これだけは言っときたくて」少し照れて言うレナ。
「どうしたの?」ちゃんとレナの前に立つ穂乃果。
「ありがとう。ずっと言いたかったんだ。皆の言う通り、お前の突然な言葉から始まって・・・やがて皆が笑顔になってた。それは俺も同じで、お前が居ないと皆と関わることはなかったと思う。あの日お前が階段から降ってこなかったら俺達は面識の無いままだったかもしれない。偶然かもしれないけど・・・運命に感じる。ありがとう、穂乃果」穂乃果の目を見て伝えるレナ。
「私も、レナ君にありがとうって言いたかった!私のわがままをずっと受け止めてくれて、ラブライブでもレナ君が居ないとどうにもならなかった事もたくさんあった!レナ君が居たから・・・優勝もできて、今の私たちが居る。ありがとう!レナ君!」笑顔で御礼を返す穂乃果。
「ああ・・・・」優しく微笑むレナ。
『だって可能性感じたんだ そうだススメ!』穂乃果が目を閉じて歌いだす。
『後悔したくない 目の前に僕らの道がある』 レナが続きを歌う。
「さぁ、レナ君!行こう!皆が待ってる」そう言って走り出す穂乃果。
「ああ!」そう言って走りだそうとした瞬間、後ろから服を何者かに引っ張られる。
「お兄ちゃん!!!」少し怒り気味の赤髪の少女。
「君は・・・・。音ノ木の・・・」レナが目にしたのは以前目の前に現れた音ノ木の妖精と呼ばれる少女だった。
「お兄ちゃん!肝心な事忘れてるよ」ほっぺを膨らまして言う。
「忘れてる事?」
「『決着』ついてないじゃん!」
「だから何だよ、その決着って・・・」呆れる様に言うレナ。
「しゃがんで?」服を引っ張る少女。
言われるがままにしゃがんでみる。
するとあの時と同じ様に少女が人差し指をレナの額に当てる。
「これは・・・・」色々な映像が頭に流れ込んでくる。
初めてバレエの教室でエリチカを見かけた時。
ペアの発表をされた時。
共に練習を重ね笑った日々。
落ち込んだ彼女を励ました時。
優勝して笑顔で微笑みかけてくる笑顔。
目が覚めると一人きりで寂しかった事。
皆と手を差し伸べてその手を握ってくれた事。
死にそうな自分を真剣に看病してくれた事。
帰国すると笑顔で絵おかえりと言ってくれた彼女。
ずっとそばに居てくれる彼女が目の前で消えてゆく。
「嫌だ!!!」目に映る映像に気持ちがこもってしまい叫んでしまう。
両頬に涙が流れていた。
「わかったよ・・・・。やっとわかったよ」涙を流しながら少女に言う。
「うん!走れば間に合うよ!」少女が笑顔になる。
「ありがとう・・・・。今行かないと絶対に後悔する」そう言って全力で下駄箱へ走って行った。
「うん!最高に良い顔してる!!!」微笑む少女だった。
下駄箱
暖かい太陽が眩しく廊下を照らす。
「エリーチカァ!!!」 全力で名前を叫ぶ。
「レナ?」皆と靴を履き替えていたエリチカが不思議そうな顔をする。
「これはお邪魔みたいやね。さ、皆行こかー」希が穂乃果達を連れて行く。
「ちょっと?希?」希を気にかけるエリチカ。
「さ、行くわよ」真姫がそう言って1年組を連れて行く。
「レナ・・・どうしたの?大声出して」心配そうに言うエリチカ。
「・・・・。俺、馬鹿だよ。気付いてなかった!自分の気持ちに!何の為に日本に来て、何の為にここまで頑張ったか!」
「それって・・・・」
「お前が居るから俺は今ここで立ってる!ずっとそうだ・・・。お前が日本に発ってからずっと孤独と闘ってた。
『お前ならどうしたかな?』『お前が居たらなんて言うかな?』ってずっと考えてた!でも・・・それじゃ変われなかった。でも、お前の為に日本に来て・・・再開して、ずっとずっとそばに居て・・・。たくさんの笑顔、目標、日常・・・・俺の世界が変わったんだ・・・。でもそれがまた当たり前になってたんだよ。だからこそ、気付いたよ・・・・。やっぱ俺はお前が居ないとダメだ」涙を流しながらありのままの気持ちを言葉にする。
「レナ・・・・」絵里が目を閉じて微笑む。
「だから・・・これからもそばに居て欲しい!ずっとこれからも!」真っ直ぐにエリチカを見つめて叫ぶ。
