出来れば、感想お願いします。
クライマックスに近いです。
英雄王のキャラが不安定です。
言わずと知れた英雄王は、久方ぶりに悩むという行動をしていた。聖杯戦争も終盤。王の出番ももうすぐである。
しかし、だ。
それでも彼は悩んでいた。本来の目的と、新たに生まれた願い。その境目で。
悩みの種は、あの本物の騎士王だ。自らの全力を、打ち砕いた。あれほど高揚したのはいつぶりだろうか。
英雄王としての悩みではなく、ギルガメッシュとしての悩み。久しぶりの感覚に、少しワクワクしている自分もいた。
我を対等に見ている。それだけでも不敬なはずだが、しかし・・・。ヤツは
「ふん・・・」
あの大空洞から抜け、今は新都にいた。もう少し先へ行けば、征服王と戦ったあの橋がある。
思い出すことは、ほとんどしない。だが、かの王のことは思い出してもいいだろう。それに、ヤツ。アーサー王。今思い出すのは、あのときの会話。
乖離剣を打ち砕かれ、帰路についていたとき。ヤツは傷も癒えていない体で、我を追いかけてきた。
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「どうした、騎士王。まだやるのか?」
「いや、英雄王。戦闘は終わった。あくまでもこれは後日譚だよ」
ボロボロになった体を、サーヴァントに支えさせながら、近づいてきた。
「あんた、この闘いをどう見る?」
「何?」
この男は、わけの分からない事を聞いてきた。
「この闘いだ。この聖杯戦争。今までのは含めないで、今回だけ」
「・・・何を言わせたい」
「いや、言わせたいわけじゃあない。聞きたいんだよ。お前の言葉を。英雄王の金言を」
気付いていた、のだろうか?ではいつから?この闘いが始まってから?いや、それはあり得ない。言峰によれば、この男は元々参加するつもりはなかった。それか、先程?自分との闘いのときか?
いや、どちらにしても、こいつはこの聖杯戦争の
「この闘いには、意味がない」
「・・・・・・」
英雄王の言葉を、騎士王は黙って聞いた。
「理由は言わずとも分かっているのだろう。聖杯戦争とは、7騎の英霊が殺し合い、聖杯を顕現させる。しかし、今回は、大幅に違う。いや、そもそもの前提が違う
」
「英霊の召喚に、意味はない、と言いたいのか?」
騎士王が口を開いた。
「その通りだ。我は、泥を浴びたお陰で前回から顕現できている。しかし、今回の英霊たちは、根本的なものが違うのだ」
「根本的?」
「・・・貴様と因縁がある、あの悪。ヤツに聞けば分かるだろうが、貴様は、分かっているのだろう?」
騎士王は表情を変えない。否、変えられないのだろう。すでに、答えに行き着いているからだ。
「今回の英霊は、あのセイバーとアーチャーを除けば、全てが偽物だ」
「なっ!?」
声を発したのは、騎士王を支えていた女狐だった。
「それは、どういう意味よ!?私たちが偽物?そんな、馬鹿な」
「・・・・・・」
騎士王は表情を変えなかった。
「マスター、あなたは知っていたの?」
女狐は騎士王に問う。
「思い付いたときは、まだ推論だった。その可能性もないことはない。この聖杯戦争自体、早すぎたからな。誰かが気を急いたのか、分からないが」
「いつ確信に至った?」
今度は英雄王が問う。
「アヴェンジャーと話したときだ。アイツがこの聖杯戦争を偽物、と言ったときに、あぁ、やはりそうか、とね。だけどそんときは自分のことで精一杯だった」
それに、と騎士王は話を繋げる。
「あのとき、アヴェンジャーが桜を拐う理由が見つからなかった。だから焦った。あの地獄から救ったのに、なぜ?とね。まぁ、結果を言えば、あの地獄から救えてはいなかったということなんだろう?」
「その事も分かっていたのか、貴様は」
「いや、これは完全に推測。キャスターの宝具であの爺との繋がりを断ち切ったあと、あの子に触れても、違和感は無くならなかった。そのときはあの蟲に浸されていたからだと思って、疑問に思わなかったけど、アヴェンジャーの元から救いだしたあと、その違和感が無くなっていた。つまり、あの子の中に、何かがあったということなんだろう」
「・・・そうだな。言峰は、あの娘を聖杯の器にするつもりだったようだが、アヴェンジャーは娘の中から、そうさせる原因だけを抜き取り、持ち帰った。その後、だ。ヤツが泥の中から女を出したのは」
「・・・・・・」
騎士王の顔が険しくなる。聞きたかったのはこれか。
