艦これ大戦 ~檄!提督華撃団!~   作:藤津明

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第五話 11 演習、そして決着(呉編)

演習にて艦隊戦を行うことを決めた大神だったが、元警備府の艦娘がその全力を発揮するとなると大神の存在が必要不可欠だ。

自分の着替え部屋にて光武・海を身に付けた大神は、先程まで訓練していた艦娘たちが休憩している休憩室に入っていく。

 

「隊長~、必殺回復技してくれるって聞いて飛んできたよ~、あれ、入渠剤より効くんだよね~」

 

大淀から聞いたか、すっかり必殺回復技の虜になった望月が大神に擦り寄る。

 

「すまない、望月くん。これから演習とは言え艦隊戦があるから、その子達を優先したいんだ」

「え~、じゃあ、艦隊戦の後じゃだめ?」

「そこまで待ってくれるなら良いけど、入渠しないままだと風邪を引いてしまわないかい?」

「う~ん、やっぱり待つ。今日は大神さんの霊力に包まれて寝たい気分なんだよね~」

「分かったよ、望月くんは後でね。じゃあ、艦隊戦のメンバーを発表するよ」

「ちょっと待つデース! 隊長は一番大事なこと伝えてマセーン!」

 

そして金剛は、この戦いの結果次第では呉の大塚司令官が有明鎮守府の司令官代理になるかもしれないとみんなに伝える。

五航戦に、戦艦・重巡もロクに居ない警備府の艦隊では、呉の艦隊に勝てないと言われたことも。

その一言は元警備府の艦娘達の心に火をつけた。

 

「ほほぉ、一航戦様はなかなか言ってくれるじゃねーか」

「ちょっと、ここまで見下されると、那珂ちゃんも頭にきちゃうかなー」

「大神さんが隊長じゃなくなっちゃうなんて、嫌です」

 

元警備府の艦娘たちが口々に自分の思いを口にする。

 

「何で、大神隊長はこんな大事な事を言わなかったんですか?」

 

神通の質問は、もっともな疑問である。

 

「もちろん、今の君たちなら勝てるからだよ。へんな力みなどせずいつもどおり戦って欲しかったんだ」

「なるほど、分かりました」

「あと、君たちの事を良いように言われて少し怒ってしまったのが、ちょっと恥ずかしくてね」

「大神隊長……」

 

鼻の頭をかきながら照れくさそうにする大神に、艦娘たちの笑顔がほころぶ。

ああ、この人は、自分の事であればいくらでも平気なそぶりをするのに、私達のためならこのように感情を露にする。

だから私達はこの人を慕うのだ。

この人以外の人間が隊長になるなんて、考えられない。

 

「向こうの提督にも痛い目にあわせても良いと云われているし、全力でかかるよ」

「「「はい!」」」

 

気力が今までにないほど充実しているのが分かる、負ける気がしない。

 

「では、改めて艦隊戦のメンバーを発表する、まず翔鶴くん」

「はい、もう一航戦の皆さんに近づけるようになんていいません。ギッタンギッタンにして差し上げますわ」

 

云うことが似ているのは流石姉妹と行ったところか。

 

「続いて、瑞鶴くん」

「分かってるわ、隊長さんの下の私達なら一航戦越えだって出来る!」

 

「金剛くん」

「準備万端デース!」

 

「神通くん」

「2水戦の旗艦に恥じない実力、お見せします!」

 

「そして暁くん」

「一人前のレディーとして、全力で優雅に戦うわ」

 

「そして、響くん。君が旗艦だ、頼むよ」

「不死鳥の名は伊達じゃない。大神さんに勝利を届けるよ」

 

2隻も駆逐艦を入れていると云うのに、元警備府の艦娘は誰もその選択に異議を唱えない。

分かっているのだ、これが現在の最強メンバーだと。

 

「それじゃ、先ず君たちを回復するよ。狼虎滅却 金甌無欠!」

 

構えた大神から柔らかな光が溢れ、艦娘たちを回復していく。

 

「うん、やっぱり入渠剤よりこっちの方が良いね、大神さんに包まれている感じがする」

 

