東方狂宴録   作:赤城@54100

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ちょっと余裕があるので修正終えた分を投稿。

移転するだけだからサクサク進みますなぁ。


第五話『俺と少女と妖怪と』

 それはテンプレすぎな展開だった。

 

 

 

 急いで駆けつけたら、悲鳴をあげた人間は女の子で。それを襲おうとするのは妖怪、それも見たことのある奴だ。

 とりあえずヤバそうだから蹴飛ばしたら、ライダーキックみたいな飛び蹴りになって楽しかった。……小さい頃は仮面ライダーかウルトラマンに憧れるのが男の通る道だよね。

 

「やれやれ、これでは意表などつけない。あまりにも使い古された手法だよ」

 

 口から出るのは考えてる事とは無関係、そしてやや面倒な言い回し、というより台詞回しな言葉。ワラキア補正は今回もバッチリのようです。

 

 ……さて、いい加減真面目に状況を整理すると、俺の目の前にいる3mぐらいありそうな妖怪はこの世界に来て初めて見た……つまり、俺が逃げた相手だ。あの時は逃げるのに必死だったか分からなかったけど、冷静に見るとやけにでかいな。

 相手は一度逃げた妖怪で、助ける対象は女の子、いや少女か。まぁとにかく、この展開をテンプレと言わずなんという?

 

 ……え、死亡フラグ? マジで? そんな冷静だったり余裕こいてる場合は割と死亡フラグだって? いやいや余裕なんか無いっすから、ワラキア補正で冷静とか余裕風に見えるだけっすから。

 

「あの、貴方は……?」

 

 突然、質問してくる少女。そりゃいきなり知らない男が現れたら驚くわな。でもゴメンね、お兄さん今は変な電波受信してヤバいんだ。

 返事は出来な

 

「か弱い少女が助けを求めているんだ。それを救うのに理由なぞいらんだろう?」

 

 何を言ってるんだよワラキアマウスゥゥゥ!? 勝手に喋んな! ほら少女黙っちゃったよ!! 完全に引かれたよコレ!!

 

「■■■■■■■■!!」

 

 何やら地味に長い叫びとともに妖怪さん復活。やべーよはえーよなんだよコイツ。

 あれか? 滅茶苦茶手加減して蹴ったのが悪いのか?

 いや血飛沫みたいの出たら少女のトラウマになるじゃん、だから限界まで手加減したのによー。

 

 …………あれ? 限界まで手加減して、あれだけ飛んだ? 馬鹿じゃないかと言いたくなるぐらいに大きな図体をした、あの妖怪が?

 ………………ふむ。

 

「……成る程、全力でなくとも大丈夫そうだな」

 

 全力を出したら速すぎて目が追い付かないけど、ある程度ならワラキア補正でなんとかなる。フルに使えないのは痛いがワラキアの強さなら問題ないだろう。そこそこの力で殴り続ければいつかは倒れるはずだ。

 …………よし。

 

「君が狩る立場なのはここまでだ。これからの君は狩られる立場……さぁ、私という狩人から逃げ切ってみたまえ」

 

 もう突っ込まない、絶対何も言わない。

 

「■■■■!!」

 

 短い、怒号ともとれる叫びをあげながら飛びかかってくる妖怪。しかし恐怖は不思議と微塵も感じない、それはきっと確信しているからだろう。

 

 ―――自身の、勝利を。

 

「ハァッ!!」

 

 攻撃を回避し、単純な拳を打ち込む。生憎と武術の心得は無いが、体に染み付いているのだろう動きで拳は打ち込まれた。

 ドォンッ!! という音が鳴りつつ再度吹き飛ぶ妖怪に即座に接近、くの字型になっている為掴みやすい腕を掴み上に放り投げる。そしてその更に上に回り込み―――

 

「落ちたまえ」

 

 ―――叩きつける。

 バゴォッ!! と、最早音とは言い難い音を聞き届け着地。無論、膝を軽く曲げて衝撃を吸収するのを忘れずに。

 

「もう終わりかね? これでも気を使ったつもりなのだが」

 

 嘘だ、気なんざ欠片も使っちゃいない。そんな余裕が平和に生きていた一学生の俺にあるわけ無いし。

 ……正直虚勢とも言い難い台詞だが、ワラキアらしいといえばワラキアらしいだろう。勝利台詞だった気もする。

 

「さて、お嬢さん。お怪我は?」

「……え……あ、だ、大丈夫…です」

 

 大丈夫……なのか? やけにモゴモゴとした喋り方だし、吃りすぎだ。

 ハッ!? まさかの吊り橋効果で恋愛フラグがたったのか!?

