艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

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大変長らくお待たせしました。



第十一話 9 プールサイドの天使たち(前哨戦)

その日、決戦の日の朝。

金剛型の部屋で最も早く目を覚ました者は、榛名であった。

 

「時間は、まだ早いですね……大神さんの剣術の稽古もありませんし、もう一眠り……」

 

まだ薄暗い、早朝といって良い時間。

そう言って目を瞑る榛名であったが、言葉とは裏腹に意識は完全に覚醒してしまったらしい。

 

「隊長~、私の~、Swimming wearはどう~デースカ~? え~? うぇへへへ~、可愛い~デスッテ~? たいちょ~もっと見てくだサーイ~」

 

姉の寝言を子守唄に寝ようとしたが、眠りにはなかなか就けない。

 

あるものの状態がふと気になって。

 

やがて榛名は諦めて、昨晩姉に見つからないように枕の下に隠してしまったものを取り出した。

袋から取り出したそれは、昨日、艦娘が水着を買うために鎮守府を出払っている隙に、こっそり酒保で購入した白のビキニであった。

隠す場所に困って、つい枕の下に隠してしまったが、もししわが付いてしまっていたらどうしようかと今更になって確認する榛名。

もし水着がしわくちゃになっていたら、大神の前になんて出れっこない。

 

「良かった、しわは付いてなさそうね……」

 

自分に言い聞かせるように声に出す榛名であったが、専門店に赴いた訳ではなく酒保でこっそり購入したものなので、きちんと試着などをした訳ではない。

 

サイズは合っているだろうか。

 

そもそもビキニは大胆ではないだろうか。

 

白の水着だなんて肌が透けて見えてしまわないだろうか。

 

など、一度水着のことが、いや水着を着た自分がどう思われるか気になりだすともう止まらない。

 

「お姉さまたちと一緒に水着を選んだほうが良かったかしら……ううん、ダメよ榛名。お姉さまたちと一緒に選んだら、遠慮して控えめにしないといけないから。今回だけは」

 

姉に流されがちな自分を理解していたからこその、榛名の発言。

だが、こっそり金剛を出し抜いたらより不味いことになりそうな気もするのだが、榛名はその事に気が付いていないようだ。

そして、寝巻きからいつもの制服、ではなく白のビキニに着替える。

身鏡の前に立ち、ビキニを着た自らの状態を確認する。

 

「変なところは……なさそうね。あ、でも少し肌色が透けてるかしら?」

 

パッと見、透けてはいないように見えるのだが、榛名の目にはそう写ったようだ。

少し水着の端を引っ張ったりして確認するが、やはり一度気になったものは透けているように見えてしまうらしい。

はしたない女と思われたらどうしよう。

そう身鏡の前で考え込む榛名。

 

「困ったわね……このままだと、プールに入ったら胸とか透けて見えてしまうかも。どうしたら……そうだわ!」

 

ぽんと手を打ち鳴らすと、榛名はタンスからビキニと同じ白のパレオとパーカーを取り出す。

そして、両者を身に付ける。

果たして、水着の透け具合は気にはならなくなった。

だが、せっかくの水着が台無しのような気がするのは気のせいではないだろう。

 

「これで完璧ね!」

「そんな訳ないデース! 榛名ー、私たちに内緒でこっそり水着買っておいて、オチがそれってあんまりデース!!」

 

金剛が袖を通したばかりのパーカーを脱がせて、榛名の胸を鷲掴みにする。

 

「きゃあああっ!? お姉さま? いつ起きていたのですか!?」

「もう起床時間デース! せっかくの榛名のおしゃれ、黙って見て見ぬ振りをしようと思いましたが、時間を忘れるくらい鏡の前で考え込んだ結論がパーカーだなんて、ありえないデース!!」

 

榛名が振り向くと、比叡も霧島もとっくに目を覚ましていたようだ、苦笑していた。

姉妹3人の目の前で、気付かれてないと思いひとり水着を披露していたことに気付き、榛名の頬が赤くなる。

 

「だ、だって! 肌とか乳首がもし透けて見えてたら恥ずかしくって!!」

「そこを恥ずかしがるなら、なんで白なんて買ったんデスカー! 榛名! 姉を出し抜こうとした罰デース! このパーカーとパレオは没収するから、そのビキニで隊長の前に行きなサーイ!!」

「えええっ!? そ、そんな? 榛名、そんな恥ずかしいこと!!」

 

そして、金剛はパーカーとパレオを榛名の身から奪い取る。

ビキニのみになった榛名は金剛の手から逃れようと抵抗した為か若干汗をかいており、艶かしい。

普通の男なら黙っていないだろう。

 

――けれども、

 

「水着を買ったのは私たちだけではないのデース! 恥ずかしがってたら、せっかくの榛名の水着も他の艦娘たちに埋没してしまうヨ? 言いたくないけど、鹿島とか……」

 

昨日、鹿島はお台場の水着売り場で、紅の水着を手に取っていた。

鹿島の銀髪、白い肌にそれは良く似合うであろう。

 

『今年は大胆に行こうかしら?』

 

呟いていたその言葉からすると、大神は去年までの4年間、鹿島の水着を見て来たに違いない。

なら、並大抵の水着姿では動じない筈だ。

 

恥ずかしがっている余地などない。

 

「大胆に攻めないといけないのデース、少なくとも鹿島以上に! 鹿島には、アイツだけには絶対に負けまセーン!」

 

両目に炎を燃やして燃え上がっている金剛。

それにつられて榛名の心にも火が灯る。

 

「そうですよね! 大神さんは、鹿島さんには渡せません! 鹿島さんの匂いはさせません!!」

 

 

 

そう言った榛名も、

 

 

 

「よく言ったのデース! 隊長の両脇は私たちで独占するのデース、榛名!!」

 

 

 

榛名の言葉に頷いた金剛も、

 

 

 

「大神くーん、どうですか、この水着?」

 

 

 

プールに現れた大神に真っ先に飛びついた鹿島も、

 

 

 

伊良湖を除く全艦娘が度肝を抜かれる。

 

 

 

 

 

「大神さん、どうでしょう? 似合いますか?」

 

 

 

 

 

 

そう言ってプールに現れた間宮の、色気溢れる黒いビキニ姿に。




時間が空いたので先ずは軽くジャブから

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