今章では本小説でもっとも大事な設定の一つである『今の艦娘はどうやって生まれたのか』というお話の入りです。
科学的に且つ生物学的に艦娘を作ると、本小説内の設定で言うと“作り直す”とどうなるかという視点からこの研究所の全貌を作り上げています。
この研究所は、国の威信をかけて艦娘が作られている、いわばこの世界の最暗部です。
他の国も同じような事をやっていますが、この研究所が一歩リードしています。
明石さんは、なんとなく私の想像でサイエンティストなキャラに書き立ててみました。
艦娘の全てを知る者として、特別な存在である天津風に自分たちの真実を伝えようとします。
本題は次章ですが、煮詰めるまであと少々お時間をいただけると幸いです。
十八年前の記憶は、あまりにも鮮明だ。
その時見た、あの血の泉の煉獄に浮かぶ、眩しい“彼女”を。
夢を見続けるような心地で、恋に焦がれていたのかもしれない。
自分の若さに暮れて、ただ近づくために、全てを知り、全てを学び、全てを見通したつもりだ。
命をも投げ出し、自らこの鉄火場までやってきた。
得体の知れない、大きな流れに呑まれているとも知らずに―――。
「―――ちょっと。起きなさい提督、着いたわよ」
『天津風』が肩を揺する。
一時間ほどの中距離移動の間、提督は少し転寝していた。
皮肉を言えば、陸軍の車のほうがサスペンションが優れていたというわけだ。
「・・・ああ、すまない」
ゆっくりと立ち上がり、コンクリート舗装の道路に立った。
ここに来るとき、決まって目を瞑り、追憶に耽る。
この入り口の門に至るまでの道は、丈の低い常葉樹が数キロに続き、ここが海岸線であることを忘れさせる。
同時に、車内は木漏れ日に満たされ、提督を追憶に追いやった。
だが、ここに良い思い出はない。
降りた二人を迎えたのは、高さ4メートルはあろうかという先端に飾り槍のついた鉄門が立ちはだかり、左右にはレンガとモルタルに固められた真新しい壁が奔っている。
手持ちの荷物を下ろすと、車が機をみて走り去った、同時に、電動モーターで前方の鉄門が開かれた。
白色の花崗岩に彩られ、さながらイオニア式の柱が壁に彫られたライト調建築のこの三階建ての施設こそが、今回の真の目的地である。
門を潜るとすぐに目の前に25メートルほど続く黒曜石の回廊があり、左右は整備された芝生が壁と施設の間を埋めている。
建物へは中央の噴水を迂回する格好で向う、その奥に入り口はある。
正面へ伸びた柱の無い正面玄関ピロティーを覆う屋根は、左右の通気口を上手く隠すようデザインされている。
さらに左右には前へ張り出したガラス張りの応接室らしきスペースが見える、しかし、下にある大量の換気装置が異彩を放ち、白とレンガが呼応した清楚で洗練された雰囲気が多少なくなっていた。
施設自体は広く、公式な延べ床面積は一万平方メートル以上、おそらくそれ以上はある。
二人は玄関への階段を上がり、高くなった日差しを避けると、『天津風』左右の檜材の施設名看板に視線が奪われる。
右には『軍立戦略理科学研究所』、左にはアルファベットで『S.P.L』とだけ刻まれている。
こざっぱりした施設だが、どこか禍々しいような感覚に陥る。
提督は腕時計を見て、その時間を待った。
「九時、時間だ」
提督が九時を告げると、正面の青銅製の大扉が開いた。
「どうも提督、おまたせしましたか?」
扉を開けたのは、艦娘達のなかで唯一“正規”の工作艦娘である『明石』自身だ、この施設の主任でもある。
藤色と朱色の下地のセーラーを着て、ミニスカート風袴を覆うような太股まである桃色のしなやかな髪を垂らしている。
上からは、身の丈ぴったりの白衣と作業服の中間のような上着を着て、階級章は胸ポケットにピンで留めていた。
「相変わらずのようで安心したよ」
提督は足元にに置いていた真革の黒いブリーフケースを持ち上げ、『明石』に案内されるがままに中に入った。
提督もここに来るのは十回に満たない、もっとも来たくないというのが本音だ。
「ここ数日は過労死するかと思いましたよ、ここ数年で一番急がしい作戦ですね」