 

 ……いや、無いな……無い無い。前世では幼馴染み以外とは手も繋いだことのない灰色エクスプレスだった俺に、今更恋愛フラグなんざ無い無い。

 あっても死亡フラグぐらいのものさ。なにこの嫌な生々しさ、死にたい。

 

「あの、大丈夫……ですか?」

「……大丈夫、少し落ち込んでしまっただけだ」

 

 具体的には死にたくもないのに死にたいと考えてしまうぐらいに。矛盾が成立してしまうぐらいに。

 

「とりあえず行こうか、このまま居るのは得策では無い」

「はい。……そういえば、貴方のお名前は?」

「あぁ、言っていなかったね。私の名前はズェピア、ズェピア・エルトナム・オベローン。気軽にズェピアとでも呼んでくれ」

 

 本日三度目となったが、いまだに慣れない名前を口にする。しかしよく噛まないな俺、これもワラキア補正か。

 ……補正って便利な言葉だなぁ、しかもワラキアだから妙に補正が実用的。いやそうじゃないのもあるけど、主に口調とか。

 ……………………!!

 

「ズェピアさん、ですね。私の名前はひ」

「危ない!!」

「え?」

 

 少女の腕を引き、そのまま自分の背後に回らせる。手荒になってしまったが、仕方ない。

 

 

「■■■■■■!!」

 

 

 ―――ザシュッ!!

 

「グゥッ……!!」

「ズ、ズェピアさん!?」

 

 体を貫く鋭い爪、流れる俺の血。

 クソッ、油断してた……。まさか死んでないとはな、タフすぎるだろコイツ。

 

「ズェピアさん、血が、血が出て!?」

「落ち着きたまえ、この程度痛くもなんともない」

 

 少女を落ち着かせる為に大丈夫アピールをする。

 だが正直言う、超絶痛ェ。小さい頃にした骨折の痛みなんか比較対象にならないくらいに痛い。

今にも泣けそうだし、気絶もしたい。

 

 だけど体がワラキアだからか、涙は出ないし気絶もしない。精神のほうに対して体が強すぎる、なんだこのアンバランス。

 ……まぁ、おかげで頭は冷静に働く。もし元の体だったら痛みにのたうち回るか、この少女のように混乱…否、錯乱していたことだろう。

 やはりワラキアの一番の武器は冷静な頭脳だと再認識する。

 

「やれやれ。アンコールを求めるとは、実に奇特だな君は」

 

 痛む傷を押さえることもせずに立つ。血は止まることなく流れている、いくらワラキアの体でも、血を流しすぎれば死ぬだろう。

 真面目にヤバいなぁ、俺……。でも傷を押さえたりしたら心配かけることになるし。

 

「だがアンコールは無しだ。潔く消え去りたまえ」

 

 気合いを入れ、足には力を入れる。足は飛び出す為のバネとし、ギリギリまで力を溜める。

玉砕覚悟の大博打、考えればもっとマシな策もあるだろうが時間が足りない。

 だったら、最も単純で、分かりやすく、倒せる可能性が高い選択肢を選ぶしかない。

 即ち―――特攻。

 

「無様で無粋で無骨な技だが、受けてみたまえ……」

 

 瞬間、地を蹴り妖怪に向かって走り出す。速度は異常で、俺の目はまったく追い付かない。

 こういった感覚にも補正が欲しいものだが……すでに充分すぎるから文句は言えないな。

 

「■■■■!!」

 

