「どうしてアナタがいるのかしら」
遠坂は、ライダースーツを着ている男に問う。男は、さも興味なさそうに答えた。
「貴様には関係ない、小娘」
「大いに関係あるわよ!アーチャーに言われて帰ってきてみれば、こんな状況になっているなんて!まさかとは思ったわよ。本当にアンタがここにいるなんて」
「フン」
ライダースーツの男は遠坂をちらりと見て、すぐに別の対象へと視線を移した。そしてそのまま、ニヤリと笑って、口を開く。
「ようセイバー」
「・・・アーチャー」
前戦争のアーチャー、ギルガメッシュは不敵な笑みを浮かべたまま、立ち上がりセイバーの元へと近づいた。
「お前がまだ、ここにいるとはな。騎士王のヤツがお前との契約を絶ったのは知っていたが、まだここに未練があるのか?」
「だまれ。貴様には関係ない。事と次第によっては、この場で貴様を切るぞ!アーチャー!」
セイバーは鎧を纏い、目に見えない剣を構える。それにギルガメッシュは、まったく動じなかった。
「フン。今のお前ごときに、この我を切り伏せることが出来るものか」
「やってみるか?英雄王」
「まあ待てって!セイバーも、挑発に乗るな」
まずい状況だと判断した士郎は、これ以上悪化する前に、二人を止めた。しかし、そんなことで止まる二人でもなく。
「黙れ贋作者、これは我のすべきこととは別のことだ。贋作がこの場に2つもある状況が我慢ならん」
「止めないで下さいシロウ。英雄王の言う通りだ。貴方には関係のないこと!」
「俺たちはキリツグを止めるんだろ!?こんなところていがみ合っていても意味ないじゃないか!」
それにこの場所でドンパチ始められるのは、そういうこと以前に困る、と士郎は続けた。
「しかし・・・!!」
「そうよ、セイバー。キリツグを止めるためには、不服だけど、コイツの力が必要だわ」
「・・・クッ!」
セイバーあからさまに悔しそうな表情を浮かべ、剣を消し、鎧を消した。
「フン・・・、止めるなどという甘い考えでは先は見えたようなものだ」
それを見たギルガメッシュ意味深な言葉を残し、その場で霊体化した。
「はぁ・・・」
あからさまなため息をつく士郎。遠坂が呆れたように、口を開く。
「ため息をつきたい気持ちは分かるけど、衛宮くん。ため息をつくと、幸せが逃げるわよ?」
「分かってるけど、つかずにはいられないというか」
「そんなことしてる暇はないってこと。とにかく!どうしてこんな状況になったか、説明してもらわないと」
「あぁ。実は、さっき・・・・・・」
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遠坂たちが衛宮邸へ到着する少し前、遠坂を含む4人は消えていった影のいたところを眺めていた。
「影は消えたようね」
「ハイ。ランサー、ありがとうございます」
「そんなこと言ったらアイツ、礼を言うくらいならやるべきことをやれ!ってどやされるわよ」
「・・・そうですね」
ランサーが体を張って、勝機を見出だしてくれた。格好のつく勝利とは言えなかったけど、それでも勝利は勝利だ。
しかし。
しかし妙な点がある。ランサーたちが消える瞬間、二人が何かを言っていたこと。その後のランサーの表情。
まだ何かある。凛にはそう思えて仕方がなかった。しかしそれでもこの場はもう転がることはなく、戦いのあとの静けさが流れていた。
「とりあえず、士郎を探しにいきましょう」
「わかりました」
凛はそう言って、後ろを振り向いた。
「慎二、それに桜」
「なんだよ・・・」
不機嫌そうに応じる慎二。それもそのはずだ。ともに戦った仲間が消えた。そうならざるを得ない。そうするしかないのだ。もう戻っては来ないのだから。
代わって桜は、応じることなく空を見つめていた。
「あなたたちは帰っていなさい。この先、あなたたちは足手まといになるわ」
凛の瞳を見つめる慎二。先程の表情とはうって変わって、真面目な表情になる。
「大丈夫なのかよ?遠坂」
「当たり前でしょ。それより、桜を頼むわよ。またこんなことがあったら承知しないから」
「今回ばかりは礼を言ってほしいね」
「そうね、ありがとう。・・・早く帰りなさい」
くるりと振り向いて、先程光の柱が見えたような気がする方面を眺める。確かあっちはイリヤ、というかアインツベルンの城がある方向だ。
士郎だけではなく、恐らくキリツグもいるだろう。凛はそう予想していた。あの光は、きっと・・・。
「じゃあ、いきましょう。セイバー」
「ええ」
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「これは・・・」
アインツベルンの城に来てみれば、もぬけの殻。そもそも、対人の魔力感知符が作動していなかった。何者かに壊された後だったのである。
庭に出てみれば、穴ぼこだらけだった。明らかにここで戦闘が行われている。
「何かがあったことは分かったわ。だけど、どこに行ったの?」
「戦闘が行われてから、少し時間がたっているようです。しかし、この感覚は・・・」
セイバーが訝しげな表情を浮かべる。
懐かしいような感覚だ。生前、に感じたことのあるような感覚。
いや、待て。何をいっている?
私は。
私は、
何故今まで気付かなかった?これまでは全く違和感を感じていなかった。しかし、これは。
「どうしたの?セイバー」
「・・・いえ。しかしどうしましょう。すでにここにはいないようですが」
「そうね・・・。」