艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

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第十三話 8 トゥーロンでの一日4(特訓編)

「イチロー、候補の艦娘と一人ずつデートしましょう!!」

 

そう大神にいったビスマルク、中にはこんな思惑が渦巻いていた。

イチローとデートして、もっとお互いを知り合って、身体的接触も増やせれば……ぐへへ。

思惑と言うか、欲望が全開である。

 

「ちょっと待ったデース!」

 

しかし、そんなビスマルクに待ったをかけるウォースパイト、キミ金剛じゃないよね?

 

「なによ、ウォースパイト。あなたはイチローとデ-トしたくないって言うの?」

「勿論したいですよ」

「なら、邪魔しないでよ。別に貴方はイチローとデートできないわけじゃないし……」

「……でも、今は、合体技をどうすれば使えるようになるか議論するときよ。デートのような迂遠な方法よりもっと良い訓練方法があるの!」

「「「な、なんだってー!!」」」

 

思わず某MMRのように驚きの表情を見せる艦娘たち。

でも、ノストラダムスとか、マヤとか、適当な日時でっち上げて人類滅亡するとは言いません。

 

「既に大神と、艦娘の合体技には多数の前例があるわ! 私たちに必要なのは、合体技をするときの艦娘の心情を少しでも深く理解することよ!」

「でも、どうやって理解すれば……」

「こんなこともあろうかと、グラン・マに今まで使われた日本の艦娘とオオガミの合体技の台詞集を準備していただきました! これを元に再現すれば良いの!! 早速――」

「待ってくれ!」

 

今度は大神がウォースパイトに待ったをかける。

 

「どうしました、オオガミ?」

「……一応確認させてくれ。その台詞集だけど、俺のパートも入っているのかな?」

「勿論。オオガミと私たちの合体技ですから、オオガミにも手伝ってもらいますよ?」

 

ぐふぅ。

 

そう言って、大神はテーブルに崩れ落ちる。

 

「イチロー!?」

 

ビスマルクが呼びかけるが、遠くから話しかけられているかのように意識が遠のく。

あれらの合体技を素面でやれと言うのか。

川内の初夜とか、瑞鶴へのセクハラとか、他多数の色々イヤーンな合体技を。

 

……

 

…………無理だ。

 

あんな、羞恥心を全て投げ捨てたような真似、素面の自分には。

 

そう顔を上げると、ポーラが休憩に飲もうと持ってきたワインがデキャンタに入れられていた。

 

ワイン。

 

お酒。

 

もうこれしかない。

 

「ポーラくん、ゴメン!!」

 

そう決めた大神はデキャンタのワインを飲み始めた。

 

「あー! 提督、ポーラの大事な大事なワインを飲んじゃうなんてー!!」

 

取って置きのワインを飲まれたポーラが嘆きの声を上げる。

だが、即酔っ払った大神はビクともしない。

 

「夕食はその分追加でお酒を飲むのを隊長権限で許可する、ポーラくん一緒に飲もう!」

 

瓶半分ほどのワインを飲んだ大神は当然の如く酔っ払い、よりにもよって言っちゃならない事を言い出し始めた。

 

「え? 良いんですか? ポーラ、お酒飲んでも良いんですか!?」

「ああ! 俺が酌をするよ!」

「えへへ、それなら許しちゃいます~。大神さん、ポーラのワイン飲んでも良いですよ~」

 

そうポーラが良い終える頃には、大神はデキャンタのワインを飲みきっていた。

良い気分だ、今なら合体技の時のテンションを維持できるだろう。

 

「ウォースパイトくん。俺の今のテンションが抜けないうちに、合体技の特訓をしよう!!」

「オオガミ、素面じゃ出来ないからってそこまでして……分かったわ、時間も限られているし台詞集に基づいてやるわ!! 誰がどの合体技をやるか、ついでに順番もサイコロで決めましょう!」

 

決まった台詞の本読みの内容、順番は以下の通りである。

 

グラーフ    :瑞鶴

ビスマルク   :明石

ウォースパイト :川内

プリンツ    :鳳翔

 

 

 

グラーフ:

 

先ずはグラーフからの本読みが始まる。

なのだが、大神は台本を持っていない。

一度自分自身が言った事とは言え、本なしで出来るものなのだろうか。

 

「アドミラル? 本読みなのだから、台本を持たないと駄目なのでは?」

「いや、曲がりなりにも以前一度は言ったことだからね、大丈夫だよ。君に合わせるならむしろ台本は邪魔だから構わないさ」

「そうか。すまないが、自分には台本が必要――な、なんだ! この内容は!?」

 

そこで初めて台本に目を通したグラーフが顔を真っ赤に染める。

 

「これを、日本の艦娘――ズィーカクはアドミラルとやったと言うのか!?」

「そうだよ、グラーフくん」

「え、あ、なぁっ? アドミラル?」

 