 短い叫びとともに妖怪が構えるのが朧気に見えた。

 だが遅い、遅すぎる。すでに勝敗は決した。響く鈍い破砕音、そして俺の腕に伝わる衝撃がそれを確信へと変える。

 

「少々優美さには欠けるがね。まぁ、君にはこのぐらい醜い死に様のほうがお似合いだろう」

 

 決め台詞らしき言葉を吐いて、振り向く。

 

「……気絶、か」

 

 流石にグロテスクすぎたらしく、少女は気絶していた。顔は真っ青で、お世辞にも良い顔色とは言えないが、死んではいないようだ。

 ……これでショック死とかされたらヤバかったな。ありえない話じゃないし。

 

「さて……気絶されては歩いてもらうのは不可能……仕方ない、か」

 

 とりあえず横抱き、所謂お姫様抱っこをして少女を連れていく。自身に起きている異変に気付くこともなく。

 

 

 

 …………………………

 ……………

 ………

 

 

 

 てくてくと歩きながら人里に戻ってまいりました。

 ……たださ、人里が凄いことになってるんだよね。具体的に言うと、明かりになるものを片手に皆さん大騒ぎ。

 

「あ…おい、慧音さんに伝えろ! 例の人が帰ってきたっ!!」

「え、マジかよ!? 外来人なんだろ!?」

「そうらしいけど……ほら見ろよ、ちゃんと抱えてるぜ」

「ほ、本当だ! 外来人にも凄いのは居るんだな……」

 

 他にもザワザワと俺を指差しながら喋る。やめろこっち見んな。

 

「ズェピア! よかった、無事だったんだな……」

 

 安堵の表情を浮かべる慧音。あまりの優しさに目から心の汗が流れそうです。

 

「心配してくれたのか、それならありがたい。……しかし、この騒ぎはなんだね? 五月蝿くて仕方ないのだが」

「……そうか、お前は外から来たばかりだから知らないんだな」

 

 

 何をさ、主語が抜けてんぜベイベー。だが慧音は、ちゃんと妙なテンションの俺の質問に答えてくれた。

 

「まぁ簡単に説明するとだな、その少女は幻想郷でもかなり重要な位置にいるんだ。だからこれだけ大騒ぎになったんだよ」

「この少女が……か? なんとも信じがたいが事実なのだろうね、しかしいったい何故重要なんだ?」

「それは少し難しい質問だな。……無理矢理簡単にすると、歴史を紡ぐ存在だから、といったところだな」

 

 先生ーこの少女の正体が分かりましたー。俺とんでもない子をお姫様抱っこしてたみたいです。

 俺怒られないよな? 罪……とまではいかないだろうけど、それでも超やべぇ。手がプルプルしてきた。

 

「つまり、この少女は稀有な能力の持ち主なのだね?」

「そういうことだな。っと、それじゃあ家までは私が連れていくよ。君の家は妹紅に案内してもらってくれ」

「うむ、ではよろしく頼んだ」

 

 少女Aを慧音に預け、妹紅を探す。人は多いけど、アイツは結構目立つはず……。

 …………あ、いた。

 

「お疲れさん、やっぱりピンピンしてるな。返り血は酷いけど怪我はしてないようだし」

「いや、腹に穴が空いているのだが」

「は? そんな傷ないぞ? だいたい、傷があったら慧音だって気付いてるはずだろ」

 

 ……言われてみればその通りだ。確認の為に、刺された辺りを触る。傷は勿論、痛みも感じなかった。

 

「お前吸血鬼なんだろ? 本当に穴が空いたとしても、自分の回復力の高さを知らないわけじゃ無いだろうに」

 

 ……あぁ、そうか、そうだったよ。今の俺の体は、ズェピア・エルトナム・オベローンという名を持っていた一人の吸血鬼の体。

 死徒とはいえ吸血鬼、不死性と最早再生能力とさえ言える高い回復力がある。あの程度、傷のうちに入らないんだ。

 なんか、人間やめたというのがよく分かるなぁ……。身体能力じゃなく、まさか回復力のほうで自覚するとは思わなかったけど。

 

「……成る程、確かに服に大きな破けた後があるな。ここを貫かれたのか?」

「思いの外頑丈でね、気を抜いてしまった時にくらったよ」

 

 えぇ、そりゃもうザックリと、泣きたくなるぐらい痛かったですよ。

 

「そういや聞きたいんだが、出た妖怪ってのは結構大きな奴?」

「あぁ、そうだが……」

「そんでヤケに頑丈」

 

まぁ、頑丈だったのはさっき言ったから分かるんだが……何故に体長まで分かる?

