魔法少女リリカルなのは ~若草色の妖精~   作:八九寺

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更新遅れて申し訳ないです。

ツーリングがてら伊豆へ4泊5日、山梨へ日帰りなど旅行に明け暮れ、そのまま大学スタートしたせいで執筆時間取れていませんでした。

なお、予定していた戦闘回は次回へ持ち越された模様。


37:円卓協議&デート

37:円卓協議&デート

 

 僕が二陣営に指定した明後日の海鳴公園、そこには僕を含め三人が集まっていた。

 

「まずはこの場に参加してくれたことに感謝を」

「……僕たち管理局側としては、一つでも多くのジュエルシードを回収したい都合上、参加せざるを得ないからね」

「私も、ジュエルシードを一つでも多くって母さんが望むから」

 

 公園に有る円卓で、僕と黒服そしてフェイトが顔を付き合わせる。

 各陣営の代表者一人がこの場に参加してる、おそらくはフェイト側も管理局側もサーチャーとやらでこの場を監視してるのだろうけど、構うまい。

 

 呼び出した側の僕が司会役としてこの場を進めていく。

 

「事前に伝えた上でこの場に来ているという事は、2対2対2の勝負形式には賛成して貰えたと言う前提で話を進める。……僕たちの側は僕と僕の弟子が参加する」

「僕たち管理局は、現地協力者の高町なのはとジュエルシードの発掘者であるユーノ・スクライアが参加者だ」

 

 …………ふむ、黒服は参加せず……か。

 

「私たちは、私とアルフの二人」

 

 フェイトがそう言って僕にチラリと視線を投げる。

 傷ついたアルフを僕たちが保護したことは、この場へ招待する書状に付け足して送ってあるから、そのことだろう。

 この場には連れてこれないけど、この話し合いの後に引き合わせる予定。

 

 とりあえず視線で肯定を返しながら話を続ける。

 そのまま戦闘場所やら日時やらルールやら、細かい点を詰めていく。

 

 戦闘場所は管理局が海鳴市の海上を魔法で封鎖し、専用の空間を準備すると申し出てきたので丸投げしておく。管理局側の2人に有利なステージ構成になるだろうけど、それは織り込み済み。

 僕たちにとっての本題はココからだ。

 

「――さて、現状最多のジュエルシードを持ってる僕たちの側にとって、この変則タッグ戦を提案するメリットは正直無い」

 

 僕の言葉に、黒服とフェイトが『来たか』と言わんばかりの表情を浮かべて言葉の続きを待つ。

 

「そこで、各陣営に一つずつ要求を通したい。……心配している人がいるから言っておくけど、この戦闘で有利な条件にしろというものじゃない。最終的に僕達が勝った場合、ジュエルシードの全取りに加えて更に要求を一つ飲んで貰いたいと言うこと」

「……その要求が分からないと、僕の一存では何とも言えないな」

「無論、その要求は今から提示する」

 

 僕は胸元から2通の封筒を取り出して、二人の手元にそれぞれ置く。

 

「互いに見せないように中身を見て。……3分待つから、各陣営条件を飲むかそれぞれ上司にお伺いを立てるといい」

 

 二人がそれぞれ封筒を開け、中に入れられていた便箋に目を通す。

 黒服は苦虫を潰したような表情を浮かべ、対するフェイトはきょとんとした表情を浮かべて固まった。

 

 黒服のほうは上司の艦長へ確認を取っているのか思案顔、フェイトは少し困惑した顔だが、恐らく母親に連絡しているはず。

 

 3分後、僕はそれぞれに問いかける。

 

「3分たった、回答を」

「……艦長からの回答を伝える、『委細承知しました』とのことだ。あと、確認なんだが『互いの生命に関わる怪我は負わせない』という条文を加えて貰うことは可能だろうか?」

「構わない、規則に付け加える」

 

 黒服の言葉に頷きを返す。

 僕が管理局側に要求したのは、この事件後の『僕たちに対する不干渉』だ。

 

 分散したジュエルシードと未知の僕たち、管理局はジュエルシードの方を確実に手中に収めたいらしい。

 

「母さんからの伝言……『それで構わない』って」

「ん……、これにて双方の参加が確定したものとする。両者とも、こちらに署名を」

 

