ある日、兎の少年は町で倒れている青年を助ける

これはそれから遠くない未来に紡がれることになる【眷属の物語】の始まりの1ページ

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ダンまち物が書きたくなってしまい書いちゃいました。

劣等生を読んでくれている方で早く書けよって思ってる方、読切なので許してください。

しかしこれの人気があれば劣等生が終わった後にシリーズを書くのも面白いかもしれませんね。

では本編、はじまります。




【読切】ベル君が生き倒れを拾ってきたのは間違いだっただろうか

「た、ただいま。」

 

「お帰りなさいベル様。…えっとそちらの方は?」

 

「ハハハハ。えっと、なんだか放っておけなくって。」

 

リリの質問にベルは同じくらいの背丈の青年を担いでいない左腕で頬をポリポリと掻きながら答える。

なんでもギルドに報告によった帰りに町の西門の近くに倒れていたらしい。

周りの人たちは見て見ない振りをするし、心配になってつれてきたのだと言う。

リリは「ほんとお人好しですね」とつぶやきながらトコトコとベルに近づくと、ベルが担いでいる青年を突きながら話しかける。

 

「もしもーし。生きてますかー?」

 

「おっベル帰ってたのか。って何してんだ?」

 

「ただいま。今帰ったよ。ベル君も今帰りかい? ・・・これはどういう状況だい?」

 

「あ、お帰りなさい。神様。」

 

「皆さんそろいましたか。ご飯もできてますよ。・・・どうしたんですか?」

 

「今日は極東料理のフルコースですよ。 あれ? ん?」

 

ヴェルフが工房から上がって来て神ヘスティアが帰ってきて呑気にベルが返事をする。命と春姫が晩御飯の支度ができたと声をかけにくる。平和なファミリアの一ページ。

そう。ベルが見知らぬ青年を担いでいなければ。

 

ぐぅぅぅ~~~

 

その時、その青年の腹がなった。奥から漂ってくる匂いに反応したようだ。

それを聞いたこの家の住人たち<ヘスティア・ファミリア>のメンバーは笑い、折角のご飯が冷めてしまうのももったいないし、たくさんあるのだから一人増えたところで変わらないと招き入れることにした。

話を聞くにもまずは腹ごしらえというわけだ。

 

 

そんなことがあって今、テーブルの上の食器が空になったこともあり、ヘスティア・ファミリアの視線はベルが連れてきた青年に集中している。

 

「ご馳走様。いやー、行く当てもなく金もなかったから助かった。ありがとな。」

 

「それで? キミの名前は?」

 

「お? そうだな。 自己紹介してなかったか。 俺の名前はクロ・・・そう。クロって言うんだ。」

 

ヘスティアの質問に青年は自己紹介をすると、次々とヘスティア・ファミリアのメンバーから質問が飛んだ。

青年の名前はクロ。腰まである夜色の髪に琥珀色の瞳をしたヒューマンの青年だ。

年は今年で26。

オラリオの外から来たらしいのだが、無一文な上に知り合いもおらず、さまよった挙句倒れたんだとか。

ちなみにオラリオには来るはずではなかったが、途中乗せてもらった馬車の荷台でうとうととしているうちに入ってしまったんだとか。

 

「それじゃ、僕らがこの町で始めての知り合いなんですね。よかったらここで一緒に暮らしませんか? ね、神様。」

 

「ベル様、軽率すぎます。この話が本当かどうかもわかりませんし。」

 

「疑いすぎるのもよくありませんよ。どうしますか? ヘスティア様。」

 

クロの話を聞いたヘスティア・ファミリアのメンバーはクロを置き去りにして話を盛り上げていく。

クロの「ヘスティア…」と言うヘスティアの名前を聞いたときのつぶやきにも誰も気づかないほどに。

そして話はまとまったようだ。

 

「クロ君、キミさえよければ僕たちの家族にならないかい?」

 

ヘスティア・ファミリアの家族になる。それは冒険者にならないか? と聞いているのと同じだ。

ヘスティアのその言葉にクロは一拍置いた後にこう答える。

 

「気持ちは嬉しいんだけどけどヘスティア様、俺は誰の家族にもならないって決めてるんだ。」

 

クロのその言葉に新しい家族にこの町を案内する気満々だったベルたちは顔を暗くする。

 

「だけどよかったらオラリオにいる間、ここに泊めてもらえないかな? もちろんバイトして金ははらうからさ」

 

