ラブライブ! ~The another story~   作:癸楓文音

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前回、テスト回でした!

今回はついにレナと絵里の距離が縮まります…。
レナにしか言えないこと。
それは一体どういうことなのか…?


それではお楽しみください!


7話:差し伸べる手

◎屋上 放課後

オープンキャンパスまで残り2週間を切ろうとしていた。

 

 

いつも通り入り口のはしごを上った所で本を読んでいた。

下ではもちろんμ’sの練習が行われている。

にこの加入と同時に少しμ’sとの関わりが多くなった。

しかし、今日は下のムードが明るくなかった。

原因は指揮をとる海未に元気がなかったからだ。

 

 

(何かあったのか?)

少し心配になり見下ろす。

 

すると練習にストップが掛かり、海未が口を開いた。

 

「感動できないんです…。どんだけ色々な踊りを見ても」まるで抜け殻のように気力を失っている。

 

「どうしちゃったの海未ちゃん!?何かあったの?」穂乃果が海未の元へ寄り顔を覗く。

 

 

「生徒会長が私たちの事を素人と言う理由がわかったんです」

「ただの当てつけじゃなかったの?」真姫が聞く。

 

「ええ、話があります。今日の練習はやめにしませんか?」

「海未ちゃんがこんな調子なら仕方ないね…」穂乃果も困った顔を見せる。

「すみません」

 

「いいよ!じゃあ皆でまたケータイで話し合うにゃ」凛が元気な振る舞いを見せる。

 

「ありがとうございます…」海未はそう言って屋上を後にした。

「じゃ、皆後でね!」穂乃果とことりも海未を追いかけて行った。

 

 

 

「なんなのよ全く!」にこが不機嫌そうに頬を膨らませる。

「まぁ、聞いてみましょ。話があるって言うくらいなんだから」真姫も歩き出した。

「そうだね…。凛ちゃん、帰ろ?」花陽も少し落ち込んだ顔をしていた。

「うん…。どんな話か不安だにゃ」凛も完全に雰囲気に呑まれてしまった。

「もう!あんたたちシャキッとしなさいよねー」にこも後を追う。

 

 

(何があった…。話の内容から考えると園田とエリチカは何か関わりがあったようだな。それに…素人と言う理由がわかった…?まさか、過去の事を知ったのか!?だとすると言ったのは希先輩だ!)

 

 

 

 

 

翌日

 

 

◎渡り廊下

「希先輩!園田に何を言ったんですか!?なんで…なんで俺に何も言ってくれなかったんですか!?」希の肩を握りしめて言う。

「あ、バレちゃった?」希は笑顔を見せる。

「どうしてですか!?園田に何を言ったんですか!?」

「そんな怖い顔しないで。ちゃんと話すから」

「お願いします…」

 

 

「実はね、海未ちゃんが下校する時、初ライブの動画を見ていた少女が校門前に立ってたんよ。その子はエリチの妹ちゃんやった。実は彼女はμ’sの大ファンなの。

すると妹ちゃんが海未ちゃんに気付いてしばらく話をしてたらしいの。

その時、妹ちゃんが『この動画はお姉ちゃんが撮ってくれた』と言った。するとそこにエリチが来た。一緒に帰る予定を前々から立ててたみたい。つまり、初ライブの動画を投稿したのはエリチ…。その事実を知って海未ちゃんはエリチに色々聞いてんて。

そのときにエリチは不器用だから、素人にしか見えないって言ったんやと思う。だからうちは元気を出してもらうためにエリチの過去…バレエをやっていた事だけを伝えた。すると彼女は自分の意思でエリチの事を調べてバレエの動画を見たみたいよ」

 

 

「そんなことが…。エリチカ…」

「うちが思うにチャンスは近い」

 

「え…?」

「エリチを救うチャンスは近いうちに来ると思う」

「どうしてそうなるんですか?」

「エリチはいま生徒会で単独行動をとってオープンキャンパスでスピーチしようとしてる。だから尚更気が強くなってる。でもね、海未ちゃん達はここで挫折しなかったの」

「え?」

「エリチにダンスを教えてもらおうって」

「え!?まさか…。そっちに転ぶとは」

「つまり今が最もμ’sとエリチの距離が縮まる時」

 

 

「エリチカを救えるチャンス…!」

「チャンスは1度だけ!レナ君、任せたよ?」真剣な顔から笑顔に変わる。

「…はい!」

 

