何故、こうなった?彼らは答えの出ない問いを繰り返していた。自分達は覇者。少なくとも、この村を占拠するまで一度たりとも自分達より強いものと出会った事が無かった。だからこそ、今まで好き勝手にしてきた。歯向かう者達も逃げる者も命乞いする者もこの力で倒してきた。自分達の栄光は突如終りを迎えた。何人ものメイジに剣士が襲撃しに来たのだ。剣士の方はまだよかった。少々手強いがそれでも、自分達が集団で襲いかかれば、勝てない相手ではなかった。しかし、鎧を着た人達は違った。自分達を捩じ伏せる圧倒的な力に、攻撃ものともしない防御力。勝てる訳が無かった。犠牲を出しながら逃げるのが精一杯だった。そこに、
「申し訳無いですが、ここから先にはいかせません。」
正面から黄金の鎧を着た二人が声をかけてきた。
○ ○ ○
SIDE エレン
「エレン。
空に合図を放ち待機していたら、唐突にスピカが言ってきた。
「どうしたの?」
「カウス様達が倒せなかったオーク鬼達がこちらにやって来ます。」
だったら準備しないと!
「来て!
「
私とスピカの呼びかけに水瓶を携えた女性と、自分の娘の為に祈りを捧げる女性のオブジェが現れた。そして、それぞれがパーツ毎に分解され私とスピカの体に装着されていく。両足、体に腕、頭に顔と
「ここから先にはいかせません。」
スピカの言葉にオーク鬼達は恐怖に固まっていた。
「グォォッ!!!!」
オーク鬼達の一体が意を決して突進してきた。正直に言って恐い。でも、ここでオーク鬼達を逃がしたら、大勢の人達が危険にさらされるかもしれない。右手をギュッと握りしめルーンを唱える。
「ダイヤモンドダスト!!」
突き出した私の右手から冷気が放たれ、オーク鬼2体が凍りついた。
「ガァァッ!!」
オーク鬼達は吠えて、スピカに襲いかかる。でも、
「オーク鬼の力はこんなものですか?」
スピカの右手がオーク鬼の豪腕を止めていた。いや、オーク鬼の腕は、スピカに触れていない。空気の壁のようなものがオーク鬼攻撃を防いでいた。
「早く振り抜かないとその腕が使い物にならなくなりますよ?」
言われたからじゃないだろうけど必死に押し込もうとしているけど、びくともしない。そして、悲鳴をあげながら、吹き飛ばされる。その右腕は無惨に潰れていた。
恐怖にかられたのかオーク鬼達は硬直するけど、少しして雄叫びを上げて突進してきた。だけど、スピカにはその一瞬で十分だった。
「天魔降伏!!」
スピカが放つ衝撃波がオーク鬼達を吹き飛ばして倒した。
SIDE アクベンス
「よくぞ、オーク鬼達を殲滅してくれた。まさか、殲滅してくるやつがいると思わなかった。」
オーク鬼達の首を差し出すと、アルタルフは満面の笑顔で言ってきた。その隣には母さんの仇がいる。
「いえ。アルタルフ様の応援がありましたゆえ。」
「そうかそうか。なかなかの目の付け所だな。」
てめえは何もしていないくせにいい気なもんだな。カウスの言葉に気をよくしたのかさらに言葉を投げ掛けた。
「フム。私に仕える気はないかな?」
「いえ。残念ですが、俺達は修業の旅をしている身ゆえ、ここに留まり続ける事は出来ません。ですが、代わりにこちらの彼女の願いを聞いて頂けませんか?」
と、俺をさしたカウスにスバルは驚いていた。
「フム。言って見てくれ。」
「じゃあ、二人とも一発殴らせろ。」
「「は?」」
意味が理解出来ず、間の抜けた声をあげるアルタルフに詰めより拳を叩きつける。その一撃で鼻の骨が折れたらしい。辺りに鼻血が舞う。
「な、何を!」
「てめえもだ!」
言いかけた女の言葉を遮り裏拳気味の一撃が女の鼻を叩き折った。
「にゃ、にゃにを?」
「この程度ですんで御の字だろ?俺はアンタ等に母さんを無理矢理手込めにされたし、アルタルフの娘の俺が目障りという理由で母さんが殺された。」
その言葉に、俺が誰なのか気付いたアルタルフがハッと息を飲んだ。
「殺してやりたい気はするけど、殺ったらたぶん母さんが悲しむし、カウス達だって喜ばない。」
そう言って、屋敷を出た時、
「アクベンス、偉い!!」
そう言って、カウスが俺を抱き締めた。
「きゃ、きゃうす!にゃ、にゃにを!」
「噛んでる。」
唐突にカウスに抱き締められテンパってしまう。
「噛んでる♪可愛い♪」
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃッ!!!!」
抱き締められた恥ずかしさとからかわれた怒りで強引に振りほどいで、カウスを踏みつけた。
「か、か、カウス!からかうんじゃねえ!」
「痛い!痛い!アクベンス!!本音を言われたからって照れて蹴るな!!だから、蹴るな!!スバル!!止めろ!!」
苦笑したスバルに羽交い締めされて止められるまで蹴り続けられた。
SIDE カウス
オーク鬼の退治も終わり、さて帰ろうと村の入り口までたどり着いた時、
「待って!!」
デネブとカストルちゃんとボルクスちゃんに止められた。
「どうしたんだ?」
「私達を鍛えてください。もう2度と大切な人達を失わないで住むように。」
「ボルクスちゃんもそれでいいの?」
俺の問いにボルクスちゃんも首を縦に振った。
「ウン!ボクも強くなりたい!もうあの時みたいに何も出来ないで後悔なんてしたくないから!」
ボルクスちゃんの答えに頷いてから、視線をデネブに向けた。
「デネブも俺のところに来る気なのか?」
「はい。私は、我が敵を全て斬り伏せ護るべき者達を護りぬく。そのような存在になりたいのです。その為にあなた方の黄金の鎧を手に入れたいのです。」
俺の問いにデネブはしっかりと決意を込めて答えた。
「黄金の鎧を
「じゃあ、カウス様。ボクも部下にしてください。」
「ボルクス。そんなにあっさり決めて良いの?」
心配するカストルちゃんにボルクスちゃんは満面の笑顔で答えた。
「大丈夫だよ。お姉ちゃん。ボクがゴールドクロスを手に入れようが、カウス様の部下になろうがボクはボクだよ。」
ボルクスちゃんの言葉に、カストルちゃんとデネブが笑みを浮かべていた。
「……そうだね。カウス様。私達も部下にしてください。」
カストルちゃんの言葉に俺は静かに頷いた。