エリチカがレナを強く抱きしめる。
「ずーとずーとこれからも私と一緒に歩いてくれる?学校を卒業しても、ずっとそばに居て支えてくれる?」耳元で言う。
「それって・・・・」少し戸惑いながら言う。
「私もずっと隣で笑ってて欲しいな」エリチカが優しくささやく。
「・・・エリチカ!!当たり前だ!ずっとずっとこうしたかった・・・。ここに来て初めてお前を見たあの日から・・・いや、お前が目の前から消えたあの日から・・・」涙を流すレナ。
「2人ならどんな壁だって超えられるわ・・・。これからも」
「ああ・・・・!」
「ちょっとーーー!!!」にこの声が聞こえる。
「?」レナとエリチカがそちらに目を向ける。
「いったーい!!!」穂乃果が靴箱の影から飛び出してくる。
「穂乃果!」海未がやってしまったという声を上げる。
「にこちゃんが押すから・・・」凛が言う。
「あ・・・・」穂乃果とレナ達の目が合う。
しばらくの沈黙。
「ごめんなさーい!!!」穂乃果が全力で謝る。
「お前達・・・」レナの顔が暗くなる。
「ひぃ・・・・」花陽が怖がる。
「ありがとなっ」パッと笑顔になるレナ。
『え・・・・?』エリチカとレナを除く皆の声が重なる。
「ありがとう・・・・?」ことりが確かめる。
「こんな風に無理矢理にでも2人の空間を作ってくれてありがとう。俺の素直な気持ち・・・伝えられたよ」
「ど・・・どういたしまして?」真姫も戸惑っていた。
「結果オーライやね・・・?」希も少し動揺しているようだ。
「怒ってないの・・・?」穂乃果が聞く。
「怒っては無いけど・・・・少し照れくさいというか・・」エリチカが言う。
「凄い迫力やったね・・・」希が微笑む。
「希・・・」エリチカが止めようとする。
「まぁ、これからも仲良くやりなさいよ」にこが言う。
「ああ・・・ありがとう」レナが礼を言う。
「でも、希ちゃんの占い当たっちゃったにゃ〜」凛が思い出した様に言う。
「占い?」花陽が聞く。
「だって、皆で曲を作ろうって穂乃果ちゃんの家に集まった時に絵里ちゃんを占ってたでしょ?」
「・・・そう言えば・・・」海未が思い出す。
「・・・あの時か!」レナも驚く。
『・・・。結果的にエリチ!大成功するよ!』
『もう、そんなこと聞いてないわよ?』
『でも絵里ちゃんならいけるにゃ!』
『何の話してるんだ?』
『うえっ!?レナ君!いつ来たん!?驚いたなぁ』
『な、何でも無いのよレナ!』
あの日の会話を思い出す。
「あの日、エリチがもしレナ君に告白したらどうなるかって占ったんよ」希が言う。
「まず、レナ君が告白しちゃったけどね・・・」ことりが苦笑いする。
「もう、あの時は真剣にラブライブと向き合ってたから」エリチカが言う。
「でも、これからも二人仲良く歩いていくんだよね」穂乃果が嬉しそうに言う。
「結局ロマンチックな方向にいくんじゃない」にこが言う。
「おめでとう、二人とも!」花陽が嬉しそうに言う。
「さ、長い事ここに居ても卒業には変わりないんやし、行こうか」希が歩き出す。
「3年間・・・長いようで短かったな」にこがつぶやく。
「この1年間・・・一生忘れないわ」エリチカも微笑む。
その3人の後ろに着いて行く6人。
「これでよかったんだね!皆が笑って終える事が出来る・・・!やりきったよ!」そう言って皆の元へ走っていく穂乃果だった。
いかがでしたか?
始めは本当に友達に見せるだけに書いていた小説でした。
現在少なくともこの作品は約18000回アクセスされて居ます。
それだけで十分幸せです。
詳しいあとがきは後日に載せようと思います。
そして今回の振り返り・・・・。
やっと素直になれましたね。レナくんが日常がどんなに大切だったか。
その日常には絵里がいないといけないこと。
この作品の本題であると言えます。
この作品の中で大きく成長してきた彼はもう少し成長を続けるようです。
それまでしばらくさようなら!本当にありがとうございました!
感想・評価があればお願いします!