 僕は準備しておいた一枚の羊皮紙を卓の上に出す。

 それには今回の戦闘などの規則、僕がそれぞれに設けた条件が書き出され、最下部に3者の署名欄を設けたものだ。

 

 双方のに出した条件の部分は、もう一方に見えなくなるよう魔法的なモザイクを入れてある。

 

「……これは?」

強制魔術契約書(セルフギアス・スクロール)、こちらに署名するとそこに書かれた内容を破れなくなる」

「破ろうとしたら、あるいは破ったらどうなるの?」

「いや、破ろうとしても破れないからその質問に意味がない」

「……うん、わかった」

 

 黒服とフェイトの質問に答え、それぞれから署名を貰う。

 

「――――では、これをもって契約は相成った。二日後、再度この場所で会い(まみ)えん事を」

 

 僕が席を立ったのを皮切りに全員が立ち上がる。

 

「フェイト、じゃあこのあと時間を」

「うん、わかった」

「ちょっと待て、次の戦闘に関して談合でもされたら困る、僕も同席を――――」

 

 ……なんか、黒服が面倒くさい事を言い出した。

 (てい)よくお引き取り願うには――――

 

 僕はフェイトの傍らに寄ると、すっと彼女と腕を組む。

 

「これからフェイトとデートの予定、管理局はそんなことにまで出歯亀(でばがめ)するの?」

 

 フェイトは真っ赤に、黒服の方もうっすらとだが顔を赤くした。

 

「ジ、ジーク!?」

「なっ――――い、いや決してそう言うわけでは! そ、そもそもキミ達は敵同士だろう!?」

 

 『あぅあぅ』と意味を為してない言葉を漏らしながら、フェイトがあたふたと空いてる腕を動かす――――が、組んでいる腕を解こうとはしなかった。

 最終的に、彼女は僕の腕をきゅっと抱きしめた状態で落ち着く。

 その黒服の反論に、僕は本心から首を傾げて問い返した。

 

「敵とそういう仲になるのはおかしい?」

「おかし……くは無いのかもしれないが――――」

『――――ゴメンなさいね、ジークさんフェイトさん。ウチのクロノ、そういった空気読めなくって……クロノ、戻ってらっしゃい』

「か、母さん!?」

 

 不意に現れたウィンドウから映し出され、アースラ艦長が黒服の引き留めを図ってきた。

 彼女は腕を組む僕たちを見て、何かとても微笑ましいものを見たかのように口元を手で隠しながらも笑みをこぼしている。

 

『ふふ、若いっていいわね。二人とも『最初に管理局側を倒そう』って談合するつもり無いでしょ?』

「しかし――!」

「ん、メリットも無いからやらない。ね、フェイト?」

「……は、はい! 母さんからはより多くのジュエルシードを手に入れるよう言付(ことづ)かってるので、管理局を先に倒してジークと山分けっていう選択肢は無いです。……そもそも、先に管理局を倒しちゃってジーク達との一騎打ちになったら不利ですから」

 

 んむ、あぅあぅしてる割には冷静な分析、さすがフェイト。

 開き直ったのか誤魔化すためか、更にぎゅっと僕の腕に身を寄せたせいで、僕たちはさらに密着する。

 

「というわけで、僕たちはこれで失礼しても?」

『ええ、構わないわよ』

「そう。一応連絡手段として使い魔を一体送っておく、何かのときはそれを使って。……じゃ」

 

 相手側の上司からお墨付きも貰えた所で、僕はフェイトを連れて転移魔法でその場を離れるのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

 念のため、連続転移で管理局側に追跡されてないことを確認し、僕はフェイトと組んでいた腕を解く。

 

「ごめん、あのままだとこっちにくっ付いてきそうだったから」

「う、うん、別に嫌じゃ無かったから気にしないで? デートなんて言われたの初めてで、嬉しかった。……ちょっと緊張した、けど」

 

 まだうっすら赤味の残る顔のまま名残惜しそうな表情で、フェイトが離れた僕の腕を見た。

 

 ……ふむ。

 

 すんなり交渉がまとまったお陰で、予定よりだいぶ早く終わってよかった。だけど同時に、アルフへ伝えておいた交渉の終了目安時間よりも早くなりすぎた。

 単にフェイトがアルフへ念話を使って、呼び出してもらえばその問題は解決する……けど――

 