『明石』は外を確認して重厚なドアを閉め、合金製であろう南京錠と鍵を二重三重とかける。
「他はどんな具合だ」
提督は質問した、彼女は彼方此方に遠征しているので各所の戦況に精通している。
「西は厳しいですね、現状維持がやっとだそうです」
『明石』と二人は世間話をしながら、入って右側の青い絨毯が敷かれた廊下を歩き出した。
入ったすぐの吹き抜けの装飾眩しい中央ホールには目も暮れず、右の窓から日光が淡く降り注ぐ長い廊下の奥を目指す。
『天津風』は左側の等間隔に並んだ扉と標識を順に視線で追いかけた。
手前からずっと『Referenzraum(資料室).1』と記された部屋が順番に続いている。
「撃沈はでていないのか?」
そわそわする『天津風』を尻目に、提督は話を続ける。
「ええ、私の診た限りでは大破が五隻とその他負傷艦が十隻強と。すでに八月までの負傷艦数にとどいています」
「思わしいのは東と南だけか・・・」
提督は15メートル間隔で設置された裸の高電圧白熱灯を見上げた。
ほぼ自分が単独で提出したに等しい今年の作戦草案が、厳しい結果を出すことは予想できたが、ここまで酷いとは予想外だ。
「今年の作戦、私達の論書に目を通しての考案ですか?」
今度は『明石』が質問した、質問と言うよりも事実の確認だ。
「“等倍反撃の原則”だったか?あんな100ページ超えるものを提出されても会議の数時間じゃよめないよ」
「あれでも簡単にまとめたつもりだったんですがね」
『明石』は提督があまりに反学術的なことに笑った、もちろん不愉快だろう。
「だがこれで証明されてしまった、痛いほど分かった。多少なら力で圧せる予想だったんだが」
「まあそうですね、去年の三倍の敵が西方に押し寄せているんですから、予想以上の損害も頷けますね。別に提督のせいというつもりはありませんが、今回の作戦少し無理過ぎやしませんか」
提督は頭を抱える。
「それは総統からも言われたよ、それを承知だといったら君たちは不愉快だろうが、今年か来年で最後だと割り切ることであの草案は成り立っている」
「そのために前線配属の艦娘を増やされたんですね。いやぁ、あまりに停滞しているから提督たちが吹っ切れたのだと思いましたよ。考え合っての事なら否定はしませんが無理は禁物ですよ」
まるで母親のような言い分に提督はたじろぐばかりだ、だが自分の意思は曲げようとはしない。
廊下の行き止まりには、また三方向へ分岐しているが目も暮れず直進した。
そして、ようやく目的の部屋までたどり着く。
両開きの杉の木と鉄フレームが組み合わされたドアには、真鍮のプレートに『Chef in Ladungskammer.Akashi』と刻まれている。
彼女のオフィスらしいが、個人の部屋にしては広いようだ。
「どうぞ」
『明石』は快く二人を中に入れ、手際よくコーヒーを注ぎテーブルに出してソファに座らせた、『天津風』の前にはたっぷりとミルクと砂糖の入ったカップが湯気をあげている。
部屋は、東側に二枚の窓があるのみで、室内の荷物のせいで狭く感じる、といっても部屋自体は10メートル四方はゆうにある。
いかにも高価そうな桐箪笥や、外製のアンティークテーブル、書類が大量に詰め込まれた二段重ねの書類。
二人を寛がせると、『明石』は左の扉を潜り姿を消した。
その扉には、ドアの半分を占めるであろう頑丈な鍵が装備され、あの奥がどれだけ大事か物語っている。
窓は開けられたままだったのか、カーテンはずっと靡きっぱなしで、窓の前にあるデスクの山済みにされた書類が何枚か床に散らかっている。
題材は『天津風』の知識不足で翻訳不能だが、ヴァイマールの文字だとは分かった。
『Obere Grenze Freisetzung der Zellteilung teil2』
『31. Autopsiebericht』
『Typ-zewi- Zerstorer Zwischendiagnoseergebnis』
『Geschafts 4 auslandische Kampagne in Meldeverfahren beschaftigt』