クロがすぐに出て行くと思っていたベルたちはその言葉で笑顔を取り戻し「バイト先ならボクが紹介してあげよう。」というヘスティアの了承と共にクロは竈火の館でお世話になることが決まったのである。

 

 

 

 

それから、一ヶ月が過ぎた。

 

 

「はい。ジャガ丸クン2つお待たせ。」

 

クロはヘスティアに紹介してもらったバイトにも馴染み、毎日を忙しく過ごしていた。

ヘスティア・ファミリアに家賃を払いながら旅の資金を貯める。なかなか大変だが順調に貯まっている。

これも家賃を格安にしてくれているヘスティアのおかげだ。

 

「おつかれさま。クロ君。がんばってるね、ボクも負けないよ。」

 

「神様。おつかれさま。神様は今からでしたっけ?」

 

「ああ。お昼まではヘファイストスのところでバイトだったからね。ついでにお客も連れてきたぜ」

 

ヘスティアが店頭に立ちながら指差した先には神ヘファイストスが微笑みながら手を振っている。

 

「しかしクロ君、キミもヘファイストスと仲良くなったもんだよねぇ。最初に会ったときは険悪な不陰気だったのにさ。」

 

そう。ヘファイストスに初めて会ったのは竈火の館でお世話になるようになって一週間くらいたったころ。

クロを見たヘファイストスはワナワナとコブシを握り締め、クロを引っ張って部屋の端に行くとしばらく2人で話していた。

ヘスティア・ファミリアのみんなが何事かと視線を送っていたが、戻ってきたヘファイストスは「昔の知り合いに似ていてびっくりした。」のだそうだ。

 

「はい。ヘファイストス様、ジャガ丸クン1つですね。」

 

「ありがとうクロ。」

 

順番が来たヘファイストスにじゃが丸君を渡していると次のお客がやってきた今日は千神万来だろうか?

やってきたのはロキ・ファミリア主神、ロキとアイズ・バレンシュタインにベート・ローガ、リヴェリア・リヨス・アールブ

 

「よう。ドちび。買いに来てやったで。」

 

「ドちびとはなんだい貧乳。別に買いに来てなんて頼んでないだろう?」

 

顔を合わせるなり痴話喧嘩を始めてしまうロキとヘスティア。

「いつもああなんだよ。」と苦笑交じりにじゃが丸君をかじるヘファイストスの横でこそこそと隠れようとするクロ。

ヘファイストスを見つけたロキ・ファミリアの3人はお辞儀をしながらヘファイストスのほうに歩いてくる。

 

「っと。そういえばキミにはまだ紹介してなかったね。クロ君だ。今家で_____」

 

「なんでお前がここにおるんや!!」

 

ヘスティアがクロの紹介をし終わる前にクロを見たロキはそう叫んだ。

ヘスティアもロキ・ファミリアの3人も驚いている。いつもは掴めない性格のロキが目を見開いて叫んだからだ。

 

「ねんでここにおるんや。なにしに戻って来たんや!!」

 

そんなことも気にせず、クロに詰め寄るロキの間にヘファイストスが割って入った。

 

「ロキ、落ち着け。」

 

「これが落ち着いてられる状況か!? ヘファイストスはなんも思わへんのか?」

 

「ロキ様、ここは私たちにお任せ願いますかな?」

 

収拾のつかないロキに声をかけたのは初老のヒューマンの男性。ギルドの上役だ。

そしてクロに話しかける。

ヘスティアは状況が掴めず、男性と一緒に来た女性にどういうことか説明を求める。

女性がベル担当のエイナ・チュールだったのもあり話しやすかったのだろう。

エイナは「困ったことになりまして」と苦笑をうかべる。

ヘスティアは「なんだいそれは。」と腕を組んでギルドの男性の言葉に耳を傾けた。

 

「今はクロと名乗っているそうですな。いや、前置きは止めましょう単刀直入に言います。あなたに頼みたいことがある。」

 

「そうやないやろ。なんでこいつがオラリオにおるかや!!」

 

「ロキ様、今はそう言っている時ではないのです。今、中層の冒険者から連絡がありました。28層で今までに見たことがないモンスターが現れたそうです。」

 

それを聞いていたヘファイストスは何かを思ったようにどこかへ走っていった。

 

「そのモンスターはとても28層のモンスターとは思えず、今は何とかそこにいる冒険者の皆さんが抑えているそうですが、それも時間の問題。しかも初めは30層に現れたそうなのですが、冒険者たちが後退するのを見て上がってきているそうなのです。」