「取り出したのは、本物の聖杯の欠片。恐らく、前回セイバーが壊した聖杯の欠片を間桐の爺が回収していたのだろう。それを、あの娘に植え付けた。あの娘を器とするために」
「なる・・・ほどな。そうか、だからか。あの違和感は、アヴェンジャーと対峙した時に感じた嫌悪感に似ていた」
騎士王は背後にある木にもたれ掛かり、顔を手でおおった。
「よかった。俺の選択は間違っていなかったわけだ。」
騎士王は沈黙する。キャスターも黙っている。
何も言えないのか、何も言わないのか。どちらかは分からないが、それでも目の前の男の表情は、晴れやかだった。
「泥の中から出した女ってのは・・・、いや、そうだな。もし、俺の予想が当たっているとするなら、あの人の、肉体、か?」
あの人?あの女は、この男の知り合いか?
「それは貴様が確かめるといい」
そう言って、英雄王は歩みを再び進める。
「そうか。ありがとう、英雄王」
騎士王は、もたれ掛かっている木を背に、そのまま腰を落ち着けた。
「たわけ。王が無闇に礼を述べるな。底が知れるぞ」
英雄王は騎士王に忠告した。それでも、騎士王は反論する。
「王じゃないさ。どんなに、頑張っても、俺は王にはななれない。なることができない。一度、諦めてしまったからな」
「ふん・・・戯れ言を」
そう言って、英雄王は歩みを進めた。騎士王を背に黄金の甲冑に、月の光を纏わせながら。
「ヤツめ・・・。この戦争に勝利するつもりだな。分かっているのか?その意味を・・・」
体を霊体化させながらそんなことを思っていた。
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所変わって、大空洞。
「ただの人間じゃない。エミリア、か」
「ご名答。どうやら気付いていたか」
悪意と神父、それに騎士王と魔術師が対峙する。
「ギルガメッシュが口添えしたのか?」
神父がそう言った。
「自分でたどり着いた答えだ。それと、この聖杯戦争の仕組みも、な」
「ほう、しかし・・・」
神父は騎士王を上から下まで見た。
「お前は、人間であることを捨てたな?」
「関係ない」
騎士王からは、キリツグであった頃の感じが発せられていなかった。人間らしさを失い、英霊のそれを感じさせていた。
「ギルガメッシュと闘ったのか。命知らずなのは知っていたが、どんな魔術を使った?」
「・・・・・・」
騎士王は口を閉じた。それについて、これ以上は話さないという意思表示だった。
「どうするつもりだ?お前、この器を破壊できるのか?」
「破壊はしないさ。俺はこの聖杯戦争を完遂させる」
悪意の問いに、騎士王が答えた。
「・・・お前は、何をするつもりだ?」
「そうだな。正義の味方ごっこだよ」
そう言って、騎士王は騎士王そのものに姿をかえる。見まごうことなき騎士の王。聖剣を、刃を向けた。
「お前だけを倒しても、聖杯だけを破壊しても、この戦争は止まらない。地脈に流れ出た
「地脈の件についても分かってたか。だから聖杯を完成させて、その上でぶっ壊すってわけか?」
騎士王は目を細めた。
「なるほど。だが、お前の思い通りになるかな?」
そう言ったアヴェンジャーの周りから、泥があふれ出でた。その中から、ナニかがあふれる。
「さあさあ。お前の兄弟たちだ。恐らく、世界で一番弱く、手強い。そういうやつらだ」
「まさか、コイツら一体一体が英霊なの?」
キャスターが呟く。
「英霊の偽物だ。だが、気を抜くなよ、キャスター。そして・・・」
言葉を置き、騎士王はまた呟く。
「やるぞ、バーサーカー」
そう、騎士王は呟く。今、騎士王が率いる3人目のサーヴァントのクラスを。
呟くと同時に、霊体化していた狂戦士が姿を現した。
「■■■■■■■■■■■!!!!」
狂戦士とされた英雄は、咆哮する。目の前の敵に向かって。
「貴様、3体目のサーヴァントを従えているのか。しかも、それがあのバーサーカーとは。馬鹿げている。死を選ぶような物だぞ」
「俺は特別なんだよ。なんてったって、かの有名な騎士王様だからな」
「それでは回答になっていない。そもそも、お前は、その令呪を、
騎士王は目を細めた。その眼で、神父を見やる。
「そこにいるキャスターが契約破りを宝具としているのはしっている。しかしだ。恐らく、そこにいるキャスターではその令呪に耐えることができないだろう」
「そうだな。だから、俺が手ずから奪ってやったまでだ」
なに?