下文もこの調子で、読めたものではない書類が沢山あった中、唯一読める文章を発見した。
『Z01010x.Shimakaze』という小見出しが目に付き、文章を目で追ったが、その書類までの距離もあり、よく分からなかったが、おそらく今回会いに来た義理姉妹のことだろうとは察しがついた。
以前からその名前だけは聞かされている、自分がテストした機関が正式にのせられるモデルの駆逐艦のネームシップ『島風』、だがそれは既知として進んでいないらしい。
だが、今回ここに呼ばれたということは、何かしらの展開があったということだろう。
「今回はどんなご用件で?」
『明石』が席に戻り、自分の座ったソファーの脇に書類と参考文献の束を置いた。
提督はブリーフケースから二~三枚の綴られた書類をテーブルに差し出す。
「赤城と加賀のカルテだ、少し目を通してほしい」
『Southern Command arztliches Attest』という題の下に、診断証書著特工『山浦』という署名がある。
一分と経たずに、A4紙にびっしり書かれた文字に目を通し終る。
「山浦では不足でしたか?」
明石は、南方に派遣されている特設工作艦『山浦』の出したこのカルテに難色を示す。
「そのカルテの通りだ、彼女を戦線から下げるしかない」
「そんなに酷いの?」
ここで初めて『天津風』が口を開いた。
「それで済むならここには来ませんよね?」
『明石』は提督に尋ね返す。
「そのカルテの通り、傷は酷い、だが完治不能と言う現状診断が下された」
「本来なら、自己修復能力で破断以外は完治するはずなんですが、このカルテを見る限り“精神的要因”ということですが」
提督は目を閉じて、自分の考えを洗練させ纏め、言葉にする。
「彼女もやはり人間、精神的要因は彼女自身は否定したし、私もそう思う。だがここに人間性が絡むと自分も気付いていない精神の病が疑われる」
「それが彼女の治癒能力低下に繋がっていると言いたいのですか?」
『明石』はさらに踏み込んで質問する。
「そうとしか言いようがあるまい」
提督はそう言い放つと、溜息を搗き深く腰掛け直した。
『明石』は束の間、北側の壁に立掛けられた、予定のびっしり書かれた黒板に目をやる。
「ここの―」
声のトーンを一つ落とし、重々しく続ける。
「第三入渠ドック施設が三日後に開くのですが。すぐに手筈を整えますか?」
提督は生唾を呑み、答えに躊躇う。
「一応取っといてくれ、彼女の意思を仰ぐ」
「最もでしょう」
そういうと二人はコーヒーを一息ついた。
『天津風』もコーヒーのマグカップに視線を落す。
普通の軍艦なら、工廠に入渠させて修復するが、艦娘の場合だと少し違うしややこしい。
知ってのとおり『天津風』自身も常人離れした治癒能力を持っている、それは自分も驚くほどだ。
知識上彼女自身も知っている、艦娘の入渠はそれと違い厄介で、止むを得ず頼りになるものとして存在している。
艦娘であり人間である以上、治癒には時間がかかる、それでも完治不能な場合や、莫大な時間を必要とする場合、主に手足の損失の場合に重宝される。
だが、この二人が躊躇うとおり、それなりに厄介な点がある。
長所があれば短所があるように、この“入渠”にも相当のデメリットがある、それは多岐に及ぶが大きな要素として寿命の短縮や、人格の欠損である。
理由などいくらでも思いつく、つまり入渠とはそういうものなのだ。
「このことだけなら、わざわざここに来る必要は無かったのでは?」
カップを置いて『明石』は提督を見る。
「ああ、連絡の通りなら“そっち”が本命だ」
提督はカルテを回収し、ブリーフケースを閉じた。
『明石』は床に散らばった書類を目で追いかける、そして立ち上がり自分のデスクの書類の山から一枚の書類を探り出す。
そして提督ではなく『天津風』に手渡す。
「あなたのことならもう気付いているでしょう」
そう言って『明石』はソファーに座る。
「私のもう一つの姉妹のことかしら」
『天津風』は書類中のZ01010xの文字を右腕の人差し指で叩いた。
