「ん、、、ここは」
目を開けると、そこには一面の黒い世界が広がっていた。
どうやら俺は意識を失っていたらしい。回りを見ても誰もおらず、いるのは俺だけだった。
「どこなんだ、ここは。空間転移魔術でも使ったのか」
それにしても、だ。場所が奇妙過ぎる。俺以外誰もいないどころか、何もないのだ。
仕方がないのでとりあえず、前に進んでみることにした。しかし、どこまで歩いてもあるのは、何もないという証明だけ。景色も変わらないので、本当に進んでいるのか不安になってくるほどであった。
「俺は、いったい」
「よう」
不意に、背後から声をかけられた。
「、、、!?」
急いで後ろに振り向くと、そこには同い年くらいの少年が立っていた。
「何をそんなに焦ってるんだ?」
姿が奇妙だった。上半身は裸で浅黒く、何やら魔方陣のようなものが入れ墨されていた。
「お前、、、」
「、、、」
不思議だ。何故か、彼からは親近感がわく。今しがた、奇妙だと思ったばかりなのに。
「お前は誰だ」
耐えきれず言ってしまった。
「俺か?そうだな。俺は、お前だよ」
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「どうしたの!?キリツグ!」
右にいたキリツグが、あの黒い大群を見たとたんおかしくなった。目の焦点があわず、先程から何かをブツブツと呟いている。が、早口かつ、小さすぎて聞き取ることはできなかった。
とりあえず、あれがなんなのか確認しないと。
そう思い、それらに近付こうとする。が。
「やめておいた方がいいかもよ、リン」
イリヤによる静止が入った。見れば、先程のヘラヘラした表情が一変、真剣な、より危機感を感じさせるものに変わっていた。
「イリヤ、あれがなんなのかわかるの?」
「分かんない。だけど、きっと危ないわ。無闇に近づかない方がいいと思う、、、けど」
しかし、それらは確実にこちらを向かっていた。時間がたてば、いずれここにやってくる。それは事実だった。
「逃げた方がいいかも」
「そうね、賛成。いくわよ!キリツグ!、、、キリツグ?」
彼の事を呼んだが、反応がない。
「聞こえてないのかしら、、、キリツグ!もう!行くわよ!」
近くにより、肩を触ろうとした、。しかし。
「うわぁぁぁ!!」
「っきゃ!」
キリツグ本人にてを払われてしまった。
「っつー!何するのよ!、、、キリツグ?」
彼の方を向くと、彼は明らかにおかしかった。何かに怯えているような、そんな。
「るな、、、く、、くるなくるなくるなくるなくるな」
私は正直、その状態の彼に恐怖した。あの、キリツグをこんな状態にするやつらもあれだが、これほど怯える彼を見て、私にも恐怖が伝染してきたのだろうか。
私には、その場で彼をただ眺めるしかできなかった。
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「どうした!衛宮!お前のサーヴァント、弱いんじゃないか!?」
「黙れ、慎二!いますぐ結界を解け!」
「はん!誰がお前の命令なんか!やれ!ライダー」
「く!セイバー!」
「っく!!」
キャスターの情報通り、ライダー達は私たちが入ったビルの中にいた。
「?!どうしたんだセイバー」
士郎が心配した目で私を見ている。先程から、体の自由が効かない。いや、全力が出せない、と言うべきだろうか。とにかく、よい状態ではないことは確かであった。