今度は神父が怪訝そうな顔をした。
確かに宝具を使わず、令呪を奪った例は存在する。しかし、それも令呪のある腕を切り落とすという、強行策を取ったから出来たことのはずだ。
しかし、イリヤスフィールの場合は違う。あの娘の令呪は、体全体に達している。となると・・・。
「殺したのか?あの娘を」
「馬鹿言うな。なんで救うと約束した相手を殺すんだよ」
そう言って、騎士王は自分の腕を露にした。
「それは・・・」
確かに、令呪がもうひとつ存在する。セイバーとの契約を破棄したことは分かっていた。ゆえに、この男の腕に存在する令呪は1つのはず。見えるのは両の手の甲に1つずつ。
さらに、だ。仮に令呪を奪えたとしても、あの膨大な魔力量に耐えることが出来ないだろう。
「まぁ、裏技だ。さっきの闘いで、あのカードの本来の使い方は理解できた。だからだよ」
なにがだから、だ。全くわからない。この男は、一体?何を。
「流石は異端児。気味の悪い」
「そっくりそのまま返してやるよ。行くぜ、バーサーカー。凪ぎ払え。キャスターは援護。俺は、エミリアを救う」
2騎の、いや、3騎の英霊が黒い英霊の大群に向かっていった。
「おもしれぇ。神父、お前は下がってな」
2つの陣営が、ぶつかる!
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「貴様、英雄王!」
対峙するのは金色と鈍色たち。
英雄王ギルガメッシュは二人を卑下するような目で眺めていた。
「お前たちがだらだらとやっているから、手を出してしまったではないか」
なぜだ?なぜ攻撃が来ない。
先程の初撃。確かに最高の一撃だった。しかし、二撃目が来ない。英霊王は二人を眺めているだけだった。
「何をしに来た」
「それは先程言ったはずだ。終わらせるのだよ、この茶番を」
そう言うと、英霊王は衛宮邸内の庭へ足を下ろした。
「この場でどちらかが消えるのも一興であったが、しかし、やはり我が手ずから行うのがよかろうて」
しかし。
しかし、だ。そう言っているのに、彼は攻撃してこない。どちらかといえば、アーチャーの方を敵視している気がする。
「だが」
英雄王が言葉を発し、そこで切る。そして次を語った。
「この戦争ほど我の気分を害する物はない。故に!」
英雄王が右手を上げる。するとどこかの空間から、一本の剣が現れた。
「消えろ!贋作者!」
それを、アーチャーに向かって投擲した。
ガンッッ!!