 

 

 

 

◎屋上 放課後

さっそくその日のうちにμ’sに変化があった。

指揮をとっているのはエリチカだった。

 

 

「体感トレーニングは全ての基本!これが出来ないと始まらない!そこ!ぐらつきすぎよ!」強い言葉がエリチカから発せられる。

「すみません!」大きな声で謝る花陽。

 

 

それからしばらく厳しいトレーニングが続き、現実をエリチカに突きつけられたμ’sだった。

 

 

「もういいわ、今日はこの辺にしましょう」エリチカはそう言って去ろうとした。

 

その時…。

 

「絢瀬先輩!ありがとうございました!」穂乃果が礼をする。

『ありがとうございました!!!』揃って一同が礼をする。

「…」エリチカは何も言わず去って行った。

 

 

「おい、どういう風の吹き回しだ?」レナが降りてきて聞く。

「実はね、私たち絢瀬先輩にダンスを教えてもらうことにしたの!」穂乃果が言う。

 

 

「なんで?」わざときょとんとした顔をする。

「絢瀬先輩はね、子供の頃ロシアでバレエをやってたんだって!すっごく上手だったんだ!だから力になってほしいって頼んだら受け入れてくれたの!」

 

 

「なるほど…。聞こえてたけど、あの練習きついだろ?」

「きついにゃ!」凛が食らいつく。

「はっきり言って暴力に近かったわ」真姫も言う。

 

 

「そっか。…まぁエリチカの言ってたこと正しかったしなぁ…」

『え?』皆が声を上げる。

「エリチカ…?」ことりが少し腑に落ちない顔をする。

 

「俺もロシアでバレエやってたんだ。それで体感トレーニングはずっとやってたし」

 

「そう言えば、家業院君もロシア出身でしたね」海未が首を傾げる。

「まさかあんた…過去のトラウマって…」にこが何かに気付いた顔をする。

 

 

「バレた?」ニッと笑ってみせる。

「あんたまさか絵里を追って日本に!?」

「シッ!声大きいですよ!エリチカに聞こえたらどうするんですか」

 

 

『????』にこ以外のメンバーに?の文字が浮かび上がる。

「どういう事?」ことりが聞いてくる。

 

 

「もう隠す事必要もないな…話すよ。俺がこの学校に来た理由。そして俺の過去のこと」真剣な顔をする。

『うん…』皆も真剣な表情になる。

 

 

 

 

前川に話した様にこれまでの過去の話、この学校に来た理由を話した。

 

 

 

 

「そんな事があったんだ…」花陽が少し涙目になっている。

「なんで小泉が泣くんだよ」微笑むレナ。

「家業院君凄くロマンチックにゃ!」

「ロマンチック!?ないない!それに俺はこの学校が好きだし、なくなって欲しくない。だから皆には頑張って欲しいんだよ」

 

 

「でも、どうして今まで黙ってたのよ」真姫が切り出す。

「今日みたいにエリチカが屋上に来たときにバレると困るからな」

 

「なるほど…。確かに凄く踊りが出来る男の子が居る…しかもロシアから来たってなると勘づくかもしれないもんね」ことりも納得したようだ。

 

「そう言うわけだからさ!この事はエリチカには内緒な」

「わかってるよ!」穂乃果がグッドサインを出す。

 

「じゃ、練習頑張れ」そう言ってレナは屋上を出た。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

◎屋上 放課後

待っているメンバーのもとに凛がエリチカを押して来た。

エリチカは少し戸惑っている様子だった。

 

 

「今日もよろしくお願いします!」

『お願いします!』穂乃果のかけ声とともに一同が続く。

 

 

「あなたたち…。辛くないの?」エリチカが俯きながら聞く。

 

「辛いです!でも私たちは踊りがもっと上手になりたい!もっともっと皆に最高のパフォーマンスを届けたいんです!」穂乃果が言う。

 

 

「どうして!?どうしてそこまでしてスクールアイドルをやりたいの?」エリチカが感情的になってくる。

「やりたいからです!!やりたい事に全力で進みたいからです!」そのエリチカから目を逸らさない穂乃果。

 

「やりたいから…?っ!!!」エリチカは走って屋上を出て行った。

 

 

「あ!絢瀬生徒会長!」海未が追いかけようとした瞬間レナが手を引く。

「家業院君!?」

 