「フェイト――」

 

 僕はそうフェイトに呼びかけつつ、(ほど)いた腕を再度フェイトの方へ伸ばす。

 フェイトは僕の意図が掴めなかったのか、疑問顔で僕の顔と手に視線を行ったり来たりさせた。

 

「――アルフに伝えた時間までしばらくある。その間、ホントにデート……する?」

 

 伝えた途端、フェイトの表情がぱぁっとほころんだ。

 

「――する……!」

 

 フェイトはおずおずと僕の手を取るとぎこちなくはあるけど、自分から僕と腕を絡ませたのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

「――初めてのゲームセンター、どうだった?」

「最初は大きな音とかびっくりしたけど、最後は楽しかった」

 

 カラン、と澄んだ氷の音を立てながら、フェイトはストローから口を離して微笑む。

 あのあと、転移魔法で近くのショッピングモールに行ってみた僕たちは、その中にあるゲームセンターで遊んだのだ。

 

「そう、なら良かった」

 

 一緒にシューティングゲームをやってみたり、太鼓を叩く音楽ゲームをやってみたり……。

 もぐら叩きに挑戦したフェイトが『ルナティック』とかいう難易度の前に敗北し、悔しかったのか魔法まで使って完全クリアしてみたり……最後のほうは言葉通り目にも留まらぬ速さでハンマーを振るうフェイトの周りに、ギャラリーまで出現しているほどだった。

 

「もぐら叩き、完全クリアした瞬間に周りから歓声上がってた」

「い、言わないで……!? あ、あれはちょっとムキになったせいで周りが見えなくなっちゃってっ……!」

 

 というかあれだけの難易度のもぐら叩き、魔法の使えない普通の人間にクリアできるんだろうか?

 現に歓声に混じって『すげぇ、製作陣が《人間の限界を超える難易度》とか銘打ってるとおり、誰も7割以上取ったこと無かったのに完全クリアだと!?」』、

『ヤバイ、いま俺は奇跡を目の当たりにしている……!』、

『あぁ、あの金髪っ子に罵られながらハンマーで叩かれたいっ!』とかいう声が漏れ聞こえていた。

 

 ……あ、最後の奴は危ない視線を感じたので、途中で鳩尾(みぞおち)にゲームのコインを指で弾いて打ち込んでノックアウトしておいた。

 

 で、最後にフェイトが興味を抱いたプリクラ? というもので写真を撮ったあと、僕たちはいま休憩を兼ねて『翠屋』で寛いでいるのだ。

 

 ちなみに僕が飲んでるのはアイスコーヒーで、フェイトが飲んでるのはアイスティー。フェイトはミルクもガムシロップも入れない派らしい。

 

「はい、シュークリーム2つお待たせしました。ジーク君、いつもご贔屓にどうも」

「ん」

 

 僕は小さく頭を下げる。

 

「そっちの子は初めまして、だよね? この店のオーナーの高町士郎です」

「えっと、私はフェイト・テスタロッサ……です」

「フェイトちゃんか、よろしく」

 

 そう言って微笑んだ士郎さんが、僕たちを見て『ふむ』と頷いた。

 

「デートかい?」

「んむ」

「……はぅ」

 

 シュークリームを齧りつつ、小さく頷く。対するフェイトは顔を真っ赤にして俯いた。

 そんなフェイトの様子を見て、士郎さんが『うんうん』と何処か懐かしげに頷いている。

 

「初々しいなぁ、桃子と出合った頃を思い出す」

「そういうもの?」

「そういうものさ」

 

 そう言って士郎さんは肩を(すく)めた。

 

「ウチの娘もジーク君と同い年くらいなんだけどね、男の子を家に連れて来たことが無い。喜んでいいのやら悪いのやら」

 

 ……ふむ。

 

「父親としては、娘が家に異性……たとえば恋人を連れてくるとして、何を求めるものなの?」

「ん? 我が家かい?」

「そう」

 

 しばし考え込むこと数十秒、ようやく復帰したフェイトも興味深げに僕たち二人の会話を聞いている。

 

「まず第一に、娘のことを第一に想ってくれることだろうな」

 

 ……んむ、仮にも恋人ならその点は問題ないと思う。

 

「第二に、如何なるときも娘を守れる実力があること」

 

 …………戦闘技術必須と?

