艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

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第八話 9 観艦式 後編

観艦式第一陣が退場し、一旦照明が落とされる。

その中を慌しく金剛型4姉妹が位置に向かう。

 

直近の観客はその衣装から歌うのが誰なのか察するが、そこは言わないのが花。

黙って金剛たちが歌い始めるのを待つ。

 

やがて、ノリのいい音楽が鳴り出し、金剛たちに照明が降り注ぐ。

 

「Yeah! みんな、いっきマースよー!」

「「「ヒャッハー!!」」」

 

金剛の掛け声に観客達が轟声をあげる。

観客はみんなここまで来る剛の者、艦娘の歌は全てインプット済み。

「三式弾!三式弾!」「徹甲弾!徹甲弾!」と金剛たちが掛け声を上げるたびに、轟声がビッグサイト中に響く。

最後の4人の「Burning Love!」には観客のほぼ全員が合わせて声を上げていた。

 

「ありがとネー! 観艦式はまだまだ続くヨー!」

「皆さん、宜しくお願いしまーす!」

「ありがとうございます、榛名は大丈夫です!」

「マイクチェック終了! 皆さん、ありがとうございます!」

「「「ヒャッハー!!」」」

 

金剛たちの声に大声で応える、観客。

場を暖める役目は十分に果たした。

 

 

続いて、歌唱任務に当たるものが登壇する。

それに先立って、解体するときの不吉な音が流れる。

だが、それこそが彼女の代名詞、彼女のBGMなのだ。

 

「みんな~、いっくよ~」

 

それでもめげない彼女こそ、艦娘のアイドルにふさわしい。

不屈の魂こそが艦娘には必要と、心で、身体で、魂で表現する彼女。

彼女以外に、アイドルが存在するだろうか?

 

「「「那珂ちゃーん!!」」」

 

否! と言わんばかりに怒号が会場を包む。

さあ、準備は整った。

彼女の、那珂の、出番だ。

 

「歌うは勿論! 恋の2-4-11!!」

「「「ヒャッハー!!」」」

 

そして歌う那珂。

それは特別なアナタに魅了された那珂のお話。

 

「私は貴方のことが、世界で一番、大好きだよ!」

 

それはアナタだよと、観客に向かってそう歌う那珂。

 

「スキ! ダイスキ! セカイイチアナタガスキ!」

 

だけれども、那珂の頭の中には大神がチラついている。

アナタという呼びかけにも大神の姿が、浮かぶ。

 

ううん、ダメよ、那珂。

それは今日だけは表に出しちゃダメ、だって那珂は、

 

「アイドルなんだもん!!」

「那珂ちゃーん!!」

 

プロ根性勇ましく、最後まで歌いきる那珂。

歓声が鳴り止まない。

 

「みんな~、観艦式最後まで楽しんでね♪」

「「「ヒャッハー!!」」」

 

そして那珂は舞台袖に引っ込んでいく。

 

 

 

間髪いれずに、第二陣がステージ上に登壇してくる。

 

第二陣は初春、子日、若葉、初霜、瑞鳳、長門、陸奥、島風、球磨、多摩、木曾、川内、神通、那珂、鳳翔、最上、青葉、暁、響、雷、電、大和、秋雲、夕雲、巻雲、長波、由良、白露、時雨、村雨、夕立

 

連合艦隊旗艦として有名だった長門、その過激なコスチュームで有名な島風、その道の人に大人気な暁たち第6駆逐隊、そして言うに及ばず超有名な戦艦大和が次々と出て、その度に会場が喝采が包む。

 

そして歌唱2、観艦式第三陣、歌唱3、観艦式第四陣と観艦式は進行していく。

 

 

 

艦娘の主だった登場が終わり、残りはラストの歌唱とアンコールを残すのみか。

観客がそう思ったところで、物悲しげな運命をはらんだ歌が連続する。

 

『暁の水平線に』

『二羽鶴』

『Let's not say "good-bye"』

 

艦としての、艦娘としての運命からは逃れられない、そんな歌が連続したとき、

 

「そんなことは無い! 変えられない運命など存在ない!! 提督華撃団、全員必ず帰投せよ!」

 

大神の声が会場に響き渡る。

そして爆音と共に、センターステージに大神の姿が現れる。

構成には無かった大神の声に、事態に慌てるスタッフ達だったが、そこはプロ。

 

予定通り、勇ましい音楽が流れ出す。

 

それは愛と共に正義を示す戦士の歌。

 

間奏に入っても、大神の心意気は変わらない。

 

正義を、希望を掲げ刃を振るう男の姿に魅入られる観客たち。

 

「俺たちは世界の、人々の平和のため戦う!!

