艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

165 / 227
第十二話 終 私が一から教えてあげる!

浄化されて深海棲艦の居ない静かな海へと戻った北海。

恐らくは、多数の艦娘が沿岸の港から出された船によって今頃救出されているだろう。

大神もそれに混じって救出を行いたいところだったが、ビスマルクたちの残った燃料は心許ない。

ここでビスマルクたちを放り出してしまうのは本末転倒となってしまうので、大神たちはダンケルクに帰還することとした。

 

となれば、その前にしなければならないことがある。

 

「みんな、ダンケルクに帰還する前に一つしたいことがあるんだけど良いかい?」

「お、大神さん、アレだね? もっちろんOKだよ!」

「はい、ここでしない手はありませんね」

 

大神の提案に早速乗ってくる川内と鳳翔。

 

「イチロー、何をするつもりなの? あれ、こういうのどこかで聞いた様な気が……」

「私も、どこかで聞いたような気がするんですけど……あ! レニちゃんです!!」

 

既視感に襲われてしばらく考え込むビスマルクたちだったが、プリンツがようやく思い出した。

ポンと手を打ち、大きく頷く、プリンツに賛同するビスマルク。

 

「そうよ、レニよ! え、でも、ちょっと待って、じゃあレニの言っていた隊長って……」

「もしかして、アドミラルさんなの?」

 

レニが度々話していた大神の男らしさ、かっこよさなどがビスマルクたちの脳裏に蘇ってくる。

話の中の存在だった、どんな絶望的な状況でも一歩も引かず、勝利をもたらした男が、

希望を掲げ、全員を必ず帰還せしめ奇跡をもたらした男の存在が、大神と重なっていく。

 

どうしよう、話の中の存在だと思っていたのにこんな近くに居るなんて。

それに自分で思い描いていたよりもずっとかっこいい。

 

ビスマルクたちの頬が紅潮していく。

更につい最近レニが嬉しそうに話した言葉がもう一度聞こえてくる。

 

『違う! ビスマルク、人は信じられる存在なんだ!!』

『俺たちは、自分が愛する大切な人を守るために戦うんだ!』

『君たち艦娘は機械なんかじゃない。自分の意思で戦えばいいんだ! 君たちの……大切なものを守るために!』

『戻ってこいビスマルク! 俺たちのところに……仲間のところに……みんなのところに!!』

 

「「「ぽ~」」」

 

話を聞いて憧れていた隊長が、大神その人が目の前に居る。

我を忘れ、顔を赤らめて大神を見やるドイツ艦娘たち。

 

「で、みんな良いかな?」

「えっ、も、もちろんよ、イチロー!」

 

大神の問いの声に我に返るビスマルクたち。

大神がレニの言う隊長だというのなら、次にすることは分かっている。

もちろんやらない理由なんてない。

 

「じゃあ、いくよ、みんな。せぇの――」

 

 

 

「「「勝利のポーズきめっ!」」」

 

 

 

そうして、大神たちはダンケルクへと帰還するのであった。

 

しばらく後、ダンケルクへと帰還した大神を待っていたのは街中の人々の喝采であった。

ドイツ艦娘の救出だけではない、一時的なものとは言え北海の深海棲艦からの開放、これに沸き立たない人間など居ない。

噂話に過ぎなかった帝國の若き英雄のもたらした奇跡を前に、喜びを分かち合っていた。

勿論、これはダンケルクだけの話ではない。

恐らくは北海の沿岸中の街が沸き立っているだろう。

 

港から陸に上がった大神たちを待っていたのは、大神たちとの握手を求める人々たち。

どうしたものかと一瞬考える大神だったが、ある女性がその場に到着したことで、人波は二つに分かれる。

 

「いきなりやってくれたじゃないか、ムッシュ」

「グラン・マ……どうしてここに?」

「決まっているじゃないか、艦娘を救出し北海を開放した東洋の英雄――黒髪の貴公子の凱旋に私が立ち会わないでどうするのさ? いきなりの任務、ご苦労だったね」

「いえ、こちらこそ光武・海Fの開発ありがとうございました。これがなければ救出はより困難なものになっていたでしょう」

「そうだね、と儀礼的な挨拶はここまででいいね。みんな、もう良いよ」

 

その言葉をきっかけに2歳児の群れがグラン・マの後ろから大神に向けて走り出していく。

 

「お兄ちゃん!」

「隊長、お久しぶりデース!」

「隊長!!」

「大神さーん!」

「隊長!」

「イチロー!」

「久しぶりだね、隊長」

「お久しぶりですわ、隊長」

 

巴里華撃団預かりとなっている花組の面々だ。

 

「アイリス、織姫くん、レニ、エリカくん、グリシーヌ、コクリコ、ロベリア、花火くん! みんな元気だったかい?」

「えへへ、大神さんの姿を見れてエリカ元気百倍です!」

「隊長、貴公の活躍はここフランスにも鳴り響いているぞ!」

「ボクたちはグラン・マに保護されてたから、みんな元気だったよ~。またイチローにあえて嬉しいよ!」

 

思い思いの言葉を大神にかける花組の幼女たち。

そんな彼女たちを見やる大神の視線もどこか優しい。

 

だが、そうするとつまらないのは艦娘たちである。

我慢できなくなったビスマルクが大神の手を引っ張り、その場から連れ出そうとする。

 

「ビスマルクくん? どうしたんだい?」

「もう~、この私を放置するなんて! イチロー! あなたには私が一から教えてあげる! 大人らしく美しい私の魅力を!!」

 

しかし、自分の発言を囃し立てられて、直ぐに真っ赤になるビスマルクであった。

 

 

 

 

 

次回予告

 

怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物にならないように気をつけなくてはならない。

おまえが深淵をのぞく時、深淵もまた等しくおまえをのぞいているのだ。

 

次回、艦これ大戦十三話

 

「深淵の門」

 

人間も艦娘も等しく深淵に架けられた一本の綱である。

 

「スベテヨ……シンエンニ……シズムガイイッ!!」

 

 

 

 

 

好感度(欧州編)

川内    100

鳳翔    100

ビスマルク  95

プリンツ   55

グラーフ   50

レーベ    45

ゆー     40

マックス   35




対象数が少ないので欧州編は全艦娘の好感度は本編に記載します。
ビスマルクのチョロさを思い知れー。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。