「あと作戦についてだけど、今回は空母戦だ。『風』でいこう、みんな」

「「「了解!」」」

「……大佐はなかなかに悪辣だな」

 

その場にいた武蔵が、大神の選択を評する。

呉の艦隊に何一つさせることなく、殲滅するつもりだと分かったからだ。

 

 

 

そして、演習場にお互い準備を整えた両艦隊が居並ぶ。

 

「駆逐艦が旗艦!? 向こうの艦隊は何を考えているの、信じられません」

「失望したわ、勝利は頂いたわね」

 

赤城と加賀は旗艦の位置に立つ響の姿を見て、目を点にしている。

 

「なんとでも言えばいい、大神さんの隊長としての力、味わってもらうよ」

「……何ですって?」

 

響の呟きに嫌な予感を感じた加賀であったが問いただす前に、両者十分な距離を取り開戦の合図が鳴る。

 

「行くよ」

 

両艦隊が動き始める。

両者ともに索敵を完了し、航空戦の準備を行うため、矢を弓に番える。

 

「同規模の空母2隻同士の航空戦、恐らく制空は拮抗」

「と一航戦は思ってるんでしょうね、先ずはその思い込みを粉砕するんだから!」

 

両者から放たれた矢は一瞬の間をおいて艦載機へと転じる。

艦戦・艦攻の割合も同程度。艦載機もほぼ同じ。

しかし、若干大神側の艦載機数が多いようにも見える。

 

「……どういうこと?」

 

大神側の空母は五航戦、これほどの搭載数ではなかったはずだ。

その疑問は実際に航空戦が始まると驚愕へと変わる。

 

こちらが明らかに制空権において劣勢を強いられているのだ。

同じ艦載機であるはずだが、次々と後ろを取られ撃墜マークを付けられている。

 

「どうして? ここまで航空戦の練度で負けていると云うの、一航戦の私達が!?」

 

すぐ隣から、赤城の驚愕の叫びが聞こえる。

けど戦況はそんな行動を許さない。

 

「赤城さん、もうすぐ敵艦攻が来るわ防空戦の用意を。それに敵の旗艦はただの駆逐艦。劣勢とは言え旗艦を落としてしまえばこっちの勝ちだわ」

 

お互いの艦戦による制空網から抜け出た艦攻が敵艦へと向かう。

運よく加賀、赤城の最大スロットに載せた艦攻は航空戦で半数を切ったとは言え響へと向かっていた。

 

「防空駆逐艦でもないただの駆逐艦、頂いたわ」

「甘いよ」

 

響から高角砲が、連装機銃が次々と打ち出され、吸い込まれるように艦載機に命中していく。

そして、

 

「うそ……」

「全機……撃墜…………」

 

最大スロットに設定されていた艦攻全機が響によって撃墜されたと、艦載機との接続が途絶えたことが教えてくれる。

他艦に向かった艦攻が若干残存しているが、これで赤城・加賀の攻撃力は減衰した。

 

更に追い討ちをかけるように、

 

「ぐっ……ああっ!」

「ああっ!……まだ……引けないのに……!」

 

五航戦の艦攻によって妙高と那智に大破マークが付く。

これで艦数では4対6、完全に不利だ。

 

「でも、こちらにはまだ大和さんが!」

 

相手の戦艦は金剛、超長距離砲を積んでない以上、こちらの先攻となる。

これで戦艦、空母を撃ってしまえば、まだ反攻の目はある。

 

「待って、相手の行動が早い、早すぎるの!?」

 

大和からの驚愕の叫びに目を向けると驚異的な速度で間合いをつめる金剛たちの姿。

相手の間合いに入る前に慌てて大和が主砲を向けようとするが、

 

「遅いデース! 隊長のPowerに後押しされた私達の方が早いデース!」

 

金剛の主砲が大和を強く打ち据える。

 

「く……こ、こんな所で大和は沈みません……!」

「そんな、金剛型の一撃で大和が中破に? でも、今度は私達の手順――」

「いいえ、貴方達の番は訪れません! 弾着観測……行きます!!」

 

既に主砲を構えた神通が更に大和を打ち据える。

 

「きゃああーっ!!」

 