たとえ それがどんな絶望にまみれた戦いであっても

俺たちは一歩も引かない! そして絶対に勝つ!!

それが提督華撃団なんだ!! 全員、必ず帰投せよ!!」

「「「了解!!」」」

 

舞台へと引き込んだ艦娘たちが、大神の声に引かれ裏手から声を上げる。

本来はアンコールのときにする筈の返しの手だったが、リハーサルに無かった大神の声に、艦娘誰一人として声を出さずにはいられなかった。

 

そして、全艦娘がステージ上に上がり出てきて大神と一緒に歌い始める。

 

虹の色を染め上げる戦士の歌を。

悪を滅ぼし正義を示す戦士の歌を。

 

それこそが提督華撃団であると。

 

 

 

歌い終えたとき、間髪をいれずに拍手が聞こえた。

その打ち手は他ならぬ大元帥閣下であった。

続いて、米田が、山口が、花組が拍手を鳴らし、その波は全体へと広がっていく。

 

全体に礼を繰り返す艦娘と大神。

しかし、大神と艦娘たちの胸中は一つの想いで一致していた。

 

『吹雪くん、ゴメン!!』

 

そう、本来のラスト曲は『吹雪』だったのだ。

けれども、この状況でラスト曲を歌いなおすなんてできない。

もう完全に終わりの雰囲気だ。

今更、「ラスト曲は吹雪です」だなんていえない。

 

イヤホンから聞こえるスタッフの悲鳴に耳を傾けながら、小さくアンコール構成を見直します、とスタッフが発狂しそうな回答を告げる大神。

 

どうしようと躊躇う艦娘に視線で合図して、観客に向かいありがとうございましたと全員で礼を告げる。

舞台の袖に引き下がりながらふと米田に視線を向けると、ニヤニヤと笑っていた。

この状況を分かっているのだろう。

 

今ばかりは米田を蹴っ飛ばしたいと思う大神であった。

 

 

 

そして、吹雪はアンコールとして歌われ、最後は予定通り提督との絆(艦娘全員版)で締めるのであった。

 




進行表作っておかないと自分が訳分かんなくなるのでw
観艦式の当初予定構成は以下の通りです。結構飛ばしましたがw
実際の艦これ観艦式ではトークパートがある代わり、こんなに歌ってないですwww


第一陣
加賀、天龍、龍田、長良、五十鈴、名取、利根、筑摩、蒼龍、飛龍、吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、磯波、伊勢、日向、大井、北上、古鷹、加古、飛鷹、隼鷹、鹿島、大淀

歌唱1
『進め!金剛型四姉妹 金剛4姉妹』
『恋の2-4-11 那珂』

第二陣
初春、子日、若葉、初霜、瑞鳳、長門、陸奥、島風、球磨、多摩、木曾、川内、神通、那珂、鳳翔、最上、青葉、暁、響、雷、電、大和、秋雲、夕雲、巻雲、長波、由良、白露、時雨、村雨、夕立

歌唱2
『初恋!水雷戦隊 那珂』
『Bright Shower Days 吹雪 睦月 夕立』
『提督との絆 金剛4姉妹』

第3陣
妙高、那智、足柄、羽黒、五月雨、涼風、祥鳳、明石、綾波、敷波、金剛、比叡、榛名、霧島、高雄、愛宕、摩耶、鳥海、三隈、衣笠、大鳳、あきつ丸、翔鶴、瑞鶴、鬼怒、阿武隈、阿賀野、能代、矢矧

歌唱3
『鎮守府の朝 6駆』
『華の二水戦 神通 那珂 川内』
『どこまでも響くハラショー 響』

第4陣
朧、曙、漣、潮、龍驤、睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、長月、菊月、三日月、望月、扶桑、山城、陽炎、不知火、黒潮、雪風、夕張、舞風、鈴谷、熊野、間宮、伊良湖、武蔵、千歳、千代田、朝潮、大潮、満潮、荒潮、霰、霞

歌唱4
『暁の水平線に 赤城 翔鶴』
『二羽鶴 瑞鶴 翔鶴』
『Let's not say "good-bye" 艦娘特別艦隊』

第5陣
大神

『檄! 提督華撃団 大神』
『吹雪 吹雪型』


アンコール
『檄! 提督華撃団(艦娘全員版)』
『提督との絆(艦娘全員版)』
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