「いえ。士郎はあのマスターだけを狙ってください。サーヴァントは私が何とかします!」
「分かった!トレースオン!」
士郎が、アーチャーの使う短剣を投影した。
「士郎、それは?」
「これか?いや、初めてアイツらに会ったとき、咄嗟にやったら出来たんだ。何故なのかは、分からないけど」
マスターの対処を頼んで今更なのだが、士郎にはこれから剣の鍛練を積んでもらおう。彼が、自らこの戦いに足を踏み入れるのであれば、彼自身、戦うこともやむ無しだろう。
その時、ライダーが突っ込んできた。
「くっ!!」
私は右に飛び、士郎は左に飛ぶ。丁度よく別れ、士郎は一目散に敵マスターへと突っ込んでいった。
「っひぃ!!ら、ライダー!!」
敵マスターがこれに対し悲鳴をあげ、思わずライダーを呼んでしまった。その瞬間、ライダーの視線が私からずれる。
私は、この瞬間を見逃さなかった。
「
私の剣からの剣撃が、ライダーに飛ぶ。マスターに気をとられていたライダーは、これに対処することができず、まともにくらってしまった。
「くあっ!」
小さな呻き声をあげ、飛んでいく。しかし、すぐにライダーは体勢をたてなおした。
「精気をいただいたお陰でしょうか。今のはヒヤッとしましたが、効いていませんよ」
「何!?」
ライダーは、まったくの無傷だった。ライダーのいった通り、彼女の仕掛けた結界によって、不完全ながらも大量の魔力を供給できたお掛けで、彼女の持つ最大限のステータスへとなっていた。
しかし、私は逆に、体の自由が効かない。これは、対等どころか不利な状況にあたる。
「今度はこちらから行きますよ!」
ライダーは鋭利で大きな針のようなものを構え、ものすごい速さで、セイバーに向かって特攻した。
セイバーはギリギリでそれをいなすことに成功した、が、彼女の猛攻は尚も続く。
しかし、セイバーにも利があった。
それは、彼女の剣を覆っている風の膜、
「見えない剣、というのも中々手強いですね。しかし妙です。最優のサーヴァントであるセイバーが、私に圧されていると?何か、問題でも起こったのですか?」
「、、、」
「だんまりですか。いいでしょうこれならば、対等に戦える。いや、それ以上だ。今なら貴方を超えられる!」
方法がないわけでもない。
それは、私の鎧、そしてこの刃を覆っている結界を解き、宝具のみに使うことだ。
そうすれば、当たり前だが、私は丸腰になり食らえば重傷になってしまう。しかし、今はそんな悠長なことを言っていられない。
私は、念話でマスターに話し掛けた。
「マスター!ライダーを見つけました!願わくば、宝具の使用許可を!、、、マスター?マスター!?」
キリツグからの反応はなかった。それどころか、集中してみれば、彼とのパスを感じない。
「どうなっている。これは」
「どうやら、本当に問題が起きているようですね。ですが、手加減は出来ませんよ。、、、私にも使命がある」
「く!どうすれば」
すると、ライダーは急にセイバーと距離を取った。
「次で終わらせましょう。私の持つ最大の宝具で!」
まずい。宝具がくる。これは!
しょうがない。こうなってしまっては、生き残る道はひとつだ!
セイバーは魔力を全て、自らの剣に注いだ。それと同時に、彼女の鎧が消えていく。そして、彼女の剣が、いよいよ姿を表した。
黄金に輝くその剣。その剣の、名は!
「行きますよ!セイバー!
「見せてやろう!我が宝具!その実体を!