そのことには気付いていた、むしろあからさまというほどに部屋にばらまかれた書類が白々しいほどだった。
だが、それが『敷島』の言う“知るべきこと”とどう繋がりがあるか、今は分からない。
「話が早くて助かります。ではさっそく……というわけにはいきませんが、会いに行きますか?」
「愚問ね」
試すように睨む『明石』に『天津風』はそう言い返した。
その回答を聞き、『明石』は口元を吊り上げて無愛想な笑みを浮かべる。
黙って頷き、『明石』は鍵付の棚から一束の鍵を取り出す。
「ではさっそく」
片付けそっちのけで二人をつれて部屋を出た。
高鳴る心臓の鼓動を抑え、『天津風』はいたって冷静に後を歩く。
嬉しさと、不安、そして疑問の答えの好奇心が入り乱れ、うまく表現できない感情だが、一つ鬱憤の晴れるような心地だ。
形がどうであれ、これまで知らされず、はぐらかされてきた事実との対面は清々しい限りだ。
真っ直ぐ廊下を歩き、先ほどの正面玄関前の中央ホールに出た、そこからは建物の置くに向う形で階段を上がる。
二階に上がると、一面ガラス張りの壁が正面に見えた、いかに近代的な建物かよく分かるが、床や天井には、急拵えのような配線や細いパイプが張り巡らされている。
階段を折り返し、さらに建物の奥を目指す。
照明は淡い白熱灯から、白く発行するガス灯へ変わった。
雰囲気も研究所というより、一種の病院のような感じだ。
右の壁に『Staff only』左の壁に『関係者以外立入厳禁』という表示が続き、次第に広くなっていく廊下の先についに行き止まりの扉が現れた。
扉には、ただ『一般研究員ノ立入ヲ禁ズ』とだけ忠告してある。
『明石』は沢山の鍵の束から一本の特別大きい鍵を探し出し、その扉の鍵穴に刺した。
別の鍵も使い、合計四箇所の鍵を開けるとようやく扉が開く。
その先には、続く廊下ではなく鎧戸式片曳戸の篭のエレベーターが待っていた。
上にはちゃんと階を示すメーターがあるが、そこにはB1とB2しかない。
ここから直接地下に向うようだが、そうだとすればこの下の階、つまり一回には何も無い事になる。
扉を手動であけると、中は蛇腹模様の金と焦茶の装飾が施され、下は絨毯、天井には閉塞感を与えないように鏡が張ってある。
大きなレバーとガシャンと倒して階を指定するかなり古めかしいエレベーターだが、十人は乗れる立派な篭だ。
扉を閉め、ロックをかけると、篭の外のワイヤが撓り降下し始める。
鎧戸の外は真っ暗で、伝ってくる冷たい湿気がどこか恐怖を覚えさせる。
『天津風』は目的の階に着くと、思わずたじろぎ戸から離れた。
なぜか、ここには良い思い出が無い、というデジャヴのような感覚が脳裏を埋め尽くした。
戸が開けられると、そこにはタイルの敷き詰められた暗い廊下が続き、気味悪く奥のほうから薄っすら灯りが確認できた。
『明石』が先にエレベーターを出て、提督が出るのにくっついて『天津風』も外に出る。
バネ動力で自動的に締まるエレベーターの戸の音に驚きながらも、そのまま『明石』の後をついて歩き始めた。
今気付いたが、『明石』は先ほどまでもっていなかった道具を腰に下げている。
拳銃かどうかは分からないが、銃器の類を入れる大きなホルスターを下げていのが分かった。
歩くたびに実包の薬莢同士が触れ合う透き通った金属音が廊下に反響し、一層と恐怖を駆り立てた。
提督も、ここに入るのはまだ二回程で、依然として警戒心を振り払えず、ずっと左手で軍刀の柄を握っている。
光源まで近づくと、『明石』はもう一度鍵の束を取り出し、そのガラス戸を開けた。
開けた途端に、中から薬品の臭いが漂い、『天津風』は顔を顰める、すぐにでも出たいような気持になった。
すぐに係員らしき医官が歩み寄ってきたが、『明石』を確認するとほぼ顔パスで入場を許可した。
右と左に薄っすらと光の漏れる廊下が続き、その両側面には壁の三分の一ほどのガラスが張ってある。
ここは地下だから、外を眺めるための窓ではないことは確かだ。
提督は、軍属としての経験から、これがメタン系の化合物の臭いだと判断した、それもあまり良い物ではない。