 

「いやな、霊夢に祓うよう依頼されてる妖怪なんだが……多分そいつなんだ」

「……何?」

 

 そういえば、初めて会ったとき妖怪退治の依頼が入ったとか言ってたな。

 

「半分前払いの、成功したらもう半分って内容なんだけどさ……そのもう半分を受け取りにこなかったから、失敗したんじゃないかって噂になってるんだ」

 

 ……あー、ヤバいなそれ。完全に原因俺じゃん。

 でも霊夢が依頼忘れるとは思えないんだけどなぁ……面倒くさがりだろうけど、請け負ったことには責任持ちそうだし。

 いや、暗くなったから一旦探索を打ち切って帰ったパターンか? 夜は流石に見えにくいから一番ありえるな。

 

「……いや、それは違うね。彼女は私の前で同じような妖怪を祓っていた。恐らく同じ種族だったのだろう」

 

 とりあえずフォローしておく。嘘をつくことにはなるが、俺のせいで霊夢の評判が下がったら申し訳ないし。

 

「んー……お前さ、さっき妖怪倒したんだろ? 戦闘中に叫びをあげた時とか体に違和感無かったか?」

 

 叫び、というとあの聞き取れなかったのだよな。…………ふむ。

 

「いや、別になんとも無かったが。それがどうかしたのかね?」

「そうか、じゃあ同じ種族の別の奴だな」

「……何故そう思うのかね?」

「その妖怪ってのは、叫びの際に相手の筋肉を萎縮させて動きを止める能力を持ってたらしいんだ。ある程度実力があれば抵抗出来るけど違和感は出るらしいからな、無かったなら別の奴ってことだ」

 

 へぇ、そんな能力が。じゃあ、効かなかった俺は何? 違和感さえ無かったけど?

 

「まぁ、お前が霊夢みたいな能力を持ってるかそれなりに強けりゃ違和感なんか無いだろうけどな」

「能力は分からないが、少なくともそこまで強くは無いね」

「そうか? 私の見立てでは私とそう変わらない実力だと思うんだが……」

 

 それはありえないな……なんぼなんでも、中身が俺じゃあ妹紅と同レベルは無理だ。

 つまり能力で無効化したと考えるのが妥当だろう。しかしどんな能力なのか分からないし、持っているかも定かでは無い。あるとしたら【影響を受けない程度の能力】とかか?

 ……なんか地味でワラキアらしくないな。

 

「その妖怪に私自身は会ったこと無いからなんとも言えないけどね、里では結構強いと噂されてたよ。能力については陰陽師の奴等が何人か体験してきたから正しい情報だと思う」

「ふむ、その陰陽師は中々強いのだね」

「悪運が強いだけさ」

 

 わーお、毒吐き妹紅。欠片の躊躇も無かったぜ。

 

「さ、遅くはなったけどお前の家に案内するよ」

 

 パッと切り替えて、歩き出す妹紅。いや、でもなぁ……。

 

「それはいいのだが……君はどうするのだね? もうこんな時間だ、家に帰るには厄介だろうに」

「なんだ心配してくれてるのか?」

 

 ニヤニヤと笑いながら見てくる妹紅。心配して損した、いつかその薄い胸揉みしだいてや…嘘ですごめんなさい。

 

「まぁ今日は慧音の家に泊まるから大丈夫さ。お前を案内したらそのまま直行して寝るとするよ」

「布団敷いて、歯を磨いてから寝るように。お腹を冷やしては駄目だよ?」

「お前は私の母さんか!?」

 