 

「なぜ俺に・・・」

 

「ギルドは貴方のことをこの3週間監視しておりました。それをふまえて貴方は信用に足る人物だと判断します。同時にロキ・ファミリアの皆様にもお願いしたい。」

 

「それはうちのファミリアが行くような問題なんか?」

 

事の重大さをたずねるようにロキはたずねる。オラリオ最強のファミリアが動かなければならない問題なのかと。

 

「今討伐にあたっている冒険者の中には下層レベルの冒険者も多数いると聞いています。それでも押されられていないとなると・・・」

 

「わかった。アイズ、リヴェリア、ベート行けるな。 ・・・お前はどうするんや?」

 

キッとロキはクロの方を睨む。

クロはコブシを握り締め考える。

 

 

『ハハハ。そうかお前名前がないのか。それじゃ俺の名をやろうお前は今日から○○○○だ』

 

(父さん)

 

『おいおい泣くな。お前は俺の息子だろ。今は弱くたっていいじゃないか。いつか英雄と呼ばれるくらい強くなれ、な。』

 

(父さん)

 

『○○○○やっぱり俺はだめな父親だ』

『オラリオ最強と言われてるのに怖くなる。後ろから力をつけてくるゼウスやヘラのファミリアが怖くなる』

『俺が狂気に飲まれる前に・・・殺してくれ』

 

(父さん)

 

『ありがとう。お前は俺の自慢の息子だ。』

『お前はもう立派な英雄だ。なぁ○○○○』

 

(父さん)___________

 

 

クロは何かを決意したようにヘスティアに向き直る

 

「神様、俺の封印を解いてくれ。改宗(コンバージョン)させてくれ。」

 

「なんだかわからないけどわかったよ。それに、たぶん28階にはベル君たちもいるだろうからあの子達のことも頼んでもいいかな?」

 

クロがうなずくと背を向け座る。そしてステイタスが除かれないように回りをギルドの2人で隠すと改宗の儀式が始まる。

ヘスティアは人差し指を針で刺し血を出すとクロの背中の証を書き換えていく。

クロの背中にあった時計と鎌のエンブレムは瞬く間に書き換えられベルやリリ達に刻まれているものと同じ炉に火を灯すヘスティア・ファミリアの証へと変わった。

終わるとクロは立ち上がり、十数年ぶりに戻った冒険者としての感覚を確かめる。

 

「クロノス。それが君の本当の名前なんだね。」

 

ヘスティアがそう微笑む

クロの背中に描かれていたステイタス。

レベル8のオールS。

現オラリオ最強の冒険者をもしのぐステータス。

それを見たヘスティアはこの子ならベル君たちを必ず助けてくれると確信した。

そこへ先ほどこの場を離れたヘファイストスが戻ってきた。大きな布で巻かれたものを担いで。

 

「クロ。これは君がここを去るときに預かったものだ。もういらないからって。…でも、今必要だろ?」

 

「ありがとう。ヘファイストス様」

 

クロはそれを受け取ると布を剥ぎ取る。

現れたのは漆黒の大鎌。

それを担ぎ、準備は整ったとギルドの男性の方を向いてうなずく。

 

「それじゃ、膳は急げってやっちゃな。 アイズ、リヴェリア、ベート。あいつは強い。そこだけは信用できる。さくっと倒しておいーや」

 

 

4人がダンジョンへ向かった後、ヘスティアはヘファイストスに詰め寄る。

 

「水臭いじゃないか。あの子のことを知っていたんなら初めからいってくれればいいのに。」

 

「しゃーないんちゃう? あいつの事情が事情や。」

 

「なんだい? あの子の事情って?」

 

「あの子がヘスティアの弟だと言うことです」

 

「なに!? そうなのかい?」

 

「いや、そうとちゃうやろ。」

 

__________神様の話は続いた。

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★

 

 

 

 

 

 

「ベル様、大丈夫ですか?」

 

「なんとか。でも押されてる。ポーションも切れたし…」

 

「大丈夫だ。春姫と命に買いに行かせた」

 

「戻りました。はい、ベル殿の分です。」

 

戦場は27階に押し上げられていた。ヘスティア・ファミリアは今のところ全員無事だ。

 

「GYAAAAAAAAAA!!」

 

モンスターは咆哮をあげる。

 

「あいつが例のモンスターか? ゴライアス並みのでかさの双頭の黒いミノタウルスって無茶苦茶すぎるだろ。」

 

