艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

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第十二話 15 初夜、はじめてのやせん

シベリア鉄道で、大神さんは自分の『結婚してほしい』と言った発言を翻さなかった。

一度結婚を申し込み、それを私が受け入れた以上、それをなかったことにするなんて出来ないと。

訪欧派遣任務を速攻で終わらせ、日本に戻ってから、私のために全力で奔走する大神さん。

恋人としての大神さんとの時間、それは甘い甘い誘惑。

 

 

 

そんなある夜、大神さんの車で横浜に連れ出される。

横浜の夜景を一望できる大桟橋に辿り着くとカップルが一杯。

私たちもそんなカップルに見られているのかな、って大神さんと腕を組んでいるし当然か。

えへへ、私は大神さんの恋人なんだ、と改めて実感。

なんだけどどこかふわふわした気分。

なんでだろ。

ブルーライトに照らされたウッドデッキを歩き、段差に腰掛けると、大神さんが私の肩を引き寄せてきた。

肩を寄せ合い夜景を眺める私たち。

 

「綺麗だね」

「うん、綺麗」

 

なのに、

 

「ごめんなさい、大神さん」

 

口を付いて出たのは大神さんへの謝罪の言葉だった。

 

「川内? シベリア鉄道でのことなら俺はもう気にしていないよ」

「でも、私は軽い気持ちで、大神さんを、だまして……」

 

罪悪感に駆られて、涙をポロポロ流す私。

そうだ、私はずっと、ずっと罪悪感に駆られていたんだ、懺悔したかったんだ。

でも、大神さんはそんな私の目にキスをした。

 

「例え勘違いで、間違いで始まった恋だとしても、俺は君が好きなんだ、川内」

 

ああ、

 

「愛しているんだ、川内。だから――」

 

ああ、

 

「改めて言うよ、川内。俺と結婚して欲しい」

 

改めて私に、本当のプロポーズをする大神さんの姿に涙がこぼれてしまう。

今度は嬉しくて。

 

ダメだ。

やっぱり私も大神さんが好きなんだ、傍に居たいんだ。

恋人として過ごして分かった、ずっと、ずっと傍に居たい。

大神さんの傍にずっと居たい。

 

だから、だから私は――

 

「はいっ、喜んで」

 

大神さんに抱きつきながら、そのプロポーズを受けたのだった。

周囲が私たちのことを囃し立てるが気にならない。

大神さんと深いキスを何度も何度も交わした。

 

 

 

それから、私は本当の意味で大神さんの婚約者になった。

大神さんの実家に行ったり、永井さんに父親代わりになってもらうことを頼んだり。

でも結婚式で、永井さんは本当の娘が嫁に行くときのように泣いてくれた。

 

結婚式場は帝國ホテルのチャペルで。

ウェディングドレスはレンタルではなく、私のためのものをオーダーメイド。

みんなに祝福されて、私たちは誓いのキスを交わすのだった。

 

 

 

そして、その夜、私たちはホテルの一室に居た。

 

これからすることは分かっている。

本当の意味で私は大神さんのものになる。

 

シャワーを浴びたばかりの私をそっと抱き寄せる大神さん。

少し濡れている髪に指を絡められ、頬にキスをされる。

 

膝の上に抱き上げられ、何度も何度もキスを重ねる。

そのたびに愛おしさがこみ上げてしまう。

 

そして、私の身体はベッドに沈められていた。

これから、私は……でも少しも怖くはない。

大神さんの瞳を見つめて言う。

 

「大神さん、私、とっても、幸せだよ、大好き♡」

 

その答え代わりに大神さんは私の体にキスの雨を降らせる。

 

……そして私たちは今までよりずっと仲良しになったのだった。

 

『初夜 は じ め て の や せ ん ♡』

 

 

 

 

 

二人の言葉と共に大神たちから天へと霊力が放たれる。

それに誘引されるように、天井から橙色と白き光の柱が水面へと降り立つ。

光の柱は急速に広がり、交じり合っていく。

 

その太陽の光にも似た光の柱に触れた北海は、深海棲艦は次々と浄化されていく。

そして、光の柱が消え去ったときには北海の全ての海域は浄化されていた。

 

深海棲艦の居ない静かな海が一時的とは言え北海に戻ったのだ。

 

 

 

「…………」

「……」

 

だが、合体技とは言え、駆逐艦には目の毒な光景だったようだ。

レーベとマックスは顔を赤らめて視線を大神たちから逸らしている。

 

ビスマルクもプリンツもグラーフさえも顔を真っ赤にしている。

 

川内はやりすぎてしまったようだ。




と言うわけで合体技でした。他の艦娘の反応書くと洒落にならないので割愛。
川内がマジで殺されてしまう、どーしよ(^^;
にしてもギャグ夜戦封じすると川内の合体技すごい難産でした。

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