 

「第三に――――僕と恭也を真っ向勝負で同時に相手取って、倒せるくらいの強者であることかな」

 

 ………………その条件を満たせる相手は、この惑星上に何人いるのだろうか。

 可哀想に、士郎さんの娘さんは行き遅れるに違いない。

 

 顔も合わせたことの無い娘さんに、僕は心のうちで哀悼を捧げておく。

 

「(ジーク、ジーク)」

「(どしたの?)」

 

 テーブルに乗り出して、小声でこちらに声をかけるフェイトに僕も聞き返す。

 

「(この男の人、強いの?)」

「(うん)」

「(どのくらい?)」

 

 割と真剣にフェイトと士郎さんの戦力差を考察した上で、僕は大真面目に解答した。

 

「(接近戦を挑んだ段階、あるいは士郎さんの間合いに入った段階でフェイトが戦闘不能になる。無論、フェイトが魔法で強化された状態で)」

「(なにそれ怖い)」

 

 フェイトが戦慄した表情で士郎さんを見た。

 

「ん? どうかしたかな?」

 

 ニコリと笑いながら士郎さんが首を傾げてみせる。

 

「(……魔導師じゃないよね? ……ホント?)」

 

 ……あ、信じてない。

 

「士郎さん、フェイトが士郎さんの実力を疑ってる」

「あ、やっぱりフェイトちゃんも関係者か」

「え゛?」

 

 フェイトが『魔法の事教えちゃってるの?』と言わんばかりの表情でこっちを見た。

 

「ここは一つ、実力を見せるべき」

 

 というか僕自身、士郎さんの実際の動きを見てみたい。

 

「うーん、僕は現役を引退した身だからねぇ――――これくらいしか出来ないよ?」

 

 ――ぽん。

 

「……ひゃぃいいい!?」

 

 一瞬で僕たち二人の視界から消え、次の瞬間にはフェイトの背後に立って彼女の肩に手を置いている。

 その事実に遅れて気が付いたフェイトが変な悲鳴を上げた。

 

「おー、速い速い」

「いやいや、ジーク君完全に僕の動き目で追ってたじゃないか。いやー、僕も衰えたなぁ」

 

 参ったと言わんばかりに苦笑する士郎さんに、いやいやと僕は首を振る。

 

「実戦から離れて、その速さは立派」

「現役の子に褒められると嬉しくなるね」

 

 僕と士郎さんは目を合わせて小さく笑いあう。

 

「……どうしよう、今度の戦い勝てる気がしない」

 

 そんな僕たち二人を見たフェイトは、ズーンと影が落ちたように肩を落とすのだった

 

 

◇◇◇

 

 

「フェイトー!」

「アルフっ!」

 

 アルフとの待ち合わせ場所。お互いの姿を認めあった瞬間に二人は駆け寄って抱き合った。

 んむ、二人ともいい笑顔だ。

 

「母さんがアルフを追い出したって聞いて……怪我は大丈夫?」

「うん、アリサとジークが助けてくれたからね、逆に調子が良くなったくらいさ」

「良かった、本当に良かった」

 

 一度強く抱きしめてからフェイトはアルフから離れた。

 

「ジーク、アルフのことありがとう」

「ん、気にしないでいい」

 

 僕は手をひらひらと振りつつ頷いてみせる。

 怪我したアルフをアリサが見つけ、僕が治療した。言葉にすればこれだけだけど、アリサが見つけたということはこれはそういう運命だろう。

 

「じゃ、次は今度の戦いのときに」

「……あ、――うん。……そうだよね、次に会うときは敵だもんね」

 

 そう告げた途端、フェイトが少し悲しそうな表情を浮かべてこちらを見て俯いた。

 ……むぅ?

