ラブライブ! ~The another story~ 作:癸楓文音
個人的にも好きな回でした。
そして今回はアニメで言うところの『にこ襲来!』
アニメではにこの口からは語られなかった過去。
レナがいることによってどう変わるのでしょうか?
それではどうぞ!
◎屋上 放課後
レナはケータイで誰が投稿したかわからないμ’sの初ライブの動画を見ていた。
「今とは全然ちがうな。今の方がキレもあるし、人数も多くて華やかだし」
独り言をつぶやきながら最後の一人の候補を考える。
「最後にメンバーになる存在かぁ…。希先輩に聞いてみよう」
立ち上がり屋上を後にした。
◎生徒会室前
「気軽な気持ちで来てみたものの…。ここにはエリチカが居るんだよな…。今は踏み入れる場所じゃないか」
少し残念ながらも生徒会室前から去ろうとする。
すると部屋の中からこちらに生徒の声が近づいてくる。
(ヤバい、ドアが開く!?)
急いで曲がり角に身を潜める。
するとドアが開けられ数人の女子が出てきた。
「どうしたら良いんだろう…。アイドル研究部って1人なんだよね」
「とりあえずアイドル研究部の部室に行ってみましょうか」
「そうだね!どんな人なのかな?」
そんな会話が聞こえてきたが、その内声は遠くなって行った。
「アイドル研究部?そんな部活があるのか?それに今の声、園田と高坂の声だったな」
すると再びドアが開く。
「家業院君〜」希の声だった。
「うおっ!?希先輩?」
「見えてたよ」微笑みながらこちらに向かってくる。
「エリチカにはバレてないですか?」
「うん。大丈夫!丁度見えないようエリチの前に立ってたから」
「さすが…」
「それで?ここに居るってことは、何か用があるってことやろ?」
「あ…その事なんですが、後一人のメンバーについて占ってほしいんです」
「後一人の事?それってもう候補が決まってるん?」
「はい。一応ですけど…。でもその人の名前を占うんじゃなくて、最後の一人と言う事で占ってほしいんです」
「なるほど。μ’sの一人としてね。わかった!占ってみるね」
「はい!お願いします!」
すると希は目を閉じカードを一枚取り出した。
『THE GOBLIN』
「ゴブリン…。小悪魔のことやね」
「小悪魔?」
「どこかいたずらっぽくて、大切な存在。チームには欠かせない存在やね」
「なるほど…」
「どう?確信は得られた?」
「はい!ありがとうございました!」
「良かった!頑張ってね!」
「ありがとうございます!じゃあ」
「ばいばーい」
希は手を振り生徒会室に戻って行った。
(ずっと心のどこかで引っかかってた…。アイドルに一番憧れている人。
それは…矢澤先輩しかいない。ただ今はアイドル研究部ってのを調べなきゃいけないし…。μ’sがどうなってるかも知りたい。とりあえずアイドル研究部の部室に行ってみるか)
レナは歩き出した。
◎アイドル研究部部室前
部室前についた時には既にμ’sのメンバーが部室前でアイドル研究部部長と思われる人物と口論していた。
「お願いします!合併だけでもしてください!」頼み込む穂乃果。
一同頭を下げる。
「いきなり何よ!?」強気な返答が帰ってくる。
「ん…?あれって矢澤先輩!?」お辞儀に囲まれた人物を見るとにこが立っていた。
「私たち、さっき生徒会にアイドル部として申請を出したんです!そしたら、生徒会長が『アイドル研究部がある以上、アイドル部を認める訳にはいかない。アイドル研究部と話をつけてくれ』って言われたんです!」頭を上げ事情を説明する穂乃果。
「いきなり来て、アイドル研究部を潰せ!?頭おかしいんじゃないの!?反対に決まってんでしょ!帰って」そう言ってにこは部室に戻り鍵をしめた。
「そんな…。どうしたらいいんだろう」花陽の一言で皆が不安になる。
「一人でどんな研究してるのかな?」ことりが部室のドアのガラスを覗き込む。
「うわぁ!アイドルばっかで凄いよ!」目を輝かせることり。
「え!?うそうそ!?ほんとだ!あ!A-RISEもありますよ!!」テンションがあがる花陽。
「ちょっと、何盛り上がってるの?こっちは活動が認められてないのよ?」真姫が腕を組みながら不機嫌そうに言う。
「皆、暗いにゃ〜」凛も落ち込んでいるようだ。
「あれ?お前ら、こんなとこでなにしてんだ?」ばったり会ったかの様な顔のレナ。
『家業院君!』驚く皆。
「家業院さん!助けてください!アイドル研究部がある以上私たちは部として認めて貰えないそうなんです!」
「小泉…。んで、アイドル研究部の部長と話したのか?」