そして大神はグラーフを後ろから抱き締めた。

瑞鶴と異なり柔らかな起伏にとんだ身体のラインに沿って大神の手が回される。

驚いたグラーフが逃げ出さないようにぎゅっと、力強く。

 

「アドミラル……ダ、ダメだ、みんなが、ビスマルクが見ている」

 

大神にぎゅっと後ろから抱き締められて、赤面したグラーフ。

そんなグラーフが可愛らしく思える。

どんな反応をするのか見たくなって、大神はグラーフの耳元にふっと息を吹きかけた。

 

「ひゃあぁっ!? アドミラル、そんな行為は台本には一ページもない……ぞっ?」

「アドリブだよ、さあ、グラーフくん、どうするかい?」

 

それでも、グラーフは必死に台本に目を通し、台詞を読み上げる。

グラーフは後ろの大神へと視線をやり、上目遣いでお願いする。

 

「アドミラル、いや、オオガミ。さっきの続きがしたいのだ……」

「さっきって何のことだい?」

 

そうとぼけながら、大神はグラーフのうなじにキスをする。

結い上げた髪によってむき出しになったグラーフのうなじは艶やかで実に美味しそうだ。

大神はついでとばかりに舐める。

 

「やぁっ! アドミラル、それも台本には書いてない……ひゃんっ!?」

 

大神の腕の中で身体を震わせるグラーフ。

でも、大神はグラーフをしっかりと抱き締め、逃げ出すことを許してくれない。

 

「ひゃうっ!? アドミラル、そこはちがっ……!」

「じゃあ、こっちかな?」

「きゃんっ!」

 

今度はグラーフの耳を甘噛みする大神。

グラーフは身をくねらせるが、腰に回された大神の手は力強く逃れることは出来ない。

いや、グラーフも本気で逃げるつもりはないのかもしれない、一応台本に書かれていることだし。

それを良い事にもう片方の耳も甘噛みする大神。

 

「やっ! オオガミ……あんまり……意地悪しないでくれ……」

「意地悪なんてしていないよ。グラーフくんが可愛いからちょっと悪戯してるだけさ」

「やぁんっ!」

 

さらにグラーフの首筋を吸い上げ幾つもキスマークをつくり、服を肌蹴させ鎖骨を舐め上げる。

そうするとグラーフの胸の谷間も良く見えるようになる、瑞鶴と異なり豊かな谷間が。

一瞬、その魅力に大神は吸い寄せられるが、そこは練習の範囲外と己を保つ。

ってか、まだ正気あったのね、大神さん。

 

「あぁんっ! はぁはぁ……ひぅぅ……ひゃぅぅ……」

「オオガミとアドミラル、どっちがキミの本心なのかな? 言ってくれるまでは――」

 

肌蹴て胸が覗く衣服をそのままに、全身を朱に染めたグラーフ。

だが、大神の悪戯は止まらない、力が完全に抜けて、崩れ落ちそうになるグラーフの身体。

大神に寄りかかり荒い息を吐き出す。

そんなグラーフを後ろから抱き上げ、首回りに限定して悪戯を続ける大神。

瑞鶴と違ってその辺、範囲を広げるといろんな意味で危険だからだ、ビスマルクの視線とか。

 

やがて、ぽろぽろとグラーフは涙を流し始める。

台本にあるからではない、本当の涙だ。

 

「ひどい……オオガミ。ちゃんと言うから、もう悪戯しないでくれ……キスしてほしいんだ……」

「ごめん、グラーフくん。ちょっと意地悪しすぎた」

 

そう言って大神は正面からグラーフを抱き締めなおすと、グラーフの涙の痕にキスの雨を降らせる。

 

「ああ、オオガミ……もっと、もっとキスが欲しいんだ。耳やうなじじゃ物足りないんだ」

「分かったよ、グラーフくん」

 

大神がグラーフの顎に手をやり僅かに引き上げる。

 

「オオガミ……」

「グラーフくん……」

 

そしてグラーフがゆっくりと目を閉じる。

 

『キスの続き・グラーフ版』

 

 

 

そして桃色の霊力が炸裂した。

 

 

 

「よしっ! 成功だ、グラーフくん!!」

 

不完全ながらも合体技の発動に喜ぶ大神。

 

「ふふふ、そうか成功か……でも、なんでだろうな。今、私はとてもアドミラルを爆撃したくて仕方がないんだ。これもズィーカクの影響かな?」

「え?」

「全機爆装! 攻撃隊発艦始め! 乙女の純情を弄んだ罪晴らさせてもらう! 蹴散らすぞ!」

 

大神は黒こげになった。




ワイン飲みながら執筆。
デートとどっちが良かったかなとおもいつつ、続く。
後3人。後になればなるほど脱線するよ。

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