 

「次に会うときは敵だけど、その後はそうとは限らない」

「――え?」

「この一件が片付いたら、また今日みたいに遊べばいい。今度はアリサやアルフも一緒に」

「――……うん!」

 

 パッと花開くようにフェイトが笑顔で頷いた。

 

 フェイトは少し頭が固い。争ってもその敵味方がずっとそのままなんて事の方が少数派だもの。

 争いの根本は基本的に利害関係なのだから。

 

 今回はジュエルシードの利害関係で僕たちは敵対した、だけどジュエルシードの件が解決してしまえば敵対の理由も無くなる。

 そうしたら今日みたいな関係に戻ればいいだけだ。

 

「……あ、でも――」

「……?」

 

 今日何度目かの赤面状態になったフェイトがアルフの背後に隠れ、ちょっとこちらに顔を出す。

 

「―― 一緒もいいけど、また二人っきりでデートしたい、かな」

「ん、構わない」

 

 別段不利益もないし、いいだろう。

 ……どうせ、僕はアリサが学校に行ってる間は割りと暇なのだ。

 

「……えへへ♪ 約束、しちゃった」

「…………いったい、アタシの居ないところで何が有ったんだい?」

 

 我慢しきれないという風に小さなはにかみを零すフェイトに、困惑の表情を浮かべるアルフの姿がとても僕の印象に残るのであった。

 

 

 

オマケ ~ フォルダ名『Dear My Sir』 ~

 

「んー? フェイトフェイト、このジークとフェイトが写ってる写真みたいなのはなに?」

「『プリクラ』って言って、この世界のゲームセンターっていう遊戯施設に置いてある、取った写真をシールにしてくれる機械で撮ったやつ……かな」

「へー、シールになってるんだ。何処に貼るんだい?」

「うん、私もそれをジークに聞いてみたら、『好きなところに貼っていいと思う』って。

 アリサとかは手帳やよく目に付くもの、使う物に貼ってるって言ってたよ」

「うーん。よく目に付くもの――」

「あとは何かよく使うもの――」

 

 元々持ち物の少ない二人、ほぼ必然的に二人の視線が一箇所で固まった。

 

『…………Sir?』

 

 無機質なはずの合成音声が、心なしか震えた気がした。

 

「バルディッシュ、貼ってもいい?」

 

 バルディッシュは逡巡していた、だがそれはほんの一瞬。

 

『……………………Yes,Sir』

 

 主人を支える愛機として、期待と信頼に満ちた目でこちらを見つめられては断ることなど出来はしない。

 

「えへへへ♪」 (パシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ)

 

 嬉しそうに(とろ)けた笑顔を浮かべる自分の主を、高画質で自身の記憶装置(メモリー)に保存した彼は、そのデータを自身の領域の奥深くの専用フォルダにしまいこむのであった。

 

 

~ フォルダ名『Dear My Sir』 ~ End

 




というわけで37話です、お待たせいたしました。

ではいつもどおりに、若干の解説をば。
>『…………ふむ、黒服は参加せず……か。』
クロノが参加しない理由は、タッグ戦という相性が必要な形式という理由と、プレシアが攻撃してきた際のカウンターアタック用です。

>『委細承知しました』
ジュエルシードの危険性と、詳細の掴めないジーク達を天秤にかけました。
連絡を取れるぶん、『あとで改めて交渉しよう』とリンディ女史は思案中。

>『強制魔術契約書』
契約は双方の同意ない限り絶対である。

>『次の戦闘に関して談合でもされたら困る、僕も同席を――――』
もっともな言い分であるが、KYである。ただし、クロノがこの場に居ないとデートは行われなかった事を付け加えておく。

>『敵とそういう仲になるのはおかしい?』
仕事(アリサの護衛に伴うジュエルシード集め)とプライベート(フェイトとのデート)は分ける主人公。

>『ゴメンなさいね、ジークさんフェイトさん。ウチのクロノ、そういった空気読めなくって……』
このあと、ひそかにサーチャーを飛ばそうとしたクロノに雷を落としました。
フェイトも話しているとおり、談合の可能性はほぼ無いと推測をたてていました。

>『使い魔を一体送っておく』
=自爆テロリスト と脳内変換された方は吉。

>『顔も合わせたことの無い娘さん』
士郎の娘がなのはだとは思っても居ない主人公。
理由:(殺気的な意味合いで)雰囲気が似てない

>オマケ『フォルダ名『Dear My Sir』』に関して。
本作のバルディッシュさんはムッツリな変態紳士。
バリアジャケットの装着時は全力で高画質高レート撮影を敢行する傍ら、空いたりソースでバリアジャケット構築の演算を行っている。

解説はこんなところでしょうか。

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では、次回更新をお待ちくださいませ。
次回更新予定(予定は未定):恐らく1~2週間後

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