二人は、視線を交わらせる。そして。
「
「
二人の攻撃が、ぶつかり合った。
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「つまり、ここは俺の夢の中なんだな?」
「なんだよ気づいちまったのか」
「ま、これだけおかしいとな。しかしいつの間に気絶したんだ?どのタイミングで?よく思い出せない」
俺たちは未だ、あの空間で会話を続けていた。
「今すぐここからでないと。というか、目をさまさないと」
「そう焦るなよ。時間はたっぷりあるんだ」
ニヤニヤと俺に笑いかけてくるソイツ。妙に安心するんだが、それと同時に嫌悪感も沸いてくる。
さっきコイツがいっていたことが本当ならば、コイツは俺の意識が生んだ空想の産物。無意識に俺は、俺を産み出してしまったのだろうか。だとすれば、この感情は自己嫌悪。または同族嫌悪。そういう、内面的な感情だろう。
「お前、思い出さないのか?」
「あ?何を」
突然話し掛けてきたコイツ。今までとは違い、真剣な?表情だ。
「お前が、俺をだよ」
「何を、言ってる」
「何も?俺が一番おかしいと思っていることを聞いただけだぜ?」
心臓の鼓動が激しくなり、それに比例するかのように、呼吸も荒くなる。
息がし辛い。でもここは夢の中だ。こんなこと、あり得ない。
「あり得なくはねぇよ。ここの主導権は、今は俺にある」
ナチュラルに思考を読み、不敵な表情を見せつけてきた。
「黙って、ろ。はぁ、、はぁ、、はぁ」
「思い出せ。この俺を!!」
瞬間、何かを思い出したかのように、俺は俺の意思とは関係なく、ソイツの首を掴んだ。
だめだ。もう、意識が。
俺の体が、他の何かに浸食されていくような感覚だ。だが、悪い気はしない。
意識が薄れていく中、俺は俺が握っている黄金の剣を目にした。しかし、そこで俺は完全に目を閉じてしまった。
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「なんなの?!今のは爆発音は、もしかして誰かの宝具?」
キリツグの異変を目の当たりにした瞬間、遠く離れた所から爆音が響いた。神々しい光を放ちながら。
しかし、今はそれどころじゃない。逃げることが最優先だ。目の前の黒い大群から。
「もう!早く行かないと!キリツグ!」
私がキリツグに声をかけた瞬間、キリツグが輝かしい光に包まれた。
「何なの!?」
光が晴れる。そこには、まるで
「何よ、それ」
その姿は、人間というより、まるでサーヴァントのような。剣を片手に、鎧を着て、西洋の騎士のようだ。キリツグは虚ろな目をして、目の前の黒い大群を見据えていた。
「リン。キリツグは、いったいどうしたの!?」
心配になったイリヤが、バーサーカーとともに駆け寄ってきた。
「わっかんないわよ!あれをみたらいきなり、こんなんなっちゃって!」
「あれじゃあ、まるでサーヴァントね。どんな魔術なのかしら」
二人で話していると、キリツグに動きがあった。持っていた剣を構える。その剣のシルエットは、どことなくセイバーが持っているものと似ていた。
「
エクスカリバー。確かにキリツグはそう呟いた。その瞬間、剣を降り下ろした。物凄い光が、私たちを包み込んだ。
「くっ、、、!」
砂煙が舞い、木々は薙ぎ倒され、彼のはなった剣撃に沿って、ある意味道が出来ていた。
彼がやったのか、自然にいなくなったのかわからないが、黒い大群はいなくなっていたのである。
「いない、、、?やった!やったじゃないキリツグ!、、、キリツグ?」
キリツグはまだ、棒立ちだ。
「キリツグ!」
叫んで、駆け寄ろうとした。
「、、、う、さま」
キリツグは何かを呟き、そのまま前に倒れ混んでしまった。
近くまで寄り、彼を抱き抱える。すると、彼の身に付けていた鎧が、フッと霞のように消えていった。
「これは、、、」
「キリツグ、大丈夫?」
イリヤも寄ってきて、状態を確認する。
「分かんない。目をさましたら、いろいろ聞かないと。その前に、ライダーがどうなったか調べないと」
凛の目は、先程爆音が響いた方向へと向いていた。
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「う、くぅ、、、」
私が押し負けた。
宝具をもってしても、今の状態のセイバーには全力のライダーの宝具は勝つどころか、相殺すらできなかった。
「大丈夫か!セイバー」
敵マスターのほうへ行っていた士郎が戻ってきた。
「ええ。しかし、この状態は、非常にまずいです」
「まさか、私の宝具が、貴方に勝つことが出来るとは。更に言っておきますが、このレベルのものを、まだ1度放つことができます」
絶体絶命とは、この事だ。ならば、私の命に変えても、士郎は守らなければ!
「士郎!あなたは私の後ろに!あれがもう一度きます!」
そう警告した瞬間だった。明後日の方向から、我々の攻撃以外の爆音が響いた。
「!?」
ライダーの注意が、削がれた。今なら、逃げることが!
セイバーは士郎を掴み、移動しようとした。しかし、それを意味をなさなかった。
「
ライダーの背後に現れたキャスターが、自身の持っていた短剣を突き刺したのである。