 失礼な、どっから見ても父さんだろうが。いやむしろパパだろうが。秀逸なジョークを飛ばしつつ、日曜日は子供を連れてお出かけするシャツが似合いそうなパパだろうが。

 あー、フル◯ウス見たくなってきた。馬鹿馬鹿しいけどそこが面白いんだよなー、あれ。

 

「お前今くだらないこと考えてるだろ、しかも脈絡無く」

「いや決して脈絡が無いわけではないよ? くだらないのは否定しないがね」

 

 基本的にアメリカのホームドラマっつーか、コメディは父親がキャラ濃いからね。ほらパパ繋がり。

 

「くだらないのは否定しないのかよ……」

「む、くだらないからといって無駄な考えというわけではないのだよ? 例えば演劇などは元はくだらない想像妄想夢想にすぎない、だがそれを深めて煮詰めて形作っていくうちに演劇と成るのだからね」

 

 分かりやすく言えば、くだらないことは無駄じゃないと言いたいんだが。やべぇなわらきー、どんだけ変換しまくってんだよ。

 

「ふぅん……そんなもんか?」

「そんなものだよ、往々にして世の娯楽はくだらない想像から始まるものだ」

「ま、だろうな。楽しんで余裕を生むものを、余裕の無い奴が作ってもロクなものにはならないだろうしな」

「そういうことだ」

 

 よく分からないうちに同意を得ていた。会話が途切れずにすむ辺りは、ワラキアの口達者っぷりに感謝すべき点だな。

 

「さ、着いたぞ」

 

 そう言われて、見てみればあら不思議。立派な一軒家が。

 大きさ的には慧音の家と変わらない、妹紅曰く服は何着か慧音から預かったのを箪笥に入れてくれたらしい。ヤバい、慧音にマジで掘れそ…間違えた、惚れそう。

 そして妹紅にも惚れそう…ということは無いな、うん。少なくとも今のところは無い。

 

「じゃ、私はもう行くよ。布団は敷いてあるし、問題無いと思う」

「何から何まですまないね、今度出来たら礼をするよ」

「ハハ、期待しないで待ってるよ」

 

 微笑みを浮かべ、手をヒラヒラさせながら去っていく妹紅。うぅむ、今の笑みは中々可愛かったな。

 

「さてと……どんなものかな」

 

 ガラリと扉を開けて中に入る。明かりは…電灯があるようだな、まったく技術力が無いわけでは無いようだ。

 作りも慧音の家と差は無い。家具に関しても箪笥はあるし、調理器具もあるようだ。蛇口を捻れば水も出る。

 

「……幻想郷が分からなくなってきたな」

 

 昔の日本のようなレベルかと思えば、意外と進んだ技術力もある。この辺りは河童や幻想入りした外来人が関係しているのだろうな。

 

「先ずは風呂に入ってから着替えるとするか」

 

 風呂を沸かし、待っている間に服を用意する。サイズのあう浴衣を探し、下着とともに脱衣場に持っていく。着ていた服はハンガーにかけて頃合いになった風呂に入る。

 

 

 ―――青年(ズェピア)入浴中―――

 

 

 いい湯だった、問題を言うならワラキアはツルツルだったことか。腋も脛も見事にツルツル、まるで漫画のキャラのようにツルツル。

 ……あ、ワラキアはキャラだったか。

 

「布団は……本当に敷いてあるな」

 

 もぞもぞと布団に入りながら、今日のことについて考える。

 幻想入りし、しかも憑依していて、その対象はまさかのワラキア……意表をつかれたな、うん。

 

 んで、妖怪から逃げてたら霊夢に会って、人里に着いたら慧音に会って家を貰い、慧音の家に行って妹紅と会ってから晩飯も食べさせてもらった。

 晩飯の後悲鳴を聞いて走ったら少女Aが妖怪に襲われてて、妖怪と戦って倒して……。

 なにこのハードすぎる一日。精神も肉体もボロボロだぜチクショー。

 

「……寝るとするか」

 

 ボロボロになった心身を休めるために、寝ることにした。不安こそあるが、まぁなんとかなるだろう。

 ……あ、臨時の先生以外のちゃんとした仕事探さなきゃ。




戦闘描写なんて出来ない、あぁ出来ない。

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