黄金の闘技を模倣する者   作:0・The Fool

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感想、及び誤字指摘頂きました、月乃杜様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


自分の罪を数えろ

 

 

 

「カウス様。お手紙が届いております。」

 

「ジョセットちゃん。ありがとう。」

 

 恭しく差し出した2通の手紙を受け取りメイド姿のジョセットちゃんに礼を言い自室へ戻る。その際、頭を撫でたのだが、顔を赤らめて俯かれるだけだった。

 

 さて、誰からだろうな?手紙には、カウス様へとしか、書かれていない。1通は見覚えのある筆跡なのですぐシャルル殿下からだとわかったが、もう一人がわからない。仕方なく封筒を裏返す。

 

「アレ?」

 

 裏返した封筒に封された蝋に捺された紋章に軽く驚いてしまった。

 

「何で、トリスティン王家から?」

 

 そう。その紋章は紛れもなくトリスティン王家のものだった。

 

「まず、シャルル殿下から、開けてみるか。」

 

 そう言って、ガリアから来た手紙の封を切る。

 

「やっぱり、通信チェスか。」

 

 手紙の内容は愚痴もあるけど、2枚のチェスの棋譜だった。

 

「シャルル殿下の指令はこの駒をここへ動かせか。」

 

 指示された場所に駒を置き、どこの駒を動かそうか悩む。

 

「フム。では、この駒をここに動かせと。」

 

 もう一枚の棋譜はジョゼフ陛下のものだ。それに書かれていた通りの場所に駒を動かしてから自分の駒をどう動かそうかと悩んでいた。こちらを動かそうとしたらこちらが立たず。逆にこちらを動かしたら、こちらが立たず。

 

「ウーン。どうしようかな?ん?ああ。この手があった。」

 

 呟いて駒を動かし、寄付にそちらに動かすように指示して封筒に入れて、蝋を垂らして家紋を入ったものを押す。

 

「で、もう一通は?」

 

 封を切って中身を空けると、アンリエッタ王女からのものだった。

 

「何だろう?」

 

 中身を確認すると、ラブレターだった。

 

「…何で俺に来たんだろう?」

 

 そう思いながら、読む。あの時から思ってくれていたらしいらしい。

 

「さて、どうするか?」

 

 どうすればいいのだろう?これ以上避けることはできない。そもそも、この手紙も俺が苦手意識で避けていた結果だ。しかも、そのことに視線をそらしてしまった。

 

「正直に言って、嫌いじゃないんだよな。」

 

 苦手意識はあっても、それは最初の奇行に対してのものだ。それ以降は戦争とはいえ、たくさんの人を死なせたという責任からか、驚くような成長を見せた。なら、変えられないか?彼女を。

 

 

 

SIDE アンリエッタ

 

 

 

「お父様。カウスさんはいついらっしゃるのでしょうか?」

 

 ソワソワしながら玉座に座るお父様に問いかける。

 

「さぁな。こればかりは向こうの足次第だからな。」

 

「待ち遠しいですわ。」

 

 手を合わせて言う私に対して、お父様は頭痛を堪えるかのように眉間を揉みほぐしていた。その仕草を気になっていたら、侍女が玉座の間にやって来て望んでいた言葉を口にした。

 

「陛下。アウストラリス子爵とそのご子息様がお見えになりました。」

 

「すぐ通せ。」

 

「はい。」

 

 侍女は頭を下げて一度下げて、すぐにカウスさんとアウストラリス子爵を連れてきた。

 

「アンリエッタ王女様。恋文を渡してくださり、ありがとうございます。」

 

 色よい返事を期待したのだが、

 

「お気持ちは嬉しいのですが、お答えすることはできません。」

 

 私に首を横に振って拒否した。

 

「………理由を聞かせていただいてもいいですよね?」

 

 拒絶の言葉に目に涙をためながらも問いかけた。

 

「アンリエッタ様。貴女の地位はどのようなものでしょうか?」

 

 確認するように問いかける。

 

「王女でしょうか?」

 

「えぇ。ですから、その御気持ちをお受けするわけにはいかないのです。王様と言うのは、下から権力を認められる代わりに民を第一に考えなければいけないんです。だからこそ、大嫌いな人であったとしても、民のためなら笑顔で応じなければならないんです。だからこそ、無責任に恋文を渡しちゃいけないんです。」

 

「ですが、私は王族に産まれたくはなかったです。」

 

 自由などまったく無く結婚相手すらも自分の意思では決められない鳥籠の中の王族なんて。

 

「アンリエッタ王女。その言葉は平民達の前でも言えますか?貴族の気まぐれに生かされ、今日の命があっても明日にはそれがあるかもわからない平民達の前で。」

 

 その言葉に私は何も言えないでいた。そのまま、カウスさんは一礼すると、アウストラリス子爵の後ろに控えて静かにしていた。私は届かなかったその想いに涙が出そうだった。でも、カウスさんからヒントをもらったためか、泣く事はなかった。『王様と言うのは、民を第一に考えなければいけない、大嫌いな人であったとしても、民のためなら笑顔で応じなければならない』なら、『平民の人たちの多くが望んだことは無視することができない』はず。それに、カウスさんはきっと、私のためを思っていったはず。それなら、その思いにこたえないと。

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