とある魔術師の住む一室。そこでキリツグは書類の整理をしていた。
「まったく。あのお師匠様、真面目そうに見えて以外といい加減なんだよな!」
山積みになった紙。
内容は様々だ。魔獣、新たな魔術のことなど。まぁ確かにこれなら嫌になるのも当然だろう。
そのなかに、一際異彩を放つ物があった。どうやら、日本のゲームのようだった。俺はそれの題名を読み上げる。
「アドミラナブル大戦略、、、?」
あの人は確かに多趣味だが、これはどうだろう?明らかに彼の趣味からは外れている。
その時、部屋の扉が開いた。
「終わったか?」
お師匠様の登場だ。
「まだ終わってないですよ。こんな量、一人じゃできませんて!」
「終わらせなければ、修業には付き合わせんぞ」
「くっ、、、」
この人は、、、。
「あ、お師匠」
「なんだ?」
「これなんですけど」
そう言って、俺はそのゲームを彼に見せた。
「なんなんです?師匠、ゲームとかやるんですか?」
「おお、そんなところにあったのか」
彼は明らかに顔色を変え、それを手に取った。
「唯一の娯楽だ。お世辞にもうまいとは言えないがな 」
「日本嫌いの師匠が日本の物を持ってるなんて」
若干、微笑みを浮かべた。
「これは、私の尊敬する人の物だ」
「尊敬する人ですか。師匠にもそういう人いるんすね」
「尊敬というか、私はその人の臣下なのだよ」
「臣下!?師匠が?へー、、、」
「、、、なんだ?」
「いや、以外だなって。どんな人なんですか?」
ゲームを優しそうに眺めている。師匠もこんな顔するんだ。
「いずれ話そう。今はそれを終わらせてしまえ」
「へいへい」
俺は嫌々ながらも目の前の敵に挑むことにした。
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俺たちがたどり着いた頃には現場は騒然となっていた。
瀕死の人間たち、それを見ようと群がる野次馬。
「こんな町のど真ん中でやったのかアイツ」
「この結界は人の命を奪ってしまうものよ。この程度の魔力なら、恐らく死者はいないでしょうが、危ないことにはかわりないわね」
キャスターが冷静に判断する。それを聞いた士郎はキャスターにくってかかった。
「そんなに冷静に判断している場合か!遠坂!これは術者を倒せばどうにかなるのか?」
「そうね。でもこんなところじゃ戦うことは無理よ。教会もこれは見過ごせないでしょう」
凛はそう言って辺りを見回した。
「恐らくやつらは、この結界の中のどこかにいるはず。結界が未完成過ぎて中にいないと維持できないと思うのよ。さらに、この辺りで目立たず、回りを確認できる場所」
「つーことは、屋上か」
「そうね。アーチャー!」
凛は叫び、アーチャーが霊体化を解いた。
「辺りのビルをあたってちょうだい。私たちは手分けして地上から探してみるから」
「了解した」
「キャスターも上から頼む」
「分かったわ」
そう言ってアーチャーとキャスターは姿を消した。
「じゃあ私たちも別れましょう。士郎はセイバーと、私はキリツグと行くわ」
「分かりました」
「分かった」
士郎たちもその場から走っていった。
「俺たちはどこをいく」
「そうね、慎二のことよ。どうせ私たちでも考えつくような場所に起点設置しているはず。本命は学校の方だったから、こっちは手を抜いているでしょう。でも、気は抜かないで。今の私たちに、サーヴァントはいないんだから」
「よく考えてるな。流石だ。お前に従う」
この子は優秀だ。流石は遠坂。御三家に数えられるだけある、というものだ。良い師につけば、もっといい魔術師になれるだろう。
俺たちもその場を離れた。
「なあ凛」
「なによ」
探している最中だが、今思い付いたことを言ってみる。
「これが終わったら、ロンドンに来ないか?」
「はぁ!?なんであんたと一緒に」
「別に俺と一緒にとは言ってないだろ。勘違いするな」
「か、、、。そうね、その選択肢もあるわね」
「俺は時計塔にいる」
「え、時計塔って、あの時計塔?」
「ああ」
凛は驚いたように目を丸くした。
「なんでそんな目で見る」
「あんた、そんなタイプに見えなかったから。真面目に魔術を学ぶ人には、ね」
「失敬な、俺だってちゃんと学んで、、、ないけどな。ちゃんと所属してる訳じゃない」
「やっぱり、、、」
「それでもちゃんと師はいる。その人の弟子として、魔術を学んでるんだよ。ちなみに、お前のオヤジ、遠坂時臣氏からも魔術を学んだよ。宝石魔術な」
遠坂はさらに驚いたように俺を見て、歩みを止めてしまった。
「お父様に、会ったことがあるの?、、、いつ?」
「具体的には覚えてないが、今のお前よりももっと小さい頃だ。こっちで言う小学生にもなってなかった気がしたな」
「そういえば、お父様言ってたわ。一人、とてつもない素養をもった魔術師の卵がいたって。私にもそうなってほしいって」
「それが俺だって言うのか?まさか。あの人、終始俺のこと見下したような目で見てたんだぞ?でもまぁ、普通に扱えるまで教えてはくれたが」
「加えて、とてもふざけたやつだって言ってたわ。この才能が埋もれるのは惜しい、多くの事を学んで欲しいって」
「なるほど、俺はふざけてるもんなー」
「ということは、あなた私の兄弟子にあたるのね」
「弟子って呼ばれるほど一緒にいたわけじゃなかったけどな」
俺とあの人がいた時間は本当に少なかった。それこそ、ほんの1週間程度だっただろう。今思えば、それほどの時間であそこまで扱えるようになったのは俺の実力だったのだろう。というより、彼の教え方がうまかっただけのことかもしれない。
「ロンドン、良いかもしれないわね」
「本当か?」