「はい!それが…。反対って言い切って部屋にこもってしまって」部室を指す海未。
「なるほどね。それで?部長って誰なんだよ」
「三年生のにこって人」真姫が言う。
「あれ?真姫ちゃん知り合いだったの?」凛が聞く。
「いいえ、さっき鞄に『にこ』ってストラップがついてたから」
「にこ…。って矢澤先輩!?」驚くフリをするレナ。
「家業院くん知ってるの!?」穂乃果が食いつく。
「ああ!知り合いだよ!一緒にA-RISE見に行ったりしたんだ」
「ええ!意外だね!」
「んーじゃあ、俺が矢澤先輩に声掛けてみるから、押し切ってみろよ」
「え!?協力してくれるの?」ことりが手を合わせながらこちらを見る。
「ああ、一応俺もこの学校の一人としてμ’sに頑張ってほしいからな」
「ありがとう!」
「あのー!矢澤先輩!家業院です!実はちょっとA-RISEで聞きたい事があってー」
すると鍵が開く音がした。
「失礼します!」
ドアを開ける前に皆の方を向き一度うなずく。
開けると同時に皆で勢い良く中に入る。
「ちょっと、なんなのよ!家業院だけじゃないの!?」にこが顔を歪める。
「開いたんだから仕方ないでしょ」真姫が言う。
「仕方ない!?仕方なくないわ!この部室は私専用の部屋なの!あんた達みたいな最近アイドルに興味持った連中に踏み入れられちゃ、たまったもんじゃないわ!」
「そんな事ないです!かよちんは小学生の頃からアイドルの事が好きなんです!」
「凛ちゃん…」
「まぁまぁ…それで矢澤先輩、さっき聞いたんですけどアイドル研究部の部長なんですね。なら、μ’sに興味は持ってないんですか?」レナが問う。
「ふざけないで!そこらのミーハーで始めたアイドルなんて微塵の興味もないわ!」
「ミーハーって…それでも頑張って曲も作ってるし、歌うのも大好きです!」穂乃果が負けじと反論する。
「ふん!それにいきなり何よ!アイドル部を作りたいからアイドル研究部を潰せですって?」
「潰すなんて一言も言ってないのですが…」困った顔をする海未。
「実際の話そうじゃない!?あなた達がアイドル部を設立したらこの研究部はどうなるのよ?」
「確かに…そうだね。どうしたら良いんだろう」ことりも困惑する。
「とりあえず、今日は帰って!また話が決まったら来なさい!どうせろくでもない事考えそうだけど!ほら、帰った帰った!」にこが一人一人追い出していく。
「俺は少し残ります」
「ん…。あんたはいいわ」すこしふてくされるにこ。
数分後。
「矢澤先輩。実際μ’sに興味はないんですか?」
「…話をしてあげるわ。絶対内緒よ」
「はい…。(真剣な顔…)」
「この研究部はね、昔5人だったの…。そこから3人になった。3人でスクールアイドルを始めたの。
でも私だけがやる気満々だったの。2人は無理してやってたみたい。
結局私の熱量が空回りしてやめていった。
私はもう夢を諦めたのよ。μ’sは私からすると同じように崩壊するとしか思えないのよ。それにずっと好きだったアイドルを侮辱されたようにしか思えないの。いきなり始めて、始めた理由も学校のため!?それが納得できないのよ」
「そんなことがあったんですね…。なら矢澤先輩が思うアイドルって?」
「夢を与える事が出来る物。憧れになる輝き。かな」
「なるほど…。それがあいつらにはないように見えますか?」
「…はっきり言ってわからないわ」
「わからない?」
「確かにμ’sは今注目の人気沸騰中スクールアイドルに選ばれてるわ。でもね、不安がどうしてもあるのよ。あの日崩壊したときのトラウマが…」
「トラウマ…。崩壊…」
「夢が消える瞬間の感覚が怖いのよ。味わってほしくないのよ」
「…矢澤先輩の過去が今のμ’sと重なるんですね」
「だから私が今止めるべきなのよ。夢が大きくなる前に終わらせれば良いじゃないかって思うのよ」
「…それは違いますよ。夢の形は人それぞれです。人の夢を他人が遮る権利は誰にもないです。それに一度見た夢の世界は、あなたが一度でも見たステージからの景色は決して地獄じゃなかったはずです!その日あなたは笑ってたはずです!!そこまで考えてやれるなら、今あなたが出来る事は…あいつ達の力になる事だと思うんです」
「…力に?どういうことよ」
「すみません、勝手な事言って。あいつ達が崩壊しそうになったら、あなたが繋ぎ止めてやればいいんです!それを出来るのはあなただけだと思います。俺も、過去のトラウマを消し去るためにこの学校に来ました」
「前から思ってたけど…あなた、何物?」