「こっちです」
『明石』は相変わらず微笑んだ表情で二人を案内する。
提督は今まで感じたことの無い気味悪さに少し身構えている、『天津風』にいたってはもはや提督の影を離れられないでいる。
廊下に灯りは一切無く、左右から漏れる光だけだ。
薄っすらと見える壁の注意書きや表札が読めないほど暗い。
やがて、灯りが漏れるガラス窓のところへやってきた、だがそれは窓と言うよりも“ショーケース”といったほうが相応しい。
「何これ…」
『天津風』が立ち止まり、提督の上着を引っ張った。
ガラスの先には、重厚なガラス容器に液体が満たされたものが整然と並べられている。
その中には、何らかの組織か生物の一部と判断できるものが入っているようだが、それ以上は推察したくない。
「これは標本をキシラデコールに浸けている段階のものです、このあとエタノール分を調整してホルマリン漬けにします」
提督は生唾を呑んで思い切って質問する。
「中身は何だ」
「まぁ、銃創や傷跡の標本ですかね、“誰”の物かは知りませんが」
そっけなく答えたが、それがどんなに恐ろしい答えか計りかねる。
キシラデコールの液中には、まだ血が滲み、まだ時間が経ってないことが分かる。
これが人体のものだと考えると、思わず目を逸らしたくなる。
察しが良過ぎる故に、『天津風』は『明石』があえてオブラートに包んだ部分の想像がついた。
ここにあるということは、少なくともただの人間のもののはずが無い、そうは思いたくないが、これは恐らく“艦娘”のものだ。
「どうしましたか?」
『明石』は顔色の悪い『天津風』に声をかける。
「なんでもないわ、大丈夫よ……」
「ここに来る現役の艦娘はあなたが始めてですよ、どんな反応が見られるか楽しみです」
その笑みにもはや娯楽の快悦は無く、純粋な知識欲から来る好奇心がその顔を笑みに変えている。
そのまま歩き続けると、今度は床のタイルに『Arsenal/最終調整縛』と刻まれた廊下にたどり着いた。
そこから先は、タイルが黒くなり、恐怖と嫌悪に尖った感情をさらに追い立てる。
急に廊下の一角が明るく照らし出された所に差し掛かり、『明石』もそこで立ち止まった。
少し警戒して、提督と『天津風』は少し離れたところで立ち止まる。
「あなたの義理の姉妹艦、艦番号z01010xαです。どうぞこちらへ」
「島風じゃないの…?」
『天津風』はさらに警戒を強める。
「はい、島風はすでに最終段階へ進み、来月には実習課程の修学が可能です」
「ではここにいるのは?」
提督が代わって質問した。
『明石』は少し視線を逸らし、悔やましく言い放った。
「単刀直入に言います。ここにいるのは次期z01010xだった、本来島風型の二番艦になるはずだった“モノ”ですよ」
「なるはずだった―――」
『天津風』は一瞬顔から血の気が失せた。
だが、体の赴くままに『天津風』はガラスに張り付き、中を窺う。
艦娘は所詮軍艦の立ち位置、すくなくともそう教わったと記憶にある、つまり“廃艦”とう形で処分されるのも納得がいく。
しかし竣工前の艦娘を、その役から下ろすなど、あるのだろうか。
ここで『天津風』は、目の前に広がる光景と、今までの知識を鑑み、共通養成所で学んだ事、教えられた事、自分で学んだ事の半分が恐らく嘘であると理解した。
十九章と二十章では、この小説のトンデモ設定が露にされるはず?です。
このまますんなりと物語の核心に皆さんを引き込んでいけたらいいなと思っている次第です。
戦略理化学研究所の概容のモデルは、帝国ホテルの正面玄関をモデルに想像しています。
こういう昭和初期のデザインに私は浪漫を感じずにはいられない性分なので、想像しにくいという方はぜひ画像をググって見てください。
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お気に入り登録引き続き15名の皆様ありがとうございます。
これからもっとストーリーの質を高めて参りますので御愛読のほどよろしくお願いします!!