神通の一撃によって大和にまで大破マークが付く。

これで残るは一航戦と羽黒だけだ。

 

「どうして、どうして私達の攻勢が封じられるの!?」

「これが隊長の、大神さんの力です!」

「そんな……そんなことって」

 

畳み掛けるように翔鶴の爆撃が羽黒を襲う。

 

「こないでーっ! ダメ……見ないで……見ないでぇー!」

「大神さんは見ちゃダメです!」

「ちょっと、うわっ、目が、目がーっ!?」

 

翔鶴の爆撃によりあられもない姿となった羽黒を、大神の視界から遮らんと大神に目潰しを喰らわせる睦月。

 

「見たか一航戦! これが隊長さんと五航戦の本当の力よ! 瑞鶴達には軍神が付いていてくれるんだから!!」

「そんな、一航戦の誇り……こんなところで失うわけには……」

 

間髪を入れずに、瑞鶴の爆撃が赤城を大破に追い込む。

 

「そんな……でも、残りは駆逐艦、攻勢に出れないのならここを耐えてせめて一矢報いるわ」

 

加賀は身構えて、既に攻撃準備に入っている暁の砲撃に耐えようとする。

本来であればろくな打撃とはならない筈だ。

しかし、

 

「攻撃するからね!」

「甲板に火の手が。そんな……駆逐艦程度の砲撃で」

 

暁の砲撃によって中波寸前に追い込まれる加賀。

残るは敵旗艦である響、せめて、せめて一矢報いようと弓を構えようとする加賀だったが、

 

「残念だけど貴方達の番は訪れない、これで終わりだよ」

「飛行甲板に直撃。そんな……馬鹿な」

 

加賀にも大破マークが付く。

 

「残念だけどこれが事実だよ。大神さんの下では私達駆逐艦だって、空母・戦艦と互角以上に戦えるんだ!」

 

一航戦、大和型、重巡3隻に対しての完全勝利。

それが響の言葉を何よりも強く物語っていた。




さて、好感度補正の具体的効果を響、金剛、瑞鶴を例にパラメータ出します。
結論から云うと、%補正でなく、そのまま合算となります(0は0のまま)。

え、大神さんより強くね? 

好感度補正込みだとヒロインが大神さんより強くなるのは、サクラ大戦からの仕様です


響 好感度71

    素 補正後
耐久 30→101
火力 39→110
装甲 44→115
雷装 67→138
回避 89→160
対空 45→116
搭載  0
対潜 40→111
速力 高速
索敵 26→97
射程 短
運  12

命中   +71%
防空率  +71%

何この防空駆逐戦艦w 清霜が居たら泣いて喜びそうな異常パラメータwww
重巡では勿論相手になりません。
下手な空母で攻撃仕掛けても、全機撃墜されるだけです。


金剛 好感度49

    素 補正後
耐久 75→124
火力 91→140
装甲 85→134
雷装  0
回避 62→111
対空 69→118
搭載 12→ 61
対潜  0
速力 高速
索敵 39→ 88
射程 長
運  12

命中   +49%
防空率  +49%

大和とガチで殴り合える高速戦艦ですw
いや、命中回避の分明らかに有利です。
あと、恐怖の搭載61www


瑞鶴 好感度22

    素 補正後
耐久 75→ 97
火力 39→ 61
装甲 70→ 92
雷装  0
回避 77→ 99
対空 75→ 97
搭載 84→106
対潜  0
速力 高速
索敵 82→104
射程 短
運  42

命中   +22%
防空率  +22%

特筆すべきは搭載数、加賀越えw
一本の矢が複数の艦載機に変化するアニメ描写から、増加可と判断しました。



あと、もう一つの勝利の鍵 
作戦効果『風林火山』について、
光武・海の機能。大神の霊力に指向性を持たせることで艦隊の力を限定的に引き出すようにしたもの(好感度補正とは重複してかかる)

『風』:制空力50%UP、絶対先制(こちらの攻撃が全て終わるまで敵攻撃不可)、敵攻撃が必中
『林』:全能力20%UP
『火』:攻撃力50%UP、火力キャップ無効化
『山』:防御力50%UP、絶対後攻(敵の攻撃が全て終わってから行動開始)、必中

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