「ええ。あなたの師匠に会ってもみたいし。名前を聞いてもいいかしら?」
「ロード・エルメロイ2世」
「ええ!!??あ、あのロード・エルメロイ2世!?」
「あ、おお、その人だけど」
「プロフェッサー・カリスマとしても名高く、彼の教えをこうた者はいずれも偉大な魔術師で!いずれの弟子も時計塔の王冠(グラント)を授かったと言われるほど偉大な師としても有名な!」
「そうなのか?詳しいなお前」
「そうなのかって、あんた弟子なのにそんなこともしらないの?」
「興味ないからな。弟子と言うよりも雑用みたいな感じだったし」
実際あの人から直接学んだことはなく、彼のそばで自分で吸収したといった方が正しいかもしれない。それでもわざと教えるべきことは、自らやって見せてくれているので、修業にはなっている。
「なんの話してるの?キリツグ」
凛との会話の最中、やって来たのはアイツだった。
「イリヤ」
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「キャスターからの報告なら、ここに微かな魔力の痕跡があると」
「そうだな。、、、なぁセイバー」
点検中なのか、建設中なのかは分からないが、簡単に入れたビルに俺たちはいる。慎二が指導で行動しているなら人間の領分で事を行っているだろう。人がたくさんいる場所にわざわざ入っていくほど、慎二もバカじゃないだろう。
その最中、今ではないと分かってはいるが、二人きりになれることも少ないと思うので、聞いておこうと思う。
「なんですか?士郎」
「最近のことなんだが、お前の夢を見るんだ」
「私の、夢を?」
そうなのである。セイバーがやって来てからと言うもの、彼女の生い立ちだろうか?現代とは似ても似つかわしい街並みのなかを往来するセイバーを見ているのだ。
はじめは気のせいだと思った。しかし、毎晩それが続いていたのでさすがにおかしいと思ったのだ。
「戦場を走るセイバー、お前、本当に王様だったんだな」
「疑っていたのですか?」
「いや、疑っていた訳じゃないんだ。ただ、現実味がなかっただけだったんだ。でも毎晩それが続くもんだから、な」
俺たちは関係ない者だ。彼女のマスターはキリツグであり、俺じゃない。キリツグ曰く、パスが通っていれば、そういうこともあり得るらしい。だからこそ、おかしいのだ。俺たちにはそんなものない。
「言っていなかったのですが、、、」
その時、セイバーが口を開いた。
「なんだ?」
「私が前回の聖杯戦争に参加していたことは、先程聞きましたよね?」
「ああ。それがどうかしたのか?」
「その時の私のマスターは、切嗣だったのです」
おかしいと思った。キリツグってことは、また同じ人間と聖杯戦争を行っていることになる。だから、聞いてみた。
「同じマスターと、また戦っているのか?」
「いえ、あなたの父上、衛宮切嗣です」
瞬間、俺は心臓を何かで突き刺されたような感覚に襲われた。
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「なんであなたがここにいるの、イリヤスフィール」
「あれ?キリツグたちも同じ目的で来ているのかと思ってたんだけど」
「目的ってなんだ?」
バーサーカーの方に座ってニコニコしながら言った。
「ライダーの討伐よ」
「討伐?教会からお達しが来たの?」
「ええ。ライダーを討伐したグループには、令呪を一画プレゼントされるらしいわよ。私はそんなの興味ないけど、暇だったから」
さらっと怖いことを言った。暇だったから、戦場にやってきたというのだ。まぁこの普通の町を戦場にしてしまったライダー陣営の方が、恐ろしいが。
「アイツも動いたのね」
「さすがにこれじゃあアイツも目を背けられないか。イリヤと共闘できるのは嬉しいな」
「共闘?何をいっているの?」
イリヤが不思議そうにこちらを見た。
「私は別に、共闘する気はないけど。あなたたちも勿論倒すわ」
「さ、さいですか」
ま、そんなことだろうとは思ったけどな。
「さ、早くいこ、、、ん?」
「どうしたのよ、キリツグ」
妙なざわつき。心臓を擽るような、感覚がやってくる。遠くからやってくる、何かを発見した瞬間に、それは襲ってきた。
「なに、、、あれ」
イリヤも凛も視認できたらしい。
見えるのは、黒い、群衆。
人型のものから、獣型のものまで。形は様々だ。それは、こちらに向かっていた。
「サーヴァント?いえ、あれは違う。根本的に何かが。まるで、あれは」
イリヤは体で感じているようだ。あれを。
アレから向けられるのは、悪意。この世に存在する全ての悪意が俺たちを襲っていた。
俺は、あれを感じたことがある。
どこかで、、、。遠い昔だ。
「う、、、、、、がぁ、、、」
「き、キリツグ?いったい、どうしたの」
だめだ。だめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだ。
死ぬ。
恐れを感じ、その他全ての感覚が麻痺していくなか、その認識のみが先走っていた。
体の汗腺からは、大量の汗が吹き出す。
「キリツグ!どうしたって言うのよ!」
「リン!キリツグ!来るよ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁあああぁぁ!!!!」
僕は、言葉をなくし、叫びだけを口から吐き出していた。
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俺は階段をかけ上る。そして、屋上の扉を勢いよく開いた。
「遅いじゃないか!衛宮」
「慎二、、、!!」
かつて友人だった彼らが睨み合う。
大きく光る、月の下で。