「ここは俺に任せてくれないかな?俺がここに来た理由。やっと果たせそうなんだ。エリチカのやりたい事…。お前達ならもうわかってるはずだ」

「…うん」穂乃果がうなずく。

「少し俺に時間をくれ」そう言って走って屋上から去って行った。

 

 

 

 

◎階段踊り場

廊下の階段を勢い良く降りていると希とエリチカの声が聞こえる。状景反射で体が止まった。

 

「エリチはいつもそう!今回の廃校を止めようとしてるのだって生徒会長って言う立場の義務感やろ!?エリチはいつも何かを我慢して皆の事ばかり考えてる!今それをやめる時じゃないの!?」

 

しばしの沈黙。

 

「自分でも不器用だってわかってるわよ!自分だって…やりたい事をやって廃校が防げるならそうしたいわよ!…今更私がアイドルなんて出来ると思う?」少し涙ぐんだ声の後に足音が鳴り響く。

 

(なんだよ…それ…)レナは唇を噛み締めた。

 

 

そして希の元へと足を進めた。

 

 

「うちじゃ…ダメやったわ…」希が泣きながら笑う。

「そんな事無いです。確信が得られましたよ?あいつはスクールアイドルがやりたいって」

 

「あ…」

「後は任せてください。俺が…。俺にしか出来ない事なんですよね」

「任せるね。エリチの事」

「希先輩、μ’sにこの事を伝えてください」

「…わかった」そういって希は走って屋上へと向かった。

 

 

 

「やっと…。この時が来た」コンタクトを外す。

 

 

 

 

 

 

 

 

◎3-2教室

廊下側の窓から中を覗くとエリチカは窓際の席に座り外を眺めていた。

 

(もう、言う事は決まってる…)青色の目を開く。

 

ドアをゆっくりと開けた。

 

 

「誰?あなた…」彼女の目は涙で溢れていた。

「エリチカ…。あの時の俺の言葉は、あの時だけの物だったのか?」

 

少し静寂が続く。

 

「あの言葉?エリチカ…?その目…」少し戸惑った顔をする。

 

 

「『今は悔やめば良い。でもお前の本当にしなきゃいけない事、したい事を考えてみて。意地やプライドは不利な状況しか生み出さない。辛い事があれば忘れないように自分を責めれば良い。そうすればまた自分を責めたくないという気持ちがお前を良い方向に進めてくれるから』」

 

「!?」

鮮明に記憶に残って居る言葉、幼い時に自分を救ってくれた言葉。

 

「あの時の言葉はもう、お前の中には残っていないのか?」少し涙ぐむレナ。

「その言葉…?どうしてあなたがここに居るの!?」

 

 

「お前のためにここに来た…。お前と笑顔で再会するためにここに来た。でもお前は笑っていない。どうしてだ」

 

「私のため…?」

 

 

「ああ、お前の叔母さまから電話があったんだ。ずっとずっと自分を隠して闘ってるって。世間って厳しいよな。俺の通ってた学校も廃校の危機に迫ったんだ。一人で何かをしようとした…。死ぬほど練習をして、バレエでロシア大会に優勝した!でも世間はこっちに目を向けなかった!辛いよな…。寂しいよな…。あっちには俺の事を深く知る奴なんていない。ずっと孤独だったんだ。ずっとお前と笑って会う日を楽しみにしてた。でも、お前はその頃の俺と同じ、プライドや意地で自分を塞ぎ込んでる…。それはもうあの日にやめようって言ったじゃないか!?忘れたのか!?悲しいな…」

 

「やるべき事…」涙を流しながら必死に言葉を口にくる。

「お前がやるべき事は一人で闘う事じゃない!皆で!皆でこの学校を救うんだ!皆で夢を追いかける事だ!」

「でも私…。もう戻れないの!」

 

 

「そんな事ないです!!!」海未の声が響く。

 

 

μ’sが揃って教室に入ってくる。

 

 

「あなた達…!」

「絢瀬生徒会長!いえ、絵里先輩!μ’sに入ってください!私たちと踊ってください!」手を差し出す穂乃果。

 

「でも…」少しためらうエリチカ。

 

「もう…いいんだ。もう充分頑張った…。甘えて良いんだ。お前の支えになる人間はこんなにも多く居る。お前も支えてやるべきなんじゃないか?」

 

「エリチ、やりたいからやってみる。案外そんな事から始まるんやない?」希が微笑む。

「希…」

「さぁ、エリチカ」涙を流すレナ。

 

 