「俺にはあなたに似た過去があります。それもずっとずっと長く繋がれた関係に。だから俺はもう一度その過ちが起こる前にその道を正しに来たんです!」
「…あんたのその目、本気なのね」
「あたなと同じ過去に問題を抱えた状態なんです。形は違えど、一緒に頑張れませんかね?」
「私が…μ’sに?」
「はい。正直俺は矢澤先輩に笑って欲しいです。また、夢を追いかけて下さい」
「夢を…また…。少し考えさせて」
「はい、色々すみませんでした。今日は帰ります。A-RISEのDVDありがとうございました」借りていたDVDを置いて部屋を出た。
「これで良いんだ。後は本人の覚悟次第だ」
すると廊下の向こうから穂乃果が走ってくる。
「家業院くーん!またヘルプ!」
「ん?どうした?」
「良いからきて、屋上に!」そう言って手を引かれ屋上に連れて行かれた。
◎屋上
「どうしたんだよ」
「私達実はアイドル部を設立しようとしてるの。でも生徒会長はアイドル研究部がある以上、部の設立は認められないって。どうしたらいいのー!」穂乃果が頭を抱える。
「それさっき言ってたろ。…答えは簡単」
「簡単?」海未が疑問に思う。
「お前達が、アイドル研究部に入ればいいんだよ」
『え!?』一同が驚きの声を上げる。
「アイドル部が必要なんじゃなくて、部としての活動が欲しいんだろ?形はどうあれ活動できるなら良いじゃないか」
「それは…」海未が目をそらす。
「矢澤先輩を追い出して作るアイドルに意味があるのか?お前達はどうしたい?平和に解決する方法を考えて悩んでいるのか、それともただ自分たちの欲が通らないことに不満を持っているのか」
「…何も言えないです」花陽が涙目になる。
「矢澤先輩がどういう人間か調べてみればどうだ?3年生には詳しく知る人もいるだろ。きっと道は見えてくる」
「にこ先輩を…調べる」真姫がつぶやく。
「俺はμ’sじゃない。アイドル部を作りたいとも思ってない。でもお前達や知り合いの矢澤先輩が嫌な思いをするのは嫌だ。お前達が望むなら、力にはなる」
メンバー全員が俯く。
「希先輩が矢澤先輩と仲良くしてるのを見た事がある。それじゃ」
そう言って屋上を後にした。
「なによ。あの言い方」真姫が少し苛立ちを見せる。
「でも家業院君は正論を言ってたよ。一人が嫌な思いをしたまま進むのは良くないって」凛が言う。
「そんなのわかってるわよ」
「にこ先輩がどういう人間か…」海未とことりが声を合わせて言う。
「とりあえず、希先輩に聞いてみよう!」穂乃果が声をかける。
◎自宅 21時頃
「キツい事言っちまったかな…」
少し頭がふらっとする。
「この感覚…まさか…。今はダメだ。まだ動いてもらわなきゃ困る…」
そう言って処方箋で出た薬を飲む。
「無理はしてるつもりないんだけどな…」
虚しく響く独り言にしんみり寂しさを感じながらキッチンへと向かった。
数日後。
◎屋上 放課後
一人で音楽プレーヤーを再生しながら目を閉じる。
そんな時、屋上の扉が開く音がした。
「おい!家業院!!」
「んあ!?矢澤先輩!?」勢い良く起き上がりにこを見下ろす。
「今日から!アイドル研究部が7人になったわ!ラブリーにこちゃんの復活よ!」勢い良くピースを見せるにこ。
「え!?アイドル研究が…7人?まさか!?」
「仕方なく私が力を貸してやる事にしたのよ!」
「ハラショー!良かった!!!」笑顔になるレナ。
「家業院君!本当にありがとう!!!!」穂乃果が叫ぶ。
『ありがとうございました!』一同が叫ぶ。
「おう!頑張れよ!きっとお前達ならもっともっと上に行ける。この学校を頼むぞ」
「うん!だからこれから理事長に次のオープンキャンパスで私たちが踊れるようにお願いしに行こうと思うんだ!」
「なるほど。言って来い」
「うん!ありがとう!!じゃあねー!」
「おう!」
皆が去る。
「これで希先輩の言ってた人数があつまった。このメンバーならなんか安心するな。きっとこの学校も救える気がする。でもそれはまだ俺が来た理由には辿り着いてない。エリチカ…お前はいつになったら笑うんだ」
明るく照らす夕日に切なく揺れる自分の影を見ていた。
いかがでしたか?
レナもにこに少しだけ感情を見せましたね!
なんだかんだμ’sのみんなのことが心配なレナ。
本人も少しずつ感じてきています!
しかし本当の目的の絵里との再会はまだ少し先になりそうです。
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