「カウス様。お客様がお見えになられてます。」
俺にお客?誰だろう?疑問に思いながら、応対に出ると、思いもよらない人だった。
「お久しぶりです。カウス様。」
「久しぶり。シエスタちゃん。どうしてここに?」
俺に会いに来たのは、シエスタちゃんだった。
「あ、あの時、助けて頂いたご恩返しに来ました。」
その言葉に、俺は頬を掻いていた。
「別にそんなのを期待して助けた訳じゃないから、気にしなくてもいいのに。」
「そうもいきません!助けて頂いたご恩はちゃんと返さないと!」
俺の言葉にシエスタちゃんは両手を握って声をあげる。
「あの、シエスタちゃん?別にご恩返しを期待していた訳じゃないから、この前貰った味噌や醤油で十分なんだけど?それ以上を貰っても困るだけだか?」
その言葉に、シエスタちゃんは項垂れていた。
「シエスタちゃんだったかしら?貴女は何でカウス様にお仕えしたいのかしら?」
メイド姿のデネボラがシエスタちゃんに声をかける。
確かに、疑問だな。給金支払う事は出来るけど、俺に言うより、父様に言った方が良いだろうに。
「そ、それは、」
そう言って、口をつくんでコチラをチラチラと見るシエスタちゃん。その顔が赤いような?
ハァ。何故か知らないけど、ため息をはくデネボラ。
「カウス様。私からもシエスタちゃんの雇用お願いします。それと、
「クロスって、カウス様が着ていたあの鎧ですか?」
「あぁ。88の星々に座するもの達を模した鎧だ。だけど、アレを受け取るなら、力無き人達を護るために闘う事になる。それでもいいのかな?」
シエスタちゃんの疑問に答えながら問いかけた。その問いにシエスタちゃんは、
「ハイ!」
と力強く頷いた。
「これでよし。」
「悪いけど、シエスタちゃんを呼び出してくれる?」
「シエスタさんですね?かしこまりました。見つけたら声をかけておきます。」
頭を下げて答える部下の人にお礼を言い、残りの作業に取り掛かった。それが完成するのとほぼ同時に
「失礼します。」
ノックがしたので入室を促すとシエスタちゃんとデネボラが入室した。
「出来たよ。シエスタちゃんの
「本当ですか?」
身を乗り出して問いかけるシエスタちゃんにクロスボックスを渡した。
「それでは、この中に、
シエスタちゃんの問いに首を縦に振った。ゴクリと生唾を飲み込みながらクロスボックスを開けた。ソコから現れたのは、全身を鎖でがんじがらめにされたお姫様のオブジェだった。
「コレがアンドロメダ座の
「ブロンズ?普通のクロスとはどう違うのですか?」
「
シエスタちゃんの疑問に答えてからデネボラに振り向く。
「それで、デネボラは何かの用事?」
「はい。アルカブ様がお呼びです。既にスバル達が集結してます。」
という事は仕事の話か。そう思いながら、デネボラとシエスタちゃんを連れて、父様の執務室まで向かった。
「アウストラリス子爵。お呼びと聞きました。」
「射手座《サジタリアス》か?入りなさい。」
室内から聞こえる声に、ドアノブを回した。
「アウストラリス子爵。御呼びとききました。」
「ウム。実は、とある村が半年前からオーク鬼達に占拠されたという情報が入った。君達にはその村からオーク鬼達を追い払って欲しい。」
アウストラリス子爵の言葉に手をあげたのはスバルだ。
「アルカブ様。1つお尋ねしますが、なぜ、半年間もほったらかしになっていたのでしょうか?」
「それなのだが、その村の付近の領主はアルタルフというのだ。」
あ、アルタルフ?驚いてアクベンスを見た。
「オレの親父だ。」
シエスタちゃん以外の皆の視線にアクベンスは首を縦に振った。
「そのアルタルフが近くの村からオーク鬼達に占拠されたと訴えがあり、私兵を送ったのだが、撃退され王家に報告して無能扱いされるのがイヤで、王家に秘密にして、ほったらかしにしていたのだが、少し前からオーク鬼達に賞金をかけているのだ。」
「ちょっと聞くけど、アルタルフがどうなっても問題ないか?」
その問いにスバルは緊張して、アクベンスと父様を見る。
「殺害は却下。しかしながら、自領の民を苦しませた罪は償わなければならない。」
「わかった。行ってくる。」
父様の答えにアクベンスはそう返した。
SIDE ???
私は正直に言って困っている。路銀も底を尽きようとしている所で、オーク鬼達に賞金をかけているという話を聞いて金稼ぎと腕試しの意味を兼ねてそこへ行く途中、思わぬお荷物を背負ってしまった。最初に知り合った踊り子二人はまだいい。分け前が減るのは困るけど、死んでは意味がない。だからこそ、腕の立つなら連れて行っても問題ない。しかしながら、今目の前にいる、少女達は話が別。
「あなた達も、この先にある村に用事があるんだよね?一緒に行かない?」
私を見上げる緑色のツインテールの少女の言葉にイラつきが加速する。どう見ても10代前半である。………まぁ、年は私も似たり寄ったりの年齢だが。そんな連中が満足に戦える訳がない。役立たずの足手まといなどいない方がよいのだが。
「………何でその村に行きたいのかな?」
「オーク鬼の駆除だよ。」
「冗談。子供の遊びと付き合う趣味は無いんだけど?」
「大丈夫だって。俺はそれなりに強いよ?」
少女は私の言葉に耳を傾ける積もりがないらしい。
「それなりじゃ、困るん………。」
「
少女が振り下ろした杖がすぐそばの木を切り裂いていた。
「こんなことができるなら問題ないかな?」
実力不足も理由にできないらしい。何もかもを切り裂く一撃に魅了されつつも厄介に思った。