「良いの…?」

「もちろんです!!一緒に頑張りたいんです」穂乃果がもう一度手を差し伸べる。

「…ありがとう!」笑顔に変わり手を握るエリチカ。

 

 

「大成功やね!家業院君!」希が肩を叩いてきた。

「はい!!!!」涙を拭く。

 

 

「レナ、ありがとう。信じられないけどあなたは本当にここにいるのね」

「ああ、やっと、やっと会えたんだ!ほら、笑って」

「ありがとう…!」もう一度微笑むエリチカ。

 

 

 

「それじゃ!絵里先輩も会わせて8人!オープンキャンパスに向けて頑張ろう!」穂乃果がジャンプする。

 

 

「9人や…。うちも入れて」希が微笑む。

 

 

「え!?希先輩も入ってくれるんですか?」ことりが驚く。

「μ’sは9人と支えになる1人を合わせて10人になったとき未来が開けるって占いで出たんよ。だからμ’sってつけたんよ」

 

「え!?それじゃ東條先輩が名前をつけてくださったんですか!?」花陽が叫ぶ。

「実はね」微笑む希。

 

『ハラショー!』エリチカとレナの言葉が重なった。

 

「あ、その言葉!」希が二人を指差す。

「被ったな」レナが笑う。

「ずっと使ってたのよ。私」エリチカも笑う。

 

「でも支えの1人って誰よ」にこが言う。

「それはもう決まってるにゃ!」凛が跳ねる。

「そうね」真姫が微笑む。

 

「家業院君で決まりだにゃー!!!」レナを指差しながら叫ぶ。

 

「なっ!?俺!?」

「そうだね!家業院君が居てくれなかったら、今の9人のμ’sはないんだもんね!」穂乃果もこちらをみてうなずく。

「…そんな大した事してねぇよ」そっぽをむくレナ。

 

 

「決まりなんじゃない?」エリチカがこちらを覗く。

「まぁ…。エリチカが言うなら、やるよ…」顔を赤らめて言う。

「あー!家業院くん急にデレたにゃ!」

「うっせー!デレてねー!」

 

「あれー?家業院君うちにずっとエリチエリチ言うてたやん?」希もチャカす。

「ちょっとそれは内緒でしょ!」

「そうなの?レナ?」エリチカが上目でこちらを見る。

「あ、それは、その…。」戸惑うレナ。

 

「…ありがとう」礼を言って微笑むエリチカを見てまた赤面してしまう。

 

「赤くなってんじゃないわよ!」にこが肩を叩いてくる。

「痛ってー!」

 

(これが、俺にはなかった複数の力…。皆とならこんなに簡単に笑えるんだ…)

 

 

「それじゃ!練習に行くわよ!」エリチカが立ち上がり走って教室を出る。

 

「ちょっと!あんたのために来てやったのに!待ちなさいよ!」にこを先頭に皆も走り出す。

 

 

 

 

 

そんな皆を眺めるレナ。

「やっと、笑えた。やっと泣けた。これでよかったんだ。これが本当の幸せなんだ」

 

 

「家業院君、お疲れ様!」希が立ち止まってこちらに寄ってくる。

 

「ありがとうございま…あれ?なんか…」フラッと体が傾きその場に倒れこむ。

 

「家業院君!?」希が揺する。

しかし反応はない。

 

 

「家業院くん!!」希の叫び声に気付き皆がこちらを見る。

 

 

 

「どうしたの!?」真姫が走ってくる。

「家業院君が倒れてしもた!気を失ってるみたいやねん!」

「そんな…どうして…?」海未がその場で膝を落とす。

 

「まさか…」エリチカが震える。

「どうしたんですか?」花陽がエリチカに聞く。

「まだ…完治してないんじゃ…」

「完治…あ!心臓病!?」

「ええ…」エリチカもレナのもとへ走る。

 

 

「レナ!しっかりして!やっと会えたんじゃない!こんな所で倒れないで!まだ始まったばかりじゃない!!起きてよ!」

レナの胸にかおを当て涙を流すエリチカ。

 

 

エリチカの泣く声が静寂な校舎に響いていた。

 




いかがでしたか?


ついに手を差し伸べることができましたね!念願の再会!

過去の言葉があったからこそレナに言えたこと。
世間の冷たさを知っているレナにしか言えないこと。
その言葉がエリチカに響きました!

しかしそんな再会も束の間。
一体どうなるのか…?

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