咆哮に耳をふさぐベル達の隣に4人の冒険者が現れた。

そうクロ達4人である

 

「大丈夫?」そう首をかしげるアイズにベルは「なんとか」とうなずく。

 

「あんたらは冒険者達の救助と保護だ。 ここは俺が一人でやる。」

 

「おいおい待てよ。あんたがいくら強いかは知らないが俺は信用してないぜ。」

 

「一応俺はレベル7だし、もともと1人でここに潜ってたんだ。俺の攻撃は周りを巻き込む。死ぬぜ?」

 

クロとベートの間に火花が散る。

ちなみにだがクロはステイタスが封印される前の《ある出来事》で偉業を達成し、さっきのヘスティアとの改宗(コンバージョン)、更新によりレベル8に上がっている。本人はこのことを知らない

 

閑話休題

 

「けっ。わかったよ。 だがあんたが危なそうならどいてもらうからな。」

 

「上等。…ベル、みんな、安心しろ。すぐ終わる。」

 

「え、クロ_______」

 

クロはベル達の返事も聞かずに黒は双頭のミノタウルスに向かっていった。

 

 

 

「でっけーミノタウルスか。久しぶりだけど…」

 

クロはそう言って大鎌を右側の顔の角に叩きつける。

インパクトの瞬間、大鎌の刃が輝いた。

大鎌を食らった角は根元から切り離され地面に落ちる。

 

「オラッ!!こっちだよ。牛野郎!!」

 

クロの攻撃と怒声に反応したのか双頭のミノタウルスはクロの方に向き直りクロを目標に定めたようだ。

 

「GYAAAAAAA!!」

 

「ああ。そうだよ。俺が相手だよ。」

 

そしてクロは駆け出す。この大きな怪物を駆逐するために。

 

 

 

「…すごい。」

 

 

クロの戦いを見てベルたちは絶句していた。ロキ・ファミリアの3人さえも。

クロの強さがこれほどとは思わなかったからだ。

クロは双頭のミノタウルスの全身を切り裂きながら言葉を紡ぎ始める。

 

『終わらせる者よ 氷狼よ そなたの息吹を貸しておくれ

 

死よりも静けく凍えさせておくれ

 

盛者必衰は世の摂理 神の定め給うた不可避の宿業

 

水が低きへと流るるが如く すべての(ねつ)を奪っておくれ

 

時すらも凍てついたが如く 全てが停まった世界を見せておくれ

 

誰にも壊されることなく 壊す者すら存在しない永劫の美を、極点を 見せておくれ

 

我は理解を拒む者 絶対のみを求める者 なんと醜いことであるか

 

生命が(たむろ)を成して 蠕動し 腐臭を撒き 産み増えることの奇怪さの 我はそれを認めはしない

 

我はそれを解さない

 

我は望む 白一色の景色を

 

我は望む 美しき死の世界を

 

我は望む 醜き万物が埋もれ 閉ざされる世界を

 

我は望む 全てよ停まれ 停まれ 停まれ』

 

クロは言葉を紡ぎ終わると双頭のミノタウロスの心臓の辺りに手を添える。

そして、魔法が発動する。

 

『コキュートス』

 

双頭のミノタウロスのそのゴライアスほどある巨体を一瞬にして凍らせるとその魔法の余波によってダンジョンは白銀の世界に変わる。

クロが振り向きベル達の下へと歩み始めたとき、双頭のミノタウロスの体は砕け散り、大きな魔石だけが残った。

 

「ダンジョンの中なのに…雪?」

 

誰かがそうつぶやいた。

この魔法の余波はこの階の上下2階にもおよび、その階層は氷のダンジョンと呼ばれるようになる。

この後はギルド主導の調査が入念に行われることになるだろう。

それはまた別の話。

 

 

 

 

 

☆★☆★

 

 

 

 

「ベルくーん! 無事だったんだねー!!」

 

ダンジョンを出るとヘスティアがベルに抱きついてきた。

ベルは無事の報告とどんなことがあったか、そしいてクロのすごさを掻い摘んで説明している。

一緒に出てきたロキ・ファミリアの3人はロキに連れられてすぐに行ってしまった。

 

「ありがとう。これ、助かった。」

 

クロはヘファイストスに漆黒の大鎌を渡す。

 

「もともとこれは君のものだ。 …やっぱりオラリオにとどまる気はないのかい?」

 

「ああ。 今回のことで旅の資金はたまったしな。」

 