アーチャーはそれを自らの夫婦剣で砕く。
「なんだ・・・??」
士郎は思わず口から溢してしまった。
ギルガメッシュは自分たちを攻撃していない。アーチャー1人を攻撃している。それが疑問でしかなかった。現れた時のヤツは、俺たち2人を目の敵にしているように見えたからだ。
「フン・・・」
ギルガメッシュの背後にはまだ、多くの武器が存在していた。
「下がっていろ雑種」
明らかに俺の方を見て言っていた。
確信した。こいつは、俺を敵と認識していない。いや、敵にすらされていない、のか?それはそれで、なかなか来るものがあるな。
「俺の味方をするのか・・・?!」
「勘違いするなよ雑種」
アーチャーの方を睨みながら此方に向けて言葉を発した。確かに、声色のそれが味方にするものではない。
「我は我の目的のために、必要なことをするだけだ。そう。この戦争の今後のために」
「英雄王ともあろうものが、そのような小僧に肩入れするのか。さすがは王様だな」
アーチャーが皮肉っぽくギルガメッシュに告げる。それを聞いたギルガメッシュは、興味なさそうに冷ややかな目で口を開く。
「笑わせるな贋作者。我は我のしたいことをするだけだ。何度と言わせるな」
ギルガメッシュは背後に控えている宝具たちへと意識をこめる。
その宝具一つ一つが、有名な刀剣などの武器だ。もしくはその原点。その一つ一つをあろうことかギルガメッシュは、自らの腕のように使役していた。
汗一つかかずに、それを、発射する。
「くっ!?」
アーチャーは夫婦剣でそれをいなし、砕き、かわす。
「どうした?贋作者」
アーチャーは間一髪でそれをこなす。必要最小限の動きでそれを成している。それは、この状況の均衡を保っていることに他ならなかった。
しかし、アーチャーの動きも徐々に鈍くなる。英霊とはいえ、疲労することはある。それとは反対に、ギルガメッシュの攻撃の手は緩められることはない。
「ここは・・・退くしかないようだな」
アーチャーはそう告げる。そう告げたアーチャーに向かってギルガメッシュは未だに冷ややかな目を向けていた。
「よい。許す。今はその時ではない。今すぐ退いて、騎士王に伝えろ。我はこちら側についた、とな」
アーチャーは訝しげな表情を浮かべ、そのまま霊体化していった。それを見逃すギルガメッシュ。
いや、まて。今、なんと言った。
「おま、え?今、なんて」
士郎があたふたしているなか、ギルガメッシュは纏っていた鎧を解き、ライダースーツの姿になった。
「だから、言っているだろうが、たわけ。勘違いするな、と!我はこちら側につくと言っただけだ。味方になるとは言っていない!」
いや、それは言っていることと同義なのでは?とは言わない。ギルガメッシュの顔は完全にキレていたからだ。
ギルガメッシュはこちらの方に向き直ると、そのまま直進する。何かをされる?そう思ったが、ギルガメッシュはそのまま歩いていって、家の方へ向かっていった。
「お、おい!どこにいくんだ!」
「・・・・・・」
その問いには答えず、そのまま進み、あろうことか土足で家に上がり込んでいった。
「お、お前!待てよ!」
士郎はそのあとを急いで追った。
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士郎はギルガメッシュに「靴だけは脱いでくれないか」とだけ言った。それに対し、ギルガメッシュは「ふん・・・」とだけ言って、靴を脱いで士郎に向かって投げた。
そして、今に至っている。とりあえず、煎茶を出し時間が流れていた。
そんな均衡を破ったのは、存在を忘れられていたあの子だった。
襖が開く。
「シロー、大きな音がしたけど、どうした・・・」
「ム?」
空気が凍りつく。少し前まで、殺すだの殺されるだののやり取りをしていたのに。こんな状況で。
眠っていたはずのイリヤが、襖を開いて立っていたのだ。背後には二人のメイドがいた。
「キ、キンピカ!!」
「アインツベルンの人形か。ここにいたのか」
また、ギルガメッシュをキンピカ呼ばわりしたのはさておいて、だ。この状況、一体どうしたものか。
深い夜が続くなか、士郎は一人、頭を抱えていた。
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黄金の王は夢を見る。
かつて共に戦い、倒れた泥人形の夢。
神より造られた人形。天の鎖。
英雄の王は夢を語る。
二回目の生を受けた、この現代の戦場で。
存在するはずのない騎士王に。
最古の王は夢を叶える。
見て、語り、叶える。
この偽りを、壊すために。