「…そう」

 

それだけ聞くとヘファイストスは漆黒の大鎌を布で巻きなおし行ってしまった。

そのあとクロはヘスティア・ファミリアのメンバーと竈火の館に戻ってきた。

話題はクロの話で持ちきりだ。

 

「しかしクロ、なんでお前そんなに強いのに隠してたんだよ?」

 

「いや…その…」

 

始まりはヴェルフの言った何気ない一言だった。

 

「クロ君、いや、クロノス。 君の事はロキやヘファイストスから聞いたよ。なぜこのオラリオを去ったのかも。」

 

「・・・」

 

「ク、クロノスって英雄の名前と一緒ですね。祖父に貰った英雄譚に載っていた英雄の一人です。」

 

ヘスティアの言葉の後に訪れた沈黙にベルは耐え切れず場を和ませようと話し始める。

 

 

神殺しの英雄

 

地上に降りた二代目神の王は一人の赤子を拾う。

神の王は名前のない赤子に自分と同じ名前を与え大切に育てた。

赤子は神々の降り立つ町ですくすくと成長し、町一番の強者になる。

しばらくして町に降り立った二代目神の王の息子とその妻の眷属(こども)達も力をつけ始める。

神の王は自分の地位を脅かす存在におびえ始める。

神は赤子に頼む。

自分の狂気が溢れ出てしまわないうちに天に返してくれないかと。

赤子は受け入れる。

己の鎌で神の王の首を跳ね、王を天へと送り返す。

こうして、地上は神々の戦争で滅ぶことを免れた。

英雄の名はクロノス。

神殺しの英雄クロノス。

 

 

「ベル君、それはクロ君本人だよ。」

 

「えっ…」

 

「でもねクロ君。私達は、いや、神クロノスも感謝している。それは天界で実際に起こったことだ。クロノスは息子達の力を恐れ飲み込んだんだ。ボクも飲み込まれたから間違いないぜ。その後、10年に渡る大戦争が繰り広げられたんだ。そんなことが起こればこの世界の子供達は滅んでしまう。子供達は僕達のように永遠の命があるわけじゃないからね。だから、自分を責めないでおくれ。これは神として、そして君の義姉としてのお願いだよ。」

 

「・・・」

 

「さ、湿っぽい話は終わりにしよう。今日はこの後ロキやヘファイストス達と強敵を撃退したお祝いパーティーを計画してるんだ。さぁ行こう。」

 

ヘスティアはそう言ってファミリアの子供達を豊穣の女主人へと連れて行った。

 

 

 

☆★☆★

 

 

 

豊穣の女主人では大宴会が繰り広げられている。

ロキは酔っ払いアイズに抱きつこうとし、交わされている

ヘスティアはベルに抱きつきそれをリリがとめようと引っ張る

その光景をヴェルフや命、ヘファイストスがにこやかに見守る

そして、クロはと言うと

 

「そうニャ。 お前も手伝うニャ」

 

皿洗いをしていた

 

「ふう。これで終わりか。」

 

 

そしてクロは一人店を出て町を歩く

 

「もう行くのかい?」

 

その言葉にクロが振り向くとそこにはヘスティア、ヘファイストス、ロキが立っていた。

 

「12年前もそうやってなんも言わずに出て行きよったやろ。うちが怒っとんのはそれや。今度は挨拶ぐらいしてけや。」

 

「ロキ様・・・」

 

「君が外の世界を回って、納得したら戻ってきなよ。君はもうボク達の家族なんだから。」

 

「ヘスティア様・・・」

 

「クロにもステイタスが戻ったんだ。大鎌は持ち歩けないにしてもこれなら持っていけるだろう?」

 

「ヘファイストス様・・・」

 

そうしてクロはオラリオから旅立つ。

ロキに別れの挨拶をし、ヘファイストスに貰った剣を持ち、ヘスティアにいつか戻ってくると約束して。

 

「まぁ戻ってきたらウチのファミリアに改宗してもええしな。」

 

「ちょっ、このロキ無乳はなにを言い出すのかな。」

 

「なんやてドちびぃ?」

 

「まぁまぁ2人とも。でも私のところに改宗しても・・・」

 

「「ヘファイストスぅ」」

 

 

 

 

これは青年が再出発するための最初の1ページ

何年後か、再び紡がれるであろう【眷属の物語(ファミリア・ミィス)

 

 

 

 

 

 

「ただいま。ヘスティア様。」

 

 

 

 

 

 

 





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